魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

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第一夜コレにて終了!

語られるのは、彼女の『覚悟』――



024 呪術の世界・第一夜・終

「――で? 何から話そうか?」

 

 猿女達の襲撃を撃退した後、ロビーの一角に人払いの結界を張り、事情の説明となった。特に目の前で青い顔をしている子供先生には、説明が必要だろう。ちなみにここには、裕奈(キッド)アキラ(レーカ)もいる。

 

「………………あの人たちは、何だったんですか?」

 

 沈黙の後で出たのは、余りにも曖昧な問い。

 

「……向こう側にいた、黒装束たちのことだよね?」

 

 こちらの一応の問いに、彼は頷く。…まあ、そこからだよな。

 

「あいつ等は、≪笑う棺桶(ラフィン・コフィン)≫。『殺人』を目的とする最悪のギルド(集団)だよ」

 

「「……ッ!」」

 

 その言葉に、ネギ先生と神楽坂さんが息を呑む。まさかそこまで危険な奴らが出てくるとは思わなかったのだろう。

 

「私達は、元々魔法に関わる前は≪SAO生還者(サバイバー)≫だった」

 

「SAO……ですか?」

 

 やはり魔法使いの中で育ったネギ先生は、事件自体知らないか。

 

「神楽坂は、≪SAO事件≫は知ってるよな?」

 

「うん……小学校の頃だったけど、覚えてるわ。確か一万人の人間が、ゲームから帰ってこれなくなったとか」

 

「それで、正解だよ……」

 

 『SAO事件』。狂気の天才、『茅場晶彦』が実に一万人もの人間をゲーム内に閉じ込めた事件。そのゲームの中では、自身のHP(ヒットポイント)こそが正しく『命の残量』であり、ソレが無くなれば、『死ぬ』。

 

「実際、事件が終了し、帰ってこれたのは6千人弱だ……3千人以上の人間が、中で『死んだ』。その上で、脳をゲーム機で焼かれ、現実でも死んだ」

 

「でも、どうして!? どうして、その人はそんなことをしたんですか!」

 

 ネギ先生が激昂して、立ち上がる。正義感が強いのは好印象ではある。

 

「それは、誰にもわからない……と言いたいところだが、クリアした直後に少しだけアイツと話す機会があってな。オレ達の感じた印象でよければ話すが」

 

 その言葉への返答は、頷き。それでも理解できないかもしれないが。

 

「何ていうか……アイツはあの世界を、『本物の現実』にしたかったんだと思うよ。ただのゲームじゃなくな」

 

「『本物の現実』……?」

 

「そうだな。私達にとって、現実世界(こっち)では、当たり前のように、人間が『生命』を終える。それを仮想世界(ゲーム)で実現するために、どうしても死の再現(デスゲーム)が必要だったからああなった……それが感じた印象だよ」

 

 その言葉に目の前の彼女達は、理解しがたいといった表情をしていた。まあ、それが当然の反応か。

 

「解らなくてもいいんだよ……それで、問題はあの黒装束だよな」

 

「あっ! そうよ、話に圧倒されてたけど、ソレとあいつらと何の関係があるのよ?」

 

 大有りだよ。

 

「あいつらのギルドは、元々SAOで組まれたもので、SAO最大の≪殺人ギルド≫だからね」

 

 ≪笑う棺桶≫。SAOで最初に組まれた殺人(レッド)ギルドであり、プレイヤーにとって恐怖の代名詞。

 

「最盛期には、実に千人にも登った犯罪者(オレンジ)プレイヤー……その頂点であり、最悪の存在こそ彼らだ」

 

「何で…なんでその人たちは、人殺しなんか!!」

 

 まあ、茅場よりよほど理解し難い存在だろう。実際オレ達も理解したくない。

 

「あいつ等は、『殺人』を究極の『快楽』として捉えてる……理解は、するな。すれば、取り込まれるぞ」

 

 実際PoHの奴はソレくらいのカリスマを持っている。右も左も解らない子供なら、簡単に取り込まれるかもしれない。

 

「……少しいいですか」

 

 そうして口を開いたのは、野太刀を持った少女、桜咲。

 

「彼らの話は解りました……では、それなら、貴方は何者なのですか? あの猿女の首筋に刀を突きつけた時の『殺気』は……尋常じゃなかった」

 

 ……まあ、その話もしなきゃ駄目か。横の二人も納得しないだろうし。

 

 

「――――簡単に言えば、オレはSAOの中で、≪犯罪者殺し≫……PKKプレイヤーとして活動していた」

 

 

 その言葉に、目の前の二人は僅かに身を引き、桜咲は刀の柄に手をかけた。この反応も、当たり前か。

 

「一応、標的にしていたのは、殺人以上の犯罪を起こしていたプレイヤーのみ……だけど、オレはアイツラと同じ『人殺し』には違いない」

 

「――、ッ! 長谷川さん、知っていたんですか、このことを!」

 

 そうして彼女はチウに目を向けた。だけど、彼女は、真剣な表情を崩さなかった。

 

「ああ、知っていた。私は『全部』知った上で、コイツと一緒にいる」

 

「そんな、何でッ!」

 

「当時アンタだって、小学生でしょう?! そんな年齢で人を殺したっていうの!?」

 

「なんで人を殺した人と一緒にいるんですか!」

 

 罵倒が突き刺さる。……そうだ。コレが、オレの犯した『罪』。当たり前の、コト。

 

 

 ――――――だけど。

 

 

「オイ、ガキ……あの世界がどれほどの『地獄』だったか知りもしないテメーらが、コイツを罵るんじゃねえ」

 

 

 この言葉に、どれだけ、救われたか。

 

 

「確かに、『普通の』常識からすれば、コイツは犯罪者なんだろう。それは私もそう考える」

 

「だったら……!」

 

「だけど、コイツが罪を犯した状況は、そんな『常識』が通用しない場所だった。そこには『警察』も『政府』も存在しない。あるのはただ、『自分で自分の身を守る』っつー原始以来の常識だけだ」

 

「……ッ!」

 

「それとも、そんな狂信者どもに、大人しく殺されてれば良かったとでも言うつもりか?」

 

「でも……」

 

「確かにコイツは積極的に狩りに行った。けどな、誰かがやらなきゃいけないことでもあったんだ」

 

「……」

 

「コイツの『罪』が、裁かれるべきだっつうんなら……その『罪』は私らSAOプレイヤー全員の『罪』だ。『罰』を受ける時は、私も一緒に受けるさ。それが、私の『誓い』だ」

 

 

 ――ああ、本当に。この人がいるから、自分はまだ生きていける。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 話が終わり、本日は一時解散となった。あの二人はまだまだ納得はしなさそうではあったが。

 

(これからが、大変だな……)

 

 まあ、ああいう恐れと好奇を含んだ視線には、慣れているが。

 

 

「――――――ちょっと待て、コウ」

 

 

 そんな考え事をしていたから、自分の長年の相棒が近付いていることにすら気づけなかった。

 

 チウはおもむろにオレの肩を掴んで振り向かせると、もう片方の手でわき腹を掴んできた。

 

「――――ッ!」

 

 途端に、激痛が身体を突き抜け、声にならない悲鳴を上げる。

 

 

「……やっぱり、な」

 

 

 チウが掴んだ、その位置。旅館にあった上着で隠してはいたが、その下には『穴』が空いていた。≪影≫で締め付けた下からは僅かではあるが出血もにじんでいる。

 

「さっきの爆風の中で、か」

 

「……ああ」

 

 そう、実はあの爆風の中、近衛さんを助け出す時に、攻撃を一発喰らっていたのだ。土煙で良くは見えなかったが、赤黒いライトエフェクトを帯びた攻撃を。

 

「この傷口は、刺剣(エストック)……ザザの奴か?」

 

「多分、ね。だけど、疑問が残る」

 

 あのとき、ラフコフの奴らはかなりの距離離れていた。ザザの奴にいたっては、少なくとも十数メートルは離れていたのだ。

 

「……あの距離から届く、エストックのソードスキルは無かったはずだ」

 

「確かに、な」

 

 あるいは……ザザが≪魔法使い≫になったときに、新たに得た力なのかも知れないが。

 

「だが、だったら何故退いたんだ? この傷なら、追撃をかければ私達を仕留めることも出来たはずだ」

 

 確かに、その通りだ。今もやせ我慢で堪えてはいるが、本当は動くのもツライ。

 

「――一つ、確実に言える事があるよ」

 

 そう、コレだけは確実に言える。

 

 

「次の襲撃までに、何とか今以上に強くならないと、確実に負ける」

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

SIDE:笑う棺桶

 

「ククッ、中々の首尾だな……」

 

 ここは、京都郊外の廃工場。市内こそ景観を崩す施設はないものの、郊外に出ればこういったものも無くはない。

 

「そう、だ、な。獣騎士の、ケガ、は、一日二日では、治らんだろう」

 

 独特の呼吸音とともに、ザザが言う。その手には、≪サイレント・アサシン≫に仕込んでいた、携帯用の刺剣(エストック)

 

「オレも一撃喰らわせたかったのに、なーんか不完全燃焼ですよ、ヘッド」

 

 不満をあらわにするジョニー。その足元には、緑色の薬液に浸かったギザギザのナイフ。

 

「まあ、そう言うな。これも皆『出資者(パトロン)』のお達しなんだ。次は遊べるように調整するさ」

 

「頼みますよ、ヘッドー?」

 

 そんなやる気のない返事の中、その声は響いた。

 

 

『――――そちらの首尾は、どうだ?』

 

 

 声はどうやら、壁に貼り付けた一枚の符から流れているようだった。ここに千草がいれば、その符が異世界すら超越するほど強い力を秘めた『通信用』の符だと看破しただろう。

 

「Wow……お久しぶりですね、『ご主人様(マイロード)』。いや、『出資者(パトロン)』の方がいいですか?」

 

『どちらでも構わん。それより首尾はどうなったのだ?』

 

 そう、この声の主こそ、彼らの本当の雇い主。

 

「上々ですよ。ちゃんと初戦で、こちらの不利を印象付けました。これで『彼』を仲間に引き込まざるを得ないでしょう」

 

『そうか。これで『アーウェルンクス』がもぐりこめるな』

 

 初戦で勝つ積もりは元々無かった。むしろ、ここで不利であると天ヶ崎に印象付け、雇い主の手駒を引き込ませることが真の目的。

 

 

『アーウェルンクスのそちらでのフォローは、任せるぞ。≪笑う棺桶(ラフィン・コフィン)≫』

 

「Yes,sir! ――≪デュナミス卿≫」

 

 

 ――≪棺桶≫は、蠢く。『闇』の中を、『影』の中を。同じ『影』の同胞の下……

 

SIDE OUT




これにて、第一夜終了です!

やっぱ千雨は、傍観者気取ってる割に、こういう状況下では3-Aでも屈指の強さを誇ります。コレが彼女をメインヒロインに据えた理由です。まあ、もう一つありますが…

ザザのソードスキル。一体『何故』届いたのかが、『ネギま版』の彼の能力に直結します。何せ彼らは……『魔改造』ラフコフですから♪

さて、盛り上がってきたところなのですが、来週所用がありまして、更新を一週お休みします。休日出勤め……

―追記―

書き忘れましたが、今度から『闇の剣と星の剣』は日曜の投稿になります!ソッチの方がどうにも内容まとめやすかったので……
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