魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

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『阿修羅』のアインクラッド終了を祝して、こっちも投稿!

ここ最近筆のノリが良かったのと、SAOP読んでテンション↑↑になっていたので、思い切ってにじファン投稿用に考えていた内容から大幅に変更してみました!

そのせいで、主人公ペアは悲惨な目に……


第二章 修行風景
004 復活の狼頭の王


「「…………」」

 

「では、魔法の授業、一時間目を始めようか」

 

「「いやいやいや……」」

 

 あの衝撃的な事件があった翌日、学校が終わった後、オレとチウはALOの仲間達にしばらく入れない旨メールを打ち、ヒースクリフの奴が用意したチュートリアル空間へとやって来た。―――そう、そこまでは良かった。

 

「どうしたのかね? 君達は魔法を理解し、それに対しての対処法を学びたいのだろう?」

 

「ああ、確かに言ったな…」

 

「ならば、迷う必要など無かろう? 存分に、学びたまえ」

 

「いや、そうじゃねえだろ……」

 

 ――そう、今問題なのは、魔法を学ぶと言う目的ではなく。

 

 

「「何で、目の前に≪イルファング・ザ・コボルドロード≫がいるんだよーーーーっ!!!」」

 

 

『グルルラアアアアアアッ!!』

 

 その方法が、問題だった。

 

 ◇ ◇ ◇

 

「何、君達は魔力を、事故のような形で目覚めさせたと言っていただろう? ならば、同じ状況に放り込めば魔力ももう一度戻り、使い方も分かりやすくなるだろうという配慮だ」

 

「それはっ、配慮じゃ、ねえっ!」

 

「チウ、スイッチ!」

 

 詳しい説明を受けながら……オレとチウは、イルファングの奴が引き連れた取り巻きの≪ルインコボルド・センチネル≫を相手にしていた。このイルファング、相手は二人だけだと言うのに、仕様も能力もSAO時と全く同じで、取り巻き召還能力までそのままだった……。現在、二人して周りのセンチネルの攻撃を捌くのが精一杯と言う状態だ。

 

「このままじゃ、ジリ貧だな……」

 

「ああ、たしかにね。……でも」

 

「……ああ」

 

 今まで防戦一方だったのには、ワケがあった。

 

 

「何で、ソードスキルが、発動しねえんだよ……」

 

 

 オレたちが、あのアインクラッドとアルヴヘイムで最も頼りにしていた攻撃、≪ソードスキル≫が発動しなかったからだ。

 

「―――この空間は、君達が魔力や気と呼ばれるチカラを操れるようになるための空間だ。当然、それに準じた処置が取られている」

 

 オレたちに答えたのは、この空間を作り上げた元凶、ヒースクリフだった。

 

「フザけんなっ! ソードスキル無しでどう戦えってんだ! 何だよ、処置ってのは!!」

 

「全く、だな! せめてどういう、処置なのか、教えろよ!!」

 

 センチネルの攻撃を、左手の≪アニールブレード≫で捌き、右手の≪ボクトウ≫で打ち据える。この空間に入った後、ヒースクリフに渡されたのはゲーム最初期に存在した武器だけで、オレが使っていた野太刀≪ヒガンバナ≫も取り上げられ、代わりにカタナカテゴリ最弱の≪ボクトウ≫を渡された。…まあ、スキルは共通なので使えるが。

 

 唯一変わらないのは、二人の防具――――いや、もう、本来の用途に従って、こう呼ぼう。

 

 

 すなわち、『コスプレ衣装(・・・・・・)』と――――!

 

 

「……に、しても、『最強の湖の騎士』と、『伝説の騎士王』がこんなザコに囲まれるっていうのは、笑えないな…」

 

「言うな……」

 

 ――――そう、オレたちの今の姿は、チウがかつてハマった某18禁ゲームのシリーズに出てきたキャラクターの姿であり、なおかつ実用的な改造を施したものだ。……まあ、チウいわく、『全年齢版が出てたんだよ! それで知ったんだよ!』だ、そうだが。

 

 その中で、オレの姿はゲームの前日譚で登場したバーサーカー、『湖の騎士・ランスロット』の鎧を元にしており、つや消しのブラックには『隠蔽ボーナス』が施されている。

 

 対して、チウの姿はそのゲームの格闘ゲーム版に出てくる、『伝説の騎士王・アーサー王』の衣装バリエーション、≪セイバー・リリィ≫と言うらしい。全年齢版は、中学に上がってからやったが、流石に派生キャラまでは分からなかった。白のフレア・スカートと銀の鎧が特徴で、動きやすさと装甲を両立させた装備となっている。

 

「てか、ヒースクリフ! いい加減どんな処置を施したのか、教えやがれ!!」

 

「全く、だ!!」

 

 正直センチネルの攻撃を捌くのもやっとだ。頭数を減らさないと、こっちがやられる!

 

「何、簡単な処置だよ――――」

 

 そう言って、ヒースクリフは口元を少し綻ばせた。

 

 

「≪魔力≫か≪気≫を込めないと、ソードスキルそのものが発動しない。それだけさ」

 

 

「「……ッ! …………ふ、」」

 

 

 次に喉から出たのは、オレたちの正直な心情だった。

 

 

「「フザけんなあーーーーっ!!!」」

 

 

 何の説明も無く、こんな無理ゲーに放り込む辺り、コイツはやはりドSなのではないだろうか?

 

「まあ、そう怒らずにやってみたまえ……ちなみにこの空間は、ペイン・アブソーバーも少し弱めてあるので、殺されてしまうと、現実に戻ってもしばらく痛いぞ?」

 

「だから、全部後で言うんじゃ―――おわ、アブネ!」

 

「チウ、ひとまずアイツは置いておこう! まずは目の前のコボルド達を!!」

 

「ああ、そうだな……!」

 

 言うと同時に、チウの≪ブロンズクレイモア≫が目の前に来たルインコボルドを真っ二つにした。たとえソードスキルを封じられても、あの二年間の経験値はこの程度の相手に負けることを許さない。

 

 

 ……だが、それでも。

 

「くそっ、ソードスキルが無えんじゃあ……」

 

「ここらが限界、か……」

 

 オレたち二人の目の前で、イルファングは持っていた骨斧と円形盾を放り投げ―――腰に携えた野太刀を掴んだ。カタナスキルは、変幻自在。戦うのなら、意表をつく暇も与えないくらいの短期決戦が望ましいが、今のオレたちには決め手が欠けている。

 

「とりあえず、魔力だの気だの込めりゃあいいんだろ? やってやらあ!」

 

「まあ、コイツの煩い叫びにも飽きてきたしな…」

 

 こちらも、それぞれが手にした剣を構えた。…だが、チカラを込める感じが分からない。

 

(昨日、オレ達はどうしてた? どうやって、あのチカラを出した……?)

 

 思い出し、反芻する。一度は呼び出すことができたチカラを、再び探し出す。

 

(ああ、そうだ。確か……)

 

 そうして、紡ぐ。

 

「「≪リンク・スタート≫」」

 

 それを口にすると、身体の中に、小さな炎が灯った。

 

「ほお……それを始動キーに選んだか……」

 

 茅場のセリフも、今は遠くに聞こえる。自分の中の、本当に小さな種火を少しでも大きくしようと、意識を集中する。

 

(まるで、この小さな種火から、身体全体へ血がめぐるみたいだ)

 

 事実、そうなのだろう。その種火を中心として、手足が暖かくなり、力強いナニカに身体をくるまれているような感覚がある。そして、その種火から………………黒い(・・)炎があがる。

 

『グル……?!』

 

『ギッ!?』

 

 気づけば目の前まで迫っていた、コボルドたちの足が止まる。身体から噴きあがった熱を持たない冷たく黒い炎は、そのまま両腕を黒く染め上げ、持っていた≪アニールブレード≫と≪ボクトウ≫をも染め上げる。

 

「へえ…これがオレのチカラなのか……」

 

 手にした武器は黒く黒く、以前の≪アニールブレード≫より、はるかに斬れそうな深みのある黒鉄色へと変化していた。≪ボクトウ≫もまた、以前よりはるかに硬く、重々しく変化している。

 

 

「お前、それ、完璧悪役だぞ」

 

 

 そう言って近付いてきたチウの手には、とても青銅(ブロンズ)製とは思えないほどの輝きを放つ両手剣(クレイモア)があった。……やたら輝いてるし、向こうのほうが確かに正義の味方っぽい。

 

「さて、そろそろ……」

 

「ああ。反撃の時間だな」

 

 そう言って、振り向く。狙うのは……取り巻きの向こうにいるイルファング王。

 

「ボスのタゲはオレが取る。取り巻きの相手を頼める?」

 

「へっ、誰に言ってんだ!」

 

 そう言って横合いに構えた剣とともに、チウが走る。その手には……水色のライトエフェクトへと変化した両手剣。

 

 

「ハアアアッ!」

 

 

 水色に光る剣とともに、チウが踊り狂う。両手剣用水平三連撃ソードスキル≪ホリゾンタル・ダンス≫。連撃数は片手剣よりも少ないが、両手剣の威力の大きさと、円を描く剣閃が遠心力を生み、単独の敵に叩き込めばボスにすら効果的なスキル。今回はその連撃を、三体のセンチネルに叩き込んだ。

 

『『『ギギャアッ!』』』

 

 耳障りな声を上げて、センチネルが一気に三体消滅する。何だかんだで、アレは十分に上位スキル。第一層のボスの取り巻き程度で耐えられるわけもない。

 

『ウグルゥオオオオッ!!!』

 

「まあ、そう来るよ……なっ!!」

 

 取り巻きの消滅とともに、野太刀を腰だめに構えて一気に走り寄ってきたイルファングの前に、今度はオレが出る。その右手には……イルファングと同じく、緑色に輝く腰だめに構えたカタナ。

 

『ウグルオッ!!』

 

「おおおっ!」

 

イルファングの水平な居合いを、ほんの僅か下から上へと軌道を変化させた居合いが打ち上げる。居合い系ソードスキル≪辻風(ツジカゼ)≫。突進技として非常に優秀な、瞬速のソードスキル。

 

 

 ……そして。

 

 

『ウグルラアアアッ?!』

 

「……惜しかったな」

 

 居合いを跳ね上げられたイルファングの胸に、赤黒く輝く片手直剣が深々と突き刺さった。自分と同じ二刀流の、とある剣士に教えてもらったシステム外スキル。

 

 システム外スキル≪剣技連携(スキルコネクト)≫。片手で出したソードスキルの、硬直が始まるまでの僅かな時間に、もう片手の武器でソードスキルの事前モーションを出すと、硬直時間をソードスキル発動で塗り替えてしまうというもの。本家と違って何度も繋げるのは無理だが、最近は一つか二つなら繋げることも出来るようになってきた。…ただ、タイミングがシビアすぎて、オレと本家以外使えないらしいが。

 

『グ………グルラアアアアッ!!』

 

「お、まだあがくか」

 

「あがくかじゃねえだろ……≪辻風(ツジカゼ)≫の後に、≪ヴォーパル・ストライク≫とか鬼畜過ぎるだろうが」

 

 まあ、単発重攻撃ソードスキルだしな。イルファングは今の一撃が見事にクリティカルに決まり、最後のHPバーが3割は減っている。

 

「…次は、オレから突っ込むよ」

 

「オウ」

 

 本当に短いやり取り。だけど、それだけで意志が伝わる。それだけの時間、この戦友に背中を預けあってきた。

 

 目の前のイルファングは、更なる追撃を跳ね除けようと、出の短い単発系ソードスキルを乱射するような戦法を取っていた。だが、それはカタナ使いには悪手。

 

「オ……ラアッ!!」

 

 イルファングの上段なぎ払いを低い姿勢で潜り抜け、下段から跳ね上がった≪ボクトウ≫で、イルファングを空中に打ち上げる。スキルコンボ開始打ち上げ技、≪浮舟(ウキフネ)≫。

 

「「スイッチ!!」」

 

 空中に浮かんだイルファングへと、チウの身体と上段に振り上げたクレイモアが向かっていく。両手剣の上段ダッシュソードスキル、≪アバランシュ≫。突撃距離が長く、空中に向けて放てば空を駆け上がる(・・・・・)ことすら可能なスキル。

 

「ハアッ!」

 

 チウのクレイモアが、イルファングの右わき腹を深々と抉る。そしてその横をすり抜ける、赤いライトエフェクトを≪ボクトウ≫に纏ったオレ。

 

「ゼ……アアアアアッ!」

 

 目にも止まらぬ上、下の連撃に一拍溜めての突き。カタナ三連撃ソードスキル≪緋扇(ヒオウギ)≫。ここまでの攻撃でイルファングのHPは残り二割。最後の突きの衝撃で、大きく空中を吹き飛んだイルファングに、

 

「アアアアアッ!」

 

 背中側から、両手剣を八双に構えたチウが待っていた。両手剣用単発重攻撃ソードスキル≪ヴォーパル・インパクト≫。≪ヴォーパル・ストライク≫以上の威力を誇るそれは、イルファングを背中側から突き破り、無数のポリゴン片へと変えた。

 

「…ふう。お疲れ、チウ……あ、あれ?」

 

「ん、どうした? コウ……んあ?」

 

 気づくと、二人して地面に尻餅をついていた。なんだ?

 

 身体に…チカラが入らないような……

 

 

「それは、単に『魔力切れ』だよ」

 

 

 そう言ってのけたのは、オレとチウをさっきまでの状況に放り込んだ張本人、ヒースクリフ。

 

「な…何……?」

 

「慣れていない魔力の運用で、精神力が尽きたのだろう……そのまま寝れば、治るだろうさ」

 

「て、てめえ…」

 

 チウがまるで這うようにヒースクリフに向かっていくが、その動きは緩慢で、かく言うオレも、目蓋がひどく重い。

 

 

「眠りたまえ、二人とも……さらなる魔法の授業はこれからだ」

 

 

 ヒースクリフのムカつく口上とともに、オレたちの意識は落ちていった……。

 

 




と言うわけで、修行話の開始でした!

この後は訓練相手として、SAOのボスラッシュに放り込もうと思います!

まあ、本編の展開に関係ないときは出せないですけど…
しかしスキル発動に制限ありのハードモードのボスラッシュって、ホントに鬼畜仕様だ……

追記(12月23日):明日の最新話の更新に先立ちまして、イルファングとの戦闘を大幅に加筆しました! 結構好きなボスなのに、あっさりし過ぎだったので……
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