半人半霊に転生した少女は生きるために鬼を狩る   作:マルメロ

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薄氷を踏むが如し

 

 

 童磨の奥義、霧氷・睡蓮菩薩の放った冷気は周囲一帯を包み込み生き物の生息できない極寒地獄へと変えてしまった。範囲内にいれば死は免れない状況下で、実弥と伊黒は何とか一命を取り留めていた。

 

 

「ガハッッ……!!」

 

「悲鳴嶼さん……」

 

 

 それは悲鳴嶼行冥が咄嗟に二人を庇い技を出したからだ。鉄球と斧を振り回す風圧で冷気を遮断、二人に被害が及ばないようにしていた。しかしその代償として自身は技をモロに受けてしまい、大量の冷気を吸ってしまったのだ。

 

 

「やるなぁ……俺の奥の手を喰らって誰も死んでないなんて、凄いことだよ!」

 

 

 ニコニコと笑いながら拍手をする童磨。本人は素直に賞賛しているのだろうが、傍から見れば煽っているようにしか思えない。実弥は地獄のような形相で童磨を睨みつけるが、それでも手を出せないでいた。

 

 

(クソがァ……! 今突っ込めば死しかねェのを肌で感じる……! 悲鳴嶼さんでさえ……!)

 

 

 実弥達を庇ったとはいえ、悲鳴嶼でさえ瀕死の重症を負ってしまう程の童磨の攻撃。加えて巫女達も未だ健在、勝ち筋が全く見えない。

 

 

「不死川……伊黒……よく聞け。このまま戦っても敗北は必然……私が奴の隙を作る、お前達で頸を斬るのだ」

 

「……!?」

 

「承知……」

 

 

 悲鳴嶼の策に二人は迷わず乗った。短期決戦、それ以外にこの鬼の頸を斬る手段はないだろう。戦いが長引けば長引く程、こちらが不利になる。夜明けを待っている余裕もない。

 

 

「あれ……作戦会議はもういいのかい? それじゃあ、続きをやろうか」

 

 

 童磨の口角が不気味に上がる。この鬼は今この場で絶対に倒させばならない、さもなければこれからも被害は拡大し続けるだろう。その決意を固め、悲鳴嶼達は童磨との死闘に身を投じる。

 

 

 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 魂魄妖夢はただひたすらに戦場へと走っていた。カナエに縫ってもらったとはいえ傷は酷く、今にも燃えそうな程に傷口が熱い。痛みも限界に達し吐き出してしまいそうだ。それでも妖夢は走る。皆が戦っているのに、自分だけ休んでいることなどできない。

 

 

「……!」

 

 

 そんな彼女の視界に、童磨の生み出した巫女と戦う華日の姿が映った。何とかやりあっているようだが、このままではやられてしまうかもしれない。

 

 

「黄泉の呼吸……参ノ型!!」

 

 

桜花閃々(おうかせんせん)!!! 

 

 

 踏み込みからの一閃。巫女の頸を斬り落とし華日を救出した。しかし巫女はすぐに再生してくる。妖夢はすぐに刀を構え直した。

 

 

「妖夢ちゃん……傷は……? 大丈夫なの?」

 

「うん。ありがとう華日、守ってくれて」

 

 

 華日は目を見開いた。やっぱり妖夢ちゃんは凄い、この子ならきっとあの童磨の頸さえも斬ってくれる。そんな希望が湧いてきた。

 

 

「妖夢ちゃん……悲鳴嶼さん達の方に行って。私は大丈夫だから」

 

「でも……」

 

「お願い。私、もう足手まといになりたくない!」

 

 

 妖夢が童磨の頸を斬るまでこの巫女を食い止める。それがきっと今自分がすべきことなのだ。その覚悟で身体に熱を灯す。妖夢は心配して華日を見るが一部の揺れもない彼女の瞳を目にし、華日を信じることにした。

 

 

「わかった……絶対死なないでね!」

 

「うん!」

 

 

 華日にその場を託し、妖夢は駆け出した。一度も振り返ることもなく悲鳴嶼達の元へと向かう。華日は死なない、そう信じる。今は童磨の頸を斬ること、それだけだ。

 

 

血鬼術 “蔓蓮華(つるれんげ)

 

 

血鬼術 “(ふゆ)ざれ氷柱(つらら)

 

 

「ッッ……!!」

 

「クソがァ!!」

 

 

 実弥と伊黒は巫女の繰り出す血鬼術を何とか捌いていた。しかしもう限界だ、凍てついた霧のせいで呼吸が制限されているのがあまりにも痛すぎる。満足に技を使えない上に敵は上弦と同等の術を使う人形だ。

 

 

「岩の呼吸……壱ノ型!!」

 

 

蛇紋岩(じゅもんがん)双極(そうきょく)!!! 

 

 

「挟み撃ちにする気かい?」

 

 

 悲鳴嶼が手斧と鉄球の両方を振るい両サイドから童磨の頸を狙う。しかし鉄球は仏像に、手斧は巫女にそれぞれ防がれてしまった。

 

 

「技の精度が落ちてるよ。そろそろ身体が限界じゃないか──ッッ!?」

 

 

 それを見て扇を扇いでいた童磨。だが急に背後から襲ってきた手斧に頭を斬られてしまった。頸は避けたが、その強襲には素直に賞賛するしかない。

 

 

「あれぇ……いつの間に斧を手繰り寄せたんだろう。でもごめんねぇ……もう再生しちゃった」

 

(ッ……! やはり私一人では頸を斬るには足りぬ……! 何とか不死川達が攻撃する隙を作らねば……!)

 

 

 巫女をくぐり抜け、仏像をくぐり抜け、更に童磨の頸を斬る。これを一人で行うには悲鳴嶼だろうと力不足。やはり作戦通りに実弥達のための隙を作る他ない。

 

 

「さてさて、そろそろ技も出し尽くした頃かな? これ以上情報が引き出せないなら終わらせたいんだけど」

 

「……!?」

 

 

 仏像が動いた。またあの超広範囲の冷気攻撃が来る。もう一度あの術を食らえば今度こそ死者が出てしまう。

 

 

 それを瞬間的に察知した三人はそれぞれ行動に出た。伊黒は悲鳴嶼の足手まといにならまいと回避に動き、実弥は少しで風で冷気を飛ばそうと技を使い、悲鳴嶼は若者二人を死なすまいと庇う動作を見せた。

 

 

 そんな中、実弥の視界に映ったのは笑う童磨の本体。そしてその背後から二本の刀で彼の頸を狙う妖夢の姿だった。

 

 

「黄泉の呼吸……伍ノ型!!」

 

 

閃々散華(せんせんさんげ)!!! 

 

 

「……!」

 

 

 背後かの攻撃に気づいた童磨は咄嗟に回避を選択した。その影響で仏像は動きを止め、攻撃は中断された。重症で動けないはずの妖夢の登場に、流石の童磨を冷や汗をかいて驚いている。

 

 

「あれあれあれぇ……その傷でまだ動けるの? 縫ったのかな? それでも動けるはずないと思うんだけどなぁ」

 

「ふぅ……ふぅ……!」

 

 

 妖夢は息を荒らげている。強く気を保っていないと痛みで死んでしまいそうだ。しかし何故だろうか、身体は熱く動きは驚く程軽やかに感じる。

 

 

「黄泉の呼吸……漆ノ型!!」

 

 

三魂七魄(さんこんしちはく)!!! 

 

 

「おっとと……!」

 

 

 妖夢の二刀流の斬撃を童磨は両手の扇で捌いている。しかし先程よりも速く、洗練された斬撃は防ぐのだけで精一杯だ。太刀筋が変わったのもそうだが、怪我を負う前よりも速度が大幅に上昇している。

 

 

(痣……? 首元に鬼の紋様のような痣が……始めからあったか?)

 

 

 あの痣が発現してから速度が上がった。何か関係があるのか? 面白い、この情報もまた有益だ。より情報を引き出したい。そのためにはこの娘をもっと追い込む必要がある。

 

 

(魂魄……あの傷で動けるのか……速度が上がっている……首元の痣は……? ……いや、今はいい……この状況は好機!!)

 

 

 童磨の意識が妖夢の方に向いた。チャンスは今しかない、悲鳴嶼は持てる力の全てを振り絞り童磨に向かっていった。しかしそれもまた、童磨の術中だったのだ。

 

 

血鬼術 “散蓮華(ちりれんげ)

 

 

 悲鳴嶼の行動を見透かしていたように巫女二体が彼に血鬼術を放ってきた。童磨の隙を突いたはずが逆にこちらの隙を作ってしまったのだ。

 

 

(若者達が儚い命を賭しているというのに……私が先頭に立たねば、柱として不甲斐なし!!)

 

(……!?)

 

 

 その時、童磨は巫女を通じて見た。悲鳴嶼の腕に妖夢と同じく痣が発現するのを。そして次の瞬間には、巫女二体は跡形もなく破壊されていた。

 

 

血鬼術 “霧氷(むひょう)睡蓮菩薩(すいれんぼさつ)

 

 

血鬼術 “結晶(けっしょう)巫女(みこ)

 

 

 童磨は本能で感じ取った、あの鉄球の男は今すぐに殺さねばならないと。故に実弥達を相手していた巫女、そして新たに生み出した二体の巫女、更には仏像を全て悲鳴嶼を止めるために向かわせた。それぞれが大量の冷気を放ち、それら全てを悲鳴嶼を殺すために放出する。

 

 

「岩の呼吸……伍ノ型!!」

 

 

瓦輪刑部(がりんぎょうぶ)!!! 

 

 

 しかしそれは悲鳴嶼の狙い通りだった。彼は無意識の内に鉄球と斧を激しくぶつけ、刀を赫くした。そして童磨の兵士達全てを一瞬の内に破壊してしまったのだ。

 

 

「刀が……赫く……!?」

 

「──ッッ!!」

 

(この男、俺の冷気の中で敢えて呼吸を……!?)

 

 

 そして冷気漂う空間の中、悲鳴嶼は迷わず激しく息を吸った。そんなことをすれば肺が使い物にならなくなることはわかっている、しかしこの流れで童磨に一撃を入れるにはこれしかなかった。

 

 

「南無阿弥……陀仏ッッ!!」

 

「ガハッ……!!」

 

 

 砕けた仏像と巫女の冷気、童磨が出した冷気、それらの霧の中から悲鳴嶼は姿を現した。そして鉄球を囮に童磨の頸に手斧を振るう。頸を斬られそうになった童磨はこの戦いで初めて表情を歪ませ、抵抗した。

 

 

「惜しいねぇ゛……!! だけど、もう俺の頸を斬る力は残ってないみたいだ……!!」

 

「……無念」

 

 

 童磨の頸を半分まで切断したところで、悲鳴嶼は意識を失った。致死量を遥かに超えた量の冷気を吸ったことで限界が来たのだ。しかしこの戦いで初めて童磨を追い詰めたのは事実、狙うなら今しかない。

 

 

「風の呼吸……玖ノ型!!」

 

 

韋駄天台風(いだてんたいふう)!!! 

 

 

「……!」

 

 

 赫い刀で斬られた傷口は再生が遅いようだ。作戦通り……いや、それ以上だ。童磨が頸を治すよりも早く、巫女達を作り出す隙を与えずに倒す。初めに動いたのは実弥だった。

 

 

「畳み掛けろォお前らァァ!! 悲鳴嶼さんの覚悟を無駄にすんじゃねェ!!」

 

「……ッ! 蛇の呼吸……壱ノ型!!」

 

 

委蛇斬(いだぎ)り!!! 

 

 

 斬られかけている頸目掛けて連続で技を繰り出す。このチャンスを逃せばもはや勝ち目は無い、悲鳴嶼のためにも負ける訳にはいかない。

 

 

血鬼術 “凍()(ぐもり)

 

 

「ッ……!!」

 

「まだこんな余力が……!?」

 

 

 実弥と伊黒を吹き飛ばす強力な冷気。頸を半分斬られて尚このレベルの血鬼術を放つとは、なんと恐ろしい男だろうか。しかし童磨もまた余裕は無い、技を出すので精一杯で頸の再生は進んでいない。

 

 

「黄泉の呼吸……壱ノ型!!」

 

 

現世斬(げんせざん)!!! 

 

 

 故に届いた妖夢の刀が。斬られていない方から頸を狙う斬撃が童磨を襲った。まずい斬られる、危機感を抱いた童磨は咄嗟に扇で苦し紛れの冷気を放った。

 

 

「肆ノ型!!」

 

 

天女返(てんにょがえ)し!!! 

 

 

 それを身体を捻って回避した。一度後退し、少しの間合いで最後の一撃を放つ。これで頸を斬る、倒す。さもなければこの場の全員が皆殺しにされる。

 

 

「黄泉の呼吸……玖ノ型!!」

 

 

 今までで一番の呼吸で息を吸い、一番の力で地面を踏みしめた。痣が拡大し、体温が上昇し、心拍数が上がる。何故か傷の痛みはもう気にならなかった。

 

 

「これで終わらせる!!」

 

 

 そして最高速度で童磨を狙う。多少冷気を吸うことはこの際構わない、あの頸さえ斬れればそれでいい。

 

 

「凄い! 本当に頑張ったね! でも届かないんだよ! 上弦の鬼にはね……!」

 

 

血鬼術 “結晶(けっしょう)巫女(みこ)

 

 

「……あ」

 

 

 なんと童磨は妖夢の前に巫女を出現させたのだ。まだそんな力が残っていたなんて、童磨の頸を斬ることだけに集中していた妖夢にこれの攻撃は避けられない。巫女の放った氷の槍が妖夢の目の前に迫ってくる。

 

 

「水の呼吸……拾壱ノ型!!」

 

 

(なぎ)……!! 

 

 

 その時、華日が妖夢の前に割って入った。妖夢を庇い、巫女の攻撃を全て受け流した。

 

 

「行け!! 妖夢ちゃん!!」

 

「……ッ!!」

 

 

 終わらせる。妖夢は万力の握力で二本の刀を握り、それらを力いっぱいぶつけ合わせた。悲鳴嶼の時のように刀は赫く染まり、童磨の頸を照らす。

 

 

 当然童磨も黙って頸を斬られるはずがない。扇で一本の刀をへし折り、二本目ももう片方の扇で弾こうとする。……しかし。

 

 

「いい加減くたばれやァァ!! ボケがァァァ!!」

 

「……!?」

 

 

 実弥の投げた刀が童磨の扇を地面に叩き落とした。通らなかったはずの二撃目が通る。折れてもなお赫く輝く妖夢の刀、そして真っ直ぐに伸びるカナエの刀が童磨の頸を斬り落とす。

 

 

待宵反射衛星斬(まつよいはんしゃえいせいざん)!!! 

 

 

 ──切断。

 

 

 童磨の頸は胴体と泣き別れになり、地面にこぼれ落ちる。身体が再生しない、その事実に童磨は自分の頸が斬られてしまったのだと理解した。

 

 

(えー、頸斬られちゃった。いくら相手が柱でも、俺が負けるなんて……痣が出たからといって、俺の頸が柱でもない娘に斬られるなんて)

 

 

 これまでの人生が走馬灯のように蘇ってきた。俺はこれまで数多くの善行を積んできたというのに、何故こんな目に合わなければならない、そう思いはする、しかし何故か死にたくないとは思えない。

 

 

(ダメだなー。悲しくもないし、辛くもないや。ずうっとこうだったなぁ……俺にとって、人間の感情なんて夢幻だった)

 

 

 改めてそんなことを自覚したところで童磨の身体は完全に崩壊した。鬼殺隊にとっての大悲願、上弦の鬼の討伐。百年余りに渡って続いた均衡が遂に崩されたのだ。

 

 

「ハァ……ハァ……」

 

 

 今にも倒れそうな足取りで妖夢は童磨の頸が塵になるまで見届けていた。そして童磨の死亡を確認した瞬間、緊張の糸が途切れ安堵したような顔でその場に倒れた。

 

 

 これだけの人数が参加した上弦戦。皆が少なからず肺をやられ、傷も深い。しかし上弦の弐を倒したというのにカナエを含め死者はいなかった。

 

 

 ──あるひとりを除いて。

 

 

 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

「みんな……!!」

 

 

 身体を無理に動かし、カナエは戦場に戻ってきた。あの仏像が消えたのでまさかとは思ったが、上弦の弐を倒せたようだ。そのことに涙を流しそうになるが、今はそんな暇は無い。すぐにみんなの手当をしなければ。実弥も妖夢も、華日も伊黒も、気を失っているが息はある。しかしそんな中である男だけは辛うじて意識を保っていた。僅かな命の光を灯していた。

 

 

「悲鳴嶼さん……!!」

 

「……胡蝶か」

 

 

 建物の壁にもたれ掛かるように倒れていた悲鳴嶼行冥。彼を見つけたカナエは絶え絶えの息で駆け寄り、容態を確認した。傷も深いが、それよりも肺を激しく損傷しているようで、もはやほとんど息もできない状態。カナエよりも更に酷い損傷だ。

 

 

「待ってて! すぐに助けるから!」

 

「やめろ……自分のことは自分が一番わかっている……私は……ッ! ……もはや助からぬ……ハァ……あの……若者達を助けてやってくれ」

 

「そんな……悲鳴嶼さん……!!」

 

 

 涙を流すカナエの手を握りながら悲鳴嶼はポツポツと言葉を述べていく。もはや残された時間は数分もないだろう、最期に言わなければならないことがある。

 

 

「胡蝶……私は…………確信した……近い将来……必ず……あの若者達が……鬼舞辻無惨の頸に……刃を振るう……ハァ……ハァ……鬼殺隊の悲願を…………達成する」

 

「うん……! うん……! 私もそう思うわ!!」

 

「御館様には……最期まで……お仕えできずに申し訳ないと…………私を……救って下さり……心より感謝を……ッッ……!!」

 

 

 大量の血を吐きながらも、悲鳴嶼は最期の言葉を口にする。それは鬼殺隊全体に向けた言葉、柱としての最期の責務だった。

 

 

「胡蝶……お前たちは、最期まで……柱の責務を……私は信じている……お前たちの……勝利を」

 

「はい……!!」

 

 

 カナエは悲鳴嶼の手を力いっぱい握った。自分達姉妹の恩人の最期を、せめて少しでも寂しくないようにしてあげたかったから。

 

 

「ああ……お前たちか……そうか、そうだったのか……ああ……行こう」

 

 

 そして岩柱、悲鳴嶼行冥は息を引き取った。最期まで鬼殺隊の勝利を願う心。鬼殺隊最強の男の名に恥じない最期だった。

 

 

 上弦弐、童磨の討伐という快挙。しかし鬼殺隊はそれと引き換えに岩柱、悲鳴嶼行冥を失った。その知らせはすぐに鬼殺隊全体に伝達され、彼に命を救われた多くの者は涙を流し悲しんだ。それは当主の産屋敷耀哉であっても同じだった。

 

 

「行冥……今まで私達を支えてくれてありがとう。君の想いは受け取った……必ず、無惨を倒してそっちに行くよ……私に残された時間も、そう永くはないだろうから」

 

 

 産屋敷の瞳から滅多に見せない涙が、人知れず零れた。運命の歯車が動き出した、その予感に身を震わせながら、産屋敷は天に向けて誓いを立てるのだった。

 

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