『最優』と『最狂』とは、一体なんなのか!?
「Bull Shit......厄介なことになったもんだな。まさか攻略組そのままの身体能力が蘇るとは……」
目の前で幅広のアーミーナイフを肩に担ぐPoHは、そんな事を呟いた。
「お前等は、≪魔力強化≫して、ようやくかつてのSAOキャラクター並み……こっちは、元のキャラクターにプラスして、≪魔力強化≫もアリだ。大人しく捕まるんだな。魔法関係者は甘いから、今なら永久オコジョ刑とかで済むんじゃないか?」
「……」
まあ、実際にここで倒してしまってもそんな感じで収まるだろう。本当なら確実に仕留めて置きたいが、ソレが許される状況でもないし。それに――
「…………Oh、どうしたPKK。俺達を殺したいはずのお前が、まるで勝負を焦ってるみたいだぞ?」
――急がないと、この状態の『弱点』がばれるしなぁ。
「どーいうことスカ、ヘッド?」
「んー? コイツにしてみりゃ、俺達は殺しても殺し足りない仇のはずだ。それなのに、俺達に降伏を勧めてくる。まるで早めに勝負を終わらせたいみたいじゃないか?」
……くそ、やはり
「…………ク、クク。そう、いう事か? つまりは、『制限時間』だ、な」
「
…………正解だ、クソヤロウ。もっとも、正解を懇切丁寧に説明してやる義理など無い。睨みつけて、沈黙を守る。例えその『沈黙』が何よりの答えだとしても。
「どうやら当たりのようだな。だったらお前等分かってるな?」
「ウース! 時間をかけてじっくり刻んでやりましょー!」
「クク、ククク……」
舌なめずりをしながら、三人が武器を持ち直す。……くそ。元々この状態は、PoHの推測のとおり、気も魔力も大量に消費する。その上、キッドとレーカの変身を支えているのも、オレの魔力だ。チウだけは自力で変身を維持しているが、オレの変身はそんなに長く保てない。
だが、ここで一つ『意趣返し』をさせてもらう。
「――そんなことしなくても、お得意の≪ユニークスキル≫で、勝負を決めればいいじゃないか?」
その言葉に、向こうの動きが僅かに止まる。――どうやら、向こうも『同じ問題』に直面していたようだな。
「……オイオイ、そんな簡単に殺しちゃ俺達が楽しめないだろ? だからこうして――」
「ごまかしはやめなよ。はっきり言ったらどうだ? ≪咸卦法≫が長続きしないんだ、って」
≪気≫や≪魔力≫を扱う者が、必ず最後に到達する
そして、恐ろしいことに――――『十種のユニークスキル』は、≪咸卦法≫のエネルギー以外では、発動しないらしい。この半年、それなりに身体も鍛え、練習自体はしてきたが、未だに短い時間発動させるのが精々だ。とても勝負には使えない。
恐らく相手も同じ条件にあり、だからこそ連発で追い打ちをかけてこないのだろうと考えたが、どうやら当たりだったらしい。
「……どちらにしても、俺達の勝ちだ。ちょっと見てみな」
そういわれて示された方向の先。森を越えた向こう側で、巨大な光の柱が現れていた。
◇ ◇ ◇
SIDE:アキラ
「これは、本当にまずいね……」
「で、ござるな……」
森の一画、湖にほど近いところで私と長瀬、それに綾瀬は、犬耳を生やしたネギ先生と同年代の子供と対峙していた。ネギ先生を儀式場と思しき湖の近くの森に一度転移させ、不意をついて突っ込もうと考えていたところ、この少年が襲ってきた。仕方ないので私一人彼を押さえ込んでいたところ、綾瀬を探しに行った長瀬も合流したと言うわけだ。
「ハア、ハア……どうやら、オレらの勝ちやな、ねーちゃん方。アレは西洋魔法使いなんて簡単に全滅できるチカラやて、千草ねーちゃん言うてたからな。ここで降参したらどうや?」
そんなことを目の前の少年は言うけど、こんなことくらいじゃ私はまだまだ諦めてやれない!
「……長瀬、悪いけど一人でこの子の相手頼めるかな? 私は、ネギ先生に援軍を届けてくるよ」
「もちろんでござるよ。ここは拙者一人で十分。安心して行って下され」
「ありがとう!」
そう言って、私は近くの水溜りに飛び込む。ネギ先生、もう少しだけ持ちこたえて!
SIDE OUT
SIDE:ネギ
目の前には、絶望が屹立している。飛騨の大鬼神、≪リョウメンスクナノカミ≫。かつて父さんが封印したバケモノが、目の前に現れていた。
「……なんなのよ、アレ」
「くっ……」
アスナさんも、刹那さんも、絶望的な表情を浮かべている。僕等じゃ、ダメだったのか……?
「……この程度で、心が折れるとはね。期待はずれだよ」
そう言って一歩一歩近付いてくるのは、白い髪に学生服を纏った、謎の西洋魔法使い。先ほどコイツの攻撃で、僕の右腕は半ば石化してしまった。高等技術のはずの『石化』をこうも簡単に行使できるなんて……!
「殺しはしない。だけど、向かってきた以上それ相応の――――
「やらせねえよ」
――――!?」
不意に響いた声と共に、目の前から敵が消えた。代わりに目の前を閃光が奔り、離れた湖の水面に何かが落ちた水柱を立てる。
「簡単に諦めてんじゃねえよ、ネギ先生」
「……あ、ああ……長谷川さん!」
目の前に現れたのは、長谷川さんと、大河内さんだった。援軍が来たのなら、なんとかなるかもしれない!
「目障りやなあ……スクナ! 吹き飛ばしたり!!」
その声と共に、鬼神の口にとんでもない規模の魔力が集中する。ダメだ、あんなモノ、僕の障壁じゃ防ぎきれない!
「全員、私の後ろに隠れろ!!」
そう言って僕等三人の目の前に、大河内さんを小脇に抱えた長谷川さんが着地する。そして、その剣を逆手に持ち替え、両手を胸の前で
「消し飛びなはれ!!」
その声と共に、迫る光の柱。それに対するは――――
「『
十字に輝く、星の輝きだった。星の輝きが、光の柱を切り裂き、その一切を受け流していく。
「な、なんやそれはあっ!!」
猿のお姉さんが驚きの声を上げるけど、本当の驚きは、ここからだった。
「――『
光の柱が掻き消え、それの倍はある光の柱が、鬼神に向かっていったのだから。
「なあああああっ?!」
声と共に鬼神に炸裂し、大きく後退する。それでも消え去らないのは、さすがと言えるかもしれない。
「は、長谷川さん、それは――――『盾』?」
見ると、長谷川さんの両手には先ほどまでの両手剣でなく、巨大な『十字盾』が握られていた。刀身に浮かんでいた北斗七星も中心の宝玉へと移動している。
「『自分の武器を、≪
その星の輝きは、僕等全員の希望の光だった。
SIDE OUT
「オイオイ、すごい威力じゃないか。果たしてあんなところに向かったお前の女は、どうなったかねぇ?」
召還された大鬼を眺めていたPoHのヤツがそんな事を言う。こちらへの攻撃の片手間にだ。
「に、してもだ……」
そこで言葉を切り、此方を向く。だめだ、聞くな。これは、ヤツの作戦だ。
「つくづくお前も女を不幸にする男だな?」
コイツの狙いは、オレを逆上させて、自滅を狙うための――――
「ああ、なんという女だったか、ホラ……」
聞くな。聞くな。聞くな聞くな聞くな聞くな……
「――――お前がその手で命を奪った、『サクヤ』とかいう女とかなあ!」
ブツリ、と何かが切れた音がした。
「―――――――ッ!!」
「おおっと!」
渾身の一撃は、狙いを大きく外れ、周りの地面に突き刺さった。瞬間――――
地面が、
「くっ……」
「な、何アルカーーーッ!」
「コウ、ダメ!」
何か声が聞こえてくるが、もう気にしない。その声が、
「出てきたな……『
その声は、もうどこか遠くで言われているような感覚だった。身体は影とも違う漆黒の光で覆われ、考えられないほどのチカラが溢れ出してくる。それを抑え付けられず、喉も枯れよと、叫ぶ。
「オ……オォオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!」
叫ぶ。さけぶ。サケブ。
ありとあらゆる嘆きをまとい、あらゆる恨みを込めたその叫びは、どこか『産声』のようにも聞こえた。
はい、と言うわけで、主人公のユニークスキルが明らかになりました。
チウのユニークスキル、≪七星剣≫。これは単純な武器持ち替えではなく、それに対応する保有スキルすら書き換えてしまいます。そうでもないと、武器スキルだけでスキル欄は大変なことになりますから……。しかも、七種の武器は自分で設定可能でかなり自由度が高い上、SAO内では、ほぼノータイムでの切り替えが可能です。
異常なほど、『状況対応能力』が高いユニークスキル。それがこのスキルです。まあデータの改ざんに等しいため、電子精霊との相性が重要になるんですが。
コウのユニークスキル、≪狂乱剣≫。自分自身をソードスキルにすることで、通常攻撃すらソードスキル並みの威力になり、元々のソードスキルの威力も高まるというのがこのスキル。モチーフにしたのは、Fate/ZEROのバサカではなく、Bleachの一護の『無月』と『虚化』です。まあ、つまり、当然理性は……
しかも、バカデカいデメリットも設定してありますしね……
今回出てきた二つのスキル。恐らくチウのユニークスキルで、「ん?」と思った人は多いでしょうが……ちゃんと、そのあたりもやります!詳しくは麻帆良祭編までお待ち下さい!