魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

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最近、どうにも投稿が遅れ気味……



097 ≪笑う棺桶≫VS≪世界の種子≫

 

 新オスティア・飛行鯨発着場。現在その場は警備兵を中心に、上へ下への大騒ぎとなっていた。

 

「これは一体、何事だ!!」

 

「は、隊長! 現在正体不明のテロリスト数人が発着場内に侵入。その場の警備兵数十人を殲滅し、先程到着した他国の要人を人質に立てこもっているようであります!」

 

「なにぃ! 何故応援を呼ばない! 万一のことがあれば事だぞ!!」

 

「は、それがどうやら広範囲にわたり念話の妨害が為されているようで――――」

 

 新たに到着した警備兵も事態の収拾には至っていない。現場付近に展開された念話妨害で、援護も呼べない。要人の安全を考えれば手出しも出来ない。手詰まりに近かった。

 

 現場周辺のそんな喧騒を露知らず、発着場内部にいる者たちもまた現状の打開策を持っていなかった。

 

「お、おねえちゃん……」

 

「あー、大丈夫だって! この壁そんな簡単に破れそうもないじゃん!」

 

 鳴滝姉妹がそう能天気にのたまう壁、東洋呪術の符呪結界を張り巡らせた天ヶ崎は、一般人および要人に大した怪我人も無く保護できたことに、とりあえず安堵した。

 

「あー……王子様の護衛の皆さん、今のうちに怪我人の手当てお願いできまへんか? うちはこの結界の維持と強化に務めないといけまへんので……」

 

 新たな符を取り出しての言葉に、ようやく王子一行の護衛達も動き出す。とは言えその姿は全員満身創痍と言えるもので、中には手足のしびれや意識の混濁に苦しむものも見受けられた。

 

(京都では味方やったけど…………ほんま、えげつない連中や)

 

 ≪笑う棺桶(ラフィン・コフィン)≫。かつてのSAOで猛威を振るった殺人集団。そのギルドの性格ゆえか、今目の前にいる怪我人たちは手足などの末端部を狙われ、機動力・戦闘力が著しく落ちた者や、毒で意識や動きを封じられている者ばかりだ。明らかに一撃で殺すことを目的としていない。

 

足手纏い(・・・・)を大量に生み出すことで、こっちの動きも制限しとる……こりゃ動けんなあ)

 

 寡兵で大軍を潰す方法を心得ている。すなわち大軍をくぎ付けにしての電撃作戦。『大蛇の頭』を潰す気だろう。そう考えると動くことも結界の解除も絶対に出来ない。この要人一行の『頭』は双子の王子だ。

 

「……外の様子はどうかな?」

 

 考えに耽る天ヶ崎を引き戻したのは、同行していた菊岡。魔法こそ扱えないものの、手持ちの拳銃を構え鋭く周囲に気を配っているのは、さすが現役自衛官と言うべきか。

 

「結界ごしやから、なんとも言えませんけど……多分今、真っ最中(・・・・)や」

 

 そんな彼女の声を裏付けるかのように、煙の中轟音が何度も鳴り響いた。

 

「……な?」

 

「……そうみたいだね」

 

 そんな結界の周囲、スモークグレネードの煙が未だに漂うそこでは、文字通りの意味で火花が散っていた。

 

「おぉおおおおおおおおおおおお!!」

 

「Yah――――Ha――――――!」

 

 漆黒の直剣を、肉厚の包丁が受け止める。弾かれる反動を利用して左手に携えた黒刀で首を刈り取りに行く。胴体に蹴りを入れられ間合いを外される。離れた間合いを瞬動で一気に詰める。

 攻守が絶えず入れ替わり立ち代わり、目まぐるしく変わる戦況は、恐らく当事者でなければ把握することすら難しいもの。そんな一瞬の油断で絶命するキル・ゾーンで、黒い出で立ちの二人は加減無しに斬り合っていた。

 

「A-Ha――? 楽しいなぁ、≪獣騎士≫?」

 

「……最期がアンタの敗北で終われば、な!」

 

 再び鳴り響く剣戟。コウとPoHの戦いは天井知らずに高まり続けていた。

 

 そこからほど近い場所、発着場の建物近くでは信じられない光景が展開されていた。

 

「――――――――死、ねっ」

 

「死、ねるかぁッ!!」

 

 全速力で逃げ回り、駆け抜けた地面から一騎に空中へと飛び立ったチウ。そのすぐ後ろで………………発着場の巨大な駅舎が、ハチの巣(・・・・)になった。

 

「なんつうスキルだ!!」

 

 本来は威力は大きいものの、モーションもでかく、隙も大きかった槍のユニークスキル≪無限槍≫。それを同じ貫通属性の刺剣(エストック)で繰り出すことで、攻撃範囲は極大、攻撃回数も多いという、いわばスナイパーライフルとマシンガンの性能を併せ持ったスキルへと生まれ変わっていた。さっきからチウは、ザザの繰り出すスキルを回避するので精一杯で反撃の糸口がつかめていない。

 

「戦場で、死ぬといい……≪銀、騎士≫……」

 

「ハッ、そんなの御免こうむるぜ……!」

 

 回避だけではらちが明かない。チウは乾坤一擲の一撃を狙い、アスナから託されたOSSを撃つ決心をした。

 

 そして、大艦船の発着場広場では、五人の戦いが繰り広げられていた。

 

「ヒューッ! オイオイ、やるじゃねえかよ、二挺拳銃(トゥーハンド)! 弾幕ゲーで有り得ねえ回避だな!!」

 

 軽薄な口調と共に、頭陀袋の男が黄緑のライトエフェクトを纏わせた投げナイフを片手に四つずつ、合計八本も同時に投げつける。ジョニー・ブラックのユニークスキルは≪手裏剣術≫。投剣カテゴリのユニークスキルで、両手に保持できる全ての投剣に同じソードスキルを発動できる。つまり指の間に挟む形なら、八本までソードスキルを使えるのだ。その本数の多さを活かした飽和攻撃こそがこのユニークスキルの真骨頂、『最多』のユニークスキルの本領なのだ。

 

 しかし、今のキッドに、そんな小細工は通用しない。

 

 時間差をつけられて空中から迫る合計16本のナイフが、すべて空中で銃弾に砕かれた。それを為したのは、キッド。普段の明るさは鳴りを潜め、半眼に細められた瞳は何処までも吸い込まれそうな深みを有していた。

 

「……無駄じゃないかにゃ? どうも私のユニークスキルとアンタのは、相性最悪みたいだし」

 

「……チッ。オイ、シュピーゲル、コイツ殺るからオメエも手伝えよ」

 

 その呼びかけに答え、シュピーゲルが一歩歩み寄る。両手は自然に垂らされ、いつでもホルスターから抜けるように伸ばされていた。

 

「……キッド。悪いけど……」

 

「あ~……なんか事情ありそうだけど、細かいことは倒してから聞こっか」

 

 次の瞬間、響き渡る銃声。二人のラフコフを相手に、キッドは新たな牙で立ち向かった。

 

 ……そして、そこからほど近いもう一つの広場で。

 

「ホラホラホラホラ! どうしたんだぁ、小娘が!!」

 

「ぐっ……!」

 

 虚空から生じる四本の巨大な手に、防戦一方になっているレーカの姿があった。追い詰めているのは、オベイロン。かつては妖精の王に相応しい西洋人じみた金髪に白い肌の持ち主で、ある意味作り物めいた美貌の持ち主だった。

 

 今現在、それは見る影もない。確かに顔は須郷という男が作り上げたオベイロンそのままだったが、首から下は全く違う真っ黒な異形を為していた。かつて麻帆良を襲った爵位級悪魔ヘルマン。その胴体にオベイロンの首がくっつくという有り得ない姿なのだ。顔が美貌であることがむしろ醜悪さを煽るような結果を生み出していた。

 

「全く、弱い! いや僕が強くなりすぎてしまったのかなぁ? これだけのチカラ、これだけあれば、僕はあの勇者ぶったクソガキにも負けない! 素晴らしいよ、ハ、ハハハハハ――――!!」

 

「…………」

 

 不気味極まる自分の姿を、まるで誇らしげに語るかつて須郷だったモノ(・・)。既に人間としての一線すらも踏み越えてしまった壊れた笑いを浮かべていた。

 

 それを見て、レーカの『覚悟』もようやく決まる。

 

「…………貴方は、もう人間じゃないんですね」

 

「あ?」

 

 ゆっくり、ゆっくりと両手に持った三叉槍を地面と平行に構える。そうして、一度まるで祈るように眼を閉じると…………その場で、踊り始めた。大きくステップを踏み、槍を持ち替え円を描く。足元を辿り、空を斬り、頭上で何度も円を描き――まるで足元から、空中から、何かをかき集める(・・・・・)かのように。

 

「……オイ、何の真似だ? 命乞いならそんなものは……」

 

「……違います。これは――――貴方を斃すユニークスキル(・・・・・・・)

 

 そう呟かれた言葉。それを合図にしたかのように、突如として彼女の周りに渦が生まれる。それは周囲を巻き込み、吸い上げ、新しい何かを生み出していく。

 

「ユニークスキル――――――≪魔導杖≫」

 

 戦神とも魔王とも呼ばれたスキル。その災害が今、牙を剥こうとしていた。

 




ラフコフ戦前編、終了。ゲスゴウさんが大きすぎるフラグを立ててます……。次回、『本気』のレーカですw

次回投稿についてですが、来週仕事により、再来週投稿予定となります。読んでくれてる方、申し訳ないです!
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