あれから数時間、いよいよ突入時間が迫って来た。ネギ一行については、最大戦力のネギ先生が≪
そうして、それらの細々とした打ち合わせが全て終了した後。コウは一人、クマノミ型の揚陸艦の上で、浮遊する島々を眺めていた。
「…………」
雲間に見える塔のような漆黒の構造物。あそこに。あの場所に、≪
「――なーに、一人で黄昏てやがる?」
そんな彼の背中に、声がかかる。振り向くとそこにいたのは、パーティー用のドレスから普段の私服のようなラフな格好に着替えたチウがいた。
「あー…………いや、いよいよ大詰めだなって」
「ふーん……」
「あそこにさ、師匠の仇のラフコフがいるんだなって思ったらさ」
「…………」
「勝っても負けても、これで終わる……そう思ったら」
「コウ」
言葉の途中で遮られ、顔をがっちりと捕まえて強制的に振り向かされる。チウの瞳は怒ったようにコウを見据えていた。
「負けても、とか馬鹿言ってんじゃねえよ……そんな弱気だっつーんなら、お前ひとり縄で縛り上げて私らだけで突撃するぞ?」
「……ゴメン」
そのまま一度はあ、と息を吐くと瞼を閉じ、コツンと額を軽くぶつけられる。
「……終わりなんかじゃ無えよ。私らの幸せな学校生活とか人生とかは、これから始まるんだからよ」
だから弱気はいらねえ、と最後に締められた。……本当に、敵わないと一つ息を吐いた。
「……分かった、約束する」
「…………お前の言葉は、イマイチ信用できないんだよな」
「え?」
首を傾げるコウに対し、チウはほんのり頬を染め、「証拠を見せろ」とだけ告げると、静かに眼を閉じた。そんな彼女に一度苦笑すると、静かに顔を近づけていき、唇までの距離が後数センチまで迫ったところで――
――いきなり飛来した『銃弾』と『水の塊』で、むち打ちになるほど勢いよく首がフッ飛ばされた。
「はぐ?!」
「――なーに、抜け駆けしてんのかにゃ~?」
「……そうだね。うん。抜け駆けだね?」
首の筋を痛めたコウに代わってチウが振り向くと、そこには完全武装のキッドとレーカ。どうやら船内にいない二人を一度呼び戻しにやって来たようだった。
「んだよ、邪魔すんなよ、お前ら」
「いや~? 私らを放置して、一人だけ関係を深めようとかヒドイよね?」
「だから……その、私たちも」
そう言って三人ともに横倒しになっていたコウの元へとにじり寄る。
「こんだけの女に想われてるんだ……男冥利に尽きるだろ?」
「そだね。うん。だから、さ」
「……終わりだなんて、言わないで」
そのまま、雲間に浮かぶ尖塔を背景に、四人の影が一つに重なった。
◇ ◇ ◇
そして、とうとうたどり着いた
「よーし、いっくよー! 全機、主砲発射ーッ!!」
金魚船を操るパルの合図とともに、両機の主砲を魔力溜まりに撃ち出す。そうして空いた隙間に、滑り込むように二つの船影が突撃する。
猛スピードで敵の本拠地を横切る瞬間、全員が確かにその建物の中にいる白髪の少年と、ドレスを纏った神楽坂明日菜の姿を捉えた。
「目標発見!」
「ちゅーても、ウチらは潜入特化の能力持ちなんぞおらん。救助は向こうに任すしかないわなぁ」
「そうですね。私も魔法戦の経験がない以上、船で待機するくらいしか出来ませんし」
この時点で、分担は完全に分かれていた。天ヶ崎さんと菊岡さんについては、船で待機。≪
「……オイ、正面見てみろ。どうやら、早速みたいだぜ?」
チウの言葉に全員が迷宮の正面入り口を見ると、そこには見慣れた黒のポンチョ姿。全員が揃っているのを確認すると、キッドがにへらと笑って、操縦桿を押し込んだ。
「よーし♪ そんじゃ、行ってみよっかーー!!」
そのままガクン、と船の勢いが増し、すぐ横を飛んでいた金魚船から経路を大きく外し、クマノミ型揚陸艦は、ラフコフへと正面から体当たりを敢行した。
という訳で、さりげなくスル―されるポヨさん(笑)。あの人関わると、更に時間がかかるので、いきなりラフコフ戦に突入です!
とりあえず初っ端は、彼岸へ向かおうとするコウを引き留める三人のヒロイン。ある意味歪ですが、それでも共にいたい感じが出てれば幸いです。