Color!! ~ゲーム『こみっくパーティー二次創作』 : いろどり溢れる長谷部彩の物語~ 作:拓田しろう
『……ごめん、彩ちゃん』
夢の中でそう
既に日が昇っている。カーテンから日差しが漏れ、うっすらと室内を照らしている。
起床してベッドから体を起こして、カーテンを開くと、外は既に炎天下と化している。
空気の入れ替えのために窓を開けると、熱風が顔にあたった。
遠くを見るとアスファルトに照らされた熱で、蜃気楼のように揺らめいている。
お盆を過ぎたら少しは暑さが和らぐかと思っていたが、まだまだ暑い日が続きそうである。
『売れない同人誌に意味なんてないんだからっ!』
詠美さんに言われた一言。和樹さんの俯いた顔。それが頭から離れなかった。
昨日は疲れてすぐに寝てしまったが、夢の中でも謝る声が聞こえてきた。
——やっぱり、ユニットなんて組まない方が……。
このまま一緒にいても、和樹さんの負担にしかならないような気がした。
そもそも、なぜ和樹さんは私と組もうと思ったんだろう?
先月も散々考えた疑問が頭をよぎった。
『——それ以上に、彩ちゃんの方が学びが多いと思ったんだ』
あれはどういう意味?
詠美さんや由宇さん以上に学べることってなに?
現に私は、和樹さんに教えてもらってばかりいる。それだというのに、私はなにを与えているというの……?
決まっている。
和樹さんは優しいから、自分にもメリットがあると言って、ユニットを組む
なぜそんなことをするのかわからない。でもそれしか理由が見当たらない。
それであれば、やはり和樹さんの負担にしかなっていないことになる。
——迷惑のかからないうちに……。
そう思いながら、窓を閉めて、和樹さんの家に行く支度をした。
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改札を通って、和樹さんの家の最寄り駅に降りる。
なんて切り出そうか? それだけがまとまらず、炎天下の中、トボトボと歩く。
もうすっかり歩きなれた道だというのに、暑さの影響からか、やけに遠く感じた。
和樹さんの部屋の前について、チャイムを押すと中から返事が聞こえ、程なくして和樹さんが顔を出した。
「ごめん……ください……」
「よ、待ってたぞ。暑かったろ? さあ、あがってあがって! さっそく始めようか」
いつも通り応対してくれる和樹さん。
初めて会った時よりも、砕けた口調になっているのに気付いた。
部屋に戻るため背を向けるが、いつになっても部屋に入ろうとしない私に気付いて振り返った。
「ん、どうした?」
「私……なんかで……本当に……いいんですか?」
――断るはずだった。迷惑をかけたくなかった。
だから今日は『ユニットを解消しましょう』と言うつもりで来たはずなのに、口からこぼれたのは、言うつもりだったセリフじゃなかった。
心の底に隠していた本音が、不意に滲み出てしまった。
「いいって、なにが?」
「私なんかと……一緒で……迷惑じゃないですか?」
これは私の甘えだ。
頭では決めていたつもりだった。でも、心が拒絶してしまっている。
私は――和樹さんと一緒に作業したかった。だから、こんなすがるような言葉が出てきてしまったのだ。
――だって、私はこの人のことを――。
「なに言ってんだ、そんなことないって。ほら、暑いだろ? そんなところに突っ立ってないで、中へ入った入った」
「でも……」
グイッと手を引かれ、そのまま部屋の中へ入る。
「あっ……」
「それに、誘った時に言っただろ? 邪魔とか迷惑なんかじゃないって」
——ああ、やっぱり私は――。
手を引かれてドキドキする。胸に甘酸っぱい気持ちが広がる。
いつもまっすぐで、私のことを私のまま受け入れてくれる。
この人のことが好きなんだ――。
最後まで読んでくれてありがとう。
彩の物語を最後まで楽しんでみてね☆
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