Color!! ~ゲーム『こみっくパーティー二次創作』 : いろどり溢れる長谷部彩の物語~   作:拓田しろう

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38話 遭遇

 

 12月のこみパの日。同人誌が売れるようになるため、今日は重要な日だった。

 いつもの即売会の日とは違い、少しだけ遅く自宅を出て、会場を目指した。

 東京ビッグサイトの最寄り駅に到着し、入場するために並ぶ参加者の列を見て、少し気持ちがげんなりした。

 会場まで連なる長蛇の列。こみっくパーティースタッフが列整備をしながら、参加者を誘導している。近くのコンビニを見ると、とんでもない人が溢れかえっている。

 

 いつもはサークル参加だったので忘れていたが、あの列を並ばなければならないのか……。

 こんな寒空の下で、よくあの列に並ぶ気力があるな、と改めてこみっくパーティーの規模と参加者の熱意を再確認する。

 また、今日はまた特に寒い。吐く息が白い。持ってきたホッカイロで暖をとりながら、私も列に並ぶ。

 

 目的の時刻は11時過ぎ。

 それまでに()()()()に行かないといけない。

 ただこの列を見ていると不安になってきた。

 本気の参加者は昨日の夜から並んでいるという。始発出発は当たり前。何人いるかわからないが、その人たちに阻まれ、今日の目的が達成できなかったらどうしよう、と考えてしまう。

 今回の計画の最難関が、達成できないばかりか、着手すらできなかった、となれば私も冷静でいられない。

 目的の時間までに入場できるよう、祈りながら人が進むのを待ち続けた。

 

 ---

 

 入場できたのは、10時半。

 なんとか入場できたと思ったが、目的の場所まで移動するのにも時間がかかる。人の流れに逆らわず、目的の場所を目指す。

 鼓動が早くなる。手に汗が滲む。緊張で足まで震えてくる。

 頼りない情報を元に、その場所を目指しているが、本当に私の考えはあっているだろうか?

 もっと情報が欲しかった。南さんや由宇さんに聞いて、教えてもらいたかったけど、和樹さんに伝わることを恐れて聞けなかった。

 目的の場所に近づくにつれ、鼓動が早まる。

 それでも、一旦行ってみるしかなかった。

 

 そして、ようやく目的の()()に到着した。

 時間は11時ジャスト。

 急いできたので、息が上がる。疲れと緊張で息が上がって、呼吸がままならない。

 今は館内に参加者が溢れている時間帯なので、メインの通りではないこの通路には人が少ない。この場所に、あの人は来るはずなんだ。

 周りを見渡す。姿が見えない。場所を間違えたか?

 いや、きっと疲れと緊張で視界が狭まっているだけだ。大きく深呼吸して、できる限り気持ちを落ち着かせて、周りを見た。

 でも、全然その人を見つけることができない。

 いよいよ不安になり、失敗の予感に足が震え出し、呼吸が浅くなる。祈る気持ちで、辺りを見回した。

 

「あれ、あんたは長谷部彩(はせべあや)?」

 

 背後からの声に驚き、急いで振り向くと、そこには詠美(えいみ)さんが立っていた。

 

「……詠美さん……」

「……あんた、どうしてこんなところにいるの? 自分のブースはどうしたの? それに、なんでそんなに息を荒げて……」

 

 いた。ホントにいた。()()()()()()()()()()()安堵する。

 しかし、安堵したのも束の間。詠美さんに駆け寄る。

 

「ふみゅん!? な、なによ、急に近づいてきて?」

「詠美さん、急にこんなお願いをして大変恐縮ですが、私に売れる同人誌の描き方を教えてください……!」

 

 突然駆け寄ったので、引き()った顔をしている詠美さんの目の前で、全力で頭を下げる。

 急に近寄って驚いたのか後退(あとずさ)りして、逃げようとする姿勢が見られた。しかし、逃げられてはたまらないと、右手を掴んで離れないようにした。

 

「え、ちょ、ちょっと!? なに!?」

「どうしても……売れるようになりたいんです。だから……」

「ちょ、ちょっと待ってよ! 意味わかんない! だってあんた、和樹(あいつ)とユニット組んでたんでしょ!?」

「お願いします……お願いします……!!」

「ふみゅうううん! だから、ちょっと、事情を聞かせてよ~!」

 

 気持ちが焦って、空回りする中、詠美さんに懇願するのであった。

 




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