魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

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恒例の土曜更新です!

今回はSAO知らない人のための、敵の説明会。ヤバスギです、コイツラ。



第六章 呪術の世界~京都編
020 京都前夜


「「……で? どういうことなんだ?」」

 

「アハハハハ……二人とも息ピッタリだねえ……」

 

 現在、都内。スイーツが有名なカフェで、対面に座る人物の指定によりわざわざ出てきていた。ついでにここの勘定もソイツ持ち。そんな財布に近い状況の男に、尋問と言っても良い口調で話しかけていた。

 

 その人物の名前は、防衛省の現役自衛官、菊岡二等陸佐。何でも最近看護師の彼女と一緒に来て美味しかったので、機会があればここにこうして通い詰めているのだそうだ。

 

「……結論から言うと、刑務所や施設から脱獄が確認されたのは、以下の四名だよ。まず金本敦、新川昌一、新川恭二、そして須郷伸之」

 

「つまりSAO、ALO、GGOの事件に関わってた奴らは、一人残らず脱獄したってことかよ」

 

「いくらなんでも、政府も怠慢過ぎないか? VR技術への風当たりを強くしないためにも、アイツラはきっちり監視下に置くべきだろう?」

 

「僕もそう思うよ。けどね……」

 

 そこで菊岡氏は口を噤んだ。まるで苦いものをかんだように。

 

「なんだよ?」

 

「……彼らは実際それぞれの施設で厳重な監視下に置かれていた。それなのに全員が、ある日突然『いなくなった』んだそうだ。今までその方法は明らかにされなかったんだけど……」

 

「――――≪魔法≫、か」

 

 魔法用品の中には、かつてのSAOの脱出アイテム、≪転移結晶≫と同種の≪転移魔法符≫なるものがあるそうだ。一枚あたりの単価は高価らしいが、それでもそんなものを使われたら、魔法無しには防ぐことも出来ないだろう。さらに高位の術者には、自分の魔力だけで≪転移≫を可能にするものまでいるらしい。

 

「そうなるね……しかも君らが会った≪PoH≫が魔法を使った以上、残る全員も使ってくる可能性がある」

 

「そこは、ほぼ確実に使ってくると考えるべきだろうな。あいつら、『殺人』の手札を増やすことには勤勉だから」

 

 答えたのは、コウだった。この中ではもっとも≪笑う棺桶(ラフィン・コフィン)≫――ラフコフとの因縁が深い。

 

 

「あのさ、コウ……私達はSAO時代のヤツラを知らないから、いまいちわかんないんだけどさ」

 

 

 問いかけたのは話の展開上口出しできなかった、明石裕奈。その隣には大河内アキラと、桜咲刹那、そして何故か龍宮真名がいた。

 

「SAO時代のラフィン・コフィンのそいつらって……そんなに強いの?」

 

 それが彼ら三人の感想だった。GGOの世界で、かつて≪死銃≫事件と呼ばれる殺人事件が起こるまでは、そんなギルドの存在も知らなかったのだから、当然と言えば当然だが。

 

「――ああ、そうだな。連中の危険性を再認識するためにも、あいつらの特徴と戦闘スタイルくらいは話しておくか」

 

 そうして菊岡氏に促して、テーブルの上に脱獄した彼らの写真を並べる。全員並べても、見た目にはどこにでもいそうな平凡な青年にも見える。

 

「まずはこいつ、本名『新川昌一』。SAO時代のキャラネームは≪XaXa(ザザ)≫。エストック(刺剣)の名手で、正直な話剣の腕なら『攻略組』にいてもおかしくなかった男だ。お前ら二人には、GGO時代の通り名のほうが印象深いだろうけどな」

 

「「≪死銃≫……」」

 

 この男は、GGO内でプレイヤーの『現実』の肉体すら死亡させると喧伝し、何人もの命を奪った。その過程でネット中継の中でその剣の腕を披露していたが、信じられないことにSAOのトッププレイヤーであるキリトを圧倒するほどの実力だった。

 

「次にこいつ、本名『金本敦』。SAO時代のキャラネームは≪ジョニー・ブラック≫。SAO最悪の毒ナイフ使いで、ありとあらゆる『毒』に精通していた。オマケに≪忍び足(スニーキング)≫のスキルまで持ってる。『暗殺者』としての腕なら、ザザ以上だろうな」

 

 ラフコフの殺人方法には、毒を利用するものが多々あった。その特徴に、毒を『武器』として考えている彼の貢献があったことは十分考えられるのだ。

 

 その上『暗殺者』――――正面から来ない分、ザザよりも危険度は上かもしれない。

 

「最後に、ラフコフの『頭目(ヘッド)』、≪PoH(プー)≫。こいつは殺人(レッド)のカリスマとして君臨していたが、実際実力もとんでもない。SAOの特徴である≪ソードスキル≫を必要としないほど、トップクラスの短剣使いだ。今現在の実力は……昨夜見たとおり」

 

 一瞬で目の前の剣士の左腕を斬り裂いた実力は、裏の世界が長い真名や、同じく剣士である刹那から見ても、信じがたい力量だった。アレはもはや達人の域に近いという印象すら受けていた。

 

「大体の脅威度は解った……だが、今話に出なかったこっちの二人はどうなんだい? やはり相当の実力者なのか?」

 

 そう言って真名が指すのは、残った二人。この二人もまた実力者だと言うのであれば、さらに危険性は跳ね上がる。

 

「そっちの二人か……まず、『新川恭二』はGGOで≪シュピーゲル≫という敏捷(AGI)一極型のキャラを使ってた。アサルトライフルやサブマシンガンを使った中距離支援ならかなりの腕だが、実力はそこまでではねえな」

 

「いや、チウ、ここはゲームじゃないんだ。一番威力の弱いサブマシンガンどころか、デリンジャー銃の弾丸でも当たれば死ぬ。脅威度という点からすれば十分脅威だよ」

 

「……そっか、そうだよな」

 

 ある意味それがゲームとの違いだろう。ゲーム内ならアサルトライフルの弾丸ですら、クリティカルポイントにでも当たらない限り、胴体に喰らっても死ぬことは無く、動けなくなることもない。だが現実なら、確実に致命傷だ。

 

「戦闘能力という意味で脅威にならないのは、『須郷伸之』だけだな……妖精の王≪オベイロン≫を名乗ってたが、コイツは元々ただの研究者で、剣の腕は素人。さらに戦闘者としての心がけも出来ていないような奴だ」

 

「それでも『研究者』という職業は、バックアップを考えれば怖いものがあるけどな……」

 

 魔法とSAOにつながりがあった以上、SAOのコピーサーバーで『人体実験』を行っていた須郷は、さらに何らかの秘密を暴いている可能性がある。ヒースクリフが未だに全ての情報を開示していない以上、そっちの方がよほど怖い。

 

「ふむ、大体の状況は理解できた。そろそろ、この場に私達二人が呼ばれた理由を話してくれるかい?」

 

 そういいながら、褐色の狙撃手(スナイパー)は手元の紅茶をたしなむ――――アレが砂糖を二個も三個も入れたものではなく、ブラックコーヒーだったら、様になるのだが。

 

「仕事の依頼だよ……お前ら二人は、アルバイトで警備員やってるんだろ? だったら頼めるかな、と思ってな」

 

「ふうん…一体どんな内容だい?」

 

「何、ここにいるこの二人の護衛を任せたいのさ。龍宮は、この二人と同じ班だったよな?」

 

 そう言って指し示されたのは、同じ席に着いた明石裕奈と大河内アキラ。同じ班である以上護衛は容易だし、クラスメートの身辺警護は自分の心情からも受けてやりたい。……が。

 

「そこまで警戒する必要はあるのかい? 裏世界では『一般人に手を出さない』という暗黙のルールがあるけど……」

 

「ラフコフはそんなもん守りゃしねえよ。『殺し』を楽しめりゃそれでいい、ってヤツラだからな」

 

 その言葉に彼女は目を細め、再び写真に目を移す。それが本当なら、この男達は危険すぎる存在だ。長谷川は目の前の二人の警護を任せたが、それ以外の人間まで標的になる可能性がある。そうなれば自分一人では、防ぎきれないだろう。

 

「……他の班のメンバーは?」

 

「……それについては、残りの武道四天王――長瀬と古菲に任せようと思う。幸い二人とも全然違う班にいるし、残りは私達でフォローだ。……巻き込んじまうのは、正直心苦しいけどな」

 

 彼女は顔を歪めながら話すが、現状を見るとこれが最善だった。どう考えても正直手が足りない。

 

「……わかった。しかし一応、こちらもプロだ。報酬の支払いはどうするんだい?」

 

「それはこの菊岡サンがしてくれるさ。元々、そのために引き会わせたんだからな」

 

 その言葉に龍宮は、腑に落ちないものがあった。今回のことは魔法使い達の不始末と言ってもよい状況で、彼やその上の日本政府が護衛を雇ってまで彼女らを護るいわれはない。それなのに報酬を出すと言うのだ。

 

(あまり喰えない、な)

 

 まあ、報酬を出すと言うのなら文句は無かった。友人が出すと言うなら少し割り引こうかとも思ったが、政府が出すなら危険手当で割り増し請求も可能だ。

 

「私は……申し訳ありませんが……」

 

 その横で、刹那は俯いてしまう。彼女もクラスメートを護ってやりたいとは思うが、優先して護らなければならない少女がいた。

 

「いや、仕方ないさ。昨夜の話から、お前は近衛の護衛役なんだろ? そっちを優先してくれていい。ただ目の届く範囲で気にかけて欲しいだけだ」

 

「そういうことでしたら……」

 

 これで大体の方針は決まった。そう考え、話を切り上げようとすると……

 

 

「「ちょっと待って」」

 

 

 護衛対象であるはずの明石裕奈と大河内アキラから、声が上がった。その目には決意の色があった。

 

「……これから先、コウとチウは、ラフコフのやつらと戦うことになるんだよね?」

 

「…そうなる。けどこれはSAOプレイヤーのオレ達には、因縁みたいな――」

 

「それでも、私達はコウもチウも助けたいよ……大事な『友達』だから」

 

 そう言って、告げる。

 

 

「「私達に、≪魔法≫を教えて」」

 

 




はい、前夜終了です。

転移符一枚で脱獄可能な刑務所……魔法が一般に知られてないと、こういう弊害も生まれると。

今回の紹介で、『SAO時点』での敵の実力は判明しましたが……【情報はSAO当時のものです。現行版では変更されている可能性があります】。……【大丈夫。アルゴの攻略本だよ。】

まあ、このチート世界で敵が弱かったら話が作りづらいですしね♪
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