魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

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仕事が忙しく、気が付けば二か月放置……しかしながら!

ハーメルンよ、私は戻ってきた!(木星帰りの男風)

地球か……何もかもみな懐かしい……(某艦長風)



052 剣士たちの輪舞曲(ロンド)

 

SIDE:アキラ

 

『――――キィィィシャァァァァァ!!』

 

 部屋全体に咆哮が響く。攻略組の中でも、精鋭揃いのメンバーの前に対峙するのは、骨でできた異形。≪The Skullreaper(骸骨の狩り手)≫と呼ばれるそれは、前脚の大鎌の一撃で何人もの生命を刈り取っていく。

 

 ――これが、コウとチウが立ち向かった戦場……!

 

 視界の真ん中を、漆黒の鎧と銀色の鎧が駆け抜けていく。その手に携えた片手剣≪デイブレイク≫と両手剣≪スターダスト≫が、ムカデのような長い胴体にいくつもの傷を刻んでいく。周りのプレイヤーも同様だ。キリトさんが、アスナさんが、スカルリーパーの攻撃を防ぐ。クラインさんが、エギルさんが、その手の武器でボスに立ち向かっていく。

 

 ……そして、ついに。

 

『ギィィィィィ…………!』

 

 長い長い断末魔の末に、ようやくボスは幾千ものポリゴン片へと砕け、空気に溶けていった。

 

「っ、はあっ、は……」

 

「……こんなのが、後25層も続くってのかよ」

 

 ボス戦を終えたメンバーは喜ぶこともなく、その場にへたり込んでいた。当たり前だと思う。それほどまでにギリギリの戦闘だったんだから。それに、みんなが皆、この先の攻略に思いを馳せているんだろう。だけどその答えは、客観的に見ていた私にだってわかる。

 

 

 無理だ、こんなの。

 

 

 今の戦闘だけで、10人以上の人が死んだ。

それもレベルの低い一般プレイヤーでもなく、正真正銘トッププレイヤーの中から死者が出たんだ。このまま上に上がっていけば、100層にたどり着く前に全滅する。誰が見たってわかる結末だ。

 

 ……そうなったら、生き残るのは多分。

 

 私の視線は自然と一人のプレイヤーへと向いた。聖騎士ヒースクリフ。掛け値なしに、SAO最強の剣士。だけど……どうして私は、彼とALOで会ったことがないんだろう?

 

 その疑問は、目の前に割り込んできた一人のプレイヤーの、唐突な行動で明らかになった。

 

『え!?』

 

 目の前でいきなり走り出したのは、キリトさん。繰り出したのは、片手剣ソードスキル≪ヴォーパル・ストライク≫。そしてその一撃は……………………ヒースクリフの前に展開された【Immortal Object】――『不死存在』のウインドウに跳ね返された。

 

「システム的不死……?」

 

 呆然としたアスナさんの声が響く。その一方で、全てを客観的に眺めていた私は徐々に悟り始めていた。……そうだ。コウもチウも、SAOから解放されたのは75層だったと言っていた。100層まで登りきる以外で、外に出る方法はただ一つ。

 

 

「≪他人のやってるRPGを傍から眺めるほど詰まらないことはない≫。……そうだろう、茅場晶彦」

 

 

 プレイヤーの中に紛れ込んでいた、SAO事件の『真の犯人』を、その手で倒すことのみ。

 

 キリトさんの衝撃的な推測から、ヒースクリフ……いや茅場晶彦は逃げなかった。そしてその言動が、プレイヤー全員にあまりにも非情な現実を思い知らせる。最強のプレイヤーが、一転して最悪のラスボスに。余りにも酷い展開だ。

 

「貴様……貴様が……。よくも…………」

 

 絶望した血盟騎士団の一人が、斧槍(ハルバード)を握り締める。その瞳には苦悩と悔恨が見て取れた。

 

「よくも――――ッ!!」

 

 突進するプレイヤー。だけどその行動より、茅場晶彦の行動の方が早かった。一瞬でシステムウインドウを呼び出し、何かのボタンをタップする。ただそれだけですべてのプレイヤーが地に伏した。……キリトさん以外は。

 

「……どうするつもりだ。このまま全員殺して隠蔽でもする気か?」

 

「まさか。そんなフェアじゃない真似はしないさ」

 

 茅場晶彦は、このまま100層の紅玉宮に転移し、プレイヤーを待つという。そして、その前に、自分の正体を見破ったキリトさんに、決闘を申し込んできた。報酬は、勝利時の全プレイヤーの解放。

 

「キリト君、駄目よ……!」

 

 アスナさんが、動かない身体に鞭打って、キリトさんを制止する。だけど、それでも止まらない。止められるわけがない。ここで止まればすべてのプレイヤーを裏切ることになるんだから。

 

 クラインさんが、エギルさんが、止めようとしたけど、キリトさんはそれすら拒む。ただ前へと歩を進める。

 

「キリトさん……!」

 

「やめろよ、オイ……!」

 

 コウとチウも地べたに横になりながら、必死に声を上げる。それでもキリトさんは止まらない。

 

「……コウ、チウ、ごめんな。ラフコフの討伐戦、お前らの代わりに仇を討ってやりたかったけど、PoHの奴を逃がしちまって」

 

「……! 今は、そんなこと……!」

 

「そうだ! んなことより、今すぐやめやがれ!」

 

 地面を引っ掻くようにもがきながら、止める。だけど目の前のキリトさんは、静かに首を横に振った。

 

「いいんだ。オレは……皆を、何よりもアスナを現実に戻してやりたい。だから……」

 

 そうして静かに剣を抜く。≪エリュシデータ≫と≪ダークリパルサー≫。SAO解放の英雄が最後まで手にしたとされる、無二の相棒。

 

「ここで、茅場を倒す」

 

「「……!」」

 

 もう止められない。何を言っても止まらない。それが二人には分かってしまった。――だから。

 

「茅場ァッ!」

 

 コウが怨敵の方に話しかけていた。

 

「何かね?」

 

「この決闘……『途中参加』ありにしろ!」

 

「――――なに?」

 

 その言葉に、茅場晶彦の表情を、疑問が覆う。それほど今の申し出は予想外だった。

 

「……それに何の意味があるというのかね? 現にキリト君以外のプレイヤーは≪麻痺状態≫に陥っている。それとも私が麻痺状態をわざわざ解くとでも思うのかな?」

 

「いいから! 認めるのか、認めないのかぁっ!」

 

 有無を言わさず、条件の成否のみを問う。それに対する茅場晶彦の回答は――――是、だった。

 

「――いいだろう。『自力』で麻痺状態を解ける者がいるのならば、この決闘への参加権を認めよう。もっともそんな者は、この場には――――」

 

「ここに、いる……!」

 

 地べたでもがき続けるコウの身体を、漆黒の闇が覆い始める。HPバーに表示された『麻痺』のアイコンが、より凶悪なアイコンに塗りつぶされていく。

 

「ゴメン、チウ……! 『二度と使わない』って約束……破るよ」

 

「! ……許さ、ねえぞ。だから、とっとと倒して、現実で(・・・)私にぶっ飛ばされろ」

 

「う゛………ん……………!!」

 

 そして、獣は再び降り立った。

 

 

「■■……■アオォオ■■■■■■オオオオオオ…………!!」

 

 

 その鎧よりなお昏い漆黒の闇が身体を覆う。その手には二本の剣。片手剣≪デイブレイク≫と、≪ヒガンバナ≫という名のカタナ。HPバーの下には、SAO最悪の状態異常≪狂乱≫の文字。

 

「――――成程、君は≪狂乱剣≫の適合者だったのか。確かにそれならば『麻痺』など塗りつぶせるだろう。もっともそれでは敵味方も分からなくなるだろうがな」

 

 その言葉を示すように、コウはいきなり明後日の方向へと走り出す。その目標は、キリトさん。呆気にとられていた彼も、二刀を前に出し、構える。

 

 だけど、コウは突然空中でターンを切り、キリトさんの直前で急停止した。呆けていたキリトさんに、かすれた声が響く。

 

「■■キ■……キリ゛■■■トざん…………!」

 

「! コウ、お前!?」

 

 見れば、コウは自分を包む漆黒の光を、徐々に徐々に押し返していた。その瞳に理性の色が浮かぶ。

 

「倒゛■■し……まじょ■■■■う…………そしで……皆を……■■■…外゛へ……!」

 

「……! ――ああ!」

 

 SAO最後の戦いが、ここに始まった。

 

SIDE OUT

 




というわけで復帰第一弾は、ヒースクリフ戦の前置き回。終わったらALOとGGOのダイジェストだぜ!

≪狂乱剣≫の説明に少しだけ入っていた、状態異常の上書き機能。実は、このSAOのクライマックスを行うための設定だったりします。まあでも、このとき彼と戦ったのは、『四人』なんですがw

復帰はしましたが、まーだ年度初めの仕事は立て込んでいます。一週休みくらいは時たまあるかもしれません。予告はするつもりですが……
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