何故か探偵じゃなくて占い師をやってるクズお姉さん   作:まさみゃ〜(柾雅)

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とりあえず本日2話目


聖母磔刑02

 気が付けば夏休みが近くなっていた。

 最近あった新しい事いくつかあったけれど、それ以外は特に変わらない。

 でも、アレは本当にびっくりした。何せお隣さんが新しい先生としてうちの学校にやって来たのだから。

 それでも亜黽さんが担任になるとかは無かったから結局、彼女が担当する科目でしか学校では基本的に顔を見ない。

 それに、やっぱりと言っていいのか、教師と言う職種は忙しいのかアパートで鉢合わせるのは、平日じゃあり得ないし、休日ではごく稀と言ったところだ。

 それよりも何故か占い師の上葉実さんに鉢合わせることが多い。

 

「……あ」

「おやぁ? 今帰りかい?」

 

 今日も帰路の途中にあるパチスロ店から上葉実さんが出てくる。

 声のトーン的に今日はややプラスの結果だったのだろう。

 それに今日はタバコを咥えてないし。

 

「ええ、そう言う上葉実さんはまたパチスロですか」

「む、私のことは零華お姉さんと呼んで欲しいのだけれど?」

 

 やはりと言うべきか、目の前の人物は碌でも無い人間だった。

 占いの腕はテレビなどで話題になっている人達と同じぐらいだとは思うのだが、初めて出会った時の行動がこの人の本性を語っていたのに僕は気付くべきだった。

 だってこの人、金さえ有れば酒タバコギャンブルで計画性が無いのだから。

 現に未成年の目の前で堂々とタバコに火をつけ始めたし。

 

「暇さえあれば酒タバコギャンブルやってる人とはあまり親しくなりたく無いので」

「言うねぇ……お姉さんは君の事こーんなにも気に入っているのにぃ〜」

 

 今気付いたけどこの人お酒入れているな。

 若干顔が赤いし、アルコールの匂いが彼女から微かに臭う。

 あと手首に通してるコンビニのビニール袋には未開封のビール缶が透けて見えていた。

 

「昼間から飲酒しながらパチスロで、しかもダル絡みって人間性を疑いますよ?」

 

 彼女の抱擁を避ける。

 若干の千鳥足で倒れることは無いが、それでも見ていて危ない。

 

「……危ないんで座って待ってて下さい」

 

 近くにあるコンビニを確認する。

 確かこのパチスロ店の近くに一軒あったはず。

 見つけたコンビニに向かえば僕は水を買う。

 確か二日酔いにはしじみ汁やウコン系の飲料が良いらしいけど、今の上葉実さんは酔っている状態だし水の方がいいだろう。

 

「はい、水です。車の通りが少ないとは言え酔っ払いが歩くには危険が多いですから」

「何だかんだ世話を焼いてくれるの、おねーさん君のそういうとこ好きだよ〜」

 

 待っている間も飲んでいたのかさらに酔いが増しているようだ。

 何でこんな大人が世に出回っているんだと思う。

 

「飲むなら自分の家か夜に居酒屋とかで飲んでくださいよ」

「だーって無心で台と睨めっこは退屈じゃないかぁ〜」

 

 片手で僕の半袖シャツを摘んでくる。

 逃がさないつもりのようで、ニヤニヤと笑みを浮かべながら彼女は僕を見る。

 

「あら? 勝油くん?」

 

 そんな状況でいると、誰かが声をかけてきた。

 声を掛けてきた人物を見ると、そこには河口一花さんが立っていた。

 一花さんはその穏やかな雰囲気や誰にでも平等に接する態度から聖母と言われるほど人気がある人物である。

 ただ、僕には具体的に言い表せないけれど、彼女には不気味さを覚えている。

 それでも良い人には変わり無いけれど。

 

「あ、一花さんこんにちは」

「はい、こんにちは」

 

 挨拶をすれば彼女は笑顔で挨拶を返してくれる。

 そういえば今日は図書館は休館日か。

 

「うぅん? 彼女は誰だい? 少年」

「この人はこの町の図書館司書をやっている河口一花さんです。

 一花さん、この人は最近この町にきた占い師の上葉実零華さんです。見ての通りロクでも無い人ですが占いの腕は確かだと思います」

 

 僕がお互いを紹介すると、一花さんは「嗚呼、この人が」と反応する。

 どうやら上葉実さんの占いの腕は巷で話題になっているようだ。

 そう言えば僕のクラスの、というより学校の女子の間でも度々上葉実さんは話題に上がっていた気がする。

 

「噂はよく耳にしています。ただ……このような人物だとは思いませんでした」

 

 苦笑いを浮かべながら一花さんは丁寧にお辞儀をする。

 たとえタチの悪い酔っ払い相手にもこの対応、流石である。

 

「私の人生なんてこのぐらいテキトーで良いのだよ。まぁ今後ともヨロシク」

「だからって未成年にダル絡みは勘弁して下さいよ」

 

 僕の腕に絡みつく上葉実さんの腕を振り解く。

 こんな人間でも見てくれは良いから心臓に悪すぎる。

 

「ふふっ。勝油くんと上葉実さんはとても仲良しさんなんですね。

 あ、もうこんな時間、それじゃあ私はこれで失礼しますね。また機会があれば噂の占い、体験させてもらっても?」

「もちろん歓迎さ。いつも商店街のところでやってるからどうぞご贔屓に」

 

 この場を去る一花さんにヘラヘラと手を振りながら上葉実さんは見送る。

 ただ、片腕は僕の腕に組み付いたままであるため早く解放してほしい。

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