魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

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帰省からの復帰! いきます!



105 違えし道の先

 

「ふぅ…………」

 

 絢爛たる舞踏会場の前で、コウは一人溜息を吐いた。右を見ても左を見ても、きらびやかな正装を纏った紳士淑女で埋め尽くされている。それもそのはず。ここは、オスティア総督が自ら主宰したパーティー会場。本来であればコウやチウたちのような一般市民では、まず間違いなくドレスコードに引っかかり、入場する事すら出来ない場所だ。

 

「なんで、こんなことになったかなぁ……」

 

 そもそも彼が此処にいる理由は、数日前に行われたナギ・スプリングフィールド杯の決勝戦の日まで遡る。あの日、チウについてはずっとユウキの入院に付き添っていたが、コウやレーカは菊岡から呼び出されており、貴賓席に来場していた現オスティアであるクルト・ゲーデルと面会の機会を得ていた。その際に先方から打診されたのである。

 

『――実は数日後に、オスティア総督府所有の迎賓館でささやかなパーティーを開く予定でしてね。ぜひその席に、遠く日本から来られた客人を招待したいのですよ』

 

 ……仮にも行政府所有の迎賓館という絢爛豪華な施設で、『ささやか』もあったものではないが。ここに来るためのドレスコード、一体いくら使用したと思うのか。何故かやたら嫌味ったらしいメガネの総督閣下を思い出し、コウの機嫌は一気に下降していった。

 

(……まあ、来ない訳にもいかなかったしな)

 

 嫌味な総督の顔を思い出すと同時、頭の中は戦闘者としてのそれへと切り替わる。件の総督には、一切隙が見られなかった。魔法世界という物騒な世界といえど、仮にも為政者が強くある必要などほとんど無いにも関わらずだ。おまけにその立ち姿が、どことなく知っている誰か(・・・・・・・)を思い出させたのだ。

 

 懐かしい思いも抱かせる男だったが、それでも人格的には好きになれそうにもない。最後にクルトが言い残した言葉はこうだ。

 

『いやー、来ていただけるようで感激です。どこかの『騎士気取りの誰かさん』の教え子とは、一度良く話し合ってみたかったんですよ』

 

 誰のことを言っているのかは丸分かりだが、仮にも故人を悪し様に言う必要性は感じない。そう言った意味でも決して馬が合わない相手であった。

 

 そんなことをつらつらと考えていると、不意に元気いっぱいな声がかかった。

 

「あ! いたよー、チウ!」

 

「なーに、こんな所で黄昏てんだ、オメー?」

 

「ニヒヒ♪ キレーなおねーさんに見惚れてたのかにゃ~?」

 

「……あ、コウ……このドレスどう、かな……?」

 

 声の方向に目を向けると、そこに広がっていた光景にしばし言葉を失くした。まず目に入って来たのは、鮮やかな青一色に染め上げたドレスを身に纏ったチウ。肌色が眩しい胸元に銀のネックレスを付け、同じく背中側も大きく開いている。ドレスのシルエットはフリルを多用したもので、ふわりと広がったスカートは、まるでバラの花びらを思わせた。

 

 次に、そのチウの手を取り、急がせているユウキの姿が目に映る。彼女が身に着けているのは、どういう訳か紫で統一されたチャイナドレス。銀糸で刺繍された蝶が印象的なドレスだが、問題はそこではない。なぜかかなりきわどいところまでスリットが入っていて、そこからチラリと覗く黒のストッキングが、さっきから通りかかる男性陣の視線をくぎ付けにしている。色々倫理的にも年齢的にも、問題ありそうなドレスだった。

 

 そして、そんなコウを訳知り顔で見つめているのは、キッド。彼女の顔には終始「解っているよ?」と言いたげな笑みが浮かんでいる。彼女が身に着けているのは、燃えるような赤のドレス。ただし他の三人と比べると、その胸元が大きく開いており、今にも双丘が零れ落ちそうになる。心配げな視線を上げたところで、本人と視線が交差することとなり、より一層にやりと微笑まれた。

 

 赤面した視線を彷徨わせたところで、レーカと視線がぶつかる。彼女が身に纏っていたのは、流れるような水色のマーメイドドレス。胸元は隠されていたものの、その分背中は大きく開いており、また体の線を際立たせるドレスでもあった。コウの視線を受け、もじもじと身をよじらせていた。

 

 四人のそれぞれ異なる、非常に魅力的な装いに、しばらく呆け、魂を抜かれたかのようだった。何とか彼岸から魂を呼び戻し、有り体な言葉をかけた。

 

「あ……えー、その…………うん、四人ともよく似合ってる……」

 

 こういったところで、男性は語彙を試されるのだが、うまい言葉が出てくるほど、コウは経験豊富という訳でも無かった。結局、しどろもどろによくある誉め言葉を投げかけることしか出来なかった。

 

「……まあ、キリトさんみたく気障な台詞吐かれるよりマシか」

 

「あー、キリトはねー……」

 

「ニヒ、さっきから目が口程に物を言ってるからいいんじゃない?」

 

「……あう」

 

 そう言って四人は自然とコウへと近づく。その右手をチウが取り、左手にキッドが身体ごと絡んだ。ユウキは三人の隣で面白そうにそれを眺め、レーカは一歩下がってコウの裾を掴んでいる。

 

「あー……そんじゃ行くか……」

 

 周囲の四人の少女を順番に眺め、最後に会場の迎賓館へと目を移す。

 

 決勝戦での会合の後、クルト氏は街中でネギ先生一行と遭遇し、一時戦闘状態に陥ったそうだ。その戦闘の中で、ネギ先生も神楽坂さんも、軽くはないけがを負った。決して、油断出来ない相手。これから向かうのはきらびやかな舞踏会ではない。魑魅魍魎が跋扈する修羅の巷だ。

 

 正面の扉をくぐり、立食会場を通り過ぎる。奥にいた黒服のSPに招待状を見せ、更に奥、VIPルームへと通された。

 

「――――ようこそ、お待ちしていました」

 

 そこにいたのは、現オスティア総督、そしてかつての≪紅き翼≫の準メンバー、サムライマスターの直弟子、神鳴流剣士クルト・ゲーデルの姿だった。

 




パーティー会場、入場まで終了。なおラカンVSネギ戦は、原作そのままなので飛ばされました。

今回一番時間かかったのは、ヒロインズのパーティードレス。もうね、男性にそんな詳しく分かる訳ないっていうね。チウのドレスの参考は、某型月の雑誌に載ってたセイバーのパーティードレスそのまんまだし。

元気いっぱいなユウキはスリットあるチャイナ、キッドは胸元強調、レーカはマーメイドと、イメージ先行で書きました!
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