Color!! ~ゲーム『こみっくパーティー二次創作』 : いろどり溢れる長谷部彩の物語~   作:拓田しろう

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33話 疎外感

 

 そして今回も10月のこみっくパーティーを迎えた。

 いつものように机のセッティングを行い、同人誌を並べ、釣銭の準備をする。見本誌をチェックしにきた南さんに挨拶を済ませ、私も開場まで待った。

 今日も和樹さんの手伝いで、瑞希さんが来てくれている。和樹さんのブースを見てみると、段ボールが7つも摘まれており、瑞希さんは開封をして机に並べるだけでなく、補充しやすいようにどうすればいいかを考えているようだった。

 また部数が多くなったためか、今日は朝から大志さんも来ている。前回の様子からしても、既に和樹さんと瑞希さんだけでは対応できない、と思ったのだろう。

 3人とも相談しながら、余念がないように準備をしている。先ほどもこみパスタッフが来て、列が並んだ時の対処について話し合っていた。

 

 既に私が立ち入る隙はない。ユニットを組んで作業しているが、差は開く一方。

 前までは少しみじめに感じることもあったが、ここまで差が開いてしまうとそんな感覚すら沸かない。初心者が人気サークルの人と比べても何も感じないようなもので、今の私もそんな感じだった。

 

 アナウンスが流れ、こみっくパーティーが始まる。

 いつものように大勢の参加者が目的のサークルをめがけて移動していくのが見える。

 その内の何名かが、壁サークルに向かわず、まっすぐ和樹さんのブースをめがけてくる。開始10分もしないうちに列ができ始め、30分もすると、行列になった。

 そのうちに、スタッフの方が駆けつけてきて、このままだと他のサークルの方々に迷惑がかかるから、と特設ブースに移動するように命じられた。外にテーブルが置かれ、そこで列整備しやすいようにするということらしい。

 男性スタッフの数名が和樹さんの同人誌が入っている段ボールを持ち上げて運んでいく。

 和樹さんは忙しそうにスタッフの人から指示を受けて、移動していった。

 

「彩ちゃん、ごめん。私もちょっと手伝ってくるね」

 

 瑞希さんもそう言って、和樹さんのサークル協力者としてスタッフと一緒に行ってしまった。

 開場してまだ一時間も経っていない。

 吹き抜けになっている館内扉の向こうを見ると、続々と人が並んでいくのがわかる。おそらくあれが和樹さんのブースの列だろう。

 電光石火のような出来事に、私はただ見ていることしかできなかった。

 

 ポツンッと私だけ残され、参加者が行きかう通路を見る。

 ユニット参加だというのに、一人の時と変わらない状態になってしまった。

 以前はそれでも耐えられたように思う。ただ、今は突然パートナーがいなくなったため、疎外感が強く、置いてきぼりを食らった気分になった。

 まだ始まったばかりだというのに、自然と力が失せ、下を向いてしまう――。

 

 ――ああ、そうか。私は孤独に耐えられなかったから、いつも俯いていたのか。

 

 この感覚を覚えている。

 最近は思い出すことが減っていた。だけど忘れたくても忘れられない()()()()

 

 一人になりたくない。また置いていかれたら、私、もう、どうしていいかわからない。

 誰かにいてほしくて、気の合う友人が欲しくて始めた同人活動だというのに、私は初めた時からなに1つ進歩していないなんて――。

 不意に瞼が熱くなった。しかし、こんなイベントの最中に泣いてなんかいられない。

 席を立って、呼び込みをする。とにかく今は、気を紛らわすためになにかしなくては。

 そう思いながら、必死に張り上げる声は、自分でも驚くほどに震えていた。

 




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