魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

67 / 130
骨折から復帰してからしばらく……ようやく続き書けました!短いですが……



062 現実へ

 

SIDE:千雨

 

 ――フム。とりあえず…………殴っていいか。

 

『つまりアレか。私が必死に二人の後を追ってた時に、二人はイチャイチャしてたとそういうわけだな?』

 

『いや、イチャイチャは――』

 

『問答無用』

 

 とりあえずコウの奴に、魔力をそれなりに込めたリバーブローをお見舞いする。気絶したみたいだが、この状況はそう言われても仕方がない状況だろうが。

 

 なにせ、目の前でこの二人抱き締めあってるんだぜ?

 

 まあ、戦う決意を決めたはいいが、殺人方法は分からねえし、≪死銃≫の居場所も分からねえ。そりゃ不安になるだろ。死ぬのが怖くない人間なんていねえ。うん、そりゃわかる。

 

 分かるけどなあ……

 

「あ、あはははは……やっぱ少し怖いかも」

 

 そう言って震える身体を抱き締めていたゆーなの身体を、コウの奴は思い切り抱き締めて言った。

 

「大丈夫……君がどんな時だって、必ず守りに駆けつける」

 

 ……………………はっはっはっはっはっ。この天然ジゴロが。

 

『……何でコウはコウなのかな?』

 

『哲学的だな。まあ、同感だが』

 

 もっとものんきな雰囲気はそこまでだった。

 

 

「――――ク。相変わ、らず、だな」

 

 

 その冷たい声が響いた瞬間、二人は身を強張らせ、背中合わせになるように反転した。

 

「……いつから≪忍び足(スニ―キング)≫が趣味になったんだ? そう言うのは、お前の相棒の専売特許だったはずだろ」

 

「……ほう。と、言うことは、俺、の正体にも気付いて、いるのか」

 

「そっちも隠す気はないんだろ? ≪赤眼(アカメ)≫のXaXa(ザザ)。二つ名の姿、そのままじゃないか」

 

 しゅうしゅう、と独特の呼吸音があたりに響く。――笑っている?

 

「やはり、貴様、は、いい。あの世界、でも俺達に、常に殺気と殺意を向けて、きた。頭目(ヘッド)が、ご執心の理由もよくわかる。なにせ、『同類』なんだからな」

 

「――――あ?」

 

 空気がギシリ、と軋んだように感じた。それは、SAOでかつて感じたものだった。

 

「お前も、俺達と同じ――――――ただの『殺人鬼』だ」

 

「――――」

 

 言葉も、音もなかった。コウは一瞬で洞窟を駆け巡り、何もない空中へとチェーンソーを見舞った。一瞬遅れてすぐ横の空間に、ザザの姿が現れる。

 

「図星、をつかれて、怒ったか?」

 

「オ――――アアアアアアッ!!」

 

 一瞬で、洞窟は暴風の空間へと早変わりする。コウがザザに向かって振るうチェーンソーが、ホッケースティックが、洞窟を駆け抜ける。

 

 そんな中にあって、目の前のザザは、極めて冷静。背中にスナイパーライフルを背負ったまま、それに手をかけることすらしていない。

 

「何故、届かない、のか。教えてやろうか、≪獣騎士≫」

 

「知るか! そんなの――」

 

 攻撃の中にあっても、ザザの口上は止まらない。コウはザザの小さな囁きを――――――聞いて、しまった。

 

 

「憎しみが…………足りないんだよ」

 

 

 何故かつかえることなく紡がれた言葉は、どんな剣よりも鋭く、コウを貫いた。そして、次の瞬間には――

 

「がッ?!」

 

 コウの左腕に、黒い金属棒――いや『剣』が突き刺さった。

 

刺剣(エストック)……!? 自作したのか!」

 

「ククク……!」

 

 肩から突き出したライフルの銃口の下に、ザザは刺剣(エストック)を仕込んでいた。そして、瞬く間にスラスト系ソードスキルを放ち、あっという間にコウを追い詰める。

 

「コウ!」

 

 横合いから、キッドがその両手の拳銃で援護を試みているが、恐ろしいことに、ザザはこの狭い洞窟内の銃弾も跳弾も、すべて避けている。

 

「そんな、『おままごと』で、勝てるものか……!」

 

「! うるさい――!」

 

 ザザの口上に激昂したキッドが、前に出る。駄目だ、ソレは――!

 

 

「――――――終わりだ」

 

 

 銃弾の雨の中、一瞬でザザはキッドの懐に入り込み、その心臓を貫いた。

 

「あ…………」

 

 膝をつき、倒れ伏したキッドの身体に浮かび上がる『DEAD』タグ。それを見て、ザザは刺剣(エストック)とは反対の手にゆっくりと拳銃を握った。黒い星のついた拳銃――≪死銃≫を。

 

「てめえに、キッドをやらせるかよぉっ!」

 

 そこに割り込んできたのは、記憶の中の私。その横にはすぐさまコウが並んで、走る。

 

「犠牲者を、これ以上出させねえッ!」

 

「アアアアアアッ!」

 

 迫る私達二人に対して、ザザは一瞬だけ、笑み(・・)を浮かべた。

 

 

 次の瞬間、私のフォトンソードの柄と、コウのチェーンソーの刃が砕け散り、破片が宙を舞った。

 

 

「な……」

 

「ア…?」

 

 そして、私達は、反応がどうしようもなく遅れた。砕いた当人が、その一瞬で、姿を消しているということに。

 

「「がッ!!?」」

 

 突然横から突き出された刺剣(エストック)に、二人そろって串刺しになる。重い音を上げて地面に倒れた私達に、浮かび上がる『DEAD』タグ。

 

「ここ、で、お前らを、始末してもいいが……」

 

 刺剣(エストック)を背中のライフルへと戻したザザは、その手で一丁の拳銃を弄んでいる。相手の現実の生命を奪う、必殺の拳銃、≪死銃≫。

 

「この、まま絶望を抱かせて、生かした方が、面白、そうだ」

 

 そう言って、ザザは拳銃をホルスターへと戻し、全員に背を向け歩き出す。そのとき、口の中だけで、何かつぶやいているのに気が付いた。何だ?「アイツの頼みもあるしな」?

 

 最後に洞窟を出るとき、ヤツは一言だけ残していった。

 

「運が、良かった、と……死んだように生きるといい」

 

 それが、私たちのGGO事件の終結だった。

 

SIDE OUT

 

 ◇ ◇ ◇

 

「これが、皆さんの――」

 

『そう。SAO、ALO、GGOで起きた事件の顛末だ』

 

 記憶の中を急速に現実に戻りながら、ネギ先生に語る。この記憶の全ては、ネギ先生の友人たちによりも、ネギ先生個人に向けたものだから。

 

「あの後はどうなったんですか……?」

 

『あの後、キリトさんが≪死銃≫の殺害方法を特定。ザザを一対一の勝負で討ち破り、現実でも逮捕。≪死銃≫事件は終わったよ』

 

 ……GGOでは、何もできなかった。いや、それ以前に、SAOでも、ALOでも、俺とチウは結局キリトさんに最後の締めを任せきりなんだ。

 

『俺は……何も、出来ていない。≪笑う棺桶(ラフィン・コフィン)≫を、憎んで、恨んで……けど、いつも最後には引き戻してくれる皆の世話になってばっかりだ』

 

「そんなこと!」

 

『だから、こんな資格、あるのか分からないけど、キミには一言だけ言っておく』

 

 伝えなきゃいけない。間違え続けた自分だから。

 

 

『間違えちゃ駄目だ――――――誰のために、戦うのか、を』

 

 

 昔語りは終わり、舞台は再び現実へ。そこに待ち受けるのは、果たして何か。

 




お待たせしましたー!ようやく以前の続き、VR編完・結・です☆ホントに長かった……

待ってくださってた皆さんには、この場で重ねてお礼を言います!

さて、次回ですが、来週か再来週かはまだ不明ですが、近い内に必ず!この後悪魔編行くか、それとも麻帆良祭一気に行くかちょっと迷ってまして……ちなみに麻帆良祭は超展開連発ですwかなり前に、とんでもないフラグが一つ隠してありまして……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。