一週あいて、スンマセンデシター!!
四人で一丸となって、≪The Gleameyes≫へと挑む。先陣を切ったのは、SAO最速を誇る≪閃光≫アスナさん。
「ハアアアッ!」
その手に握った
グリームアイズは僅かにノックバックし、アスナさんとの距離が離れたが、決定打には至らない。OSSを放ったことで硬直した彼女の横を、黒の剣士が横切った。
「おおおおっ!」
雄たけびとともに、キリトさんが身体を左に一度ひねり、そこから一気に左手の剣で斬り上げ、一回転して右手の剣で肩口から斬り下ろす。二刀流重突進技≪ダブル・サーキュラー≫。この世界では『十種のユニークスキル』は既に存在せず、精々連撃系の技をOSSとして登録可能な程度だが、今回はそれが幸いした。キリトさんの登録したユニークスキル≪二刀流≫は、この強化版グリームアイズにも十分に通用する。
だが、敵もさるもの。二人分のOSSを食らったにも関わらず、グリームアイズは僅かな時間硬直しただけで、胸一杯に空気を吸い込むというブレスの予備動作を見せた。
すぐさまソレは解き放たれ、前に突出していたオレ達4人を巻き込もうと紫色の暴風となって襲い掛かるが――――
「――――甘えよ」
そんな小さな呟きとともに、紫の暴風は目の前から消え去る…………いや、
紫のブレスが薄く霧のように漂う中、北斗七星が刻まれた聖剣を携えた剣士が、前線にいた全員を守っていた。
これこそがチウのシステム外スキル≪
さらに恐ろしいのが、彼女の手にある聖剣、≪グランシャリオ≫。そのエクストラ効果は、今目の前にいるグリームアイズと同じ、『属性攻撃吸収能力』。もっともその刀身で正確に魔法の中心を捉えなければ吸収できないので、本来の用途は自分の魔法をチャージすることによる
……だと言うのに、この世界で唯一ブレス攻撃のような広範囲砲撃すらその中心を見切る剣士が持ったことで、あの聖剣は文字通り『最強の一振り』となった。まあ、砲撃とは言っても、所詮は単発式。昨年末に行われた銃の世界≪
「追い打ち、もらい!」
そう呟いて、ブレス発動後の硬直で固まったグリームアイズの懐に入り込み、逆手に持った野太刀の柄で――――殴り飛ばした。
『ゴルッ……!?』
「オ――――ラアアアアアァッ!」
腹を下から上へ殴り飛ばされたグリームアイズを、そのまま蹴り、殴り、両手の剣で斬り裂いていく。ソレはかつて、SAOの世界で無秩序・無軌道に繰り出されていた剣技を、此方に落とし込んだソードスキル。オリジナルソードスキル≪狂獣・白虎≫。獣のように四肢を存分に使って敵を引き裂く、ほとんどデタラメなソードスキル。実際登録当初は、好き勝手暴れたままに登録したので、これが九連撃のソードスキルだということに気づいてもいなかった……。手持ちのOSSの中では、一番の手数を誇る。
ちなみに、こんな無茶な戦い方が出来るのは、両手の刀剣についたエクストラ効果のおかげだったりする。オレの持つ伝説級武器の唯一の効果は、『
『グ…………グルラアアアアアッ!!』
それでもこの敵は、しぶとかった。OSSのノックバックで崩れた態勢をすぐさま整え、その手に持った斬馬刀を後ろへ大きく振りかぶる。
……しかし。
「そーは、いかないよッ!」
そう言って飛び出したのはチウのクラスメート、明石裕奈が操るキャラクター、≪キッド≫だった。飛び出すと同時、その両手に持った二挺のライトボウガンを回転しながら撃ち出した。キッドのOSS≪トゥー・ハンド・スパイラル≫。身体を真横に回転させながら前方の敵にボウガンを全弾発射するOSSで、発動後にいちいち矢を補充しなければならないが、回避と攻撃を同時に行う極めて強力なOSSである。
そもそも彼女は『二挺拳銃』という極めて特異な戦闘スタイルをしており、他の戦闘法など持ち合わせない。そのため近接戦闘に少し弱いところがあったが、そこで取り入れたのが、映画内だけの架空の格闘技≪ガン・カタ≫だった。やたら見栄えがする派手な動きが多いソレを、彼女はOSSとして登録したのだ。今目の前で繰り広げられているアクロバティックな乱射技も、映画の動きを取り入れたものだと聞いた。
大量の矢を顔面に受け、グリームアイズの動きが鈍る。さらにそこに、いくつもの水の触手が絡みついた。
「今だよ、みんな!」
水魔法と回復魔法を底上げする効果を持つ伝説級武器≪神槍ネプチューン≫を持ち、グリームアイズを足止めしているのは大河内アキラのキャラクター≪レーカ≫。元々魔法優先の戦士だったが、あの槍の効果もあってそれがさらに強化されている。
動けなくなったグリームアイズに迫るのは、北斗七星が刻まれた聖剣と、白銀の
「フッ……!」
桜色のライトエフェクトを纏い、聖剣が殺到する。チウの七連撃ソードスキル≪オウカ≫。本来は師匠の流派の技であり、百回は斬る技らしいが、敏捷に優れたチウでも再現できたのは七回連続攻撃までだった。もっともチウは師匠の技を少しでも再現できたことを心から喜んでいた。
そして、≪オウカ≫の終了とともに、グリームアイズの左肩からナナメに、青紫のライトエフェクトが五回瞬いた。
「ハアアアアアッ!」
そのまま青い光を纏った
アスナさんが、このアルヴヘイムで『最強の伝説』となった一人の少女から受け継いだOSS、≪マザーズ・ロザリオ≫。一本の武器から繰り出される攻撃としては最大の、十一連撃ソードスキル。亡くなった彼女の、『魂』がこもったスキル。
「う――――おおおおおおっ!」
立て続けに決まったOSSに完全に硬直したグリームアイズに、黒の剣と、黄金の宝剣が襲い掛かった。ユニークスキル≪二刀流≫のソードスキル≪スターバースト・ストリーム≫。キリトさんの持つ≪二刀流≫のソードスキルの中でも、最も有名な十六連撃を受けて、第67層のボス――≪The Gleameyes≫はその身体をポリゴンの欠片へと変えていった。
◇ ◇ ◇
「それでは、攻略の成功を祝って――――カンパーイ!!」
第68層、最寄の酒場。三度音頭を取るのは、またしてもリズさん。……いいのかなあ、レコンさんにアリシャさんにユージーン将軍がいるのに。
「いやー、めでたいめでたい。よーし、今日は飲んじゃうよ、私!」
「……キッド、現実でもあんなに酔ってたんだから、そのへんにしたら?」
「あー、ほっとけ、レーカ。むしろ酔わせて潰しちまったほうが、面倒がなくていい」
酒場の隅では、チウとキッド、レーカといった3-Aクラスメートが固まって話している。出来れば、オレもチウの近くに行きたいが…
「なっ、ちょっと見てくれよ、彼女の写真! 美人だろ? 凛としてるだろ? うらやましいだろ?」
……とてつもなく、ウザイ大人に捕まって動けない。この世界では現実の身体に一滴もアルコールが入らないのに、明らかに酔ってやがる…。
「クライン、やめとけよ。その話なら皆散々聞いたぜ?」
「……そうね、あのメールの量は、ちょっと目を疑うほどだったわね」
どうやら、キリトさんやアスナさんも被害に遭っていた様だ。
「そういえば……キリトさん。確か近々ユイの診断で、一度戻るんでしたよね?」
「ああ。ユイもあの身体になった時は喜んでたけど、やっぱり調整とか必要だからな」
「そうですか。だったら、そのときはオレが案内させてもらいますよ」
「ああ、頼めるか?」
それは、学園都市である麻帆良が一丸となるイベント。オレ達にとっては修学旅行後に起こる、夏休み前最後のイベント。
「全学園合同の、街をあげたビッグイベント――――『麻帆良祭』か、楽しみだな」
新生第67層編、終了です!
今回は、SAOファンにもネギまファンにも、ツッコミどころ満載の回になったなあ……OSS連発は、書いてて楽しかったけど♪
まず、チウのシステム外スキル≪魔法破壊(スペルブラスト)≫。
元々この主人公コンビは、『二人で一人の英雄』というテーマがあります。そのため、英雄が使っていた技を半分ずつ継承しているキャラとして考えていました。チウの場合原作でも戦闘より情報処理の能力でしたし、キャラ構成も情報取得優先になりそう…という感じで決まりました。そこでビルドが感覚強化型になり、それだけじゃ弱いから正確性と反射神経重視の≪魔法破壊≫を持たせました。ちなみにコレができる以上、当然SAO時代のキリトの得意技である、アレ(・・)も出来ます。
ちなみに、チウにマシンガン持ちを大量に斬らせたのは、コレくらいできないと、この先のチートに勝てないような気がしたので……(主にバグキャラとか、フェイトとか)
そして、コウのOSSですが、あれは別に≪狂乱剣≫の技というわけではなく、本当に単純にデタラメに斬っているだけです。あの二人のユニークスキルは……OSSに登録できない『事情』がありまして。
最後に!キリトを初めとするSAO一派に、≪麻帆良祭参加フラグ≫が立ちました!
次回はいよいよ吸血鬼編!!