魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

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毎週恒例の土曜更新!

今回、少し短いです。


017 忍びよる者

 

SIDE:チウ

 

 ……あれから、絡操の奴と一緒に街の中をブラブラ周りながら下校しているが――――

 

「お前、イベント遭遇率高すぎだろ……」

 

 風船を飛ばされた幼児だの、階段で難儀しているご老人だの、川に流された仔猫だの……

 

「――しかし、仔猫を見捨てるわけには……」

 

「そうじゃねえよ、後先考えろっつってんだ」

 

 鞄に入れていたタオルで、ガシガシと絡操の髪や手足を拭いてやる。やっぱり超一味やエヴァ一家の中では、コイツが一番いいやつだよなあ……。

 

「で、その仔猫どうすんだ?」

 

「私がよく行く教会の裏手に、猫達のたまり場がありますからそこに放そうと思います」

 

「まあ、お前のところには既に一匹いるもんなあ……とんでもなく年取ったボス級のドラネコが」

 

 ――そう言った途端、なぜか背筋にゾクッときた。…いくら吸血鬼でも、こんなに離れてて読心とかできない……よな?

 

(しかし、まだついてくる気か……)

 

 後ろの物陰には、未だにネギ先生と神楽坂の奴がついてきていた。さっきからのお助けイベントでコイツの人となりは十二分につかめているはずなんだが。第一吸血鬼騒動を止めたかったら、大本と話をつけないと意味がない。

 

(そのことがわからない辺り、まだただのガキってことか……)

 

 そんな事を思いつつ、町外れの教会へと足を向けた。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 夕焼け、陽だまり、仔猫……ある意味ここ最近では、もっとも平和で穏やかな光景が其処にはあった。

 

(最近、殺伐とした毎日だったからなあ……)

 

 主に夜間の、訓練とか訓練とか訓練とか。しかしこんなに平穏な風景を見たら、流石にもう襲撃はないだろうが、用心に越したことは無いか。

 

「あー、すまん、絡操。少し用を足してくるから」

 

「はい、長谷川さん。ここでお待ちします」

 

 そう言って近場の建物の影に隠れ、鞄からいつもの狐のお面を出す。……これだけのチャンス、襲うきがあるのなら、絶対にねらってくるはず。

 

(もしこの状況で手を出すようなら……そのときは……)

 

 ◇ ◇ ◇

 

 結果として、非常に判断しづらい状況が残った。私は万一に備えて、待機させていた≪光の剣≫を解除し、もう一度視線を現場へと向けた。

 

「結論として、確かにあの二人は絡操を襲った……しかしその途中で思い直して、結果はネギ先生の自爆だもんな……」

 

 今現在視線の先では、自分の≪魔法の射手≫で気絶したネギ先生を必死に介抱する神楽坂と、その横でギャーギャーわめいているオコジョがいた。

 

「あのオコジョが全ての元凶か――どうするかな、ここは一つ……」

 

「余り物騒なことは、考えないほうがいいよ? チウ」

 

 後ろから不意に声がかかった。もっともそれはよく聞きなれたもので、私は振り返らずに声を返す。

 

「やっぱりか……日直なんてのはウソで、本当はあのガキがどう出るか、見張ってやがったな?」

 

「んー、日直って言うのは本当だぞ? ただ絡操さんの下校ルートで、もっとも人気がなくなるのはここだろうと予想していただけで」

 

 何のことはない。コウの奴もネギ先生が絡操の奴を襲うだろうことを予測して、予めここに先回りしていた。――ネギ先生を見極めるために。

 

「……で、どう思う?」

 

「判断が難しいな。襲撃を決行した以上、犯罪者(オレンジ)相当として扱うつもりだったけど、途中で身を呈してかばったからね……」

 

「だよなあ……」

 

 正直、オレンジ扱いならこれから先のフォローも中止するつもりだったのだが。

 

「今回のことは、あのエロオコジョの口車に乗ったみたいだし、判断は保留としとくか」

 

「そうだな…………ん? 『エロオコジョ』? どういう意味?」

 

「ああ、あのオコジョ、この間風呂場に侵入してきやが――――」

 

 そこまで言ったところで、私は目の前にいたはずのコウの姿を見失った。

 

「え……? オイオイオイオイ! コウ! 何してんだ、お前!?」

 

 慌てて振り向くと、視線の先ではコウの奴が両手の剣をエロオコジョに交互に振り下ろしているところだった。

 

「■■■■■■■■ーーーーーッ!」

 

「ななななな、何スカ、コレーーーーッ!!」

 

 完全にヒトの言葉を無くしたコウの攻撃を、全て紙一重でかわすオコジョに半ば感心しながら、私は事態の収拾のため、急いで現場へと向かった。

 

SIDE OUT

 

SIDE:???

 

「今回の仕事は、関東魔法協会の本部――――麻帆良への襲撃や。報酬ははずむさかい、しっかり頼むで」

 

 その申し出に、答える声はない。あるのは、暗闇の中に半ば溶け込むように佇む、一人の男の薄笑いだけだった。

 

「チッ、いけ好かん奴や。最近売れ出した腕利きの傭兵や無かったら、放り投げるトコやぞ」

 

「まあ、そう言うなや。確かに不気味やけど、報酬次第でどんな依頼も引き受ける、いう触れ込みなんや」

 

「確かにどんな依頼もやな……たった数ヶ月で、ガキを何人殺しただの、一般人を何人廃人にしただの、普通は自慢せんで」

 

 そう、目の前の男はそうやって自分を売り込んだ。普通の魔法関係者が、絶対に踏み越えない一線を、目の前の男は笑いながら踏み越えた。それが彼にとっては許容できなかったのだ。

 

「今回の仕事ぶり次第では、今後俺らの仲間が行う予定の、『大仕事』にも参加してもらうんや。あんじょう頼むで」

 

 その声にようやく、暗闇の中の男は身体を起こし口元に笑みを浮かべる。ここでやっと、男の姿が暗闇から僅かに出てきた。

 

 奇妙な、男だった。魔法使いが愛用するフーデッドローブとは明らかに異なる、漆黒の雨合羽(ポンチョ)を身に纏い、腰にはめたホルスターから軍用ナイフの柄が突き出していた。口元しか見えないのに、何故か心がざわめくような奇妙な雰囲気を持っていた。

 

「……し、襲撃の決行は、麻帆良学園都市の『大停電』の日や。よろしく頼むで」

 

 依頼主たる関西弁の男は、最低限の事務連絡のみ行うと、男に背を向けた。それ以上面と向かって話をすると、自分もまたあの『暗闇』に引き込まれそうで怖かったのだ。

 

 暗闇の男は、しかし依頼主に背を向けられたことには何の反応も見せず、腰に携えたナイフの柄を、いとおしそうに撫でていた。その右手の甲に――――

 

 

 ――――ニタニタ笑い(・・・・・・)を浮かべる棺桶(・・)が描かれていた。

 

 




ついに出てきた、『敵』!!そうです、『あのヒト』です!

作者は物語を作る時、主人公とセットで『強敵』も考えています。ぶっちゃけアレしか浮かびませんでした!!

ここでお知らせ。来週、阿修羅の練りこみのため、一週休みます。いいところで切って本当にスミマセン!
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