魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

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ようやく投稿!

でも、まーだ仕事が忙しく、しばらく不規則になるかも……


016 尾行と暗闘

 

SIDE:チウ

 

 吸血鬼との邂逅と交渉があってからしばらく後、長谷川千雨は絡操茶々丸とともに下校していた。

 

「――本日は、水原さんと帰られなくて良かったのですか?」

 

「……ヲイ、テメエまでクラスの奴らと同じネタで弄くる気か? 私とコウは、別に付き合ってるわけじゃないっていつも言ってるだろうが」

 

 本日コウは、日直だとかで遅いのだ。だからこの間のこともあって彼女と一緒に帰ろうなどと考えたわけなのだが……。

 

「に、しても、さっきの高畑先生のマクダウェルへの『呼び出し』――十中八九この間の騒動が原因だよな」

 

「その可能性は高いと考えられます」

 

 先ほどまでは、茶々丸の主人たるエヴァンジェリンも一緒だった。それが学園長からの急な呼び出しだとかで、こうして二人で帰る事になったのだ。

 

「まあ、こっちは安心しろ。一般生徒に無暗に手を出さない限りは、そっちには干渉しないからよ」

 

「――はい。ありがとうございます、長谷川さん」

 

 ◇ ◇ ◇

 

 話は、吸血鬼の家を訪れた日まで遡る。

 

「――成程な、アンタみたいな伝説の賞金首がなんでこんなとこで中学生やってるのかと思ってたけど、原因は子供先生の父親か」

 

「ああ、そうだ。そうだとも! あのナギの奴めが、ちゃんと約束どおり三年後に呪いを解きに来ればこんなことには……!」

 

 目の前の幼女吸血鬼は、さっきから『ナギ・スプリングフィールド』への怨嗟を口にしているが、そこまで単純な話でもないだろう。むしろ単純な怨恨なら、ネギ先生は赴任初日に惨殺されていた可能性もある。

 

(明らかに、惚れた男に相手にされなかった、『八つ当たり』も混じっているような……)

 

 そのナギと言う人物の話を始めるときに、顔が照れたように赤くなっていた。アレで気がつかないのは、自分の隣にいる天然鈍感男か、≪黒の剣士≫位のものだろう。

 

「……まあ、そういうことなら、こっちからは余計な横槍は入れないようにしとくさ。さっき言った条件さえ守ればな」

 

「…フン、『お前達の正体の秘匿』と『一般人を巻き込む行為の禁止』、か。解っているさ」

 

 結局交渉自体は、無難な所に落ち着いた。一般人が巻き込まれない限り、魔法関係者が何人巻き込まれようと知ったこっちゃないし、情報の秘匿はこうした取引では当然の行為だ。

 

 ……むしろ、教室ですぐ魔法を使おうとするあの先生には、一度完膚なきまでに叩きのめされた方がいい薬だろうとは、少しも思っていない…………ハズ。

 

「しかし……貴様らが、世に言う≪SAO生還者≫だったとはな。道理でガキのクセに妙に達観しているわけだ」

 

 ≪SAO生還者≫。あのSAO事件で、デスゲームの中から帰って来た人たちに与えられた『称号(レッテル)』。ゲーム世界で命のやり取りを経験してきた私達は、常識が一般人と違いすぎるという理由で、中学以上の未成年者は専用の学校に行くことが半ば義務化されている。私達が行かなかったのは、単に小学生を通わせる学校を政府が想定していなかったからと、恐らくは『麻帆良』出身だったからだろう。

 

 …それでも、カウンセリングは受けさせられたが。

 

「……マクダウェル、その呼び方余り好きじゃねーんだ。できれば止めてくれ」

 

「フム、まあ良かろう。だが結局、貴様らは茅場の関係者と言うわけではなく、単にSAOの中で≪ソードスキル≫を覚えただけか」

 

 ……茅場に魔法を教わっていることは、あえて隠した。何故なら目の前の幼女は明らかに茅場を知っており、この情報は後々に切り札になる可能性があるからだ。さっきから世間一般で『死んだ』とされている茅場の消息を聞きだそうとしているし。

 

「――――まあ、そうだ。それよりちゃんと『約束』は守れよ?」

 

「フ、『取引』で嘘はつかんさ」

 

 ◇ ◇ ◇

 

 結局交渉の落とし所としては、『お互いへの不干渉』と『情報の秘匿』という方針となった。見物するくらいはいいが、手出し無用と言うわけだ。

 

 ――――で、困っているのが。

 

(さっきから後ろをついて来る子供先生と神楽坂のことなんだよなあ……)

 

 どうにも先ほどからネギ先生たちが、マクダウェルの従者を名乗った絡操をつけているようなのだ。説得でもする気なのだろうか?

 

 …もし襲撃なら、自分が叩き潰してもいいが、それだと不干渉に抵触する恐れもある。どうにも動きのとりづらい状況だった。

 

(どうするかねぇ……)

 

 動きの取りづらさに、思わずため息が漏れた。

 

 ◇ ◇ ◇

 

「全く、何だジジイ。ただのウワサの確認のためだけに、私を呼び出したのか?」

 

「フォフォフォ、何、あくまで念のためじゃよ。今はネギ君が学園に来ておるし、上に立つものとしてある程度は動かんとのう」

 

「フン…」

 

 ここは麻帆良学園女子中等部に存在する、学園長室。現在は人払いが行われ、差し向かいで座る金髪の少女と、妖怪じみた後頭部の老人、そしてダンディーに背広を着こなす男の三人だけとなっていた。

 

 老人と少女は、先ほどから表面上は楽しげに会話を楽しませている――――しかし、その裏では目に見えぬ暗闘を繰り広げていた。

 

(こんなに早く釘を刺してくるとはな……)

 

 今回の吸血鬼騒動、学園側は知ってて放置している節がある。未来の英雄殿の最初の試練くらいに思っているのかも知れないが、此方としては好都合。むしろこの機会を逃せば、この忌々しい呪いからの解放など望めないと考え、あえて乗ってやっているのだ。釘を刺してくるとしてももうしばらくは大丈夫と考えていた。

 

(先日の長谷川たちの攻撃といい、思ったよりも私は鈍ってしまっているな…)

 

 考え方、魔力、そして戦闘行動。ありとあらゆる点で平和ボケが過ぎたかと、気を引き締める。特に目の前の、自分以上に妖怪じみた老爺は、政治的駆け引きにおいても人外クラスなのだから。

 

「――――フム、忘れるとこじゃった。エヴァンジェリン、実は吸血鬼の件とは別に、一つ確認してもらいたいことがあるんじゃ」

 

「あ? 確認だと?」

 

 怪訝な顔をする少女の前に、茶封筒に入った一組の写真が置かれる。写っていたのは――――『長谷川千雨』と、『水原光』。

 

(ホウ……?)

 

「その二人はおよそ半年前、警備の魔法生徒を撃退するほどの『鬼』を倒したと見られる者じゃ。出来れば、お主の方から確認してくれんかの?」

 

(既にアイツラの正体に気づいていたか……しかも私に話を振る以上、先日吸血鬼騒動の際にこいつ等が介入したことも、この二人が私の家を訪れたことも知っているな)

 

 知っていて――鎌をかける。そのためにこの話を彼女に振った。つくづく喰えない老人だった。

 

「イヤだね、メンドクサイ」

 

「フォッフォッフォッ、出来れば受けてもらいたかったんじゃがのう……」

 

 互いに薄い笑みを浮かべて、語る。騙る。ここはもはや静かな戦場だった。

 

「じゃが……いいのかね? この二人は、あの『茅場晶彦』君とつながりがある可能性が在るのじゃが?」

 

「ホウ…面白そうじゃないか。詳しく話せ」

 

 老人は少女の欲しがる興味(アメ)を差し出し、少女は老人から内心を覆い隠す。ソレを横目で見る高畑のほうが、よほど息苦しそうだ。

 

「ワシ等が調べたところ、この二人はかの有名な『SAO事件』の被害者じゃ。それも、最前線を押し上げておった『攻略組』と呼ばれるプレイヤーの一角……SAO内では数少ないトップクラスの実力の持ち主じゃよ」

 

「クク、お前にとっては喜ばしい限りじゃないか、ええ? 鬼を倒せるほどの実力者で、しかもデスゲームなどという『戦場』に立っていた二人だ。平和ボケの魔法教師どもより、よほど役に立つだろうよ」

 

 実際この老人は、組織の利益や自身の方針のためなら、簡単に清濁併せ呑む性格だ。そうでなければ自分を受け入れることもなければ、あの3-Aに素性が知れない者をあそこまで集めないだろう。

 

「そうとも限らんよ……『彼』の関係者というだけで、魔法関係者は色眼鏡で見るからのう」

 

「いまさらだろうが。それに連中の気持ちも解らんではないさ」

 

 その言葉に頷きを返したのは、老人だけではなかった。高畑・T・タカミチ。魔法世界でも有名な歴戦の戦士が……沈痛の面持ちとともに、頷きを返していた。その様子に、老人は短く嘆息し、呟く。

 

 

「二代目≪紅き翼≫の≪双翼≫――――高畑君の盟友でありながら、『SAO事件』を起こし除名された、≪堕ちた翼≫≪聖騎士ヒースクリフ≫こと茅場晶彦君ではのう」

 

 




というわけで、カモ登場の前段は終了です!
チウの正体も、実力もわからず、茶々丸を襲わせようとしているカモ…最悪ですね。ネギは果たして生きて帰れるのか?!

ヒースクリフさんは、魔法関係の偽名で、しかも高畑と同じ≪紅き翼≫にして見ました。実際ユニークスキルありなら、コレくらいのレベルではあると思うので……しかも、ちょうど高畑と同年代♪
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