SIDE:千雨
――フム。とりあえず…………殴っていいか。
『つまりアレか。私が必死に二人の後を追ってた時に、二人はイチャイチャしてたとそういうわけだな?』
『いや、イチャイチャは――』
『問答無用』
とりあえずコウの奴に、魔力をそれなりに込めたリバーブローをお見舞いする。気絶したみたいだが、この状況はそう言われても仕方がない状況だろうが。
なにせ、目の前でこの二人抱き締めあってるんだぜ?
まあ、戦う決意を決めたはいいが、殺人方法は分からねえし、≪死銃≫の居場所も分からねえ。そりゃ不安になるだろ。死ぬのが怖くない人間なんていねえ。うん、そりゃわかる。
分かるけどなあ……
「あ、あはははは……やっぱ少し怖いかも」
そう言って震える身体を抱き締めていたゆーなの身体を、コウの奴は思い切り抱き締めて言った。
「大丈夫……君がどんな時だって、必ず守りに駆けつける」
……………………はっはっはっはっはっ。この天然ジゴロが。
『……何でコウはコウなのかな?』
『哲学的だな。まあ、同感だが』
もっとものんきな雰囲気はそこまでだった。
「――――ク。相変わ、らず、だな」
その冷たい声が響いた瞬間、二人は身を強張らせ、背中合わせになるように反転した。
「……いつから≪
「……ほう。と、言うことは、俺、の正体にも気付いて、いるのか」
「そっちも隠す気はないんだろ? ≪
しゅうしゅう、と独特の呼吸音があたりに響く。――笑っている?
「やはり、貴様、は、いい。あの世界、でも俺達に、常に殺気と殺意を向けて、きた。
「――――あ?」
空気がギシリ、と軋んだように感じた。それは、SAOでかつて感じたものだった。
「お前も、俺達と同じ――――――ただの『殺人鬼』だ」
「――――」
言葉も、音もなかった。コウは一瞬で洞窟を駆け巡り、何もない空中へとチェーンソーを見舞った。一瞬遅れてすぐ横の空間に、ザザの姿が現れる。
「図星、をつかれて、怒ったか?」
「オ――――アアアアアアッ!!」
一瞬で、洞窟は暴風の空間へと早変わりする。コウがザザに向かって振るうチェーンソーが、ホッケースティックが、洞窟を駆け抜ける。
そんな中にあって、目の前のザザは、極めて冷静。背中にスナイパーライフルを背負ったまま、それに手をかけることすらしていない。
「何故、届かない、のか。教えてやろうか、≪獣騎士≫」
「知るか! そんなの――」
攻撃の中にあっても、ザザの口上は止まらない。コウはザザの小さな囁きを――――――聞いて、しまった。
「憎しみが…………足りないんだよ」
何故かつかえることなく紡がれた言葉は、どんな剣よりも鋭く、コウを貫いた。そして、次の瞬間には――
「がッ?!」
コウの左腕に、黒い金属棒――いや『剣』が突き刺さった。
「
「ククク……!」
肩から突き出したライフルの銃口の下に、ザザは
「コウ!」
横合いから、キッドがその両手の拳銃で援護を試みているが、恐ろしいことに、ザザはこの狭い洞窟内の銃弾も跳弾も、すべて避けている。
「そんな、『おままごと』で、勝てるものか……!」
「! うるさい――!」
ザザの口上に激昂したキッドが、前に出る。駄目だ、ソレは――!
「――――――終わりだ」
銃弾の雨の中、一瞬でザザはキッドの懐に入り込み、その心臓を貫いた。
「あ…………」
膝をつき、倒れ伏したキッドの身体に浮かび上がる『DEAD』タグ。それを見て、ザザは
「てめえに、キッドをやらせるかよぉっ!」
そこに割り込んできたのは、記憶の中の私。その横にはすぐさまコウが並んで、走る。
「犠牲者を、これ以上出させねえッ!」
「アアアアアアッ!」
迫る私達二人に対して、ザザは一瞬だけ、
次の瞬間、私のフォトンソードの柄と、コウのチェーンソーの刃が砕け散り、破片が宙を舞った。
「な……」
「ア…?」
そして、私達は、反応がどうしようもなく遅れた。砕いた当人が、その一瞬で、姿を消しているということに。
「「がッ!!?」」
突然横から突き出された
「ここ、で、お前らを、始末してもいいが……」
「この、まま絶望を抱かせて、生かした方が、面白、そうだ」
そう言って、ザザは拳銃をホルスターへと戻し、全員に背を向け歩き出す。そのとき、口の中だけで、何かつぶやいているのに気が付いた。何だ?「アイツの頼みもあるしな」?
最後に洞窟を出るとき、ヤツは一言だけ残していった。
「運が、良かった、と……死んだように生きるといい」
それが、私たちのGGO事件の終結だった。
SIDE OUT
◇ ◇ ◇
「これが、皆さんの――」
『そう。SAO、ALO、GGOで起きた事件の顛末だ』
記憶の中を急速に現実に戻りながら、ネギ先生に語る。この記憶の全ては、ネギ先生の友人たちによりも、ネギ先生個人に向けたものだから。
「あの後はどうなったんですか……?」
『あの後、キリトさんが≪死銃≫の殺害方法を特定。ザザを一対一の勝負で討ち破り、現実でも逮捕。≪死銃≫事件は終わったよ』
……GGOでは、何もできなかった。いや、それ以前に、SAOでも、ALOでも、俺とチウは結局キリトさんに最後の締めを任せきりなんだ。
『俺は……何も、出来ていない。≪
「そんなこと!」
『だから、こんな資格、あるのか分からないけど、キミには一言だけ言っておく』
伝えなきゃいけない。間違え続けた自分だから。
『間違えちゃ駄目だ――――――誰のために、戦うのか、を』
昔語りは終わり、舞台は再び現実へ。そこに待ち受けるのは、果たして何か。
お待たせしましたー!ようやく以前の続き、VR編完・結・です☆ホントに長かった……
待ってくださってた皆さんには、この場で重ねてお礼を言います!
さて、次回ですが、来週か再来週かはまだ不明ですが、近い内に必ず!この後悪魔編行くか、それとも麻帆良祭一気に行くかちょっと迷ってまして……ちなみに麻帆良祭は超展開連発ですwかなり前に、とんでもないフラグが一つ隠してありまして……