魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

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今回はVSキッド!でもまだまだ人間技っすねえ……どっかの武偵に比べるとw


059 Weapon

SIDE:刹那

 

 ――これが、明石さん……?

 

 新しくGGOという世界で見た彼女の姿に、私が最初に感じたのは、違和感だった。中学での彼女は、明るく外交的で、運動系の部活に所属している友人たちとよく話している印象がある。そこには影などなく、本当に今を楽しんでいるように感じられた。

 

 だけど、それがない。

 あの、底抜けにも感じられた明るさが見つけられない。代わりにあるのは、どこか壊れたような笑顔を浮かべる彼女だった。

 

「……いつまで、かくれんぼしてるのかなー?」

 

 記憶の中の彼女は、そう呟き、自分がしこたま撃ち込んだ小部屋に目を凝らす。そこからは相変わらず黒煙が上がっていた。

 

 そして、そんな彼女の足元には、先程のRPGの持ち主であるプレイヤーが数人転がされていた。その全員、四肢のどこかが砕け散り、完全に行動不能の状態に陥っていた。

 複数のRPG、そんなものを見たところハンドガンしか持たずにやってきた彼女が用意できるわけがない。だからこそ、彼女は襲撃前に近場のプレイヤーを襲い、その装備を『奪い取った』。それも当たり前のような『笑顔』を浮かべて。

 

「ん――――おッ!」

 

 黒煙の上がっていた部屋の窓からなにかが勢いよく出てくる。それは、未だ煙を上げ続ける――――机。

 

「……? っ、! そう、いうこと!?」

 

 明石さんが言葉を切り、背中を伸し掛からせていた岩から全力で離れる。一瞬遅れてその岩が真っ二つとなり、子供化した長谷川さんが現れた。

 

「ハッ、やってくれるじゃねえか、キッド!」

 

「ん~~~、元気だねえ☆ 何かいいことでもあったのかな!?」

 

 軽口をたたきながら、両手の拳銃と光線銃(ブラスター)を乱射。だが、長谷川さんはそれを一顧だにせず、すべての銃弾を斬り裂いた。

 

「ヒトの稼ぎを部屋ごと消し飛ばしやがって、こうなりゃテメエの装備全部奪ってやるよ!」

 

「ニヒヒヒヒ! 出来るもんならねーーッ!!」

 

 一気に距離を詰める長谷川さんに対し、明石さん(キッド)の行動もまた接近。銃を乱射しながらダッシュで迫る。

 

「獲った!」

 

「こっちがね!」

 

 長谷川さんの攻撃は右斜めからの袈裟斬り。だがそれに対して、明石さん(キッド)のとった行動は驚愕すべきもの。

 

「反動で?!」

 

 刀身の柄を肘でずらされながら、長谷川さんが目を見開く。明石さん(キッド)のした防御は、大型拳銃の発射時の反動で、柄を打ち払うというもの。だが、ことはそう単純ではない。長谷川さんの剣は光剣。その刀身が少しでもかすれば終わりなのは、さっきまでの戦闘で明らか。その状況で、せまりくる剣の軌道を完璧に読み切り、数センチの誤差もなく、柄だけを払うなど、やろうと思ってできることではない。

 

「もらい!」

 

 攻守が逆転し、長谷川さんの額に光線銃(ブラスター)が触れる。その瞬間、長谷川さんが浮かべていたのは――笑みだった。

 

 

「――あめえよ」

 

 

「!」

 

 その瞬間、明石さん(キッド)が引き金を引かず、全力で回避行動をとる。一瞬遅れて、彼女がいた場所には…………()が落ちてきた。

 

「外したか……」

 

 当然投げつけたのは、水原さん…………ですが、あのー、これは銃を使うシューティングですよね?

 

「あー、もう! チウ、コウ! これは『銃』のゲームだって何度言わすの!? 遭遇戦のたびに岩投げつけたり、『車』で殴ろうとしたり! 最悪なのは、この間ライアットガンで殴りかかってきたよね?! 銃を撃たないで、チャンバラに使わないでよ!」

 

「……別に、ルール上問題ないだろうが」

 

「大体稼ぎに来てるこのゲームで、何で弾丸代を支払わなきゃいけないんだよ。それなら斬った方が早い」

 

 その言葉に不満をあらわにしながら、明石さん(キッド)が構える。その構えに長谷川さんも水原さんもまた構えた。

 

「……やっぱ、二人とはあわないねー」

 

「奇遇だな、私も同意見だ」

 

「右に同じ、かな」

 

 そして――――激突。

 

「「「おおおおおらあああああッ!!!」」」

 

 ◇ ◇ ◇

 

「……つかれた」

 

「あー、もう、キッドのヤロウ……稼ぎを吹き飛ばしやがって」

 

 二人そろって突っ伏しているのは、GGO内のバーの一角。テーブルに横たわる二人の前には、しかし先客がいた。

 

「――なによ。珍しくバーに誘ったと思ったら、愚痴りにきたの?」

 

 そう呟くのはペールブルーの髪に、どこか猫を連想させる空気を纏った少女。そしてその横には、細身の男性の姿もあった。

 

「そーいうなよ、シノン……せっかく奢ってやってんだから、愚痴くらい付き合えって」

 

「別に小学生(・・・)に奢ってもらわなくても結構よ。これくらい、自分で出すわ」

 

「シ、シノン! 現実(リアル)の情報はまずいって!」

 

 途端に慌てる細身の男性。この二人……長谷川さんの現実での知り合いなのか?

 

「それにしても、早いものね。あなたたちがこのゲームにログインしてきてから、もうすぐ半年かしら?」

 

「ゲームのレクチャーを求めてきたのに、銃もまともに撃たないスタイルじゃ、正直イロモノキャラにしかならないと思ってたけど……今じゃ二人とも、≪切り裂き小悪魔(キディ・ザ・リッパー)≫に≪毎日が13日(オール・サーティーン)≫なんて二つ名が付くコンビだもんね。その上リアルがアレとか……」

 

「いきなり『東京に出てくる用事があるから、案内してくれ』とか驚いたわよ……その上中身が小学生だったことも。まあチウは違和感ないけどね」

 

「うるせ。これでもこのキャラの手足の短さには苦労してんだぞ?」

 

 そう言って彼女がその手を握ったり開いたりを繰り返す。確かに剣士にとって、間合いの変化は致命的だろう。

 

「でも、二人を見ていると、つくづく思うよ……ゲーム内のステータスだとか、アイテムなんて、『強さ』には関係ない。大事なのは、自分自身をどこまで高められるかなんだって」

 

「……オイ、シュピーゲル。真顔で言うな。恥ずいだろうが」

 

 そう言って頬を染める長谷川さんに向けられる、シュピーゲルという男性の瞳にあった色。それはどこか年の離れた妹を見るような、慈しみに溢れた色だった。

 

「にしても……≪二挺拳銃の(トゥーハンド)死神(ミキストリ)≫との対戦も長いわね? 最近じゃ向こうから接触してくることが増えたし」

 

「それどころか、裏では月間勝敗数をベースに、トトカルチョまで発生してるよ……その稼ぎ少しくれないかなぁ?」

 

 シノンという少女の言葉を水原さんが受け取る。さらにその言葉を受け取ったのは――――シノンの後ろに座っていた人物だった。

 

 

「それは、私も同感だねえ~~☆ 私の取り分はないの?」

 

 

 全員が目を向ける。そこに座っていたのは、タトゥーを身体に刻み、不敵に笑う少女……明石さん(キッド)だった。

 

「なんだよ……お前、こんなとこでなにしてんだ?」

 

「ニヒヒ、バーにスイーツでも食べに来たと思った? ご覧のとおり、ただの休憩」

 

 彼女のテーブルにはグラスとともに、ドリンクが瓶ごと置かれており、半分以上なくなっていた。どうやら先客は彼女の方だったようだ。

 

「ま、いいか……それより、一回聞いてみたかったんだけどよ。お前なんで私らを襲うんだ?正直私らの装備に奪うほどレア度の高いもんなんてないぞ?」

 

「んーーー? ま、あえて言うなら、二人が『銃使い』じゃないってことかな~☆」

 

 そう言っておどけたように言う彼女の空気に――――一瞬、別の感情が乗った。

 

 

Weapon(銃(コイツ)こそが)……!I have it all(わたしのすべて).そう思ってる奴もいるってことだよー?」 

 

 感情を読み取る前に、その表情に浮かんだのは、いつも通りのおどけた表情(カオ)。ようやく、分かった。彼女の笑顔という仮面の下には、恐らくもっと荒々しいモノが潜んでいる。それこそ、彼女の本質なんだろう。

 

「……チウ、いいんじゃない? ここは銃の世界。だったら理屈もなにも関係ない。(たが)う意見は己が銃で、ねじ伏せれば」

 

「お! 分かってるねえ、コウ! 案外気が合うかな~?」

 

「ま、オレ達の武器は『剣』だけど」

 

 その言葉に大げさに落ち込み、だが再び上げた顔に浮かんだのは笑みだった。

 

「つれないねえ……まあ次の戦場でまた会おっか☆」

 

「フン……神に祈る時間はやらねえぞ?」

 

 そんな言葉にも、浮かべるのはあくまで不敵な笑み。

 

「そっちこそ、セイレーンに、死の歌でも歌ってもらいなよ♪ じゃーねー☆」

 

 それを最後に彼女はそのバーを後にした。

 

SIDE OUT

 




というわけで、戦闘一時終了!次回はBoBかな?もう、一気に悪魔襲来に飛んでもいいんですが、いろいろフラグも立てなきゃなので、飛ばせねえ……

この時のゆーなは、若干影を背負っています。そのせいで原作より改変気味に……もっともそうでもしないと、GGOにはいかなかったでしょうが。
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