魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

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オスティア編、開始!本日も遅れてスイマセン!!



095 廃都での出会い

 

「……で、どうすんだよ、オイ」

 

 魔法世界において、屈指の歴史を持つ古き国。空中都市オスティアでチウの溜息交じりの投げやりな声が響いた。

 

「まずは、何とかしてネギ先生たち一行と接触しないとな。それから現時点で消息のつかめないクラスメートを確認。菊岡に報告して捜索だろう」

 

「それは分かってんだけどよぉ……肝心のネギ先生は、アレ(・・)だぜ?」

 

 コウの提案に返答しつつ、チウの視線が空中に投影されたディスプレイへと移動する。そこにはまるで古代ローマのコロッセオのような拳闘試合の様子が映し出されていた。

 

『さあ! 注目のエキシビジョンマッチ!! ただいま怒涛の快進撃を続ける『拳闘士ナギ』選手とコジロー選手の今回の相手は、遥か魔界から武者修行に訪れた魔族コンビ! ゾマ選手とバラモ選手!! 氷結と獄炎を操る強力タッグにナギ選手はどう戦うのでしょうか!?』

 

「……なにやってるんだろうね。ネギ先生」

 

「とにかく目立って、『目印』になるつもりなんじゃないかにゃ? けどそれだと、クラスの皆を探す暇がなくなりそうだけど」

 

「まあ、ネギ先生の意図はどうあれ、こっちから接触しづらくなったことは事実だぞ……」

 

 彼女ら四人は、現在魔法世界を二分する一大勢力ヘラス帝国の客人だ。それが大っぴらに今大人気の拳闘士ナギに会いに行けば、間違いなく騒ぎになる。上手く人払い出来る妙案も無かった。

 

「……まあ解決策が出ないんじゃ仕方ないし、とりあえず食事でもとって、夜間に人目が無くなってから行動するって言うのは?」

 

「それしかないか……」

 

 そんなことを話しながら、目についた食堂へと入る。何でもこの食堂は拳闘士ナギが所属するグラニクスからの出店で、珍しい料理が味わえるとか。

 

 四人で連れだって店へと入ると、近くにいたメイドのような格好をしたウェイトレスが振り向き、元気いっぱいにあいさつした。

 

「あ、いらっしゃいませー!!」

 

「「「「………………」」」」

 

 その人物を見た途端、四人の時が止まった。何時でも元気いっぱいの声、愛嬌たっぷりの顔、頭の後ろで二つ縛りにした髪型――――――魔法無関係のはずの、『佐々木まき絵』だった。

 

「なにやってんだ、佐々木ーーッ!!」

 

「……え、えぇえええええ?」

 

「ちょ、ほんとにどうしてここにいるの、まきえ?!」

 

「……やっぱあのクラスの一員か」

 

 四人全員が、混沌のるつぼとなった。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 その後詳しい話を聞いてみると、なんでも佐々木、村上、和泉の三名はいいんちょに頼んでネギ先生のイギリス帰還について行ったらしい。その後朝方近くに宿泊先を出発するネギ先生一行を見つけて、慌ててついて行ったのだそうだ。

 

 通常であればそこから魔法世界行きのゲートまでは二重三重の魔法を使ったセキュリティが組まれており、辿り着けないはずなのだが、同行者として誘ったチアリーディング部の中に、桜子大明神がいたことが運の尽き。セキュリティを『幸運』だけでほぼ素通りし、ゲートの近くまでたどり着けてしまった。

 

 そしてそこから、ネギ君を追っかけてたまき絵と、コタロー君を追っかけてた村上、『ナギさん』に会いたい亜子、最後に面白そうだから付いて来た鳴滝風香(ふうか)史伽(ふみか)姉妹の合計五人が近づいたタイミングで、ゲート起動。五人そろって魔法世界送りとなった。

 

 その後三人で一かたまりで動いていたらいきなりゲートポートが爆発。三人と鳴滝姉妹は世界規模の迷子になった。

 

「…………で、その後慣れない土地で体調崩した亜子の治療費のために、三人揃って債務奴隷になって、今は拳闘士ナギが所属する拳闘団付きの使用人として働いている、と……」

 

「いやー、そうなんだよねー。でも亜子の治療してくれる人がいて良かったよ~☆」

 

「……まき絵……この状況で良く笑えるね……」

 

「まー、それがまき絵のいいところじゃないかにゃ~?」

 

「成程……精神的にタフだから、バカピンクなのか……」

 

 現状を確認した後、四人には言い知れぬ倦怠感が襲ってきた。魔法無関係だったはずの佐々木まき絵の介入。しかも今までバレていなかった村上、和泉にも同様に魔法バレした。頭が痛くなっても当然だった。

 

 その上問題となるのは、彼女ら三人が法律上正式な奴隷と化していることである。本来日本国では奴隷制度を認めていないが、この魔法世界では非常に一般的な制度である。これを覆すのは、まともな外交ルートが築けていない現在の日本では非常に難しい。穏便に解決するなら債務を完済して奴隷身分を解除することだが、100万ドラクマなんて大金はポンと用意できない。

 

「そうすると、拳闘士ナギが勝って優勝賞金で解放するのが一番後腐れなさそうだな。他の方法だと帝国に借りを作ることになりそうだし」

 

「まー、そうなんだけどよ……」

 

 一応コウが言った通り、帝国に頼んで解放すると言う方法もある。ただそれだと今後の日本の外交政策に影響を及ぼすだろうし、一応日本政府側の彼ら四人には言い出せない。金銭で解決できそうである以上、それで解決するのがベストだった。

 

「……金策については、こっちも菊岡さんにあたってみるよ。それでふーかとふみかは?」

 

「やっぱ見つかってないとか? それなら私らが、何とか帝国に頼むけど」

 

 聞いた話ではネギ先生一行、通称≪白き翼(アラアルバ)≫は発信機付きのバッジを身に着けており、それで位置が探れるとか。それでなくてもあのエヴァンジェリンのサバイバル訓練を全員受けたらしいので、そこまで深刻な事態にならないかもしれない。しかし、鳴滝姉妹は違う。

 

「あー…………それなんだけど、さー……」

 

「ん?」

 

 いつも明るいまき絵にしては珍しく口ごもっている。もしやあの二人に何かあったのかと不安を煽るが……。

 

「朝倉が魔法世界の辺境で見つけたらしいんだけど、ね…………なんか、とある小国のお妃候補になってたとか……」

 

「「「「――――は?」」」」

 

 意味が、分からなかった。

 

「朝倉からの又聞きになるんだけど、なんでも変身魔法使ってお忍びで街に出てた二人の王子さまを、路地裏で保護して怪我の応急処置したのがきっかけなんだって」

 

「ほー……」

 

「で、後で身分が分かって……けどあの二人だから、最初に出会った時と全く態度変えないで気さくに話してたらしいんだよね」

 

「はー……」

 

「その気楽さに二人の王子さまが惚れこんじゃって……一度正式に日本の親御さんへもご挨拶に伺う、ってところまで話進んでるみたいなんだよねー……」

 

「へー……」

 

「あー……皆、戻って来て……」

 

 全員開いた口が塞がらなかった。

 

 そこから何とか立ち直り、他のメンバーの消息を尋ねる。集まりつつあることに四人全員が安堵していた。

 

 しかし、事態は彼らのすぐ近くで大きく動こうとしていた。

 

「……見ーつけた♪ 頭目(ヘッド)に報告しなきゃな」

 

「……そうですね、ジョニーさん」

 

 食堂の奥、暗がりの中で顔を歪める二人の男が潜んでいた。

 




まきえとの合流成功!そして、奴隷組メンバーが変わってる……。まき絵の存在のおかげで、かなり奴隷組の雰囲気明るいです。

ちなみに鳴滝姉妹が出会ったのは、原作でも匂わせていた結婚相手です。場所が麻帆良でなく魔法世界に変わったくらいで大きな違いはありません。
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