それと以前投稿した番外編を移動し、順番を変えました。この話の前に新しい主人公設定が入っています!
SIDE:千草
――何で、こないなったんやろうなあ……
ウチの名前は、天ヶ崎千草。元々は関西呪術協会に所属し、主に京都を中心とした符術の使い手として、それなりに名も通っとった。それが、憎き関東の西洋魔術師どもが、よりにもよって十歳のガキを『親善使節』とか抜かして送り込んでくる、ゆう話を聞いて、関西の中でも『過激派』と呼ばれる一派の思惑に乗ったんや。
そーや。元々悪いのは、関東や。子供を送り込んでくるわ、関西の長の愛娘を関東から返さんわ、あまつさえ、関東のナスビ頭が勝手に決めた相手と婚約させようとするわ!聞いた話が本当やったら、お嬢様が小学生の頃からお見合いさせてた言うやないか!ボケがはじまっとるんやないか、あのぬらりひょん!!
……父様と、母様のことかて、ウチは許してへん。二人とも裏の仕事しとったから、そーいうこともあるいうんは、わかっとる。当時は魔法世界の戦争で、いくらでも戦力が必要な頃やったから、結界や召還のエキスパートとも言える関西の術者が、多く出稼ぎに行ってたのもわかっとる。
――――それでも、向こうの本隊が退却するまでの
魔法世界本国ご自慢の、≪
……結局何が言いたいんか、いうとな、全部関東と西洋魔術師が悪いいうことや。だから、ウチに原因ないねん。だから、ウチ悪くないねん。せやからな、
首に押し付けとる白刃を、離してもらえんかな?烏族のハーフはん?
SIDE OUT
……今現在、目の前では修羅場が展開されています。
此処は、麻帆良学園都市内の軽食中華喫茶、≪超包子≫の一席。あの激動の修学旅行からしばらく経ち、今回『先端技術対策管理室』から新たな特別派遣員が配属されてくることになった。
それでその面通しと、彼女の職務のため、この一席でネギ先生一派と晴れてご対面となったところ、いきなり桜咲さんが彼女へと襲い掛かった。首筋にピタリと野太刀を押し付けたまま、物凄い殺気を放っている。
「――いや、コレ修羅場じゃねえだろ。どこからどう見ても殺人未遂の現場じゃねえか」
「……そうだな。どうしようか、チウ」
多少もめるとは思っていたが、ここまでとは。後ろでは神楽坂さんもハリセン出して睨みつけてるし、ネギ先生はオロオロしてるし。
「………………何のつもりで、この女を連れてきたのですか」
白刃押し付けてる当人は、とんでもない目つきで睨みつけてきてるし、な。
「――さっきも言ったとおりだよ。彼女は関西から除名され、晴れて日本政府預かりの身の上となった。まあ、過去は水に流して、みんな仲良くやってくれないかな?」
……よく、この空間でいつもどおり会話できるな、菊岡サン。まあ、揉めると解っていたからこそ、コイツも巻き込んだのだが。
「――そんなことが! この女が、どれほどのことをしたと思っているのですかッ!!」
「だからこそ、水に流して欲しいんだよ。これからのことを考えるとね」
「――これから?」
菊岡さんの発言に、全員が訝しげな顔をする。彼女の任務内容を伝えたら、全員激昂して襲い掛かってきそうだな……。
「彼女の関東での主な任務は、ウチの現地雇用職員達の監督……そして、近衛嬢への関西呪術の継承だからね。ちなみに後者は詠春氏からの正式な依頼だよ」
「なッ?! そんなバカな!! 長がそんなことを、よりにもよってこの女に頼むハズがない!」
「もちろん、コレには理由があってね。近衛嬢が魔法を知ってしまった以上、彼女の血筋を考えれば、否応無く関東・関西が現在抱える対立にも巻き込まれる……彼女が将来どういった道を歩むにせよ、関西の呪術を彼女に継承させなかったとあれば、関西の中で問題にもなる。しかし優秀な術者は、中々関東に送りこむことが出来ない。そこで日本政府預かりの身となった彼女に、白羽の矢が立ったというわけさ」
まあ、対立中の組織に、わざわざ優秀な術者を『教師』として派遣する者はいないだろうしな。その上、近衛さんが魔法使いになったら、関東へ彼女を送り込んだ詠春氏は、まず間違いなく関西から失脚する。
「しかし!」
「それとも、君が彼女に呪術を教えられるのかい? 関東に、関西屈指の≪呪符使い≫以上の術者がいるとは思えないけど」
「ぐ……!」
まあ彼女の心配も十分わかる。オレ達も基本、元オレンジは信用しないし。
「心配しなくても、この女が妙なマネしたら、私等で速攻追い出すさ……そのためにも、私達の監督役なんだし」
「そうだな。もし精神操作や洗脳の疑いを抱いたら、どうなるか……」
そこで言葉を切り、魔力を練って、ほんの僅かに殺気を解放する。それだけで、天ヶ崎さんは顔を青くし、身震いした。
「言われんでも、そんなことせえへんよ……木乃香お嬢様には、関西の現状を知ってもらって、自発的に味方について貰いたいんや。その方が、将来のためにもなるんやからな」
「なっ!? お嬢様が、キサマのような者の味方になるはずが無かろう!」
「ハッ。未来は、誰にも分からんもんやで? それにお嬢様は、関東で魔法の裏事情もなんも知らんで育ったんやろ? 洗脳なんぞせんでも、裏事情を正直に話せば、案外いけるんやないかな、と思っとるんや」
まあ東と西、対立する双方の長の血統だしな。ある程度年齢がいけば政治的判断も出来るようになるだろうし、チウに聞いた話だと、結構腹黒らしいし……
「なー、今、何考えたんや? 水原君☆」
……近衛さん、笑顔が怖い。絶対この人のほうが、父親より政治家向きだよな……。
「いやいや、別に? それよりこれで近衛さんは、関西由来の陰陽道を学べるな。あと、西洋魔法については、マクダウェルさんが教師役って聞いてるけど?」
「そーやな。エヴァちゃんは治癒は専門やないんやけど、色々魔法の古文書とかは持っとるから助かっとるんよ」
「まあ、立場上仕方ないとはいえ、やっぱり西洋魔法も教えるんやな……」
それに若干不服そうなのが、天ヶ崎さん。まー魔法使いへの悪感情まで払拭できるわけも無いが。
「『近衛さんの選択肢を広げる』……それが彼女に関しての優先事項だと、詠春氏から伺ってますよね?」
「分かっとるわ。まー、ここにおった方が座敷牢で過ごすよりは、ウチの目的に近づけそうやからな。教師役、喜んでやらせてもらいますわ」
履歴を見ただけでは、大まかな動機しか分からなかったけど、この人にもやはり色々あるということか……。あ、そういえば。
「そうだ、ネギ先生。この間、マクダウェルさんと古菲さんに弟子入りしたんだってね。遅くなったけどおめでとう」
「あ、はい……本当はお二人にも剣の扱いや、剣と戦う際の対処法などを教えて頂きたかったんですが……」
「それは、ダメだっていったろーが、ネギ先生? 私達は剣で戦うことに特化し過ぎてて、魔法を使って戦うことに関しては練度が低い。オマケに魔法使いとしてのキャリアは半年ほどだ。どう考えても、教師役としては不適切だ」
チウ、そこまで言わなくても……。ホラ、落ち込んじゃった。
「そ、それなら、大河内さんとかはどう? あの娘、水を蛇みたいに操ってたじゃない」
「
「そ。そうですか……あの魔法を使えるようになれば、『どらごん』とも戦えるかも、と思ったんですが……」
……ナニカ、変な単語があったような。……まー、でも?アレはアレで、ドラゴンよりも強いかもなぁ……
◇ ◇ ◇
「「きゃあああああああ!!」」
『グルラアアアアアッ!!』
二人分の少女の悲鳴が響き渡る中、大量の部下を従えた狼の頭持つ≪王≫は、咆哮する。いうまでもなく、コウとチウがかつて篭った『魔法チュートリアル空間』である。
「無理、無理ィィィィィッ!!
「私も大威力魔法の使いすぎで、もう残りが……!」
なまじ二人ともが、基本的に中衛・後衛型だったことも災いし、二人とも息もたえだえだった。この空間で優雅なのは、ただ一人だけである。
「まあ、頑張りたまえ……終わったら、君等にも私のここ数年の成果をご馳走しよう」
「なんで、仮想空間で、『醤油ラーメン』食べなきゃいけないんですかーーーッ!」
「そもそもなんでそんなモノ研究して……来たよ! キッド!」
律儀に突っ込む二人と、そこへと突撃する≪イルファング・ザ・コボルドロード≫を眺めながら、この空間の主、≪ヒースクリフ≫は醤油ラーメンのスープを啜った。
「フム、やはり醤油ラーメンは、こうでなくては」
目の前の光景の割りに、一人だけ平和だった。
と、いうわけで、ネギの弟子入り編はすっとばしました!
自分がどう書いたところで、原作と同じになりかねなかったので……その代わり、ネギの過去編と悪魔編は少しずつ原作と違ってきます。何せ『あの城』も出す予定なので!
この作品の主人公であるコウも、重い過去を抱え、歪みを内包しています。ネギの場合は、英雄(父親)への妄信。そしてコウの場合は……実は『それ』こそが≪狂乱剣≫の持ち主たる所以だったりもする……。まあ、本編をお楽しみに♪