金剛のバスケ+10cm   作:藤原わさび

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帝光中学編が終わったあとに続きを書きます


1.誠凛高校

「なあ、黒子。その金剛阿含ってのはそんなに強えのか?」

 

 インターハイ東京都予選Aブロック決勝の前日、誠凛高校バスケット部は集まってミーティングを行っていた。

 

「はい、僕は『キセキの世代』の彼らを圧倒できる存在が同世代にいるとは思っていませんでした……彼を見るまでは」

 

 帝光中学の伝説である『キセキの世代』。10年に1人の天才が一つの場所に5人も集まった帝光中学の輝かしい伝説は、今もなお語り継がれている。

 幻のシックスマンとして(かつ)て帝光中学バスケット部のチームに加わり、帝光中学バスケット部のレギュラーに名を列ねた選手である彼は、その強さを同じチームの一員として見続けた。だからこそ、金剛阿含という選手の登場は衝撃的だったのだろう。

 

「帝光中学にいた僕だから言えます。金剛君は『キセキの世代』の誰よりも強い──少なくても、中学時代はそうでした」

 

 その言葉に誠凛高校の面々に動揺が走る。

 

「はあッ!?黄瀬よりも強いってのか!?」

 

「おいおい、あいつよりも上がいるのか!?『キセキ』の世代でもないヤツが……ッ!?」

 

 黄瀬涼太が在籍する海常と練習試合をして勝利したからこそ、『キセキの世代』の恐ろしさは身に染みて理解している。真剣な目をしながら黒子は話す。

 

「黄瀬君はまだ発展途上だと思いますからなんとも言えませんが、少なくとも金剛君は黄瀬君ができなかった帝光中学のエースだった青峰君のプレイスタイルを、中学の試合のときにコピーしていました」

 

「あの黄瀬がコピーできない帝光のエース!?」

 

「黄瀬ですらできないヤツのコピーまでできちまうのか、そいつは……!」

 

 小金井慎二と誠凛高校キャプテンの日向順平が、目を見開いて口にする。

 

「……つまり、金剛阿含のプレイスタイルは黄瀬君のコピーの上位互換って訳?」

 

 誠凛高校の監督こと相田リコが今の一つの推論を口にする。今の言葉からそう思うのも仕方がないが……。

 

「いえ、金剛君のプレイスタイルは黄瀬君の異常な飲み込みの速さとは違います。彼からすれば青峰君のコピーも()()()程度のものだったのかもしれません。

 桃井さんもあのコピーは不完全だと言っていましたし、彼もそのことを分かっていて使っていたようでしたから」

 

「どんな化け物なんだそいつ……」

 

 伊月俊が冷や汗を流しながら思わずといった調子で言葉にした。だが、黒子は否定しない。黒子からしてもとても信じられない存在が金剛阿含だからだ。

 

「彼のプレイスタイルは……「()()()()()()()()()()()」──ぐふっ!」

 

 今まさに金剛阿含の情報を口にしようとした黒子の口をつぐませたのは、突進するかのような勢いで彼の胸に飛び込み押し倒した、グラマラス体型の美女だった。

 それを見て羨ましそうな目で見る誠凛高校バスケ部の男子だが、その中に一人だけ井桁マークをこめかみに浮かばせたリコは、その相手に無理やり落ち着かせた声音で口を開く。

 

「……ちょお~っと、いいからしら()()()()?今、黒子君から大事な話を聞いているんだけどなあ~?」

 

 ヒクヒクと口元を引きつりながら、リコは笑顔で笑いかけた。それを見た日向や伊月は視線を逸らす。触らぬ神に祟りなしである。

 だが呼ばれた当人である彼女は、黒子テツヤの胸元に抱き付いたまま話し出す。

 

「金剛阿含君のプレイスタイルのことですよねリコさん?なら、テツ君よりも元帝光中学のマネージャーにしてアナライザーだったこの私の方が、より正しく詳しい説明ができると思いませんか?ギリギリBのリコ()()

 

「アンタ、今それ関係ないでしょ!?」

 

 腕で胸を隠しながら憤慨するリコを尻目に、桃井は黒子に抱き着いたままだ。そのさりげなく公開されたそのアルファベットを聞いた男子は気まず気に顔を逸らした。

 

「桃井さん、それじゃあ僕の代わりに説明してもらえますか?」

 

「うんっ!いいよテツ君!それが私の役目なんだし!」

 

 黒子を押し倒した状態から立ち上がると、先程までの弛んだ状態から一転して気を引き締めた真面目な顔をして言った。

 

 

 

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