Color!! ~ゲーム『こみっくパーティー二次創作』 : いろどり溢れる長谷部彩の物語~ 作:拓田しろう
サークル参加として会場入りし、自分のブースを整える。
昨日は本当に楽しかった。
あの後、みんなと別れて帰宅し、お風呂に入るとすぐに眠たくなった。
前日設営と縁日で疲れが溜まったのだろう。布団に入ったらすぐに寝てしまった。
早く寝たおかげですっきり目が覚め、いつもより早めに会場入りした。
テーブルの準備が終わり、和樹さんのブースを見たが、まだ来ていなかった。
――今までも遅れているところを考えると、単純に朝弱い人なのかもしれない。
そう思っていたところ、和樹さんが到着してブースの準備を始めた。
昨日のお礼を含め、挨拶に行こうかと思ったところ、後ろから女性がやってきた。
あの人は一度見たことがある。
確か5月のこみパの時に、和樹さんのスペースにやってきて口論していた女性だ。
あの時は穏やかな雰囲気ではなかったが、今は笑顔で和樹さんのブースのセッティングをしている。
――話しかけても大丈夫かな?
そう思いながら、そろそろと和樹さんに近づくと、気が付いて声をかけてくれた。
「おはよう、彩ちゃん。昨日はありがとうな」
「おはようございます。こちらこそ……ありがとうございました……えっと、その方は?」
「ああ、紹介するよ。こっちは
「もう和樹! 変な紹介の仕方するんじゃないわよ!」
そういうとパチンッと和樹さんの頭を
「いてぇな、叩くなよ!」
「あんたが変なこというからでしょ! それと、私にも紹介してよ」
「この子は
「え……と、初めまして。長谷部と言います。よろしくお願いします」
頭を下げると、高瀬さんは一瞬ポカンとした表情を浮かべ、じっと私の顔を見つめてきた。
じっと私の顔を見ている。なにか顔についているのだろうか? 朝ちゃんと顔を洗ったはずだが、来る最中になにかついてしまっただろうか?
そう思い、片手で顔を触るけど、なにもついている様子はない。
「か、かわいい! 同人誌即売会なんて、見るからにオタクみたいな人しかいないと思ってたけど、こんなかわいい子もいるの!? しかも和樹の知り合い? ウソ~! 和樹、あんたこの子になにかしてないわよね!」
「なんだよ、なにかって! あと瑞希、お前の発言すげぇ失礼だから」
「なによ、本当じゃない。今朝来るときも太いのと細いのの団体が行列を成しててすごかったんだから。あれが全員入ってくるって考えただけで気分悪くなったわ」
「あんま大っぴらにいうなよ。周りの目もあるんだから。ごめん、彩ちゃん。こいつ同人に偏見持っててさ」
「変なイメージ植えつけないで! あ、でもいきなりごめんね、彩ちゃん。今このバカから紹介された通り、
「あ……よろしくお願いします。高瀬さん」
「瑞希でいいわ。その代わり、私も彩ちゃんって呼ばせて!」
「はい……瑞希さん、よろしくお願いします……」
――素敵な人。
この間少し見た時にも感じたけど、魅力的な人だ。
和樹さんとのやり取りはガサツなように見えて、話すと思いやりに溢れ、親しみやすい口調と温かい包容力を感じさせる。
サイドでまとめているポニーテールは、瑞希さんの魅力を引き出していて、印象的だ。
南さんは温和なお姉さんというイメージだけど、瑞樹さんは活発で面倒見がいいお姉さん、という感じ。
この短いやり取りで、瑞希さんの人柄がわかったように感じた。
「先月遅れて、ギリギリで来場しただろ? あの日瑞希が仮病を使って、俺をこみパに参加させないようにしたんだよ。今日は詫びをしたいからってんで手伝いにきたんだ」
「和樹、急に変なこと言わないでよ! ……まあ確かに悪いと思ったから、今日は手伝いにきたんだけど」
「おふたりは、その……同級生かなにかですか?」
「高校が同じだったんだ。んで同じ大学の同じ学部。今は下宿先も近いしで、なんだかんだで腐れ縁って感じだよ」
「またいちいちイヤな言い方するんだから! 彩ちゃんは年いくつなの?」
「私は……17歳です。今高校三年生で」
「そっか、私たちの1つ年下か。すごいわね、高校生でサークル参加なんて」
「いえ……参加しているだけなので、なにもすごくは……」
「これからこいつの手伝いで、たまにこみパには来るの。その時はよろしくね、彩ちゃん。仲良くなりましょ!」
そういうと瑞希さんは片手を差し出してくる。
慣れていないから戸惑ったが、握手を求めているのだろう。
手を握ると、瑞希さんはニッコリ笑ってくれた。
「今日私はお昼過ぎまでしか手伝いしないからそのまま帰っちゃうけど、今度会った時はお話ししましょうね!」
そういうと瑞希さんは手をひらひらして、ブース準備に戻っていった。
「和樹さん、瑞希さんすごい
「お節介なだけだよ。今回のことだって、断ったのに無理矢理手伝わせろってうるさかったんだ」
そう言いつつも、和樹さんは瑞希さんのことをすごく信頼しているように見えた。
普段は砕けた口調で話すことも多いが、南さんや由宇さんと話す時は、どことなくまだ少し遠慮しているように見える。
それが瑞希さんと話す時は、随分小言を言っている。そう口にするのも、信頼関係があるからこそなんだろう。
――なんとなく、またモヤっとしてしまった。
ひとまず、和樹さんに挨拶をして、自分のブースに帰るのであった。
最後まで読んでくれてありがとう。
彩の物語を最後まで楽しんでみてね☆
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