休日出勤でライフゼロの作者です。
SIDE:チウ
「――――さて、説明してもらおうか」
目の前にいるのは、板張りの床に正座をした、赤いパイナップルみたいなパパラッチと、害獣オコジョ。ようは昨夜の騒動の主犯どもである。
「あはははは……議題はなんでしょう?」
「主に昨夜の騒動の目的、そして朝倉が魔法を知っている理由と、どこらへんまで状況を知っているか、だな」
周りを取り囲むのは、ネギ、明日奈、刹那の魔法関係者組と、千雨、明石、大河内のVR組である。逃げ場などない。
「わ、わかりやした……」
エロオコジョの語ったところによると、昨日ネギが仔猫を救うために魔法を行使したところを朝倉に見られ、その口止めのためにこの淫獣が交渉、協力者となってもらったとのことだった。
「なんでバレた時点で私に言わなかった……?」
「い、いや、それは千雨姐さんが、信用できるか見極めようと……ぐえええ」
「ほう、本当は私にバレるとこんな風に怒られるからじゃないのか?」
「そ、そんなこと無いっスヨ~~~、ギブギブ! 強く締め付けすぎッス! 中身が出ちゃうーーーッ!」
現在全ての元凶である淫獣は、私の手の中で彼岸へ渡ろうとしていた。もっともこういった手合いは、異常に
「お前な、私だからまだいいほうだぞ? お前に利用されて3人とキスしちまったアイツが聞いたら、今夜の献立は『オコジョハンバーグ』になるだろうし」
「スンマセンッシターーー! 食べないでくださいッス!!」
土下座してる謎のオコジョ型害獣を見下ろすが、実際コウの奴がこの場にいなくて良かった。私もこんなキモイオコジョは口に入れたくない。アインクラッド隠しダンジョンの、下水道帰りに出された『スカベンジトードのシチュー』以来の衝撃的食事になりそうだし。
「まあ、いい。とりあえず昨日行われた≪仮契約≫の
「え?! 何でッスカ!? ここで戦力補充しないと、姐さんが言ってたヤバイ敵にも対応できないンスヨ!?」
……このオコジョ、状況わかってんのか?
「戦力の補充だと? ここにいるのは一部の例外を除いて、日本の一般女子中学生だぞ? いきなり戦場に放り出されて役に立つとでも思ってんのか?」
「う……そ、それはそうかもしれないッスけど……」
大方このオコジョは、仲介料目当てであんな騒動を起こしたんだろう。
「で、でも! 出てくるアーティファクト次第じゃ分からないじゃないっすか!」
「例え
大体アーティファクトは、魔法使いの間でも相当なレア物と聞いている。通常は出ないらしいし、出る場合は主の潜在的な能力の高さと、従者の相性や適正に左右されるらしいから、必ず戦闘に役立つものとは限らないらしいしな。
「――あ、あのさ~、長谷川」
「ん?」
ここで今まで蚊帳の外だった朝倉から声が掛かった。何か質問でもあんのか?
「今さっきの話で、『敵』とか『戦力』とか、妙な単語が出てきたんだけど、それってどういうこと?」
「……ほほう。つまり詳しい事情は聞いてなかったんだな?」
そう悟り、視線を害獣へと向ける。顔面蒼白でガタガタ震えてるが…………たりねえよ。
それからしばらくの間、人気の無い宿の一角に悲鳴が響き渡った……。
◇ ◇ ◇
「――――関東の魔法勢力と、関西の呪術勢力の抗争かー。こりゃ随分と不味い時に関わっちゃったみたいだねー」
随分軽い言い方だが、本当にわかってんのか?
「オイ、朝倉。言っとくが――――」
「ああ、分かってる。これ以上は出来るだけバレないように協力するよ。私も流石に、クラスメートを危険な場所に送りたくないもん」
口調は変わらないままだが……、まあコイツは自分の好奇心を満たして、ソレを世間一般に知らしめることに生きがい感じてるみたいではあるが、知り合いにとって痛手になるようなニュースは流さない奴でもある。そう考えれば大丈夫か。
「しっかし、≪
「ちょっと待てコラ」
さっきの説明ではラフコフの詳細など伝えていない。SAO内でのことは緘口令もあって、知る人間はいないはずだぞ!?
「へへ~♪ ジャーナリストを嘗めちゃいけないなあ、長谷川。クラス全員の個人情報調べた時に、調べておいたのさ~☆」
「マジか……」
一体どんな手段で調べたのやら……。だが、そうなると……
「……ねえ、朝倉」
「ん? なに、アキラ」
「もしかしてコウのことも……」
「……あ~、まあ知ってはいるけど…………私は何も言う気は無いかな。中の状態は私も想像することしか出来ないし、そんなんじゃ正しい判断は出来ないし、誰かに伝えることもね……」
コイツ、知ってて黙ってたのか。初日のネギ先生たちの糾弾を考えれば、ありがてえ話ではある……。……あるが。
「だからこそ、面白おかしいニュースを探すんだよねえ☆ 具体的には、『一気に美少女三人を射止めたウワサの男子中学生の知られざる性癖!』とか♪」
こういうところが苦手なんだよ……。
「買った!」
「ゆーな、毎度♪」
買うな!
◇ ◇ ◇
結局、今回ネギ先生が出してしまったスカカードは全て廃棄。唯一正規の仮契約者となった宮崎については、契約の破棄手続きを進めつつ、後日玩具のカードと入れ替えるとのことだ。もっとも契約破棄には相当の時間が掛かるとは、オコジョ談。
そして、VR組のカードについては……
「……マジで持ったままにすんのか?」
「……うん。私達もいずれは『魔法』に関わろうと思ってたし」
「ちょーどいい機会だよ☆ 私らだってそれなりに場数踏んでるのは知ってるでしょ~?」
その場数がVR内限定ならな。明石が操るキッドは、GGOの最強統一トーナメント≪BoB≫で毎回上位に入るハンドガン使いで、≪ガン・カタ≫のキッドなんて異名も持ってる。そして大河内のキャラであるレーカは、個人戦ではそこそこの実力だが、パーティー戦や
「じゃ! さっそくやってみよーよ! どうやったら秘密道具出せるの、カモっち!?」
「テンション高すぎだろ……」
「でも、ゆーならしいよ」
そう言いつつ、全員が自身の従者用コピーカードを手に持ち、構える。ちなみに主用のカードは後で渡す予定。
「「「――――
魔法の言葉とともに、全身を普段の自分の魔力とは違った力で包み込まれる。多分コレがコウの魔力であり、コウの従者になった証。
「――コレが≪
明石のアーティファクトは、≪
「≪
大河内のアーティファクトは、≪
「んで、私は……………………何だこりゃ?」
目の前に出現したのは、魔法少女もののアニメに登場しそうないわゆる『魔法のステッキ』。事前にエロオコジョに示唆された情報制御系アーティファクトにはとても見えない。
「名前は……≪
『それは間違いないでしゅ』
『!?』
いきなりこの場の誰でもない声が響き、警戒する間もなく、光を放つ物体が七つ現れた。
「「「「「「「我ら、電子精霊群を統べる、千人長七部衆! でしゅ!」」」」」」」
光の中から現れたのは、言葉を話すハムスター七匹……。私はソレを目にしたとき、声も出ないほど驚いていた。いや別にいまさらことばを話すネズミが出てきたって、驚きゃしねえ。
問題だったのは、そいつ等全員が首から紐でぶら下げてた代物だった。
それは、明らかに輝きこそないものの、形状といい、色合いといい、私がよく知るものにソックリだった。
「≪記録結晶≫…………?」
何かが、動き始めていた。
SIDE OUT
はい、アーティファクト回でした。三人のアーティファクトは基本的に原作準拠。但しこれからのストーリーに必要な仕掛けをいくつか仕込んであります。流石に尾びれで地上戦させるわけにもいかないし……
そして朝倉。のどかの秘めた想いを弄らないようにしたり、基本的にこの人は、暴走しなければクラスでも有数の良識派と作者は考えてます。地味幽霊に手を差し伸べた張本人でもありますし。
千雨のアーティファクトの変更点……実はこれこそが彼女がメインヒロインに納まった最大の理由だったりします。作者が考えた『コレ』をできるのが、3-Aの中で彼女のみだった!さて、あの結晶は『何を』記録するものなんでしょうね?