Color!! ~ゲーム『こみっくパーティー二次創作』 : いろどり溢れる長谷部彩の物語~   作:拓田しろう

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50話 詠美の助力

 

 翌日、詠美さんとご両親に挨拶して、一旦帰宅した後、2月のこみパに向けて、本格的な原稿作業に入った。

 詠美さんから言われたゲームの同人誌を描くことで決まり、表紙フルカラーで60ページ描くように指示される。

 そこで1つ問題が発生した。私にオフセット印刷するだけのお金がないことだ。

 白黒であれば問題ないが、カラーとなればさすがにコピー本では無理だ。そのことを伝えると。

 

「あー、大丈夫。私が出すから」

 

 と事もなげに言われた。

 しかし、そんなの容易に受けられるはずもなかった。さすがに師事してもらった上に金銭面までお世話になる訳にはいかない。

 しかも何部刷るのか聞いたところ、500部印刷するとの事だった。

 あまりの部数に目の前がチカチカした。だって絶対に売れるはずがない。しかも売れなかった時、私はどうすればいいのか、お金も払うことは出来ない。

 

「もー、彩うるさいっ! 売れるようになりたいんでしょ? それに売れ残って赤字になってもお金は請求しないわよ。あ、でも売り上げたらちゃんと還元するから安心して」

 

 と破格の条件が提示された。

 しかし、と尚も抗議したのだけど、「絶対服従っ!」と言われてしまい、これ以上の反抗は認められなかった。

 

 確かに売れるようになりたい、とは言ったものの、まだたった1カ月しか経ってないのだ。しかもいきなりオフセット。

 全てのことが未経験すぎて重圧(プレッシャー)がすごい。

 

「大丈夫だって。私に任せて。多分1000部でも余裕だと思うけど、彩が心配になると思って500部に抑えているくらいなんだから」

 

 非常に頼もしいことこの上ないが、やはり不安が拭えなかった。

 

「……私、死ぬかもしれません……」

「もう、なに弱気になってるのよ! あたしを信じなさいっ!」

 

 こうして、2月のこみパに向けて、原稿作業を描く日々が始まった。

 

 ---

 

 大きく深呼吸をして、原稿に取り掛かる。

 描き始めてしまえば集中して問題なくなるが、問題はその前だ。売り上げの重圧(プレッシャー)に耐えかねて、ペンが持てないこともあった。

 そのため、まずは深呼吸して気持ちを落ち着かせ、一気に原稿に集中して描くようにした。

 そうすることで、なんとか作業を進めることができた。

 

 ただもう1つ問題がある。それは表紙をフルカラーで描いたことがない、ということだ。

 そのため、フルカラーの練習をしながら原稿も進めなければならない。重圧(プレッシャー)を抱えながらの自分には相当過酷な作業だった。

 

「大丈夫! あたしもサポートするから心配しないの」

 

 詠美さんの言葉は頼もしかったけど、大変なことには変わりない。

 とはいえ、前よりもいいことも増えた。一番大きな点は、詠美さんの口調が優しくなったことだった。

 泊まらせてもらった日以来、詠美さんの辛辣な発言は全くと言っていいほどなくなった。

 

『彩、トーン貼りくらいだったらどっちがやっても変わらないから私に寄越しちゃって』

『そろそろフルカラーの練習やりたいでしょ? 今日のところは原稿終わらせて練習しちゃいなさい』

『今日は遅くまでかかりそうね。よかったらまた泊まってかない?』

 

 といった具合に、思いやりのある言葉が多くなった。

 そして気を使ってくれるのは詠美さんだけではなく、ご両親もすごく気を使ってくれる。

 夜遅くなると若い女性を夜遅く1人で出歩かせるのは危ない、と言って詠美さんのお父さんが車で送ってくれたり、時には詠美さんのお母さんから、私の母に電話して事情を説明して泊まらせてくれることもあった。

 

『いつも詠美の相手をしてくれてありがとうね。この子、ホント友達いなくて、最近すごく明るいのよ』

 

 どうやらご両親は大層私のことを気に入ってくれたらしく、お邪魔している身なのに、いつも笑顔で迎えてくれた。

 原稿の不安は消えないけれど、大庭一家の助力を得ながら、原稿に取り組むことができたのだった。

 




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