Color!! ~ゲーム『こみっくパーティー二次創作』 : いろどり溢れる長谷部彩の物語~   作:拓田しろう

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24話 学祭

 

「わぁ! 結構賑わってるわねぇ!」

 

 大学の中は賑わいに満ちていた。

 高校生の文化祭とは広さもイベントの質も違う。これが大学の学祭か、と胸を躍らせた。

 露店がところ狭しと並び、着ぐるみが道行く子供に風船を配っている。遠くに見える舞台には時間区切りでイベントが催されているようで、今は有名な格闘ゲームのコスプレをしている方が登壇している。

 掲示板の前を通り過ぎると入試案内やオープンキャンパス、そして『桜井あさひ登場!』と書いたポスターが張られている。

 

「へぇ、なかなかすごいな!」

「そうですね。大学の学祭って活気がありますね」

 

 考えてみたら和樹さんと瑞希さんも大学1年生だから、感覚は私と変わらないはずだ。

 2人ともキョロキョロしながら、なにがあるかを確認してるみたいだ。

 

「すっごいわね! ワクワクしちゃう! ねぇ彩ちゃん、クレープ好き? あそこに売ってるから食べ歩きしない?」

「クレープ大好きです。お供します」

 

 ふと、和樹さんは食べないのかと気になったが、「俺はクレープよりアメリカンドッグが食べたい」と別の露店に並び始めた。

 早速お店に並んで2つ注文し、瑞希さんと学内を並んで歩いた。

 

「ねぇ、彩ちゃんはどのクレープにしたの?」

「アップルシナモンカスタードです。瑞希さんは?」

「あ~、それ私も気になったの。私はね、バナナチョコホイップ」

「わ、王道ですね」

「ね、一口ずつ食べ合いっこしない?」

「いいですよ」

 

 そういってクレープをお互いの口元に運んだ。

 想定より腕を前に出されたため、ホイップが私の鼻について、その姿を見て瑞希さんが笑う。それがおかしくて私もつられて笑ってしまう。

 

 ――ああ、なんて楽しいんだろう。

 

 そういえば最近原稿ばかり描いていたから、遊びらしい遊びなんてしていなかった。

 程なくしてアメリカンドッグを持った和樹さんが戻ってきて、3人で学祭を探索した。

 秋の気候で清々しい天気だった。暑くもなく寒くもない。絶好の学祭日和で、食べ歩きしているだけで笑顔になった。

 

「ねぇ、教室に行ってみない? ちょっと彩ちゃんにも見せてあげたいし」

「お、いいね。行ってみようか」

「はい……2人が講義受けてるところ、興味あります」

 

 そう言いながら館内に入り、和樹さんたちがいつも講義を受ける教室に連れて行ってもらった。

 教室の扉を開ける。中はひんやりした空気に包まれていた。窓の外からは学祭の音楽が静かに響いてる。

 高校の教室とは作りが違う。教壇を中央に扇状に席が広がり、段ごとに席が高くなっている。

 おそらくは今日誰も来ていないのだろう。物静かな雰囲気が広がっていた。

 

「大学の教室って、こんなに広いんですね」

「ここは特別。ほら、右後ろの方、いつもあそこらへんに座って講義受けてるんだよ」

 

 その位置まで進んで、机の上を撫でる。

 ——ここが、和樹さんが座ってる場所か。と物思いにふける。

 

「あの、座ってみてもいいですか?」

「いいよ。別に俺の席ってわけじゃないし」

 

 そういって席に腰かけた。

 席から教壇はやや遠い。ただ広い講義室を一望できるようになっており、なんだか気分がよかった。

 

「なんだか、ここ落ち着きますね」

「だろ? なんとなく居心地よくてさ。いつもここに座っちゃうんだよ」

「そういえば、彩ちゃんはどこの大学行くか決めた?」

「いえ、まだです……」

「そっか、悩むわよね。遠い大学に行って一人暮らししたい気持ちもあるし、都内に出やすいところで過ごしたい気持ちもあるし。いろいろ考えちゃうのよね」

「お前な、大学は遊ぶところじゃなくて学ぶところだぞ。今の話だと、お前ほとんど遊ぶこと基準に大学選んでたろ」

「なによ。美大に落ちたとはいえ、和樹も結局今の大学に来てるじゃない。それにキャンパスライフは乙女の夢なの」

「……まぁ美大には落ちたけどさ……」

「あ、ごめん。まだ気にしてると思ってなくて……」

「いや、今は同人があるからいいんだよ。瑞希には前にも言ったと思うけど、俺は自分の中にある情熱をぶつけるところを探してたんだ。あの時はそれをぶつけるのは美術なんだと思ってたけど、結局は違った。だから美大に落ちたんだと思う。美術を目指してる人の情熱と、俺の情熱は違ったんだ。でもそれがあったからこそ、同人に挑戦してみようと思えたし、今向いてるってわかったしな。確かに大学入学したての頃は宙ぶらりんでくすぶってたけど、今は毎日楽しいからいいんだよ。……ま、大志に誘われてやり始めたってのは癪だけど」

 

 そう言って和樹さんは笑った。

 そっか。和樹さんは美大に落ちたから、この大学に来て同人誌を描き始めたんだ。

 そうなっていなければ、私と会うこともなかったし、和樹さんと会わなければ私はいつまでも1人のままだっただろう。そう考えると感慨深いものがある。

 

 ――この大学なら、私のやりたいことも見つかるかな?

 

「んじゃ、そろそろ次まわろっか」

「そうね。彩ちゃん、次行きましょ」

「はいっ……!」

 

 そういって、学祭を堪能しに出かけるのであった。

 




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