Color!! ~ゲーム『こみっくパーティー二次創作』 : いろどり溢れる長谷部彩の物語~ 作:拓田しろう
ハラ、ハラ、ハラ。ヒラ、ヒラ、ヒラ――。
ここは夢の中で繰り広げられる大劇場。
暗黒なユメセカイをイロドる舞台裏。
小人さんたちはくるくるまわり、
――ああ、知ってる。これから劇が始まるんだ。
小人たちは、えっちらおっちら、舞台に必要な道具を用意する。
地面を作り、空を携え、景色を瞬き、役者を統べる。
観客席には、いつも私は1人。
小人が紡ぐ劇を見て、それをそのままマンガにする。
今日の劇は特別すごい。
小人たちが作り上げる劇場は、ユメセカイを沸かした。
――けど、ごめんなさい。こんなに楽しい劇なのに、今の私は
消え入りそうに、静かに伝えたはずなのに、小人さんたちはいっせいにこちらを凝視する。
――ボクたちが必死に作った話が、世の中に出回らないんですか――。
見たこともない小人たちの表情に、息をのむ。
――ごめんなさい。今の私では、あなたたちの話を書いたところで、たくさんの人たちに届けることができないの――。
落胆した表情。崩れていく地面、落ちる空、はじける景色と霧散する役者。
暗黒のユメセカイをイロドっていた劇は、不吉な赤の色に染めあがる。
――じゃあ、しょうがないです。またこんど――。
突如として観客席も消え、私は奈落に落ちていく――。
――小人たちの劇場が赤に染まった瞬間、意識が反転する――。
「っ……!」
ハッと目を覚ますと、自宅の机にうつ伏せていた。
腕にはインクの跡がべったりとついている。どうやら原稿を描きながら眠っていたらしい。目の前には、描き途中の原稿用紙と握りしめたペン。
窓の外を見ると、いつの間にか夜が明けていて、淡い青白い空が広がっている。
部屋は暖房を効かせていたおかげで、そこまで寒くなかった。が、さすがに冬の朝ということもあり、なにか羽織りたい気分だった。
席を立ち、窓を開け放つ。
冬の朝の冷気が肌を突き刺し、思わず肩を震わせた。
――なんだか、嫌な夢を見た気がする。
吐き出した息が白く散り、夜明けの空に溶けていく。
そうしてまた、原稿を描き続ける1日が始まるのだ。
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「ん、最初のころより随分マシになったわね。頑張ったじゃない? 彩」
どうやら及第点は達したのだろう。詠美さんの一言を聞いて、ほっと胸を撫でおろす。
机の上には、模写を繰り返した原稿用紙が積み上げられている。目標の600枚を描き終え、詠美さんの辛辣な物言いも、少し緩和されてきた。同時に、私の画力も向上した。
「正直、最後まで描きあげられるとは思わなかったわ。すごい地味な作業だもん。でもね、最初の頃は、とにかくこういう〝報復練習〟って重要なのよ」
「……えっと、〝反復練習〟ですかね……?」
「……ッ! そう、それよ! 知っててわざといったんだからっ!」
当然、わざとじゃなく、単純に間違えただけだということはわかっているが、そこは突っ込まないようにする。
詠美さんは、とにかく言葉をよく間違える。同人誌のセリフは問題ないけど、私生活の言葉は、時々どうかしているのではないか、と思うほど間違うことがある。
「ま、2週間でこれほど描けるようになればなかなかのもんよね。元々、背景とかは上手かったし、あとはマンガに落とし込めればいいと思うわ」
「……あの、次はどうすれば……?」
「次はこのゲームをやって」
詠美さんからゲームソフトを手渡されて、内容を確認してみる。こみパで、何度か見かけたことがある絵柄だった。
「そのゲームの緑の髪の子いるでしょ? そう、その子。サブヒロインなんだけどちょー人気があるの。彩には2月のこみパでその子の同人誌を描いてもらうわ」
「でも私、ゲーム機が……」
「あー、そっか。彩ってゲームあんまりやらなそうだもんね。あたしの貸してあげるわ。一度プレイしないと話も考えられないでしょ?」
「……わかりました」
「とりあえずネームを10本考えてみて。その中からいいのを選んで、あたしが手直ししていくから。あとゲームやネームが中心になるとはいえ、絵を描く練習は忘れないで。いざという時に
今回も今回とて、注文が多いが、以前よりも驚かなくなってきた。
この2週間、詠美さんと一緒に作業していて気付いたが、作業量がとんでもなかった。
600枚模写しろ、だなんて、最初はただの嫌がらせか、私が追い出すための口実なのかと思った程だ。
しかし詠美さん自身、原稿をしっかりやるし、人気のアニメやゲームもリサーチし、雑誌などのキャラクター人気ランキングを見て、どの子が人気なのかをしっかり把握している。
各アニメやゲームの世界観も把握しているし、絵柄が違う作品なら、自分流にどう描けばいいかの練習も余念がなかった。
私に指示した量くらい、この人は平然とこなして、その上で更に私の指導までしてくれているのだ。
『こみパの女王』なんて言われているから、才能だけでのし上がったのかと思ったが、地道な努力で成功を掴んだ人なんだ、と認識せざるを得なかった。
「ほら、彩。そこのゲーム機使っていいから、さっさとゲームやってみて」
「……え、でも少しうるさくなってしまいますよ?」
「そんくらいどうってことないわよ。ほら、さっさとはじめてはじめて」
手をパンパンッと叩いて、行動を促してくる。
言われるがまま、私はゲームをセットして、実際にプレイし始めるのだった。
最後まで読んでくれてありがとう。
彩の物語を最後まで楽しんでみてね☆
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