魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

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VR勢、無双回です!

まあ、魔法勢が、まだまだ未熟なので……


034 現実、魔法、そして仮想

 

SIDE:桜咲

 

「――なんだ、これは……」

 

 私は、目の前の光景が信じられない。先ほどまで全くの素人で、魔力も気も感じなかった大河内さんと明石さんが、長谷川さんのアーティファクトの効果を受けた途端、姿かたちはおろか、内包している魔力の量まで変わった。まるで完全なる別人に生まれ変わったように。

 

『くそがあっ!』

 

『とったで!』

 

 私が呆然としていると、目の前に鬼が複数迫ってきていた。とっさに斬りぬけようと身構えたが……

 

 

「『ヒドラ・ヴォーテックス』、展開」

 

 

 聞いたこともない詠唱のあと、呟かれた一つの言葉と共に、巨大な蛇の形をした水が、とぐろを巻きながら周り中の鬼どもを、手当たり次第に飲み込んでしまった。水圧で押し潰され、飲み込まれた鬼達は、あっという間に還っていく。

 

「大河内さん……その姿は、一体」

 

 彼女の姿は、ポニーテールこそ共通だが、耳は尖って髪は水色、さらに背中には同色の翅まで生えていた。その身体には青い鱗で覆われた鎧を纏い、手には三叉槍(トライデント)。一番驚いたのがその槍で、槍自体が尋常でない魔力を放出している。象嵌も見事で、恐らくは魔槍か聖槍の類なのだろう。

 

「……これはね、私のもう一つの姿。とある妖精の世界で、水の魔法を極めた者。『水の巫女』とか『人魚姫』とか妙な名前で呼ばれてるけど」

 

「『巨海神の戦乙女(ポセイドン・ヴァルキュリア)』を忘れてるよー?」

 

「ゆーな! じゃなかった、≪キッド≫! その名前、嫌いだって知ってるでしょ?!」

 

 『キッド』と呼ばれた、明石さんの姿も変わっていた。いつものトレードマークだったサイドポニーは、首の後ろで一まとめとなり、焦げ茶色のタンクトップにショートパンツ、左肩にトライバルパターンの刺青(タトゥー)を入れた、二挺拳銃の女ガンマンと言う出で立ちだった。

 

「さーて、私も行こうかな?」

 

 彼女の両手には二挺の銃。どちらも威力の大きそうな大型のものだった。

 

「≪デザートイーグル≫もいいけど……≪七色の銃(イリス・トルメントゥム)≫もいいね。すごく手に馴染む感じだ☆」

 

「キッド! いける?」

 

「もっちろん♪ 敵がどれだけいたって、この銃があれば、タンゴもジルバも踊らせ(・・・)られるよ。少ーしばかり、熱狂的過ぎるかもしれないけどね☆」

 

 そう言って彼女は、まるで散歩でもするように悠然と鬼達に近付いていく。それは本当に戦闘者なのか分からないほど、気楽な足取りだった。

 

『――ナメとるんか、嬢ちゃん』

 

 そのあまりの気楽さに、鬼共が抱いたのは怒り。たちまち手に金棒を持った鬼達が周りを取り囲む。高まる緊張感の中、彼女が浮かべた表情は…………獰猛過ぎる『笑み』だった。

 

OK,Let’s Dancing!(さあ、踊ろうか!)

 

 一瞬のうちに、鬼たちの身体が、爆発した。いや、そう勘違いしてもおかしくないほどに、はじけた(・・・・)のだ。あまりのダメージに還っていく鬼達の中心、二挺の拳銃を振り回す≪死神≫がいた。

 

 それは、あまりに異様な光景だった。彼女はまるで、踊るようにステップを踏み、振り回した銃口で、命を刈り取っていく。しかもクルクルと回っているにも関わらず、攻撃はあまりに的確。銃口が敵の眉間、心臓、肝臓、手足をほんの一瞬捉えた次の瞬間には、肉を撃ち抜き『ただの穴』へと変化させた。

 

『ぐ、ぐおおおお!』

 

 攻撃を何とか耐え切った大柄な鬼の一体が、金棒を振り下ろす。しかしその光景を見ても、彼女は慌てる素振りすら見せない。

 ガガガガン!と連続した銃声と共に、鬼の右腕が半ばから穴だらけとなり、たちまちのうちに切断される。慣性のみで吹っ飛んだ金棒は、首を傾げるだけで避けられた。

 

「……ニヒヒッ☆」

 

 戦いのさなか、彼女は常に笑みを絶やさない。それはクラスでもいつものことだったが、今の三日月のような笑みはまるで意味合いが異なる。笑い踊りながら敵を刈り取る、文字通りの≪死神≫がいた。

 

「――私の獲物まで、獲らないでもらいたいね」

 

 その言葉と共に、自分の遥か後方から飛来するのは、術式を付与したライフル弾。仕事仲間の龍宮だ。

 

「まったく、これほどの手練れだとは。仕事が無くなってしまうじゃないか」

 

 そう言いながら、彼女は愛用の狙撃銃を構え、撃つ。本来彼女は拳銃を使った接近戦もこなせるが、明石さんの戦いぶりを見て、後方からの狙撃に徹するつもりのようだ。

 

「く~~~っ、皆強いアルネ! 私もいくアルヨ!!」

 

 掛け声とともに群集に突っ込んでいくのは、古菲。卓越した拳法で、あっという間に敵をなぎ倒していく。

 

 

 そして、視線の先、長谷川さんが向かった場所には、敵を打ち倒す、『死の竜巻』が発生していた。

 

 

『な、なんやあああっ!』

 

『がああっ?!』

 

 たちまちのうちに鬼共が竜巻に巻き込まれ、還っていく。竜巻の正体は、金髪へと変化し、銀の鎧と青のドレスを身に纏った、長谷川さんの剣撃だった。

 

「――――両手剣三連撃『ソードスキル』、≪ホリゾンタル・ダンス≫。お前等にゃ何のことか、わからねえだろうけどな」

 

 長谷川さんが、私には分からないことを言う。『ソードスキル』というのが、彼女の流派なのだろうか?

 

『ナメるんやないでえええっ!!』

 

 他とは別格と分かる烏族共が、口から火球を吐く。妖気を含んだその数、二十近く。

 

「……フン」

 

 再びの剣閃。光を纏った黄金の剣によって、飛来していた火球は、全て霧散した。

 

『な……』

 

「私に魔法の類はきかねえよ……そっちも男なら、腕っ節で来な」

 

 そう嘯き、悠然と歩み寄る様は、まるで何処かの王のようにも見えた。

 

 

 ――――そして。

 

「Shit……! こんな切り札があったとはな!」

 

「オイオイオイ! どんだけ強くなってんだよ、オメエ?!」

 

「……! シィッ!!」

 

 何と三人のラフコフを、同時に相手にする漆黒の騎士の姿があった。初対面の時の森でもそうだったが、その攻撃は『暴風』。巻き添えを食った逃げ遅れの鬼は、あっという間に細切れへと変わっていく。

 

「ほら、皆何してるの?」

 

 不意に掛かった声に振り向くと、大河内さんがいつの間にか下半身を魚のヒレのように変え、ネギ先生の肩に手をかけていた。

 

「私のアーティファクト≪人魚姫の鱗衣(アリクアメ・ヴェスティメントゥム・シレニ)≫の能力は、水面を使った転移。これで、皆を一気にこのかの近くへ飛ばすよ」

 

「あ、あの、大河内さん?! 皆さんは、魔法を使えないはずでは!?」

 

「うん、使えないよ?」

 

「で、ででででも!」

 

 動揺するネギ先生に、大河内さんはポン、と頭に手を乗せて優しく語る。

 

「私達は、ここではない世界、『仮想世界』の中ではそれなりに有名なんだよ」

 

「『仮想世界』……ですか?」

 

「そう。私は、『アルヴヘイム・オンライン』、ゆーなは、『ガンゲイル・オンライン』。そして長谷川と水原は、『ソードアート・オンライン』。皆それぞれの世界で五本の指に入るくらいの実力者だから、元の力を取り戻せたら、あれくらいはできるんだよ」

 

 そうは言われても、驚愕せざるを得ない。正直な話、当初鬼共の足止めは私が行うつもりだったし、それにしたところで文字通り命懸けになると覚悟もしたのだ。だが、実際には彼女たちの加勢で戦局は完全に逆転し、私やネギ先生、それにアスナさんを同時に向かわせる余裕まで出来た。

 

「さあ、皆私に捕まって。敵が此方の意図に気づく前に、行くよ?」

 

「あ、はい!」

 

「うん、お願い!」

 

「……わかりました」

 

 ……私は、どれだけ弱かったのだ?

 

 自身の弱さをかみ締め、大河内さんとともに、戦場を離れた。

 

SIDE OUT

 




VR勢、無双!
今まで信念や覚悟はあっても、ラフコフに一歩遅れてた全員が、ようやくまともに戦えるようになりました♪
まあ、すぐまた新たな壁が立ちはだかりますが……

作中で刹那が実力差をかみ締めてますが、ホントはそこまで実力差はありません。VR勢の今の実力は、精々翼解放時の刹那や楓と同じくらいです。これから修行で強くするつもりですし☆自分で封印してたら、そりゃ勝てませんよ。

ちょっとヤンデレ入ったゆーなと、異名たくさんのアキラ。ゆーなの方は『ガン・カタ』の疾走感を出そうと頑張ったら、ああなってしまいました。ちなみに彼女のアバターイメージは、『ブ○ック・ラグーン』の某二挺拳銃さんです。

そして、アキラ。彼女の持っている武器は、以前の新アインクラッド攻略編でも書きましたが、『水魔法・回復魔法特化』という効果がついた伝説級武器≪神槍ネプチューン≫。明らかに水妖精族(ウンディーネ)用の武器を、水メイジが持った結果が、アレです。一方向に特化すると強いのは、MMORPG特有ですね♪かなり特殊なアーティファクトもあるし、実は≪両手槍≫スキルも高いし、一番ヤバイのは、彼女かも知れない……
ちなみに、『巨海神の戦乙女(ポセイドン・ヴァルキュリア)』が嫌な理由は、巨人並みの巨体だったと言われるポセイドンと、同列扱いがいやだからです。
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