Color!! ~ゲーム『こみっくパーティー二次創作』 : いろどり溢れる長谷部彩の物語~   作:拓田しろう

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23話 大志との対話

 

 約束の土曜日の朝。和樹さんと瑞希さんの大学の門の近くで2人を待つ。

 門は飾り付けられており、アーチを組んで学祭に来る来場者を歓迎していた。

 前にはチラシ配りをしている人や、私と同じように待ち合わせをしている人、また地元の親子連れの人たちなど、客層は様々だ。

 高校とは違った大掛かりな学祭の雰囲気に浸りながら、2人を待った。

 

 ――早く来ないかな。

 

 2人を待たせまいと思って、1時間以上前に着いてしまった。

 待ち合わせの人は私以外にいるものの、ずっと待っていると、チラシ配りの人たちや大学の関係者が近寄って声をかけてくる。なんとなく対応に困って、頭を下げては場所を移動するを繰り返していた。

 

「おや? マイシスターではないか」

「え……?」

 

 聞き覚えのある声が聞こえて振り返ってみると、大志さんがいた。

 

「ははぁ、さては原稿の息抜きに同志和樹と学祭にきたが早く着きすぎてしまった、というところかな?」

「あ……はい」

「ふむ、見た目通り律儀な性格だ。大学生ばかりで気後れしているのではないか?」

 

 行動をまんまと見透かされてしまい、言葉を失う。なんと洞察力に優れた人だろうか。

 なんだか考えていることまで読まれてしまいそうで、怖くなってきた。

 

「若いレディーが1人待っているのは心細かろう。ここでマイブラザーを待ちながら少し話をしないか?」

「え……あ、はい」

 

 意外な提案に驚く。

 変に声をかけてくる人たちから逃げ回るのが苦痛になってきたところだったので、一緒にいてもらえるのは願ってもないことだが、和樹さんと知り合いってくらいしか共通点がない。

 正直なにを話していいかわからなかった。

 

「原稿は順調かね?」

「はい……順調です。和樹さんもすごい頑張ってて。今日は息抜きしようって瑞希さんが……」

「ほう、マイシスターも一緒か。3人で学祭巡りをしようというわけだな」

「大志さんは、早くからどうして……?」

「なに、今回の学祭に声優の桜井あさひちゃんを招待することになってる。吾輩は実行委員のため、こうしてきているわけだよ」

「実行委員をやられているのですか?」

「そうだ。それに企画したのも吾輩でな。この日のためになかなか奮闘したのだぞ」

 

 その話を聞いて驚いた。大志さんはあまり学校の行事には興味ない人かと思っていた。

 実行委員というのも驚いたけど、なにより1年生という立場で学祭のイベントを企画して、推進するなど相当やり手ではないか。

 そういえば、和樹さんも大志さんに誘われて同人誌を描きだしたと言っていたので、人を動かす力がある人なのかもしれない。

 

「時にマイシスター、同志和樹とユニットを組んでみてどうかね?」

「……私にとっては、すごく勉強になってます。和樹さんは、よく私のネームの話に付き合ってくれますし、いろいろ教えてくれて」

「ほう、教えているとな? マイシスターは同人歴浅いのかね?」

「いえ……5年くらいです」

「なんと、同志よりずっと長いではないか」

「……そうですね。ただ長いだけで全然売れてなくて……でも先日は和樹さんにいろいろ教えてもらって、ようやく6部売れたんです」

「……なるほど。そういえばユニットを組んだ経緯を詳しく聞いていなかったが、どうして組むことになったのだ?」

「えっと……それが、私にもよくわかっていなくて……」

「わからない? それはどういうことなのだ?」

「こみパで会っているうちに、少しずつ仲良くなったの。ある時一緒にやってみないかって誘われて。最初は私なんかじゃ迷惑をかける、と思ったから断ったんですけど、2回目の誘いの時にOKを出したんです」

「……同志は、なんと?」

「本当かはわからないんですけど、学びが多い、と」

 

 大志さんの目つきが、最初よりも鋭くなったような気がした。

 なにかまずいことを言っただろうか? 会話内容を振り返るが、変なことは言っていないような気がする。

 

「彩ちゃん、おはよう! 早いわね……げ、大志がいる」

「おーマイシスター瑞希、今日もいい朝だな。それではマイシスター彩よ! よい時間を共有した。吾輩は実行委員の用事があるのでな。こちらで失礼するぞ」

「こら、大志! 彩ちゃんに変なこと言ってないでしょうね!」

「ははは! なに、今回の学祭で桜井あさひちゃんを招待したと話しただけのこと。それではマイシスターたちも学祭を楽しむのだぞ!」

 

 そういうと、大志さんは学内に入っていってしまった。

 

「彩ちゃん、変なこと言われなかった?」

「いえ、特には……」

 

 最後の表情だけが少しだけ気になった。

 ただ()したることもなかったので、この時はあまり気にならなかった。

 程なくすると和樹さんがやってきた。1時間も前に来てしまったことを話すと、2人は申し訳なさそうにし、困らせてしまった。

 そのまま3人で学祭に乗り込むのであった。

 




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