Color!! ~ゲーム『こみっくパーティー二次創作』 : いろどり溢れる長谷部彩の物語~ 作:拓田しろう
そして今回も10月のこみっくパーティーを迎えた。
いつものように机のセッティングを行い、同人誌を並べ、釣銭の準備をする。見本誌をチェックしにきた南さんに挨拶を済ませ、私も開場まで待った。
今日も和樹さんの手伝いで、瑞希さんが来てくれている。和樹さんのブースを見てみると、段ボールが7つも摘まれており、瑞希さんは開封をして机に並べるだけでなく、補充しやすいようにどうすればいいかを考えているようだった。
また部数が多くなったためか、今日は朝から大志さんも来ている。前回の様子からしても、既に和樹さんと瑞希さんだけでは対応できない、と思ったのだろう。
3人とも相談しながら、余念がないように準備をしている。先ほどもこみパスタッフが来て、列が並んだ時の対処について話し合っていた。
既に私が立ち入る隙はない。ユニットを組んで作業しているが、差は開く一方。
前までは少しみじめに感じることもあったが、ここまで差が開いてしまうとそんな感覚すら沸かない。初心者が人気サークルの人と比べても何も感じないようなもので、今の私もそんな感じだった。
アナウンスが流れ、こみっくパーティーが始まる。
いつものように大勢の参加者が目的のサークルをめがけて移動していくのが見える。
その内の何名かが、壁サークルに向かわず、まっすぐ和樹さんのブースをめがけてくる。開始10分もしないうちに列ができ始め、30分もすると、行列になった。
そのうちに、スタッフの方が駆けつけてきて、このままだと他のサークルの方々に迷惑がかかるから、と特設ブースに移動するように命じられた。外にテーブルが置かれ、そこで列整備しやすいようにするということらしい。
男性スタッフの数名が和樹さんの同人誌が入っている段ボールを持ち上げて運んでいく。
和樹さんは忙しそうにスタッフの人から指示を受けて、移動していった。
「彩ちゃん、ごめん。私もちょっと手伝ってくるね」
瑞希さんもそう言って、和樹さんのサークル協力者としてスタッフと一緒に行ってしまった。
開場してまだ一時間も経っていない。
吹き抜けになっている館内扉の向こうを見ると、続々と人が並んでいくのがわかる。おそらくあれが和樹さんのブースの列だろう。
電光石火のような出来事に、私はただ見ていることしかできなかった。
ポツンッと私だけ残され、参加者が行きかう通路を見る。
ユニット参加だというのに、一人の時と変わらない状態になってしまった。
以前はそれでも耐えられたように思う。ただ、今は突然パートナーがいなくなったため、疎外感が強く、置いてきぼりを食らった気分になった。
まだ始まったばかりだというのに、自然と力が失せ、下を向いてしまう――。
――ああ、そうか。私は孤独に耐えられなかったから、いつも俯いていたのか。
この感覚を覚えている。
最近は思い出すことが減っていた。だけど忘れたくても忘れられない
一人になりたくない。また置いていかれたら、私、もう、どうしていいかわからない。
誰かにいてほしくて、気の合う友人が欲しくて始めた同人活動だというのに、私は初めた時からなに1つ進歩していないなんて――。
不意に瞼が熱くなった。しかし、こんなイベントの最中に泣いてなんかいられない。
席を立って、呼び込みをする。とにかく今は、気を紛らわすためになにかしなくては。
そう思いながら、必死に張り上げる声は、自分でも驚くほどに震えていた。
最後まで読んでくれてありがとう。
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