魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

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ネギの過去編、そして悪魔編、その序章! はじまりはじまり……

それと以前投稿した番外編を移動し、順番を変えました。この話の前に新しい主人公設定が入っています!




040 新たなる日々

SIDE:千草

 

 ――何で、こないなったんやろうなあ……

 

 ウチの名前は、天ヶ崎千草。元々は関西呪術協会に所属し、主に京都を中心とした符術の使い手として、それなりに名も通っとった。それが、憎き関東の西洋魔術師どもが、よりにもよって十歳のガキを『親善使節』とか抜かして送り込んでくる、ゆう話を聞いて、関西の中でも『過激派』と呼ばれる一派の思惑に乗ったんや。

 

 そーや。元々悪いのは、関東や。子供を送り込んでくるわ、関西の長の愛娘を関東から返さんわ、あまつさえ、関東のナスビ頭が勝手に決めた相手と婚約させようとするわ!聞いた話が本当やったら、お嬢様が小学生の頃からお見合いさせてた言うやないか!ボケがはじまっとるんやないか、あのぬらりひょん!!

 

 ……父様と、母様のことかて、ウチは許してへん。二人とも裏の仕事しとったから、そーいうこともあるいうんは、わかっとる。当時は魔法世界の戦争で、いくらでも戦力が必要な頃やったから、結界や召還のエキスパートとも言える関西の術者が、多く出稼ぎに行ってたのもわかっとる。

 

 

 ――――それでも、向こうの本隊が退却するまでの殿(しんがり)を押し付けて、あまつさえ見殺しにするんは、違うやろ。

 

 

 魔法世界本国ご自慢の、≪立派な魔法使い(マギステル・マギ)≫の奴等は、『死にに行くようなものだ』とか言われて押し留められとったそうやし、ご立派なことや。誰も、ウチの両親を助けてくれんかった。

 

 ……結局何が言いたいんか、いうとな、全部関東と西洋魔術師が悪いいうことや。だから、ウチに原因ないねん。だから、ウチ悪くないねん。せやからな、

 

 

 首に押し付けとる白刃を、離してもらえんかな?烏族のハーフはん?

 

 

SIDE OUT

 

 ……今現在、目の前では修羅場が展開されています。

 

 此処は、麻帆良学園都市内の軽食中華喫茶、≪超包子≫の一席。あの激動の修学旅行からしばらく経ち、今回『先端技術対策管理室』から新たな特別派遣員が配属されてくることになった。

 

 それでその面通しと、彼女の職務のため、この一席でネギ先生一派と晴れてご対面となったところ、いきなり桜咲さんが彼女へと襲い掛かった。首筋にピタリと野太刀を押し付けたまま、物凄い殺気を放っている。

 

「――いや、コレ修羅場じゃねえだろ。どこからどう見ても殺人未遂の現場じゃねえか」

 

「……そうだな。どうしようか、チウ」

 

 多少もめるとは思っていたが、ここまでとは。後ろでは神楽坂さんもハリセン出して睨みつけてるし、ネギ先生はオロオロしてるし。

 

「………………何のつもりで、この女を連れてきたのですか」

 

 白刃押し付けてる当人は、とんでもない目つきで睨みつけてきてるし、な。

 

「――さっきも言ったとおりだよ。彼女は関西から除名され、晴れて日本政府預かりの身の上となった。まあ、過去は水に流して、みんな仲良くやってくれないかな?」

 

 ……よく、この空間でいつもどおり会話できるな、菊岡サン。まあ、揉めると解っていたからこそ、コイツも巻き込んだのだが。

 

「――そんなことが! この女が、どれほどのことをしたと思っているのですかッ!!」

 

「だからこそ、水に流して欲しいんだよ。これからのことを考えるとね」

 

「――これから?」

 

 菊岡さんの発言に、全員が訝しげな顔をする。彼女の任務内容を伝えたら、全員激昂して襲い掛かってきそうだな……。

 

「彼女の関東での主な任務は、ウチの現地雇用職員達の監督……そして、近衛嬢への関西呪術の継承だからね。ちなみに後者は詠春氏からの正式な依頼だよ」

 

「なッ?! そんなバカな!! 長がそんなことを、よりにもよってこの女に頼むハズがない!」

 

「もちろん、コレには理由があってね。近衛嬢が魔法を知ってしまった以上、彼女の血筋を考えれば、否応無く関東・関西が現在抱える対立にも巻き込まれる……彼女が将来どういった道を歩むにせよ、関西の呪術を彼女に継承させなかったとあれば、関西の中で問題にもなる。しかし優秀な術者は、中々関東に送りこむことが出来ない。そこで日本政府預かりの身となった彼女に、白羽の矢が立ったというわけさ」

 

 まあ、対立中の組織に、わざわざ優秀な術者を『教師』として派遣する者はいないだろうしな。その上、近衛さんが魔法使いになったら、関東へ彼女を送り込んだ詠春氏は、まず間違いなく関西から失脚する。

 

「しかし!」

 

「それとも、君が彼女に呪術を教えられるのかい? 関東に、関西屈指の≪呪符使い≫以上の術者がいるとは思えないけど」

 

「ぐ……!」

 

 まあ彼女の心配も十分わかる。オレ達も基本、元オレンジは信用しないし。

 

「心配しなくても、この女が妙なマネしたら、私等で速攻追い出すさ……そのためにも、私達の監督役なんだし」

 

「そうだな。もし精神操作や洗脳の疑いを抱いたら、どうなるか……」

 

 そこで言葉を切り、魔力を練って、ほんの僅かに殺気を解放する。それだけで、天ヶ崎さんは顔を青くし、身震いした。

 

「言われんでも、そんなことせえへんよ……木乃香お嬢様には、関西の現状を知ってもらって、自発的に味方について貰いたいんや。その方が、将来のためにもなるんやからな」

 

「なっ!? お嬢様が、キサマのような者の味方になるはずが無かろう!」

 

「ハッ。未来は、誰にも分からんもんやで? それにお嬢様は、関東で魔法の裏事情もなんも知らんで育ったんやろ? 洗脳なんぞせんでも、裏事情を正直に話せば、案外いけるんやないかな、と思っとるんや」

 

 まあ東と西、対立する双方の長の血統だしな。ある程度年齢がいけば政治的判断も出来るようになるだろうし、チウに聞いた話だと、結構腹黒らしいし……

 

「なー、今、何考えたんや? 水原君☆」

 

 ……近衛さん、笑顔が怖い。絶対この人のほうが、父親より政治家向きだよな……。

 

「いやいや、別に? それよりこれで近衛さんは、関西由来の陰陽道を学べるな。あと、西洋魔法については、マクダウェルさんが教師役って聞いてるけど?」

 

「そーやな。エヴァちゃんは治癒は専門やないんやけど、色々魔法の古文書とかは持っとるから助かっとるんよ」

 

「まあ、立場上仕方ないとはいえ、やっぱり西洋魔法も教えるんやな……」

 

 それに若干不服そうなのが、天ヶ崎さん。まー魔法使いへの悪感情まで払拭できるわけも無いが。

 

「『近衛さんの選択肢を広げる』……それが彼女に関しての優先事項だと、詠春氏から伺ってますよね?」

 

「分かっとるわ。まー、ここにおった方が座敷牢で過ごすよりは、ウチの目的に近づけそうやからな。教師役、喜んでやらせてもらいますわ」

 

 履歴を見ただけでは、大まかな動機しか分からなかったけど、この人にもやはり色々あるということか……。あ、そういえば。

 

「そうだ、ネギ先生。この間、マクダウェルさんと古菲さんに弟子入りしたんだってね。遅くなったけどおめでとう」

 

「あ、はい……本当はお二人にも剣の扱いや、剣と戦う際の対処法などを教えて頂きたかったんですが……」

 

「それは、ダメだっていったろーが、ネギ先生? 私達は剣で戦うことに特化し過ぎてて、魔法を使って戦うことに関しては練度が低い。オマケに魔法使いとしてのキャリアは半年ほどだ。どう考えても、教師役としては不適切だ」

 

 チウ、そこまで言わなくても……。ホラ、落ち込んじゃった。

 

「そ、それなら、大河内さんとかはどう? あの娘、水を蛇みたいに操ってたじゃない」

 

アキラ(レーカ)なら、裕奈(キッド)と一緒に、魔法使い『見習い』目指して『虎の穴』の中です。とても教師役は不可能だと思いますよ?」

 

「そ。そうですか……あの魔法を使えるようになれば、『どらごん』とも戦えるかも、と思ったんですが……」

 

 ……ナニカ、変な単語があったような。……まー、でも?アレはアレで、ドラゴンよりも強いかもなぁ……

 

 ◇ ◇ ◇

 

「「きゃあああああああ!!」」

 

『グルラアアアアアッ!!』

 

 二人分の少女の悲鳴が響き渡る中、大量の部下を従えた狼の頭持つ≪王≫は、咆哮する。いうまでもなく、コウとチウがかつて篭った『魔法チュートリアル空間』である。

 

「無理、無理ィィィィィッ!! 弾丸(タマ)撃つたびにガンガン魔力減ってくんだけどーーーッ!?」

 

「私も大威力魔法の使いすぎで、もう残りが……!」

 

 なまじ二人ともが、基本的に中衛・後衛型だったことも災いし、二人とも息もたえだえだった。この空間で優雅なのは、ただ一人だけである。

 

「まあ、頑張りたまえ……終わったら、君等にも私のここ数年の成果をご馳走しよう」

 

「なんで、仮想空間で、『醤油ラーメン』食べなきゃいけないんですかーーーッ!」

 

「そもそもなんでそんなモノ研究して……来たよ! キッド!」

 

 律儀に突っ込む二人と、そこへと突撃する≪イルファング・ザ・コボルドロード≫を眺めながら、この空間の主、≪ヒースクリフ≫は醤油ラーメンのスープを啜った。

 

「フム、やはり醤油ラーメンは、こうでなくては」

 

 目の前の光景の割りに、一人だけ平和だった。

 




と、いうわけで、ネギの弟子入り編はすっとばしました!
自分がどう書いたところで、原作と同じになりかねなかったので……その代わり、ネギの過去編と悪魔編は少しずつ原作と違ってきます。何せ『あの城』も出す予定なので!

この作品の主人公であるコウも、重い過去を抱え、歪みを内包しています。ネギの場合は、英雄(父親)への妄信。そしてコウの場合は……実は『それ』こそが≪狂乱剣≫の持ち主たる所以だったりもする……。まあ、本編をお楽しみに♪
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