Color!! ~ゲーム『こみっくパーティー二次創作』 : いろどり溢れる長谷部彩の物語~   作:拓田しろう

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51話 悪夢

 

 ハラ、ハラ、ハラ。ヒラ、ヒラ、ヒラ――。

 

 ここは夢の中で繰り広げられる大劇場。

 

 暗黒なユメセカイをイロドる舞台裏。

 

 ――しかし、今回は少し違っていた。いつもであったら小人さんたちが出てくるが、姿が見えない。

 

 1人でいる観客席。なにもない舞台は暗闇に包まれ、静寂に包まれていた。

 

 ――小人さん、どうしたの? なんでなにも演じないの?

 

 そう言葉を口にするも、音は闇に吸い込まれるように消えていった。

 

 やがて、舞台に明かりが灯り、映像が流れだす――こんなのは、初めてだ――。

 

 映像には和樹さんが映し出される。

 

 1人で執筆する和樹さん。目の前のダレカに話しかけても返事はなく、寂しそうに俯いている。

 

 そんな和樹さんの元に、瑞希さんが現れた。

 

 彼女は孤独に作業する和樹さんの心に寄り添うよう、話を聞き、一緒に食事をとり、隣で励まし続けた。

 

 落ち込む和樹さんをベッドに連れていき、肩を抱いて慰めると、そのまま和樹さんを押し倒す。

 

 ――やめて――。

 

 服を脱ぎ、豊満な胸に和樹さんの顔を引き寄せて慰める。

 

 やがて和樹さんもその気になり、瑞希さんのボディを貪るように求め始めた。

 

 ――やめて、やめて、やめて――。

 

 妖艶な顔つきをした瑞希さんは、優しく和樹さんの体を愛撫する。

 

 恍惚な表情を浮かべる和樹さんは、孤独に(うれ)いた渇きを癒すかのように腰を振り続けた。

 

 瑞希さんの嬌声が響く。――2人の行為を見せつけられて、気が狂いそうになる――。

 

 ――やめて! こんなの見たくない! なんでこんなの見せるの!? こんな、こんなこんなこんなっ!

 

 体が絡み合う光景に、心が凍り付く。吐き気を催すほどの嫌悪感に支配される。しかし、目を逸らしたくても逸らせなかった。

 

 映像の中で、喘いでいた瑞希さんが、突如真顔になり、ギョロッとイタリア人形のような視線をこちらを向けてきた。

 

 いつも美しくつぶらな瞳は闇に閉ざされて暗く、唇の両端は吊り上がり黒く穿った三日月を思わせた。

 

『――だって彩ちゃんは、和樹を裏切ったでしょ?』

 

 ――違うっ! 私は裏切ってなんか……。

 

 そう言いつつも、言葉に力がこもらない。

 

 私は目的のために和樹さんから離れた。その意識が私から自信を奪っている。

 

『だから、こうなるのは仕方がないことなのよ。和樹は私のモノ。あなたはそこで見ていればいいの』

 

 和樹さんは私のことなんか視界に入らず、ただただ瑞希さんとの行為に夢中だ。

 

 ケラケラと笑う瑞希さん(あくま)。同時に、隠れていた小人さんたちも姿を現して(さげす)むように、笑い出した。

 

 小人(その)姿は童話に出てくるトロールのようだった。

 

 ――イヤ、イヤ、イヤだよぉ……私から和樹さんを、奪わないで……。

 

「――いやぁ!」

 

 目を覚まして勢いよく体を起こす。

 息を荒げながら周りを見る。窓を外は既に日が昇って光が射している。パジャマを触ると冬場だというのに汗びっしょりになっている。

 

 ――夢? 今のは本当に、夢?

 

 覚醒して間もない頭だったので、まだ現実と認識できていない。

 次第に、先ほどまで見ていたものが夢だということに気が付き、ほっと胸を撫でおろした。

 

 ――なんて、厭な夢。

 

 いつもだったらマンガの題材になるような話ばかりだというのに、どうしたというんだろう。

 しかもあんな夢の内容なんて――本当どうかしてる。

 

 壁のカレンダーを見る。入稿日まで後10日。まだ油断できる段階ではない。

 なんとしても同人誌を完成させなければならない。

 

 ふと、股に違和感を感じて、下着の内側に指を這わす。するとヌメリッとした手触りがした。

 

 ――それがわかって、愕然とする。

 

 指先に残った感触に、全身が冷たくなる。夢と現実の境界が崩れていく気がして、静かに肩を震わせた。

 




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