暑中お見舞い申し上げます。
炎天下に悩まされる地域の皆様におかれましては、熱中症で愛するポケモン達が嘆き悲しむことがないよう自愛を忘れぬ行動をお願い致します。
さて、ほのおポケモンが家庭にいると夏場が地獄なのではと思うかもしれないが、それはマグカルゴみたいな体内温度1万度だったり見た目相応に放射熱全開な連中に限られる。リザードンたちの尻尾の炎、あれは炎であり炎ではないらしく、本人が燃やす意識を持たない限り延焼発火しないのである。ポケモンは本当に不思議な生き物だ。あれが本物だとこの新築はあっという間に火だるまなのだが。
ポケモンが人間社会で共生できるのも、ポケモン自身が持つ『能力の自粛抑制』にあるとかどっかの博士が提唱していた。いけない、話が逸れた。
ともかく私の家も通常の家と変わらない対策だけで済むという話である。
そう、冷房機能全開にしつつこおりポケモンを室内解放しておけば快適な室内生活を堪能できるのだ! (間違ってもこおりポケモン単体で室内冷却を求めてはならない。本人も暑さでバテてしまう危険性がある上、本人の感覚のまま冷やそうとするため氷室化事故が発生しやすい)。
「Grrrr♪」
「キュウウン……」
「そんな我が家の救世主を顎枕にするんじゃありません」
「りざぁ♪」
「聞いちゃいねぇ」
キュウコン(アローラリージョン)が困ったようにこちらをみている。可愛い妹分の尻尾をふかふかアイスノン代わりにしているリザードン。誇り高い彼女が大人しく尻尾を枕にしている優しさには涙すらこぼれる。いや、単にいつものことすぎて悟って諦めているだけだなこれは。
「……後でブラッシングしてあげるから」
「コン」
頼りにならんトレーナーですまん。アフターケアはするから。
この家の主と言わんばかりにくつろいでるリザードンには灸を据えたいところだが、実質主みたいなものと言われると言い返せない悲しきトレーナーだ。もっとも、キュウコン自体も本気で嫌がってるわけではないので怒ることでもない。
キュウコンというポケモンは例外なく誇り高く、根に持つタイプである。戦いに勝てないだけでは、諦める理由にならない性質なのだ。それこそ1000年祟ると言われるレベルである。
それがこのように自慢の尻尾をバトル相性最悪の相手に預けて、苦情の唸り声をあげてない以上はそういうことであろう。私と彼女達が長い付き合いであるように、キュウコンもこのでかいヒトカゲとは長い付き合い、ロコンの頃からの仲なのだから。
ところで先程マグカルゴの話をしたが、リザードンの体内温度が低いかと言えばそんなことはない。ブースターですら800度もあるのでほのおポケモンはみんな大概高熱保有生物である。偉大なるガラルチャンピオン、彼の相棒がキョダイマックスした状態など2000度だと言うから驚きだ。……いや、マグカルゴが異常すぎるだけだからね? 太陽の表面温度6000度だよ?
で、何が言いたいかというと。
「キュウウウウン」
「よしよし、今整えてあげるから」
「ぐるるぅ……」
「そんな気まずい顔するぐらいなら気を付けな!」
溶けかけたように乱れた尻尾を丁寧にブラッシングする。キュウコン涙目である。
やらかしたことを理解してるリザードンは目を合わせようとすらしない。悪いとは思ってるらしい。
このようにこおりポケモンからすると、ほのおポケモンの身体は熱いのである。愛情余ってリザードンの腹に顔うずめてスーハーしてた私が顔面火傷などしてないのだから何も問題ないかと思ったら『タイプ相性』でこういうことが起きるらしい。つくづく不思議な生き物である。