オマケに、今週の週刊少年マガジン掲載の、『とある作品』の盛大なるネタバレが存在します!
まだ読んでない人、単行本派の人は、今すぐにブラウザバックして、明日掲載予定の本編から本作品の続きをお楽しみ下さい♪
以下、ネタバレ回避
いいですか、いきますよ!
――これは、起こり得るかもしれない物語。
あるかもしれない、ないかもしれない、あやふやで、確定しない物語だ。
◇ ◇ ◇
「てめェッ! 雪姫を離しやがれッ!!」
昼なお暗い森の中、一人の少年が木製の刀を振りかざし叫んでいた。
「フンッ。生意気言うなら、実力で離させたらどうだい? クソガキ」
「そうしてやらぁっ!」
勢いに任せ、一気に距離を詰める少年。しかしそれを見据える老婆は、慌てる素振りすら見せない。
「バーサーカーッ! やっちまいな!」
声に答え現れるのは、漆黒の鎧の騎士。狂気を湛えた紅い眼光は、確かに異様だった。
「ジャマ、すんじゃねえッ!!」
「オオオオオッ!」
森の中、衝撃が走りぬけた――――!!
◇ ◇ ◇
「なあ、雪姫。本当に道こっちであってんのか?」
森の中に似つかわしくない声が響く。少年の名は、近衛刀太。『永遠』を約束されてしまった少年である。
「やかましいぞ。子供は黙ってついて来い」
隣にいる妙齢の女性は、雪姫。本名はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルという、700年の時を生きる
「大体さ、旧友に会うとか言ってたのに、何で森の中に分け入っていくんだよ? どんどん人家から離れていくぜ?」
「アイツは結構な変わり者でな……我々と違ってフツーの寿命の人間だと言うのに、『生涯現役』とかホザいてる奴なのだ」
「へー。で、そんな変わり者が森の中に住んでるのか?」
「イヤ。アイツは火星在住だったり、とある城に住んでいたりで、今ではほとんど
「それ、どんな奴だよ……」
そうぼやきながら踏み出した足が、ピンと張られたワイヤーを引っ掛けた。
「へ……うおおおお!?」
次の瞬間、刀太は地面に隠されていた鉄製の網に絡め取られ、宙吊りとなってしまった。
「バカモノ。こんなチンケな罠にかかるとはな。帰ったら、素振り1000回追加だ」
「イヤ、それより助けてくれよ!?」
刀太も必死で出ようとするが、網自体結構な強度であり、身動きが出来ない。
「しかし妙だな。何故ヤツの隠れ家の近くにこんな罠が? まさか、どこぞの賊か?」
「え――――雪姫、後ろ!」
「何ッ?!」
振り返った彼女を襲ったのは、ローブ姿の人物。その人物が手に持った符が彼女に貼り付けられ、幾重もの光のロープへと変わった。
「拘束の呪符か! 随分古風なものを使う!」
「フン、あの伝説の吸血鬼と、あの英雄の子孫を狙うんだ。それなりの準備はするさね」
「ぐっ……」
「雪姫ぇっ!」
雪姫は捕らえられ、自分達の命運も尽きたかと刀太が考えたとき、不意にその網は地上へと下ろされた。
「……何のマネだ?」
「ハッ、私の目的はね、アンタもなんだよ。とある英雄と、近衛家の血を継いだアンタもねぇ!」
「上等だァッ!」
老婆の挑発に乗り、刀太は背負った荷物から木刀を引き抜いた。
◇ ◇ ◇
(畜生ッ……!)
刀太は、徐々に徐々に焦っていった。それというのも、目の前の黒ずくめの騎士が、以前に戦った相手とは比べ物にならないほどの強敵だったからだ。
(攻撃は、とんでもなく激しく早い……そして、防御は冷静。炎と水が同居してるようなヤツだ……)
いつも雪姫からも口を酸っぱく言われている、『心は熱く、冷静に』。その究極の完成形が目の前にいた。
「しかも……さっきから、なんなんだよ、その攻撃はァッ!」
「ハアッ!」
目の前の騎士が刀と剣を振るたび、光が刀身を包み込み、威力も速さもとんでもないモノに変化するのだ。あまりにも実戦的な『魔法』を目の当たりにしていた。
「チッ……なんだか、期待はずれだねぇ。『あの血筋』なら、もうちょっと踏ん張ってもいいだろうに」
ずっと観戦していたローブ姿の老婆からも、そんな事を言われた。刀太にとって、余りにも歯がゆい内容だったが言い返すことも出来なかった。
「仕方ない……『
「……っ! おい、クソババア! 雪姫に手ぇ出したら、俺が許さねえぞ!」
落胆したような表情で呟かれた一言に、空気がほんの僅かに変わった。
「……へえ、どう許さないって言うんだい? アンタまさか、賞金首のコイツをかばおうってのかい?」
「雪姫は、何も悪いことなんかしてねえ!」
思わず出たその言葉に、返ってきたのは、失笑だった。
「バカ言うんじゃないよ、クソジャリ。目の前にいるのが一体誰なのかも分からないのかい? コイツはエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。6億円の賞金がかかった、伝説の吸血鬼さね」
「……せえ」
「若く見えるが、本当は700歳。ハッ、本物の『化物』じゃないか」
「……うるせえ」
「大体アンタ、恨んでないのかい? 元はと言えば、この目の前の吸血鬼のせいで――」
「うるせえってんだよ! 雪姫は、オレの大事な家族だ! それ以上悪く言うんじゃねえッ!!」
激昂と共に、行うのは突貫。だが、ソレを行うには彼我の差はあまりに大きすぎた。
「勇気と無謀を履き違えるではないよ、少年」
その言葉と共に、刀太の左腕は抜き打ちの刀に斬り飛ばされ、右腕は騎士の左手の西洋剣に貫かれた。
……が。
「まだだァッ!!」
何と残った口で噛み付いた。伝承ならともかく、吸血鬼化の治療すら可能となった現在では、それはただの「噛み付き」。何の意味もない「悪あがき」。しかしその攻撃は、確実に何かの琴線に触れた。
「「――、合☆格」」
「は……?」
その言葉の後に、打ち鳴らされる破裂音。音源は老婆と騎士の持つ、ちゃちなクラッカーだった。
「え? え?? ええ???」
「ふむ、腕はまだまだだが、根性だけはあるのう」
「そうだね。鍛え方次第で化けるかも知れないねえ。何より…………『雪姫は、オレの大事な家族だ!』、なーんて熱いセリフ、本人の目の前で言えるなんてね。さっきのマクダウェルの顔が、傑作だったよ♪」
「やかましいぞ、キサマラ!!」
よく見ると、捕まっていたはずの雪姫も、何時の間にやら老婆の後ろで叫んでいた。もちろん拘束などされていない。
「ど、どういうことだよッ?!」
「ああ、実は――――」
「「「「「『
「何ッ!?」
説明しようとした雪姫の言葉は途中で遮られ、全員の身体に魔法アプリの拘束具が巻きついた。
「ハハハハハ、観念しろ、吸血鬼!」
「『本命』を浚いにきたら、思わぬ収穫だな」
「これで俺たちは億万長者だ!」
ドヤドヤと現れたのは、あちこち武装したローブ姿。その手には杖を持ち、明らかな敵意。先日のヤツと同じく、賞金稼ぎと分かる者達。見ると彼等は、勝利を確信し、勝手な未来予想図を語っている。
――それが、叶うことはないとしても。
「――――『
老婆のたった一言とともに、蔦は拘束を解き、術者自身に襲い掛かった。
「何ィッ!」
「馬鹿な、最新の魔法アプリが術者を襲うわけが?!」
あっという間に拘束される賞金稼ぎたち。その目の前には、すさまじい笑みを浮かべた老婆がいた。
「アンタ達、どうやら私のところに遊びに来たみたいだねえ……ソイツを作ったのは、一体誰だと思ってるんだい?」
「し、しかし、このアプリの製作に、貴様は関与していないはずだ!」
「どんな魔法アプリでも、基礎理論は私のさ――――私は、
「「「「「あああああ!?」」」」」
あっという間に賞金稼ぎ一行は、足元に現れた魔法陣に吸い込まれた。途端に森は、静寂を取り戻した。
「大丈夫かのう、刀太少年?」
「え、あ、オウ……で、つまりどういうことだよ?」
先ほどまで戦っていた騎士に心配され、刀太の頭は戸惑いで一杯だった。そこに投げかけられたのは、雪姫からの一言。
「つまり、コイツラが私の旧友だ」
「…………え?」
◇ ◇ ◇
雪姫の旧友が、直に刀太の今現在の出来を見たがった。つまりは、そういうことだった。そのために両腕を吹き飛ばされたり、ボコボコにされ、もう散々と言える状況だったが。
もっともその後、老婆と騎士から受けたシゴキという名の地獄の方が、彼にしてみればトラウマものだったが。
「生きててよかった生きててよかった……」
「オイ、いい加減戻れ」
「ふがっ!?」
脳天への一撃で、強制的に現実に回帰する。
「いや、おかしいだろ、あの二人。年齢聞いたら90超えてるくせに、何であんなに元気なんだよ? おまけにやたら強いし」
「あの二人は定期的に
「……なんでそこまでして、長生きしてんだよ」
「…………フン」
その話題に、雪姫は僅かに空を見上げた。
「ただの――――旧い友人との『約束』さ」
◇ ◇ ◇
これは、とある未来の物語。悠久の時の先に、辿り着けるかもしれない物語だ。
というわけで、赤松先生最新作、『UQ HOLDER!』より、主人公の近衛刀太君と、雪姫さんにご出張いただきました♪
100年以上後まで、プロット作ってて良かった……
この番外編、あの作品でテンション上がりまくって、勢い任せに合計二時間で書き上げました。やっぱ勢いって大事だなあ。
ちなみにこの番外編の設定、千雨の英語名は仕事の際のハンドルネームで、魔法アプリから軌道エレベーターの制御プログラムまでプログラミングした、最強プログラマーという設定です。そりゃ狙われるわ……
コウの設定は出ませんでしたが、これ書いちゃうと、色々ラストが変化してしまうので☆
『とある城』とは何ぞやとか……突っ込んじゃいけません!