魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

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110 空戦、そして脱出

 

 崩れ落ちる、オスティア迎賓館。降り注ぐ、大量の瓦礫。その向こう、真っ暗な空の彼方、飛び違ういくつもの影。恐らくは人間よりもはるかに大きい翼竜の背中に、見覚えある黒いポンチョたちの姿が見えた。

 

「ヤバイ、崩れる!」

 

「あのヤロウ……!」

 

「クー、こっちに!」

 

「うわわ、マズイ!」

 

「…………展開!!」

 

 咄嗟に行動出来たのは、過酷な魔法世界の経験ゆえか。全員が一目散に散開し、降り注ぐ瓦礫を避ける。中でもネギ先生を支えていた古菲と、レーカの行動は迅速だった。古菲は素早くネギ先生の安全を確保し、レーカの方は水の障壁を張り巡らせ、降り注ぐ瓦礫を支えた。

 

「これは、マズイな……」

 

 気が付くと、完全に分断されていた。ネギ先生がいる古菲の組、宮崎さんがいる組、そしてコウたちという組だ。もう一度上空を仰ぐと、再び翼竜の背中で閃光が瞬いた。

 

「これ以上攻撃させるのはヤバイ! 俺達で抑えよう!」

 

 コウの号令と共にVR組が一斉に外へと飛び出していく。ALOのアバターの四人は空に、唯一飛べないキッドは、壁の割れ目から外に飛び出し、迎賓館の屋根によじ登った。

 

「こんのぉーーーーーーッ!!」

 

 キッドの両手の拳銃から絶え間なく銃弾が飛び出す。その勢いは凄まじく、空から舞い降りる召喚魔を次々と送り返していく。しかし、如何にも数が多い。やがて弾幕を運よく逃れた一団が屋根の上で迎撃を続けるキッドへと狙いを定め、飛びかかった。

 

 剣が、刀が、水弾が、そいつらを跡形もなく砕いた。

 

「……来いよ。俺がいる限り、キッドは絶対に狙わせたりしない」

 

「そういう事言うから好感度上がって、ハーレムメンバーが増えんだよッ! いい加減に自重しろコラ!」

 

「あ~……でも、ちょっと言われてみたいかも……」

 

「…………え?」

 

 ギャアギャアと言い合いながら、妖精の翅持つ四人は次々と召喚魔を斬り裂き、貫き、砕いていく。個の戦力としては圧倒的。しかしながら、如何せん数が多すぎる。上空の翼竜からほとんど無尽蔵の量が押し寄せる。

 

「こ、りゃぁ! 大元を、叩かないと、ダメみたいだね!!」

 

「あ、オイ! 独断専行すんなよ、ユウキ!」

 

 襲い掛かる召喚魔の集団を斬り飛ばし、空いた空間からユウキが単独で飛び出す。その姿を見て、召喚主のチウとコウが慌てて追いかけた。

 

「でぇえぇえええええええええい!!」

 

 翼竜の真下からジェットエンジンのような音を立てて、ユウキが上昇していく。片手剣ソードスキル≪ヴォーパルストライク≫。ユウキの持つ技の中でも屈指の威力の攻撃が、≪笑う棺桶(ラフィン・コフィン)≫の乗る翼竜へと迫った。

 

「Oh...そいつは喰らってやれねえな」

 

 ユウキの横合いから、とんでもない衝撃が襲い掛かった。スキルの途中だったユウキは、持ち前の超反応で直前に察知。無理矢理スキルを中断して、防御姿勢を取った。それでも完全に防ぎきれず、吹き飛ばされて落ちていく。

 

「な、んだ――――『アレ』?!」

 

 ユウキは、攻撃を喰らう瞬間、その正体を眼前で目撃した。しかし、自分の見た物が信じられない。あんなものを操れる人間がいるなんて、信じられない。

 

 それは、『骨』だった。

 

 虚空に突如として湧き上がった漆黒の人骨たちが、一塊となってユウキを打ち据えたのだ。見た目にはただの人骨。されど、『それ』が纏う瘴気は濃密。それを間近に体験したのが、ユウキだったから良かった。『それ』にかつて直面したことがある、ユウキだったから気付けた。

 

 アレは――――――――『死』だ。

 

 恐らくは、全く同じ瘴気を纏うポンチョの男、アイツから撒き散らされた『死』が、形を持って溢れているのだ。『死』をあれだけ纏える人間がいるなんて、信じられない。むしろ嬉々として操る人間がいるなんて、絶対に信じられない。しかし現実として、ポンチョの男――PoHは自在に操っている。それに打ち据えられ、ユウキは負けた。

 

「くっ!!」

 

「オイ、ユウキ!」

 

 吹っ飛んできたユウキを、コウが抱き止めた。一緒に追いすがって来たチウも、心配して顔を覗き込んで来た。

 

「あはは……ゴメンね、届かなかった」

 

「たく、無茶すんなよ。アイツらの翼竜も飛び去って行くし、召喚魔の数も落ち着き出してる。大丈夫そうなら、もう少し敵の数を減らしてから会場に一度戻ろう」

 

「あー、そだね………………ところで、コウ? そろそろこの体勢恥ずかしいんだけど?」

 

「へ…………?」

 

 現在ユウキの両脚は、コウの右手に支えられ、コウの左手はユウキの背中に回されている……つまりは、俗に言う『お姫様抱っこ』の状態だった。

 

「てめえ……」

 

「ぐえええええ……」

 

 コウの後ろからチウが首に手を回す。その回し方には色気など全くなく、どう見てもコウを締め落とす気が満々だった。

 

 そんな風にじゃれ合っているところ、突如として戦場の一角に天空から光が降りる。その中心にいたのは敵側の最大の召喚魔。まるで天罰でも下ったかのように、その身が塵へと帰っていく。

 

「……メガロ側の切り札、かな?」

 

「恐らくな。状況から考えると衛星レーザーか、大規模儀式魔法か……まあ、どのみちこの戦場は……」

 

 振り返る三人、そこに近づいてくるヘラス帝国所有の大型飛行鯨。その艦内に、わずかに第三皇女の姿が見えた。

 

「とりあえずは、終結だな」

 

 そうして彼ら日本政府側スタッフは、ヘラス帝国王族用大型飛行鯨内で合流。最終決戦の舞台へと向かうのだった。

 




オスティア総督府でのバトルはこれにて終了。後は最終決戦への移動なんですが……その前に、キッドこと明石裕奈のエピソードを少し挟むかも知れません。謎めいた死だったのに、一切真相が分からずじまいだった明石母……オリジナル設定にはなりますが、回収しときたいのです。

今回PoHが出したのは、イメージ的には『UQHOLDER』で小夜子とかが纏ってたアレです。一応彼のユニークスキル暗黒剣の発展型として考えています。
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