魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

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一週空きましたが、更新を投稿!

そして現れるコウとチウの『敵』・・・!



018 絶対悪

 

 本日は麻帆良学園都市、年に一度の『大停電』。オレとチウは、それぞれの寮で過ごすために色々な品を買いに来ていた。

 

「あー、懐中電灯の電池が切れてたんだよな……後は」

 

「後は、何か起きた時のために、水のボトルと、乾パンかな?」

 

「停電で、そこまで準備する奴はいねえよ……」

 

 何故か酷く呆れた眼で見られた。何でだろう?

 

 そんなところに、前から同じく買い物姿の人物が近付いてきた。

 

「オウ、絡操。お前も買い物か?」

 

「長谷川さん、水原さん、こんにちは。実はマスターの食事に使う調味料が切れておりまして」

 

 エヴァンジェリンの従者である、絡操さん。だが、不意に近付いてきた絡操さんは、オレ達二人の耳元でこう告げた。

 

 

「……今夜、マスターは、事を起こします。ついては、『手出し無用』だとのマスターからの伝言です」

 

 

「「……りょーかい」」

 

 どうやら、今夜は眠れない夜になりそうだ。

 

 ◇ ◇ ◇

 

「――う~ん、アレは、協定違反じゃないんだろうか?」

 

「一度吸血した相手を自分の下僕にする……改めて考えると、吸血鬼ってとんでもねえ相手だな。アインクラッドに完全再現した奴がいなくて良かったぜ」

 

「何でいなかったんだろうな?」

 

「そりゃ、ゲームで精神支配再現するのが難しいからだろ」

 

 眼下では一度エヴァンジェリンさんに吸血された佐々木まき絵さんが、建物の間をリボンでピョンピョン跳び回りながら移動している――らしい。らしい、と言うのは、さっきからチウに両目を塞がれているから。

 

「しかし、全裸(・・)の状態で動かされるとか……普通は記憶戻ったらトラウマものだぞ?」

 

 ……まあ、それは同感。そういう性癖でも無ければ、誰も好んでストリーキングになりたくはない。

 

「伝令役にしか使わねえみたいだし、あっちはほっとくか。――――問題は」

 

「彼女を追って、たった今、森へ入っていった、『向こう』だな」

 

 次の瞬間、薄目を開けていたとみなされ、チウの剣が延髄にキマッた。

 

 ◇ ◇ ◇

 

SIDE:アキラ

 

 …私は、大河内アキラ。私は、今日起きたことを一生忘れないと思う。

 

 今日は私が住んでいる街で、『大停電』と呼ばれる電気関係のメンテナンスが入る日だった。そんな中、いつもだったら部屋で大人しく過ごすんだけど、仲の良いまき絵が急にお風呂に入りたいと言い出したから、友達のゆーなや亜子と連れ立って大浴場に行ったんだ。

 

 そうしたら停電が起きた途端、まき絵の様子がおかしくなり、裸のまま何処かへ消えてしまった。私達は急いで服に着替え、その彼女が消えた方角にある、森の中へと向かったんだ。

 

「まきえー! どこやー!!」

 

「……見つからないね」

 

「一体どうしたんだろうね、まき絵? まさか、ヘンな物でも食べたとか?」

 

 ……ゆーなはそう言うけど、どんな物を食べたってああはならないと思う。

 

「わからないけど……あのまき絵を見た瞬間、何か嫌な感じがした」

 

「あ~、アキラも? 実は、私もなんだ。何かモヤモヤするというか、ムカムカするというか……」

 

「え、なんなんそれ?」

 

「うん、なんていうか――――――亜子!!」

 

 亜子の呼びかけにこたえようと顔を向けた瞬間、彼女の後ろの草むらに、黒い服を着た誰かが潜んでいるのに気づいた。

 

「へ――――――ッ、あ……」

 

 次の瞬間、亜子の首筋に男の拳が当たり、亜子が意識を失った。

 

「亜子!」

 

「その子を、放して!」

 

 二人で駆け寄ろうとした瞬間、男の手元がギラリと月明かりに光った。……ナイフだ。

 

「まあ、落ち着くんだな。今、少々追われていてね。ほんの少し付き合ってくれれば、ちゃんと解放するさ」

 

 男の声は何故かひどく場に響き、どこか心地よい気分にさせるような色を含んでいた。……目の前の状況が無ければ、だが。

 

 

「和泉さんを、はなせェェェェッ!!」

 

 

 そのときこの場の誰でもない声が響き渡り、男が数歩後退った。そこにアルヴヘイムで何度か見た、野太刀を持った少女が、大上段に刀を振り下ろしながら降って来た。

 

「――桜咲さん?」

 

 それは奇しくも、私のクラスメートだった。

 

SIDE:刹那

 

(不甲斐ない……!)

 

 私は、今の状況に歯噛みした。大停電に乗じ、麻帆良に侵入する輩の防衛についていた私は、西では珍しい『ナイフ使い』の男と戦っていた。その男は短いナイフで私の攻撃を防ぎながら、一瞬のスキをついて逃走を図った。追いついた時には、何とクラスメートの和泉さんを人質に取られていたのだ。何とも自分が情けなかった。

 

「彼女を放せ、彼女は一般人だぞ……!」

 

「オイオイ、落ち着けよ。俺の任務は警備員の人間の足止めと、敵性戦力の損耗でね。それと同時に相手の『殺害の禁止』も命令されてる。ただここで終わるまでボーッと突っ立っててくれれば、人質も無傷で解放するさ」

 

「ぬけぬけと……!」

 

 相手の軽口に応じず、距離を測る。――この距離なら、≪瞬動≫を使えば一瞬で彼女を取り戻せる。

 

「……あんまり無茶はしないほうがいいぞ。『殺害の禁止』は、『可能な限り』でしかないからな」

 

「そうか、安心しろ――――――キサマは、殺害どころか、手も足も出ずに、私に負ける」

 

 次の瞬間、≪瞬動≫に入り、奴の延髄に愛刀・夕凪の峰を落とそうとして――――――鳥肌が立った。

 

(≪瞬動≫が、見えているッ!?)

 

 振り下ろす瞬間に、完全に黒装束の男と目が合い、男はこれ以上ないタイミングで、此方の刀を避けた。……!攻守が、入れ替わる!

 

 

「やっぱり、殺すか」

 

 

 男の手の中のナイフが不気味に光り、私の首元へと向かい……

 

 

 …………横から伸びた黒刀に、防がれた。

 

 

SIDE OUT

 

 ……危なかった。アキラや裕奈を追って来たら、チウのクラスメートの殺害一歩手前のシーンに遭遇するとは、夢にも思わなかった。

 

「あなたは……?」

 

『あー、今は止めておこう。まずは目の前の人質を取り戻さないと』

 

 いつもどおりの黒い狐面と変声呪文で変装し、野太刀と片手剣の二刀流で構える。後ろではチウも≪光の剣≫を構えている。そんな相手からすれば絶体絶命の状況の中、相手から場違いな声がかかった。

 

 

「…………『SAO』のコウに、チウ、か?」

 

 

 ――――ッ!コイツも≪SAO生還者≫か?!

 

 驚きで此方が硬直していると、月にかかっていた雲が切れ、相手の姿が月明かりの中に晒された。その姿に、オレとチウの記憶が強く刺激される。

 

『てめえは……!』

 

 夜よりもなお暗い漆黒の雨合羽(ポンチョ)、恐らくは西欧の血が入っているであろう整った顔立ち、そして、ソードスキルなしでも卓越した剣技を繰り出すその強さ。

 

「Wow……こいつは予想外だな。まさか仕事先にお前らがいて、しかも『魔法使い』になってるなんてな。『運命』とやらも中々のShowを見せてくれるじゃないか」

 

『おまえ……おまえは…………』

 

 チウが睨みつけるその横で、オレは必死に戦っていた。自分自身の中で渦を巻き、蘇り続ける最悪の『記憶』と。

 

――――晴れの日、夕暮れ、広場。いつも必死になって剣を振り回した。

 

――――無邪気に笑い、いつか越えてみせると高らかに宣言した。

 

――――「一体何十年先や」と、楽しそうにからかわれた。

 

――――同い年の相棒からも笑われ、少しむくれていた。

 

――――そんな暖かな日々が、大好きだったと、喪って初めて気づいた。

 

――――雨の日、夜、密林。泣き叫ぶ相棒。広場に響き渡る嘲笑。そして…………

 

 

…………目標であり、大好きだったヒトを、貫いている自分の剣。

 

 

――――「あんたのせいやない」とだけ言葉を残して、光の欠片になっていく彼女。そして――

 

――――その向こうであざ笑っている男達。赤眼に髑髏マスクの男、頭陀袋を被った男、そして……

 

「久しぶりだな……PKK(プレイヤーキルキラー)、≪獣騎士≫のコウ」

 

 

『≪PoH≫……!!!』

 

 

 かつて、殺人ギルド≪笑う棺桶(ラフィン・コフィン)≫を組織し、師匠の死の原因となったプレイヤーが、そこにいた。

 




はい、というわけでPoHさんのご登場でした。まあ正直アインクラッドのラスボスがアドバイザーになってるから、敵が限られていたともいう……。

ですが、ネギま勢にとっても、これは最悪の敵です。何せガチで『殺し』に来る相手ですから。しかもバトルジャンキーの月詠ともまた違うベクトル。一つ間違うと『DEAD END』と言ってきたのは、そういう理由だったりします。

ちなみにSAOクロスの時点で彼の登場は決まっていて、『真の異世界』と『デスゲーム』というSAOの特徴を象徴する人間として出てもらいました。
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