魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

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今回前夜の話となり、少しばかり短いですw


第八章 大樹の下の祭囃子
068 祭、前夜


 

 あの悪魔襲来から数日、麻帆良には日常が戻っていた。

 

「――つっても、お化け屋敷の準備に追われる毎日か……」

 

「千雨ちゃーん! 愚痴はいいから、手動かして、手ぇーーーっ!!」

 

「あー、もー、間に合わないかもーッ!!」

 

「なんでもっと早くから用意しなかったんですの!?」

 

「いいんちょが最初の出し物、通してくれなかったんでしょー?」

 

「やっぱ最初のメイドカフェにしとけば良かったのにー!」

 

「アレのどこがメイドカフェなんだよ……」

 

「あなた達が騒いだせいで、教員方から文句が来たんですのよ! お化け屋敷を通すのも手こずりましたわ!!」

 

 ……当初、我が3-Aの出し物は『メイドカフェ』の予定だったが、そこはウチのお気楽連中。何をどう勘違いしたのか、完全に『コスプレガールズバー』か何かに化学変化した。ちなみにバニーを着せられたアキラの写真も手に入れたので、コウに売り払って新しいPCの資金にするか、このまま闇に葬るか悩みどころだ。

 

「この際、猫の手でも、この間の幽霊の手でもいいから借りたいぜ……」

 

「いやー成仏したでしょ、アレは?」

 

 朝倉がこう答えているのは、先日、出し物の準備中に起きた幽霊騒動。おかげでその前後は怖がって残れないという奴も出て、正直作業は遅れ気味……こういう時こそ出てきて手伝ってほしいんだよ。結果的に人脅かすんじゃなくてな。

 

「み、みなさーん! 後少しですから頑張ってくださーい!!」

 

「ネギくーん、お願い手伝ってー!!」

 

「ホントに間に合わないかもー!!」

 

「ええ?! わ、分かりました! 僕に手伝えることがあれば」

 

 ……ネギ先生、手伝ってくれるのはいいが、申し出る相手を間違えてるぞ。そいつら明らかに後ろ手に何か衣装を持ってるし。

 

「アリガトー、ネギ君! じゃー、ネギ君、オバケ役ねー!!」

 

「よーし! それじゃ、この狐っ娘のコスプレをー!!」

 

「え、な、何ですか? 何で女の子の服を持ってにじり寄るんですか? キャ、キャー! 下脱がさないでくださーい!!」

 

「じゃれ合ってねーで、手動かしやがれ、テメェラ!!」

 

 ……もう間に合わないような気がするぜ。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 所変わって、男子中等部。コウが所属するクラスでは――

 

「フォークってのはな、世界最強の武器なんだ!」

 

『全員、螺子伏せてあげるよ』

 

「糞ッ、下がってろ、シャル! ここは俺が――」

 

「壱火くーん!」

 

 ……戦争が、起こっていた。

 

 何でこんなことになったかと言うと、このクラス、実は女子中等部の3-A並みに濃いキャラが多く、出し物も中々決まらなかったのだ。ちなみに候補は、お客が(・・・)水着になる、『逆水着カフェ』、店員も客も全員手ブラの『オール手ブラジーンズ喫茶』、店員がお客に片っ端から交際を申し込む『ね○とんカフェ』などなど……。正直提案者の頭の中を本気で心配する出店の数々だった。

 

 で、まあ……ほとんど一人一つのアイデアと言った感じで、全く決まらなかったのだが、結局、『生き残った奴』のアイデアにすることになった。

 

 つまり、このクラス、『未だに出店が決まっていない』のである。

 

「……平和って、本当に貴重なんだなぁ」

 

 クラスの喧騒から少しばかり距離を置きながら、水原はコーヒーを啜っていた。このままアイデアが決まらず当日を迎えそうな嫌な予感が彼の周りには立ち込めていた。

 

(まあ、招待した皆が来れるなら、それでいいか)

 

 そう思い見つめる携帯。そこには、アメリカから時期を合わせてやって来るという一通のメール。差出人はキリトとアスナになっていた。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 そうして、それら二つの喧騒から遠く離れたとある地下研究施設。そこで、画面に向かい、一心不乱にキーボードを叩く少女の姿があった。

 

「………………」

 

 彼女の名は、超鈴音。数日後、『麻帆良学園祭』にて、都市の魔法関係者を震撼させる事件の首謀者。

 

 その彼女は入力に没頭しながら、自らがこれから行う数々の行動について思いを馳せていた。

 

「……多分、どう転んだとしテモ、私は稀代の悪女とでも罵られルンダロウナ……」

 

 自身が起こすこれからの事件。結果を見れば、間違いなくそうなるだろう。

 

「あるいはご先祖様に乗っかって、『魔女』の方がいいかも知れないネ」

 

 彼女は全て理解した上で突き進む。

 

「デモ、止まれない。もう止まりはしないネ」

 

 そう思いながら、ふと思う。そう言えば、自分にこの時代のことを色々教えてくれた『恩師』は、危なっかしい自分のそういうところを、随分心配してくれていた。手を触れ合うことこそできなかったものの、彼女は確かに自分の尊敬すべき人だった。

 

 『彼女』は超に、慈しみを、愛情を向けてくれた。時折厳しくはあったけれど、それでも彼女は自分にとってかけがえのない人だった。

 

 出会ってから別れるまで、彼女自身が我が儘を言うことは無く、彼女は一方的に自分の我が儘を聞いてくれた。だからこそ、最後の最後に、彼女が言った『願い』だけはかなえてやりたいと思った。

 

『――止めて欲しい』

「………………」

 

 そのただ一つの懇願を、彼女は思い出す。それはただ一度、彼女へと向けられた唯一の願いだった。

 

「分かっているサ…………」

 

 ふと机へと目を向ける。そこにあったのは、散らばった機械部品と、一つの質感の違う金属の匣。

 

「――――『サウザンドレイン』」

 

 その匣を見つめる瞳には、誰も見たことのない、憂いが満ちていた。

 




前夜、終了。フラグ回ともいいます。恐らく麻帆良祭はあっちこっちにオリジナル要素が……!

作者は、北海道在住なのに、今現在部屋で溶けかけてますwなんだこの暑さ……
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