>こいつ、戦士は戦士でも狂戦士じゃね?
ああほら叩かれているー。
>戦闘人格 is 脳筋
>皆を護りたいってのはいいんだけど、匹夫の勇なんだよなあ
>ググったわかったホンソレ
>シドウがいる安心感を拳でぶち壊していくストロングスタイル
>なんでや! 頑張ってるやんけ! なお作戦への理解は低いものとする
どうにもモブ子は熱血すぎるというか、視野が狭いというかバカというか……嫌いじゃないし気持ちはすげえよくわかるんだが、こう、無性に恥ずかしくなる時ががが。
あと、それ以上に気になることがあって―――
>つか、これコラボ企画だったんすかね
>デザインだけなら偶然かもだけど名前も一緒じゃ言い訳できねー
―――これな。
<奇跡のハマチ>。謎のインフラ商会会長として登場したオリキャラだけれども。
バ美肉Vtuberの海村ハマチが元ネタだった……うーん……正直微妙な気分。
>公式がVパロしてどうすんのよ
>Ⅴ嫌いだからつれえわ
>推しがキャラ食われそうで嫌なんだけど
>普通にかわいいじゃん
>世界観に合ってたし俺は歓迎
>オワコン感
>Ⅴアンチおちつけよwwwネタキャラ1人出ただけだろwww
>2人やろがい
>ワカナはハマチが別ゲーで作ってた天才クール美少女キャラ
>kwsk
>公式が媚び売ってるように見えるんだよなあ
賛否分かれる形で「ハマチ」がトレンドワード入りかー。運営にとっては「してやったり」だろうな。当のVtuberのコメントはというと……。
>>えっ、もしかして私が「公式キャラ」デビュー? ワカナちゃんも??
>>恐縮&大感謝です!
>>大大大好きな『灰フロ』が漫画という形でさらに広がっていくのが何より喜ばしいですし、プレイヤーの一人として胸が熱くなります! がんばれ、私ではないけれど私のようなハマチ! 鬱展開をぶっ壊すんだよおっ!!
うーん、無罪! なんだよ、同志じゃん。
ただ、この言い方だと正式なコラボレーションではないのかな。少なくとも大々的に宣伝する気はなさそう。キャラの使用許諾とかそういう系? 知らんけれども。
まあ、それはそれとして……他にも気がかりはある。
たとえば、ハマチのこのセリフだ。
『アイギス士官学校所属、治安維持軍第三機動師団第六十七連隊第二大隊C中隊、機械化歩兵小隊、狙撃手一等兵……今は脱走兵であり、ドリフ商学院仮生徒のモブコさん』
すごく不自然じゃないか?
だってモブ子の正式な名前はモブコじゃない。似ても似つかない。学生証にはきちんと記されているし、彼女の軍籍を調べたならそれがわかるはずだ。言及しなかったのは偶然か?
次に、ここ。さらりと流されているこのセリフ。
『<宝勘>の救命から、あなたの特異なご活躍ははじまった……それで間違いありませんか?』
おかしいだろう、これ。コメント欄でも誰も指摘していないが、俺には違和感しかないぞ。
なんでキャラが「二つ名」を呼ぶんだよ。
本編でも外伝でも、なんならマンガでも、ハマチ以外が<宝勘>だの<鉄槌>だのとキャラの二つ名を呼んだことはない。
当たり前だ。
だって二つ名は、あくまでもプレイヤーへキャラを印象づけるためのものでしかないんだから。
それなのに、このシーンでハマチはシレッと二つ名を口にするし、モブ子にもごく自然と意味が通じている。変だろ。それともメタネタってことか? Vtuberネタをやるくらいだから、その一環ってこと?
でもなぁ……次のやり取りもやっぱりおかしいんだよ。
『確かに無茶でした。反省はしていますが、後悔はしていません。フリーダムライト学院への被害を考えると……あそこは必死になるべきところでした』
『……なるほど。あなたの英雄的な決断と奮闘に心からの感謝を』
二人とも「霞ヶ峰ミサイル基地からあふれ出たフロムヘルがフリーダムライト学院を襲う」という前提で話しているけれど……なんで? なんでそれが前提になる?
だって位置的には微妙だぞ? 基地はフリーダムライト学院、プロキア専門学校、ニューパラダイス学院の三校からほぼ等距離にある。どこへ流れていってもおかしくはないし、だからこそ外伝ではプロキア・ニューパラ合同軍が派遣されたわけで。
一度疑い出すと、ハマチたちが「魔の山」に間に合った理由も疑わしくなってくる。「危険な遺跡との情報があった」ってだけで、あれだけの戦力を準備しておけるものかな。
その後のこれ……学園都市の未来について問答するやつも、メタ臭いというかなんというか。
ハマチとモブ子って、未来から過去に戻ってきていたりする? いや、もういっそ原作知識があるとか? ゲーム的な意味でのメタ知識がさ?
……深読みのしすぎかな。厄介オタクかな、俺。
まあ、もともと公式二次創作的なマンガなわけで……メタネタとしてやっているだけかもしれないし、単にシナリオライター自身が気づかずやっているという可能性もある。プロとしてどうかと思うけれど、読む側も原作知識ありで楽しんでいるのだから、エンタメとしては全然ありだろう。
ぶっちゃけ、どうであれ鬱展開がないならオールオッケーだし。
食料プラント奪還戦も大成功だったしね。
んー、どの角度から描かれてもグランヴォルドはカッコいいなー。ヴァルキリアスも良き。二機が並ぶと夜空の騎士と青空の騎士という感じで映える映える。
威力偵察後は楽勝もいいところ。突入前からフロムヘルをゴリゴリに減らしたんだから、そりゃそうでしょって話。強いよねえ、グランヴォルド。飛行能力のある高機動重装甲AP兵器って無敵じゃね? AP値もバグっているし、開けた場所なら単機で無双できるでしょ。
プラント内ではアオイたちネクスト隊がいい仕事していたね。軍隊式の連携技術とかクリアリングとかの練度がすごかった。良き三人組だ……と感じた分だけ外伝の心痛がアイタタタ。
フロムヘルを倒しきり、電源施設を復旧して、防衛施設も再起動というスムーズな流れ。
問題なく完勝。ミッションコンプリート。
ねぎとろ号へ搭乗したメンバー……なにげにアマミも乗っていたわけだが……みんなで喝采。誰もがステキに笑顔。これだよこれ。
すべてをお膳立てしたハマチ会長兼艦長は、実際、大したもんだ。
その後についても説明があった。ドリフ商学院から戦力も管理要員もバリバリ送られてくるらしい。勝ち確の商機だものな。晴れて学園都市全体の食糧事情へかなりのプラス効果が出るわけだ。
満足げに聞きとげたモブ子が眠りにつく……では終わらなかった。今回の更新は。
にぎわいの届かない艦長室でハマチとシドウが語り合う。
「モブコさんはどうでしたか?」
「強い。だが危うい強さだ。猛りの裏に焦りが張りついている」
「焦り、ですか」
「生き急ぐ兵士は珍しくない。だが、それとは少し違う気がする」
「……タイムリミットのためでしょうか」
「特性を鑑みると、そうなるか。すでにAP兵器の反応はない」
モブ子の大きな弱点。戦闘人格が消えるとグランヴォルドとの適合性も消失すること。
「護ってあげてください」
ハマチの真剣な表情。なにか、強い想いのこめられた瞳。
「奇跡を起こすための鍵は、私でもあなたでもなく……モブコさんなのですから」
意味深なセリフだ。シドウが「わかっているさ」とばかりにうなずくことでなお印象深くなる。作劇的な視点で見れば、このマンガの主人公が誰であるかを強調しているわけだけれど。
どうして……どうしてこんなに、胸が苦しいのだろう。
シドウの言う猛りと焦りが、なぜこうも俺の心で暴れるのだろう。
グランヴォルドと話したいな。あの重厚で渋みのある声が聞きたい。でもここにはAP兵器がないから、もう誰だっていいよ。灰フロを知っている誰かと話したい。看護師さんにそれを求めるのはお門違い。わかっているもの。
ふと思いついて、検索ボックスへ文字列を書き込んだ。
海村ハマチ。
灰フロについて語っていることを、無遠慮に期待などして。