Color!! ~ゲーム『こみっくパーティー二次創作』 : いろどり溢れる長谷部彩の物語~   作:拓田しろう

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25話 オシャレ

 

 原稿も滞りなく終わり、9月のこみパを迎えた。

 カタログを確認すると、今回も和樹さんと隣同士のブースになっている。それを見て頬が緩んだ。

 好きな人と一緒に活動できるというのは、それだけで楽しい――ウキウキした気分に浸りながら、こみパに向かう準備を進める。

 荷物を携え、玄関に向かう。靴箱の中から新調したおしゃれな靴を取り出して履いてみる。

 

 ――派手じゃないかな?

 

 玄関にある姿見(すがたみ)で様相をチェックする。普段とは違う靴を履いているから、服装に違和感がないかを入念に見た。

 新調した靴は、この間お店で見た時に一目惚れしたお気に入りだ。普段からあまり身だしなみに気をつかう方ではないが、最近和樹さんには少しでも綺麗に見られたい気持ちが芽生えてきた。

 値段を見た時はなかなかの金額で尻込みしたけど、この靴を履いて和樹さんと一緒に歩くことを想像したら、衝動的に買ってしまった。普段履くのがもったいなくて、今日の今日までずっと靴箱に閉まっていた。

 

 ――かわいいと、思ってくれるかな。

 

 足元のおしゃれだから気付いてもらえないかもしれない。アウターを変えてみようか、とも思ったけど、意識しすぎてると思われたら恥ずかしい。

 淡い期待を抱きながら、こみパに出かけるのだった。

 

 ---

 

「おはよう! 彩ちゃん」

「瑞希さん、おはようございます」

 

 ブースに到着すると、既に瑞希さんが到着していた。程なくして和樹さんも来るそうだ。

 

「あれ、彩ちゃん。靴替えた?」

「あ……わかりますか? この間、お店で見かけたらかわいくってつい……」

「へぇ、かわいいわね。いいなぁ、私も今度買っちゃおうかな」

「あの……おかしくないですかね? 服装に合ってないとか……」

「ううん、すごく似合ってるわよ。彩ちゃんに合ってる気がする」

 

 早速気付いてくれて嬉しい気持ちになる。様相の方も自分では問題ないと思いつつも、少し自信がなかったので安心した。

 瑞希さんと2人でブースの準備を始めると、程なくして和樹さんも到着した。

 

「彩ちゃん、瑞希、おはよう。悪いな、もう準備してくれてるのか」

「もう遅いわよ、和樹。あらかた済んじゃったんだから」

「悪いって。じゃあ同人誌並べるか」

 

 そう言いながら、段ボールから新刊を取り出して同人誌を並べ始める。前回は段ボールが3箱だったけど、今回は5箱もあった。

 

「あの……和樹さん。今回の部数はどれくらいなんですか?」

「500部だよ。前回300部で完売したから、今回はそれくらい必要かなって」

 

 相変わらず、すごい部数だ。そろそろ壁サークルで販売する部数に近づいてきたんじゃないだろうか。

 もともと実力があったとはいえ、半年足らずでここまで成長するサークルは珍しいと思う。

 ――本当になんで、和樹さんは私とユニットを組んだのだろう。思わず、そんなことが頭によぎってしまった。

 

「和樹さん、彩ちゃん、おはようございます。見本誌チェック、お願いできるかしら」

 

 声に気が付いて振り向くと、南さんが来ていた。

 

「南さん……おはようございます。今日もお願いします」

「はい、ありがとう。見本誌確認しちゃうわね」

 

 そういうと南さんはチェックしてくれて、問題ないというふうに笑顔で応対してくれた。

 

「はい、結構です。続いて和樹さんの方をお願いできる?」

「あ、おはようございます。こちらチェックお願いできますか?」

「ありがとう……えっと、あなたは?」

「初めまして、私和樹の同級生の高瀬 瑞希(たかせ みずき)と言います。今日は朝から手伝いで来ているんです」

「初めまして。私はこみパスタッフをしている牧村 南(まきむら みなみ)と言います。よろしくね、瑞希さん」

「はい、よろしくお願いします。南さん、スタッフの服装、似合ってて素敵ですね」

「あら、お上手ね。ありがとう。瑞希さんも一緒にやってみない?」

「あはは、考えておきます」

「うふふ、楽しみにしてるわね。じゃあチェックしてしまいますね」

 

 瑞希さんの南さんへの対応を見ていて、思わず感心してしまった。なんてスマートなやり取りなんだろう。それに南さんも大人な対応で素敵だ。

 そうか、今まで気が付かなかったが、2人は初対面だったのか。両方の知り合いとしたら、仲介すべきだったのだろうけど、気が利かなかった。

 程なくしてチェックが終わった南さんは、瑞希さんに同人誌を手渡し、軽く世間話をした後、他のブースに移動していった。

 

「すみません、瑞希さん。私、2人が初対面だと気づかず、仲介もしないで……」

「え、いいのよ。気にしないで。でも南さん、素敵な人ね」

「そうですよね。いつも優しくしてくれるから、つい甘えてしまって」

「なんだか頼りがいある大人って感じよね。いいなぁ憧れちゃう」

「瑞希さんも私から見ると頼りがいありますよ」

「もう、彩ちゃんもお上手なんだからっ!」

 

 そう言いながらアハハと笑いあう――なんだか最近、瑞希さんとも自然と接することができているように思える――。

 程なくして、後30分で開場する館内放送が流れた。

 

「お、そろそろ始まるな。今日も頑張っていこうぜ!」

 

 和樹さんに声をかけられて、やる気が出てきた。

 今日は何部売れるだろうか? 期待に胸を膨らませながら、静かに参加者の来場を待った。

 




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