学生提督が艦息に転生したそうです   作:戦艦建造家(?)

21 / 21
安定のクオリティ低下。
今回は色々ありますよ。



交錯する世界線

((ドガンッ!!バゴンッ!!!))

次々と攻撃を受ける深海棲艦。

しかし、この攻撃は艦娘が放ったものではなかった。

???「サクセンノジャマ...ネ」

???「サクセントイウカ...ホボリハンデハ?」

???「...ソレハ...ヒテイデキナイワ」

???「ヒテイシテクダサイヨ...ソコハ...」

???「...コノハナシハ、アトニシマショウ」

???「ゼンカン...トツゲキ...!」

―――

ヴィクトワール「ありゃ深海棲艦か...?」

ヴィクトワール「妙だな...」

???「...敵の敵は味方ってことじゃないのか?」

ヴィクトワール「ッ!?」

ヴィクトワール「...大和さんでしたか。驚かさないでくださいよ。」

ヴィクトワール「...敵の敵は味方というのは?」

大和(ア)「簡単なことさ。」

大和(ア)「私たちが先程交戦した深海棲艦...V-Seriesとでも呼ぼうか」

大和(ア)「そいつらは深海棲艦と敵対しているみたいじゃないか」

大和(ア)「つまり、だ。深海棲艦と共闘しようって話だ」

ヴィクトワール「共闘したとして、裏切られたらどうするんです?」

大和(ア)「...叩き潰す。それだけだ」

ヴィクトワール「...そうですね」

―――

俺は大鎌を構え直した。

ヴィクトワール「...水流噴進用意!」

CIC妖精「了解。充填開始」

ヴィクトワール「大和さんは長門さんの援護をお願いします!」

大和(ア)「ああ、分かった。そっちは頼んだぞ」

大和はその場から静かに去っていった。

ヴィクトワール「さて、行くか」

CIC妖精「水流噴進、充填完了しています」

ヴィクトワール「水流噴進!」

CIC妖精「了解!」ガチッ!

ピピッ...キュィィィィィン...

バシュンッ!

―――同時刻 深海棲艦艦隊

空母水鬼「シュホウ、ゼンモン...イッセイシャ!」

((ドドドドンッ!!!))

タ級「ヤッパリ、コウナルンデスネ...」

タ級「...シュホウ、ヨウイッ!モクヒョウ、トッシュツシタ、テキケイジュン!」

タ級「ウテッ!」

((ドドッドドッドドンッ!!!))

艦隊と言っても、二隻しか居ない小規模な艦隊だが、まるで陸上要塞のような弾幕を形成している。

ただ、V-Seriesは深海棲艦の武装の弾道をリアルタイムで学習しているらしい。

最初は強引に見えた回避が、次第に正確さを増していく。

そして、弾幕にできた僅かな隙間を縫いながら、着実に空母水鬼に接近していく。

―――

ヴィクトワール「...!CIC妖精、シールド展開だ!出力50%!」

CIC妖精「了解。リアクターの電力をシールドに回します」

ピッピッ...

CIC妖精「補助電力回路直結。メイン回路動作よし。」

CIC妖精「シールド展開!」ピッ!

バチッ...バチチッ!

ヴィクトワールの周囲に、青い半透明の膜が形成される。

ヴィクトワール「よし。...弾幕に突っ込むぞ!」

―――

タ級「ナゼダ..ナゼアタラナイ!」

((ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!))

空母水鬼とV-Seriesの距離はどんどん近づいていく。

空母水鬼「...シズメ」

空母水鬼は弾幕を形成していた対空砲、主砲を先頭のV-Seriesに指向させ、射撃した。

((ガンッ!!ガガンッ!!ギンッ!!))

(((ドッガァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!)))

大量の弾丸を浴びたV-Seriesは耐えきれず大爆発を起こした。

しかし、一点集中射撃によって弾幕が一瞬途切れる。

V-Seriesはその隙を逃さず、空母水鬼に飛びかかる。

V-Series「グァァッ!!!」

しかし、飛びかかったV-Seriesの手が空母水鬼に届くことはなかった。

((ザギンッ!!ザギンザギンザギンザギンッ!!!))

V-Seriesの胴体と両腕が横薙ぎに切り裂かれる。

V-Series「グァッ!!!」

ヴィクトワール「仕留め損なったか!」

ヴィクトワール「...トドメを刺すぞ!主砲用意ッ!」

同時に、ヴィクトワールの主砲がV-Seriesに指向する。

V-Series「グゥッ...!」

キィィィィン...ドガンッ!!!

...形勢不利と見たのだろう。V-Seriesは瞬間移動し、姿を消してしまった。

ヴィクトワール「クソッ...逃がしたか!」

タ級「...キサマハッ!?」

ヴィクトワール「...?」

タ級「ミッドウェーノ...アクマ...!」

ヴィクトワール「...深海側ではそう呼ばれてんのか...俺」

タ級は艤装をこちらに向けてくる。

ヴィクトワール「ちょっと待て!今は敵じゃない!」

タ級「ウソヲツクナッ!」

ヴィクトワール「今撃ち合って得するのはV-Seriesだけだろ!」

空母水鬼「...タキュウ、ギソウヲ...オロシナサイ」

タ級「デスガ...!」

空母水鬼「オロシナサイ。ワタシタチノ...モクテキヲ、ワスレタノ?」

タ級は悔しそうに歯を食いしばる。

そしてゆっくりと艤装を下ろす。

タ級「...スミマセン、ワタシトシタコトガ」

空母水鬼「ワカレバ、イイノヨ」

空母水鬼「...ワタシノブカガ、シツレイシマシタ」

ヴィクトワール「いえいえ!突然のことに俺も口が悪くなってしまい申し訳なかったです」

ヴィクトワール「ところで、なぜV-Seriesに攻撃を?」

空母水鬼「ソノ、ブイシリーズハ...ヨクワカラナイケレd((ドガッ!!ドガドガドガガンッ!!!))」

ヴィクトワール「またか!」

音の方向をみると、さらなるV-Seriesの増援が次々と送り込まれてきていた。

空母水鬼「タキュウ、シュウイノリハンカンタイハ?」

タ級「...ドウヤラ、ホカノカンタイモ、アシドメサレテイルヨウデス」

空母水鬼「...ナルホド、ネ」

ヴィクトワール「まだ何か来ます!気をつけて!」

(((ドッガァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!)))

送り込まれてきた増援の中には、一際巨大な個体が居た。

それは、俺が戦ってきた中で一番厄介な存在。

「「グォォォォォォォッ!!!!」」

―――暴走個体だった。

ヴィクトワール「暴走個体...」

空母水鬼「ボウソウトイウワリニ、トウセイガトレテイルヨウダケド」

ヴィクトワール「奴らも進化しているってことでしょう」

タ級「タシカ、ヤツハカコニ、コウワンセイキヲゲキハシテイタハズ」

タ級の言う通り、暴走個体は過去の海戦で「港湾棲姫」を破壊している。

敵味方問わずに破壊していると思っていたのだが...V-Seriesの一員となると話が変わってくる。

恐らく、港湾棲姫の撃破もV-Seriesの計画に沿った行動だったのだろう。

暴走個体はV-Series内でも屈指の戦闘能力を持つ戦術兵器。

そう考えると、奴らはここで...

俺は無意識に大鎌を構え直していた。

ヴィクトワール「...決着をつけるつもりか」

空母水鬼「トナルト、コレガサイシュウコウセイ...ネ」

ヴィクトワール「...CIC妖精、VLS全開放。目標は敵艦隊全艦艇。拡散誘導噴進弾も全弾撃て」

CIC妖精「ですがそれでは後の戦闘に支障が出てしまいます。誘導噴進弾も数が少ないんですよ」

ヴィクトワール「良いんだ。今戦えればそれでいい」

CIC妖精「...了解しました」

ヴィクトワール「これが最終決戦だ。気を抜くなよ」

CIC妖精「はい」

CIC妖精「...目標群α-1からβ-3までをロック。」

CIC妖精「VLS全開放。」ピッ!

ガシャッ!ガシャッガチンッガチャッ!!

CIC妖精「誘導噴進弾、全弾発射はじめッ!salvo!」

ボシュッ!!ボシュッボシュッボシュッ!!ボッシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ...

―――過去では、未来を決する戦いが火蓋を切った。

一方、未来では...

―――2042年 日本国 坊ノ岬沖

この場所に、多数の人影があった。

それは、たった一隻の深海棲艦を沈めるためだけに集められた海自艦隊の姿である。

ひゅうが「...本当に来るのか?この場所に」

いせ「さあ?というか一隻に対して本当にこの数が必要なの?」

ひゅうが「それだけ警戒すべき相手だということだろう」

いせ「...まぁそうだね」

いせはヘッドセット型のOPS-20C対水上レーダーを見ながら軽く返す。

ひゅうが「はぁ...相変わらず話しづらい奴め」

いせ「...?」

そんな会話をしていると、一本の無線が入る。

ちょうかい(無線)「艦隊の前方、距離24000に艦影!恐らく作戦目標です!」

ひゅうが「...了解。」

ひゅうが「ちょうかいはそのまま目標の観測を行え。」

ちょうかい(無線)「分かりました!」

ひゅうが「全艦、戦闘用意!」

ひゅうが「いせ、私たちは敵にとって大きな脅威だ。」

ひゅうが「最初に狙われるのは私たちだ。気を抜くなよ」

いせ「分かってるって。」

ひゅうが「...各艦、レーダーから目を離すな。」

その無線を終えた直後、ひゅうがはある違和感を覚える。

ひゅうが(...赤い光?)

海面上に突如現れた赤く輝く発光体に気づいたのだ。

ひゅうが(...建造物か?...いや、あんなところにはそんなものないはずだ...)

 

ちょうかい(無線)「目標に高熱源反応です!回避してくださいッ!」

ひゅうが「...ッ!全艦、回避行動!」

指示とともに、艦隊が左右に大きく分かれ回避行動を開始。

次の瞬間だった。

バチッ!!!バチバチチチッ!!

ギィィンッ!!!

巨大な光線が、まるで海を裂くように照射された。

レーザーが通過した海面は蒸発し、巨大な水蒸気煙となり艦隊に覆いかぶさっていく。

そんな中、いせは搭載されている対艦ミサイルで反撃を試みようとした。

しかし...

バチチッ!!バチッ!!

いせ「嘘でしょッ!?レーダーが!」

突然いせのレーダーがブラックアウトし、火花を上げて故障した。

レーザーの照射によって生じた強力な電磁波が、艦載電子機器に少なくない被害を与え、次々と機能不全が起こっていく。

いせに続くようにして、次々に被害の報告が上がってくる。

とね(無線)「電装系に異...が...きておる。...無...もか!」

あきづき(無線)「CIC...機能...《ザーッ!》...喪失!」

ひゅうが「全艦、有視界戦闘に備えろ!」

しかし、無線から反応は返ってこない。

ただ、混乱した艦娘たちの断片的な通信が飛び込んでくるだけだった。

ひゅうが「チッ!この無線機もイカれたのか!」

ひゅうが「...仕方ない。これを使うか」

ピカッ!ピカピカッ!

艤装の端に取り付けられた投光器から発光信号が送られる。

だが、光は濃密な水蒸気煙に飲み込まれ、数メートル先の味方にすら届かない。

ひゅうが「これも駄目かッ!」

ひゅうが「こうなったら...!」

ひゅうがは、その場から移動を開始した...

―――一方、ちょうかい

ちょうかい「何...あれ...」

巨大な水蒸気煙が、艦隊を飲み込んでいた。

ちょうかい「あんなのが直撃してたら...艦隊の皆は...」

不安を募らせていく中、ちょうかいの背筋に強い悪寒が走る。

ちょうかいはハッと我に返り、双眼鏡で目標の観測を再開しようとする。

―――双眼鏡を覗き込んだその瞬間。

ちょうかいの手が止まった。

双眼鏡を通した先には、こちらを見ている深海機神姫の姿があった。

ヤツにバレた。

「次は私だ」そんな思考ばかりが脳を支配していく。

呼吸が浅くなっていき、思考もまとまらない。

レンズの先で、深海機神姫は砲口を私に向けている。

次第に砲口内の赤い光が大きくなっていく。

本能がどれだけ「逃げろ」と指示を出しても、体は動かなかった。

バチチッ!!バチッ!!

やがて赫い光は一点に収束する。

刹那、私に向けてその光は放たれた。

(((ドッゴォォォォォォンッ!!!!)))

凄まじい轟音が響き渡る。

...だが、痛みはない。

恐る恐る双眼鏡を下ろし、いつの間にか固く閉じていた瞼をゆっくりと開く。

私の前には、人影があった。

背丈は私と同じくらいの、小柄な体型。

???「全区画隔壁閉鎖」ピピッ!

???「冷却機構作動開始。陽電子砲、発射用意」ピッ!

彼女の背中から、巨大な砲身が展開していく。

???「目標、敵レーザー主砲塔。」

???「照準、自動追尾開始。誤差修正、-0.4」ピピッ!!

???「防御重力シールド最大展開...!」

そう呟いたかと思うと、彼女に直撃していたであろうレーザーが、私たちを避けるかのようにして裂けていく。

???「電力100%...チャンスは一度だけ...」

???「...照準合致...!」

???「陽電子砲、撃てッ!」ガチッ!

ガシャッ!ギィィィンッ!!

((ドガッシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!!!!!))

放たれた青い光は、赫い光線を貫き、そのまま深海機神姫の装甲をも貫徹する。

―――

深海機神姫「グァァッ!!」

深海機神姫は、このタイミングで自らの異常に気がつく。

深海機神姫「ハァッ...!ナゼ...サイセイシナイ!」

過去に戦艦ケルマデックの主砲一斉射を受けても、瞬時に再生した再生能力は、とうに失われていたのだった。

―――同時刻 防衛装備庁

慶賀は信濃に取り付けられたボディカメラを見ながら、ある疑問を抱いた。

慶賀(...なぜ奴は消えない?)

慶賀(タイムパラドックスが起こるのは想定内だったが...これは想定外だ)

慶賀(...そうか。奴は過去に存在していない)

慶賀(だが、未来には存在していることになる。...奴は今、時間軸から逸脱した、いわば「境界人」のような存在。)

慶賀(つまり、奴自体がタイムパラドックスの本体...だとでもいうのか?)

慶賀「あ、アハハ...」

慶賀「そういうことだったのか...!」

慶賀「この戦いが未来を左右するのか...!」

ガラララッ...

慶賀は海に面したベランダへと出ていく。

遠くの空には、巨大な鉄床雲が赫い雷を伴って急速に発達していた。

慶賀「僕は、この世界を破壊へと誘う引き金を引いてしまったのか」

慶賀「...彼女たちに世界の命運を委ねるしか無いのか?」

慶賀「...いや。きっかけを作ってしまった者がケリを付けるべき...か」

慶賀は踵を返し、足早に地下の研究施設へ向かった。

その表情に、迷いの感情は存在しなかった。

―――同時刻 坊ノ岬沖

深海機神姫「ナンダッ...コレハ...!」ブンッ!

深海機神姫は、自身の体に纏わりついてくる赫い稲妻のような物を払いのけようとする。

しかし、それは次から次へと纏わりついてくる。

やがて、深海機神姫の体は、その稲妻に覆い尽くされてしまった。

深海機神姫「...」

そして、稲妻は一筋も残さず深海機神姫の体内に吸収された。

しばらくの沈黙が流れる。

深海機神姫は微動だにせず、項垂れている。

―――

ちょうかい「何が起こっているんですか...?」

???「私にもわかりません。一体何をしようとしているのか...」

ちょうかい「ところで、貴方は一体?」

信濃「私は...信濃です。よろしくお願いします」

ちょうかい「信濃...さんですね。私は...」

信濃「待ってください」

信濃「自己紹介は後にしたほうが良さそうです」

ちょうかい「はい?」

―――

ガギンッ...

深海機神姫の装甲が裂け、落ち始める。

そして、裂けた装甲から巨大な艤装が生えてくる。

それも前側だけではなかった。

背中からも、巨大な艤装が生えてくる。まるで翼のようだ。

深海機神姫自体も変化を始めている。

黒かった髪色は白く染まっていき、体は軋みを上げながら次第に大きくなっていく。

―――

「このままではマズい」と信濃は直感で感じた。

信濃「...主砲、一斉射用意ッ!」

ガキンッ!ガシャガシャガシャッ!!

陽電子砲が格納され、艤装から主砲塔が展開される。

信濃「目標、敵深海棲艦!」

ガシンッ!!ウィィィン...

ガチャンッ!!

信濃「撃てッ!」

((キィィィィン...ガッシュゥゥゥゥゥンッ!!!))

放たれた光の束が、真っ直ぐに深海機神姫へ突き進む。

しかし、その時には既に遅かった。

―――

((ギィィィィィィン...!))

深海機神姫の至近まで接近した光線は、突如出現した半透明のシールドに吸収されてしまった。

バチバチチチッ!!!

突然、深海機神姫の四方に雷が落ちる。

その稲妻は、深海機神姫に向けて動き出す。

やがて深海機神姫は再び稲妻に飲み込まれた。

そして...

(((ドッガァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!)))

爆音とともに、鉄床雲は吹き飛ばされる。

先程までの悪天候は幻想だと言わんばかりの晴天。

その下に存在していたのは、もはや深海機神姫ではなかった。

黄色の眼光を宿した、深海機神姫のような「何か」

その姿は、神々しいという言葉だけでは言い表せない。

だが、「神」ではない。

深海により生み出されしもの。

――機神

 

深海ノ機神「...フフ。」

深海ノ機神「コノカラダ...イイジャナイ」

深海ノ機神は、ゆっくりと顔を上げる。

 

深海ノ機神「...サテ。」

深海ノ機神「ハジメマショウカ...!」

―――

ちょうかい「あれは...深海棲艦なの...?」

信濃「わかりません。...ただ、敵なのは間違いありません...!」

艦娘達が突然の出来事に判断を迷っている隙に、奴は攻撃準備を着々と進めていく。

黄色い眼光がゆっくりと狙いを定めていく。

最初の標的になったのは、防御力の低いちょうかいだった。

深海ノ機神「...キリサキナサイ...!」

深海ノ機神「ゼンモン、イッセイシャ...!」

ガギンッ!ガギンッ!!

(((ビゴンッ!!ビゴンッ!!ビゴンッ!!)))

信濃「...ッ!?」バッ!

攻撃に気づいた信濃が、咄嗟にちょうかいを庇うようにして前に出る。

((ガギンッ!!ガゴンッ!!ドッガァァンッ!!!))

((バシャッ!!ピシュンッ!!!))

ちょうかい「信濃さん!大丈夫ですか!?」

信濃「この程度、何の問題もありません...!」

信濃「それより、私の後ろに隠れていてください!」

ちょうかい「は、はい!」

ちょうかいは足早に信濃の後ろに張り付く。

信濃(...これで、被弾するより被害は多少はマシになるはず)

信濃(...でも、どうしよう。相手の手数が多すぎてこのままじゃ...)

信濃(どうにか、相手の攻撃を一瞬でも止める方法を探さないと...!)

――そんな時だった。

バシュンッ!!バシュバシュンッ!!!

 

((ドドガッ!!ドガドガンッ!!!))

どこからともなく飛来した対艦ミサイルが、深海ノ機神に直撃。

深海ノ機神の装甲を次々と叩きつけ、爆煙が周囲を包みこんでいく。

信濃「ミサイル...」

信濃「今です。今のうちに奴の射程外に!」

ちょうかい「は、はい!」

ちょうかいは全速力でその場を離脱していく。

信濃「間に合えば良いのですが...」

信濃「...にしても、さっきのミサイル、一体誰が...」

(バッサァッ!!!)

巨大な艤装が爆煙を突き破り、強引に爆煙を払う。

深海ノ機神「...マッタク、ケガラワシイ」

あれだけのミサイルを食らっても、奴は微動だにしていない。

信濃「...でも、ダメージは蓄積されているはず」

奴の装甲は、少し歪みを見せていた。

深海ノ機神「...ソコカ」

グォンッ!!

奴は艤装を私の後方へ向ける。

ガギンッ!ガチンッ!!

巨大な砲が艤装の内部から展開される。

そして...

(((ドッガァァァァァァァァァァァァァァン!!!!)))

口径50cmを優に超える大きさの巨砲が火を吹いた。

―――

((ヒュゥンッ!!!))

 

((バシャアッ!!))

砲弾は弧を描いて水面に着弾した。

(((ドッゴォォォォォォンッ!!!!)))

???「チッ、あぶねぇなぁ」

???「こんな戦場、いつぶりでしょうかねぇ」

???「あっちじゃ勝手に凍って沈んでくれたが、こっちじゃそれも通用しないのか」

???「早く故郷に帰りたい...あっついし」

爆発で立ち上った水柱。

その飛沫を払いのけるように、四人の艦娘がゆっくりと姿を現す。

???「はぁ、せっかくここまで来たんだ。勝ったらいい酒奢れよ?」

そこにあったのは、ロシア海軍・黒海艦隊の生き残りとその戦友の姿だった。

―――

信濃の情報スクリーンに、新たな情報が追加される。

ちょうかい:SIGNAL LOST (WITHDRAWN)

ひゅうが:SIGNAL LOST

 

モスクワ:ONLINE

アドミラル・クズネツォフ:ONLINE

スラヴァ:ONLINE

ノヴォロシースク:ONLINE

 

信濃「新たなIFF反応...?」

ピピッ...ピピッ...

さらに、情報が更新されていく。

―――

((ガシュンッ!!バチッ!!!))

二発の光弾が、深海ノ機神の背後を襲った。

(ガギンッ!!バゴンッ!!!)

―――

???「あら?外しちゃった?」

???「...直撃しましたが、ほとんど効いていないようです」

???「へぇ...面白いじゃない!あの深海棲艦!」

???「好奇心旺盛すぎるのも、どうかと思いますよ。姉さん」

???「何でアンタ逆に気にならないのよ!」

???「やかましい。戦場で軽口を叩くな」

???「...武装オールグリーン。各部点検完了。いつでも戦闘可能です」

―――

ディファイアント:ONLINE

リゾリュート:ONLINE

ジェラルド・R・フォード:ONLINE

マイケル・モンスーア:ONLINE

...15 other ships

 

信濃「アメリカ艦隊!?」

信濃「しかも空母打撃群並の規模...」

レーダー上の海域は、一気に友軍の反応で埋め尽くされていく。

―――

((キィンッ!!!キィンッ!!!キィンッ!!))

甲高い音を立て、超低空でジェット戦闘機が飛来した。

((ガシュッ!ガシュガシュガシュガシュッ!!))

((ドッ!!ドガガガガッ!!ドンッ!!ドガンッ!!!))

放たれたミサイルは、これまた深海ノ機神に直撃し、装甲の数カ所に歪みを生ませた。

―――

???「呼んでくれたJaponには感謝ね!」

???「ええ。また研究対象が一人増えました」

???「破片の一つでも回収したいところです」

―――

フランス・リーブル:ONLINE

フォルバン:ONLINE

シュヴァリエ・ポール:ONLINE

 

信濃「フランス海軍まで...」

信濃「世界各国の主力艦隊が、この海域に集結している...?」

―――

世界の海軍が、日本の要請に対して主力艦隊を出撃させた。

恐らく、これが最後の戦いになると世界は判断したのだろう。

 

...この異常なまでの結束も、現実改変による効果だとでも言うのだろうか。

 

...この世界は、既に別の世界線に分岐し始めているのかもしれない。

―――同時刻 防衛装備庁:地下研究室

ここに一人、電話で何かを伝えている人影があった。

慶賀「遂に来たぞ。例の副産物を使うときだ」

慶賀「今すぐに打ち上げの準備に入れ」

慶賀「目標は、深海機神姫だ」

慶賀「ああ。次元の狭間に閉じ込めてやれ」

ガチャッ...

慶賀「...これで、全てが終わる」

――― ―軍機につき公表不可― 

基地0355/同時刻

 

研究員「本当に使うのか?」

責任者「そうだ。」

責任者「Mb-X1の発射準備を急げ」

研究員「了解」

―――同時刻 坊ノ岬沖

((ボッシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ...ボシュボシュボシュボッシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ...))

各艦のVLS、ミサイル発射管が開放され、大量のミサイルが深海ノ機神へ向けて一斉に発射される。

その中には、一際巨大なものもあった。

信濃「あれは...!」

信濃(恐らく、モスクワのP-1000、ヴルカーン!)

―――

深海ノ機神は、防御体制に入る。

ガチンッ!!ガギガギギンッ!!!

装甲帯が奴の正面に展開され、次の瞬間、ミサイルが着弾する。

(((ドガッ!!ドガガッドガッドッ!!ドッガァァンッ!!!)))

巨大な爆煙が広がり、周囲を闇に染める。

そしてワンテンポ遅れて、さらに一発のミサイルが着弾する。

(((ドッガァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!)))

それは、アドミラル・クズネツォフの放ったP-700「グラニート」だった。

―――

深海ノ機神「...ムダナコトヲ」

深海ノ機神「...?」

反撃に出ようとしたところで、深海ノ機神は足の感覚がないことに気づいた。

深海ノ機神「....?」

足が動かない。なぜだ―――

そんな考えがよぎる。

爆煙が晴れると、その理由がわかった。

展開した装甲帯が砕け散り、その破片が足を大きく切り裂いていたのだ。

そして、艤装の装甲にも無数のひびが走り、今にも壊れそうになっている。

―――バチッ...バチチチッ!!!

損傷した艤装から赫い稲妻が漏れ出ている。

深海ノ機神「グッ...アァッ!!!」

バチッ!!!バチチチチッ!!!

赫い稲妻が、体中に伝播していく。

深海ノ機神「クッ...アハハッ!」

深海ノ機神「...ソロソロ、オワラセルコトニシマショウカ」

赫い稲妻がまた一点に集中していく。

そして、体内に再び取り込まれる。

(((バゴンッ!!!)))

((バシャアッ!!バシャバシャッ!!!))

艤装が全て分離し、水面に落ちる。

そして、新たな艤装が生え始める。

それはあまりに巨大で、不気味な、深海棲艦の塊のようだった。

その塊は、深海ノ機神をも飲み込み、肥大化していく。

((ギギギギギ...ガンッ!!!ガシャッ!!!))

その変形が大きな隙となった。

(((ヒュルルルルル.....)))

(((ガギンッ!!!ガシャッ!!!!)))

遥か地平線の彼方から飛来した、艦娘以上の大きさの砲弾が、奴の内部に突き刺さった。

(((ドッガァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!)))

巨大な爆炎が広がり、奴を内部から吹き飛ばした。

信濃「砲弾!?一体何処から...」

―――同時刻 超大和型戦艦「駿河」 艦橋

那智「...間に合ったか」

那智「これより本艦は海自及び各国艦隊に接近し、収容する」

那智「収容後は直ちに帰投だ。」

那智「...で、なんで整備長もここに?」

加藤「装甲がまだ試作段階とか何とかで、この艦に配属されたんだよ...」

加藤「...ま、上からの命令だ。仕方ねぇ。」

―――

深海ノ機神「...グハァッ!」

深海ノ機神は、艤装の爆発によって外部に投げ出され、もう身動きが取れない状況になっていた。

深海ノ機神「ナゼダ...イッタイナゼ...!」

深海ノ機神から、次々と赫い稲妻が抜け出していく。

黄色くなっていた眼光が、次第に青みを帯びていく。

次に目覚めたときには、体は完全に元の姿へと戻っていた。

深海機神姫「...ハッ!?」

深海機神姫「...ワ...ワタシハイッタイ...ナニヲ...」

ボロボロになっている自身の身体を見て、深海機神姫は何か納得したような表情になった。

深海機神姫「ナルホド...ネ」

深海機神姫「モウ...グハッ...シオドキ...カシラ」

深海機神姫は、側に落ちていた巨大な艤装の残骸を持ち上げると、力で無理矢理変形させる。

作り上げたのは、まるでヴィクトワールを想起させるような、巨大な大鎌だった。

深海機神姫は、片腕を失っている。

それにも関わらず巨大な大鎌を持ち上げ、静かに構える。

深海機神姫「フフッ...コレサエアレバ...ジュウブン...ヨ」

深海機神姫「サイゴニ...ヒトリデモ...オオク...」

深海機神姫「...ミチヅレニ」

そう覚悟を決めた瞬間、深海機神姫の眼に、青い炎のようなものが灯る。

(((ドガッ!!)))

足が動かないのを気にも留めず海面を蹴り上げ、深海機神姫は―――

再び戦場へ突撃した。

 

 

 




完結はまだまだ先になりそうですね...
これからも不定期ではありますが、書き続けていければなと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。