ちなみに両手剣は、細剣(レイピア)や刺剣(エストック)と同じく、片手直剣のエクストラスキルとかなり前の原作に書いてあったので、スキル名は片手直剣の変化にしてあります。技名思いつかないので……
今回は、日常風景。ようやく出てくる『ネギま』キャラと『SAO』キャラ!!
「チ、チウ……」
「ん……まだダメ、だぞ…」
仄暗い空間、二人のひそやかな声が響き渡った―――。
「チ、チウ、オ、オレ、もう……」
「だから、ダメだっての……ガマン、ガマン…」
その声には熱を帯び、本来ならば艶めいた秘め事を連想させるだろう―――
「も、もうダメだーーーー!!!」
『『『ヴォオオオォォォオオオオオ!!!!!』』』
―――主人公たる少年が、≪ナト・ザ・カーネルトーラス≫、≪バラン・ザ・ジェネラルトーラス≫、≪アステリオス・ザ・トーラスキング≫に三方向から囲まれていなければ。
◇ ◇ ◇
「だ~か~ら~、途中でへばってどうすんだよ? ソードスキルの
「チウ……だからって、何も2層のボスラッシュのときにやること無いじゃないか……」
あのイルファングとの再戦から一週間、現在オレたち二人は、2層のボスである三体のトーラス軍団と戦っている。このボスは、第二層で戦った時も手強かった、≪状態異常攻撃≫を持つボスである。これから先魔法使いとの戦いが想定されるオレたちには、各種状態異常攻撃にも慣れておいたほうが良かろうと言うヒースクリフの判断で、二人がかりで二日かけて倒した後に、
『各自、
…という、非常にありがたくないご厚意によって、三体のボスに囲まれるという最悪な試練を与えられている……。両手剣使いでありながら敏捷重視で、非常に回避が上手いチウは昨日にはこの試練をクリアしてしまったが、オレはそもそも筋力重視。ダメージ前提で、相手のHPを削りきろうとするバーサーカースタイルなのである。
―――正直に言おう。非常に相性が悪い試練だった。
そして、オレが試練をクリアする間ヒマになったチウが、この機会に自身が出せるソードスキルの消費魔力と、得意属性を把握しようとした。その結果――
『コウーーー。お前の消費魔力も測ってやるから、私が指定したソードスキル出してくれーーー』
なんて、提案が飛び出した。三体の同時攻撃を避けるのに必死な相棒に、である。そのため、ソードスキルの撃ち過ぎでグロッキーなオレ、が出来上がったというわけだ。
「しかし、アレだな。ソードスキルは、出す際に魔力を武器に集めて、威力を高めてるのか。魔力消費自体は、下位から中位の詠唱魔法と余り変わらないな」
「フム、その通りだ。だが、基本的に魔法というものは、込める魔力によって威力を高めることは可能だ。同一の魔法でも、異なる術者ならば当然威力は違ってくると覚えておきたまえ」
「ふん……」
それを限りにチウは口を噤んだ。それはやはり、オレも感じていた大きな違和感。
(まるで、
魔力版ソードスキルは、非常に優秀だ。下位から中位の魔力消費でありながら、威力が高い。射程が武器の長さに限定されることを差し引いても、重攻撃なら相当に魔力を込めた上位魔法とすら撃ち合えるだろう。そして、なにより―――
(『障壁破壊能力』の高さ、か……)
ソードスキルはどういうわけか、魔法使いが常時その身に展開する、魔法障壁の破壊性能が異常に高かったのだ。まるで障壁が
「しっかし、ソードスキルの属性自体は、私らの得意属性に左右されてるみたいだな。ここらへんALOとは違うよな」
「確か、ALOではソードスキルの実装時に、属性が付加されたのだったね? それはそうだろう。そのシステムを作ったスタッフは、まさかソードスキルが現実でも出せるなんて、夢にも思わないさ」
「あー、そーですかー…」
まあそんな事想像できている奴がいたら、オレでも素直に病院へ行くことをオススメする。
「しかしどんな属性を付加するかは、この後の修行次第でいくらでも調整可能だがね? まあ、自身に合わぬ属性だと、魔力も過剰に消費するだろうが」
「それは効率が悪過ぎんだろうが…確か私が『風』と『光』で、コウが『影』と『幻』と『闇』だったよな?」
……属性については、この一週間で大体わかっている。しかし何でオレの属性は、悪役染みてるんだ?
「まあ、そうだ。得意属性というものは、『血統』もさるものながら、本人の精神が極めて密接に作用する。属性はその表れなのだよ」
「…ちょっと待て。ヒースクリフ」
流石に今のは、聞き捨てならない。グロッキーで話を聞き流すだけだったが、無理矢理上体を起こす。
「どうかしたかね、コウ君?」
「いやどうかしたかも……それじゃ何か、オレの属性が悪役染みてるのは、オレの精神状態がそうだからだとでも言う気か?」
「その通りだよ、コウ君」
…………ニッコリ笑いながら、言いやがった。やっぱりコイツは、『敵』だ。
「おう、起きたんなら、さっきの続きだ。今度こそ全部測り終えるぞ」
………いま、オレは、『四面楚歌』という四字熟語の意味を、正しく理解した。だからこそ、行動に移した。
「ん? なんで無言で私の後ろに立つんだ――――――っ?! コウ、テメエ何時の間に私をパーティーに入れた!? しかも後ろから羽交い絞めって…………オイ!! アステリオスの口からブレスが………………………………あああああああっっっ!!!?」
ささやかな逆襲の瞬間、トーラス王の広範囲ブレスが、オレすら焼き尽くしたのは言うまでも無い。
SIDE:チウ
翌日、コウと牛三体との追いかけっこを十二分に堪能した後、僅かながらも睡眠をとった日の昼休み。私は昼食のパンを食べながら、あくびをかみ殺していた。
「くああああ……」
「眠そうですね? 長谷川さん」
「あー、まあなあ……」
隣で不思議ジュースを飲んでいる、綾瀬夕映と言う名のデコ娘に気だるげに答えながら、昨夜のことを思い返していた。あのあと……結局コウの奴の消費魔力の測定は、私達二人の回復を待ってから再度行われることとなり、終わったのは明け方だった。おかげで頭がボーッとして……
「それでどうしたのです? 今日はやけに眠そうですが―――」
「ああ、昨夜水原と会っててな」
――瞬間、先ほどまで煩かった、2-Aの教室の喧騒が、静かになった。普段の頭ならそこで色々察するのだが、このときの私は、意識が半分眠っていた。
「それは……水原さんと会ったことで、今現在の眠気に繋がっているということでしょうか?」
ちなみに水原のことは、すでにクラスの人間に知られている。同じ料理研究会の四葉もいるし、何よりこんなネタをあのパパラッチと同人漫画家が逃すわけがない。
「ああ。昨日
…ざわ……ざわ……。周りからほんの少し漏れ出す、小さなささやき。ほんの少しだが、空気が温まったような気もした。
「そ、それは…そのつまり…」
「アイツが中々
ピィン、と張り詰めた冷たい空気の中、何か熱を湛えるようなおかしな空気を感じたのは、後にも先にもそれが初めてだった。……矛盾、しまくってるな。
「あ、あああ、あの、具体的には一体何を」
「ん? んー、詳しくは言えねえんだが…とにかく色々だな。そのせいで
その瞬間――――まるで教室が爆発したような歓声に包まれた。それでようやく覚醒した私は、詳しく追及してくるクラスメートや、パイナップル頭のパパラッチから逃げ惑うこととなった……。
◇ ◇ ◇
「……てことが、学校であってよ」
「―――何、それは独り身の私への当てつけ?」
「そんなつもりはねえよ。とにかくうるせーヤツラだって話」
「人の店先で愚痴らないでよ……」
その日の放課後、アルヴヘイム・オンライン。世界樹上層に存在する大都市『イグドラシル・シティ』の大通りに面する人気武具店、≪リズベット武具店≫の中で、チウは壁際のベンチでだらけながら店主であるリズベットと駄弁っていた。彼女とはソードアート・オンラインの頃からの知り合いで、よく自分の武器も見てもらっていた。当時は若干9~11歳で、「最前線に出るな!」と何度も小言も言われていたが。
「つーか、なんなんだよ……柿崎の奴は、『負けたあああっ!エロ番長の称号は譲るわっ!!』とか言ってくるし、パパラッチの朝倉は詳細を聞き出そうとするし……」
「それは間違いなく、アンタの発言が原因よ…でも、あんなに小さかったチウがもうそんな心配をするような年頃に……」
「発言がオバサンくせえぞ、リズ……」
「アハハハハハ、ハタチの乙女に向かって、オバサン…? ちょっとその悪すぎる頭とクチ、ブッ叩いたら直るかしら……?」
「――スマン、悪かった。悪かったから、そのスミス・ハンマーと金床を置いてくれ」
最前線のフロアボスも裸足で逃げ出すような殺気に、前言を撤回する。こんなもん、どれだけ強くなっても勝てるか!
「でも、もう一人の当人はどうしたの? いつも二人一緒なのに、珍しいじゃない?」
そんな発言をしたのは、反対側のベンチに腰掛けたリーファという名のシルフの少女。彼女は現実(リアル)では高三で、本来そんなにゲームにログインできる年でもないが、何でも剣道で推薦を勝ち取ったとかで、普通にログインしてきている。同い年のシリカとシノンは、受験勉強で忙しいというのに。
「別にいつも一緒ってワケじゃねえんだが……アイツはリアルで用事だよ。何でも、知り合いに会うんだとさ」
「ふうん……もしかして、浮気とか? ダメだよー、ちゃんと首根っこ掴まえとかないと」
「浮気もなにも、私らは付き合ってるわけじゃ……てか、散々美少女にフラグを立てまくった挙句、
「本妻じゃないもん! お兄ちゃんとアスナさん、まだ結婚してないもん!」
「そーよ! アイツ等はまだ同棲してるってだけで、私らだってまだ負けたわけじゃないんだから!!」
「…………そっか、同棲、してるのか」
そこで沈黙が下りた。流石に一緒にアメリカ留学したとは聞いていたが、住居まで一緒とは。行く前にご両親に認められて、正式に婚約者になったとは聞いていたからおかしくはないけどな。
―――この二人も、いい加減あきらめて他の相手探せばいいのに。特にリーファは、何回かレコンから遊園地や映画に誘われたと聞いたのに。正直レコンが哀れすぎる。
私の場合は、いつもコウが一緒にいるせいか、余り言い寄られたことがない。まあALOでの衣装が、Fateシリーズに出てくる正統派セイバーの青ドレスと銀の甲冑ということもあって、カメコが寄ってくることは多いが。シルフ特有の翠の瞳と、少し緑がかった金髪、それにキャリブレーションをやり直して容姿はそのままに成長した身長とも相まって、撮影だの作中の名ゼリフだののリクエストは数多い。おかげで最近は、リアルでもコスプレブログを立ち上げてしまった。
「まだよ、まだなんだから……」
「まだ、試合終了じゃ、ない…」
――とりあえず、目の前で暗鬱な空気を放つ二人が戻ってくるまでは、ここにいなきゃダメなんだろうなぁ、と思いながら、私はため息を漏らした。
SIDE OUT
そんな頃、麻帆良から遠く離れた東京都内のカフェテリア。コウこと水原光は、そこでコーヒーを飲みつつ、待ち合わせの相手を待っていた。これで待っていたのが女性だったなら、紛うことなく浮気だろうが、残念ながら待ち合わせ相手が男では、色気も何もない。
「―――ゴメン、ゴメン。待たせたね」
何より…目の前の男は、明らかに腹に一物抱えているくせに、表面上はにこやかな笑顔を浮かべられる奴だ。コレを恋愛対象にした女性は、苦労するだろう。
「何か、失礼なことを言われた気がしたけど……」
「気のせいだ……です。いいから、話を始めましょう」
そんな事を言いつつ、対面の席に着いたその男は―――
「―――菊岡サン」
日本の防衛省の現役自衛官、菊岡二等陸佐だった。
――――そして、物語はそれから4ヵ月後、一人の少年の到来とともに再び幕を開ける。
≪魔法世界≫の『英雄』の息子、『ネギ・スプリングフィールド』の到着によって――――
と、言うわけで最新話。ネギまからは、ゆえっち、SAOからは、リズとリーファが登場!
いやー、ようやく出せたよ。…ん? あと、誰かいたかな?
さて、感想でも突っ込まれた年齢の話。作者の設定では、コウとチウは小学三年時点でSAOにログインしており、本来は小学五年の冬にクリアしたことになっています。従って、ALOはその年明け、GGOは六年の冬となり……何とアリシゼーションすら、中学一年の夏に終了した事件となります!
まあちゃんと終わるのかは不明ですが、この作品は『何とかハッピーエンドを迎えた』という前提で書いていきます! 1000倍加速なら、一年後には事件収束してないとおかしいですし、こういう時期設定にしないと、キリトとアスナという、下手したら主人公ペア以上に強い二人が、ネギまに介入してきちゃいますし……
ですがキリトとアスナは、本作品にもちゃんと出ますよ? 結構先の話になりますが……