魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

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 プロローグ第二話投稿です。

 実を言うと、にじファン最初の粛清時に消してしまった内容を思い出しつつ書いていますが、ストック無しで投稿するのは大変なんだな…

 後一話でプロローグ終了ですので、そこまでは来週中くらいで投稿予定です。(後は本当に、不定期になります)



002 覚醒のとき

 

SIDE:高音

 

 ふと、目が覚めました。目を開けると、目の前には草が生い茂り、緑のにおいがしました。ぼんやりとした頭で、どうしてこんなところに寝ているのかと記憶を辿っていくと―――

 

(―――そうだ! 私は確か警備の途中で、鬼にやられて――――!!)

 

 横になっていた体を起こし、急いで周りを見回すと、私のパートナーのメイがすぐ近くに気絶していました。すぐに駆け寄って呼吸を確認してみると……

 

(呼吸も、脈拍も大丈夫。気絶しているだけですわね)

 

 無事を確認し安堵すると、状況が少しおかしいことに気が付きました。あの鬼が、気絶した自分達を見逃すとは思えませんし、かといって救援が来たのであれば、自分達が吹き飛ばされたままになっているのもおかしいです。先ほどの鬼がどうなったか確認しようと、周りをもう一度確認していると、森の先にありえない光景が飛び込んできました。

 

「なっ?!」

 

 吹き飛んだ左半身、右手首も先から消し飛び、あちこちに只の木の枝(・・・・・)が突き刺さり、今にも消えようとしているのは………先ほどの鬼でした。

 

『……ぁあ、さっきの嬢ちゃんかい………』

 

「此処で一体何が……いえ、それよりもこれは!?」

 

 およそ、ありえない倒し方でした。魔法で倒したにしては、左半身がキレイに直線を描いて消え失せていますし、体に刺さっているのは、本当に何の変哲も無い木の枝。装備が充実した『魔法生徒』や『魔法先生』たちが使うものではありません。少なくとも私は、こんな戦い方をする人間を知らない。

 

『全くとんでもないトコやな、ここは……あないなバケモンが二人もいるやなんてな………』

 

「ど、どういうことです?!」

 

 目の前の鬼は、体のあちこちが崩れ、今にも召還を解かれそうです。でも、その前に少しでも手がかりを得なくては!

 

『男と女の二人組や……そっちの嬢ちゃんと、同じくらいで、おんなし服着とったなあ………』

 

 メイと同じ服……、ということは中等部の生徒!? それでも、私達でもてこずるような鬼を、たった二人で倒せる人物なんて知りません。

 

『あないな目をしたんは、久々に見たで……本物の戦場(いくさば)知っとる目は』

 

 戦場。それを知っている様な目をしている人……龍宮さんが当てはまりますが、これは明らかに銃によるものではない。まるで、手当たり次第に近場の枝を突き刺したような……

 

『≪コウ≫と≪チウ≫言う二人や………二人によろしゅう伝えてんか…………』

 

 そう言い残して、鬼は消えていきました。≪コウ≫と≪チウ≫……そんな魔法生徒も先生も、この学園にはいない……。

 

「この学園に…こんなことの出来る人物がいる………?」

 

 そう呟きながら、私は体の震えを抑え切れませんでした。

 

SIDE OUT

 

 ◇ ◇ ◇

 

「―――で、どうしようか」

 

「とりあえず、ケガも無えみたいだし、帰っていいんじゃねえか?」

 

 ウルスラの生徒――高音――が目覚めたとき、実はボクたちは少し離れた木陰から一部始終を見守っていました。流石にケガでもしていたらと思うと寝覚めが悪かったからね。

 

「しかし、さっきのはなんだったんだろうな?」

 

「それは……、さっきの鬼のこと? それともさっきの≪チカラ≫のこと?」

 

 家路につきながら話をしていると、やはり話題は自然とさっきの事柄になった。

 

「まあ鬼は倒したからいいとしても………気になるのは、やっぱりチカラの方だな」

 

 そう、ボクらはさっきの戦いで、普通のヒトではありえない動きをした。まるでフルダイブ中の戦闘のように、プロのスポーツ選手でも追いつけないような速さだった。……もっともこの≪麻帆良≫という街の中では、ちょくちょく街中で見かける程度の動きだったけれども。

 

「こうなってくると、さっき鬼が言っていたモノを使ったって考えるべきかな?」

 

「≪気≫と≪魔法≫か……ここには、七つ集めりゃ願いが叶うボールも無きゃ、ホウキと大鍋を持った三角帽子もいねえぞ?」

 

 まあ普通はそうだよね。…………だけど。

 

「確か、チウのクラスには、駅前で男子生徒をポンポン吹き飛ばす生徒がいたよね?」

 

「…………」

 

「それに、さっきの中等部の子、ホウキは持ってた気が……」

 

「……………………やめてくれ」

 

 どんどん言い募っていくと、チウが額を手で覆って、現実逃避を始めていた。あのクラスの人外魔境ぶりに入学当初悩んでいたから、当たり前といえば当たり前か。

 

「やめだ、やめ……こういうときは、ストレス解消に、思い切りダンジョンに潜るべきだ。お前も付き合えよ」

 

「ああ、いいよ。それじゃこの後22時に、いつものギルドホームで」

 

「おー」

 

 夜のダンジョン探索のお誘いに、非常にやる気の無い返事を頂いた後、ボクたちはそれぞれの寮に帰った。この日、街の謎を追う探索はそこまでで終わりで、もう進展は無いと思っていた――――――≪ナーヴギア≫の電源を点けるまでは。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 22時前、チウとの待ち合わせに遅れないように、少し早い時間に、VRMMO用のゲーム機であり、ボク達を二年間閉じ込めた『檻』でもあるナーヴギアをつけ、電源を点けた途端、異変が訪れた。

 

「リンク・スタート!」

 

 その言葉と共に、種≪ザ・シード≫と呼ばれる複合VR空間へと接続し、チウや昔の友人達と主に潜っているALO≪アルヴヘイムオンライン≫に繋がるはずが、そこで予想外の表示が出た。

 

≪新規のメッセージが、一件届いております≫

 

「はぁ?」

 

 今までこんなことは、一度も無かった。通常ゲーム内でのメールは、そのゲームに入らないと表示されないし、ましてやシステム起動中に、メッセージが表示されるわけも無い。となると……

 

「何だ? シードのメンテかな?」

 

 基幹プログラムとなるシード自体に、修正でも入るのだろうか? そんなことを考えながら、立体(ホロ)キーボードで画面を操作し、メッセージボックスを確認した。そこには、自分の目を疑うような、信じられない題名が表示されていた。

 

 

『――――≪魔法≫と≪気≫の渦巻く、世界の裏側へようこそ』

 

「………ッ!?」

 

 そう、書かれていた。

 

 今日初めて知った、この街の事情に繋がっていると思われるその単語。それをわざわざ題名に入れて、送られてきた謎のメール。余りにもタイミングが良すぎた。しかも、差出人の名前も、また在り得なかった。

 

 

「≪茅場 晶彦≫――――――ッ!!!?」

 

 

 その名前は、全てのSAOプレイヤーにとって、忘れることの出来ない名前。一万人にものぼるSAOプレイヤーをゲーム内に閉じ込め、第100層をクリアせよと強制してきた人物。そしてボク達にとっては、あの第75層で、死闘を繰り広げた相手でもあった。

 

 既に死亡が確認されている人物からの、ありえないタイミングのメッセージ。本来、ログインしなければ感じることも出来ないであろう両手が、震えているように思えた。

 

 だけど、いつまでもこうしていられない。ボクは自身の不安と恐怖を抑え込んで、そのメッセージを開いた。

 

 次の瞬間、ボクは透明な空間にいた。青緑色のテクスチャと、ワイヤーフレームで囲われただけの空間。そんな空間の中心に、人影があった。

 

「ヒースクリフ……」

 

 それは、あの世界で茅場が使っていたアバター、≪神聖剣≫ヒースクリフだった。

 

「――ホウ、この世界を訪れるものが現れることは予想していたが、まさかキミだったか――――≪狂乱剣(・・・)≫のコウ君」

 

「……ッ!」

 

 それで、確信した。コイツは『あの日』、オレ(・・)たちと戦ったヒースクリフ本人だと。あの日の戦い、あのときの感情がよみがえってくる。

 

「御託はいい…! こんなところに呼び出した理由を、話してもらおうか!!」

 

 感情が抑えきれない。それも当たり前だった。あの日自分はこの、SAOの≪神≫を気取る相手に挑み、敗北したのだから。

 

「まあ、待ちたまえ。直にもう一人(・・・・)の適格者も現れる。説明は、二人まとめてしようじゃないか」

 

「何? ―――ッ!!」

 

 言われて、気が付いた。今夜不可思議な現象を体験して、ナーヴギアを着けたのは、一人じゃない……!

 

 部屋の反対側に、粒子が集まる。そこに現れたのは、金の髪の中に碧眼を輝かせ、その身体を白いゆったりした衣服と銀の胴当てで包んだ姿。アインクラッドで背中を任せていた頃のチウだった。

 

「チウッ!」

 

「―――コウか?」

 

 すぐに駆け寄る。走り出して気づいたが、自分の体も普段のアルヴヘイムのキャラではなく、あのアインクラッドで過ごしていた頃の姿だった。もっとも自分は、どっちの世界でもつや消しの黒一色のフルプレートメイルで、僅かに鎧の細部が異なるだけだったが。

 

「―――さて、はじめようか」

 

 声に、振り向く。眼光を強め、相手の一挙手一投足も見逃すまいと心がける。それはそうだ。今この背中には、二年を共に過ごした戦友であり、決して喪いたくない人がいるのだから。

 

「そう睨まないでくれたまえ、コウ君。≪七星剣(・・・)≫のチウ君も、少々婦女子にあるまじき目つきになっているが……ともかく、ここにいる私は、君達に出会ったヒースクリフであって、その本人ではない存在だからな」

 

「――? どういうことだ?」

 

 違和感。目の前にいるのは、あのヒースクリフであり、確かに本人であると感じる。それが本人でないとは……?

 

「これから始める説明にも一部関わるのだが……先に種明かししてしまうと、茅場 晶彦本人は、確かに現実に死んでいる。私本人は、生前とある目的のために生み出された、AIにも似た≪人造霊≫という存在だ」

 

「今度は≪霊≫と来たか………」

 

「どうせなら、ただのAIと説明して欲しかったぜ。今日一日で、私の常識は完全崩壊だ」

 

 まあ、オレの常識も壊れている。今必要なのは、その壊れた常識を正しく認識しなおし、構築しなおすことだ。

 

「その『目的』ってのは…?」

 

「フム、ではまずこの空間の説明から始めようか……」

 

 そうして始まったのは、今まで予想だにしなかった、『世界の真実の姿』だった。

 





 と言うわけで、第二話でした♪
 ちなみに、主人公とチウの単独での実力は、そんなに高くありませんよ? 精々武道四天王クラスでしょう。今回は、比較対象が脱げ女さんですから…

 そして登場、安定のラスボス、ヒースクリフ! SAO時代よりチートっぷりが上がっており、人造霊まで作ってます。
 主人公勢のユニークスキルは、そのうち説明します。まあ、あの二人のSAOアバターのモチーフが、半分以上答えですが。

 ちなみに茅場もそうですが、SAO側の登場人物は全員生年月日が20年以上早まっており、ナーブギア開発も二十年以上早いです。そうでないと、クロス出来ないしねぇ……
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