Color!! ~ゲーム『こみっくパーティー二次創作』 : いろどり溢れる長谷部彩の物語~ 作:拓田しろう
「和樹さん、彩ちゃん、来てくれてありがとうね! ……どうしたの2人とも、なんだか暗い表情してるけど?」
館内に入って、まずは南さんを訪ねた。
先ほどのことで、気まずい雰囲気が漂っていた。
和樹さんは断られた手前、気の利いたことが言えずにいるし、私も断った手前、なんて言っていいかわからない。
設営準備の場所に向かうまで、道案内の言葉すらうまく伝えられず、微妙な空気の中、ここまで来てしまった。
和樹さんは応対しながら、設営準備の話をしている。
南さんの顔を見ると、目が合ってニッコリと微笑んでくれた。
「じゃあ設営の手伝いだけど、他のスタッフの指示に従って長机と椅子の準備をお願いできますか? 彩ちゃんは私の手伝いで事務所に来てもらえる?」
「え……はい、わかりました」
少し意外だった。
今回は和樹さんと同じで長机や椅子の搬送だと思っていたのだけど、南さんの手伝いだったからだ。
和樹さんは言われた通り、他のスタッフの元へ移動し、それを見送ってから私は南さんの後についていった。
「ねぇ、彩ちゃん。和樹さんとなにかあったの?」
「え……なにかあったってわかるんですか?」
「ふふっ、素直ね。それじゃ『なにかあった』って言っているようなものじゃない」
ふと顔がカーッと赤くなる。
別に恥ずかしいわけではないが、こんな返事をしたらわかって当然だ。
南さんは、そんな私の表情を見ながらコロコロと笑っている。
「いえ、でも別にそう大した話では……」
「そうなの? 告白されたけど断ってしまったような顔をしてたけど」
「いえ……そんなんでは……」
以前から南さんは勘がいいと思ってたけど、こういう時にその勘の良さを発揮するのはやめてほしい。
いや、そもそも告白ではないから、
考えているだけでは
「和樹さんに……ユニット組もうって言われて」
「あら、先月由宇ちゃんのお誘いを断ったばかりだというのに、和樹さんも節操がないのね」
そう言って南さんはまたコロコロ笑う。
話してるところを見ると予めなんとなく知っていたようにも見えてしまう。不思議な人だ。
「それで、彩ちゃんはなんで断っちゃったの?」
「迷惑になるかと思って……」
「どうして?」
「私……売れてないから……。きっと足を引っ張っちゃうと思ったんです……」
「あら、売れていないとどうして足を引っ張っちゃうの?」
「それは……」
その問いには答えられなかった。
ただ迷惑をかけてしまうんじゃないか、という漠然とした不安が私の心を大きく締め付けた。
「彩ちゃんは、和樹さんと一緒にユニット組んでみたくないの?」
南さんの声は、先ほどよりも優しく、私に語り掛けてくれた。
急かすわけでも、問い詰めるわけでもなく、ゆっくり返答を待ってくれる。
「迷惑かけたくないです……でもできれば、ユニットを組んで、一緒にやってみたいです……」
「よくできました。じゃあ今度誘われた時は迷ってはダメよ? 迷惑なんてかけた時に考えればいいものだし、自分が思ってるほど迷惑かかってない方が多いんだから」
南さんはそういうと、ニッコリと笑いかけてくれた。
――きっと和樹さんと別の準備をさせたのも、南さんの配慮だろう。
南さんの優しさに感謝を覚えつつ、前日設営の手伝いを始めた。
「さあ、仕事仕事! 明日はこみパなんだから、今日中に片付けなきゃいけないことが山積みなの! 力仕事は男性に任せて、私たちはやるべきことをやりましょ」
「はい……お手伝いします!」
そう言って、南さんの指示を受けながら、スタッフの事務整理のお手伝いをさせてもらった。
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