魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

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いよいよ始まる武道会。本日は予選までです。


071 麻帆良武道会

 ALOの皆と別れ、菊岡に付き合って向かったのは、ある格闘大会の会場だった。

 

「『麻帆良武道会』ねえ……」

 

 デカデカと宣伝されたそれは、かなり大規模な格闘大会。前評判はかなりショボイ賞金しかかからない平凡な大会だったはずだ。

 

「で、これがどうかしたのか?」

 

「……実はまだオフレコだけど、この大会は『魔法使用』が認められた格闘大会らしい」

 

「……は? オイ、菊岡。『魔法』を一般に流布するのは、禁止だった筈だろ。関東魔法協会は何やってんだ」

 

 チウの意見はもっとも。こんな大規模な大会で『魔法』を使うのは、一般社会に混乱を招く。そもそも菊岡は、そうした『先端技術』の段階的な公開も仕事なわけで。

 

「それが、確認した内容からすると、どうも長谷川君のクラスメートが発端らしいんだ」

 

 言われてイベントの主催者を確認する。ポスターの隅に記載された団体名は……『超包子』。

 

「超の奴か。何か企んでるとは思ったが、こんなことだったとはな」

 

「それでこの大会が何なんだ? 国にとって都合が悪いなら、圧力でもかければいいだろ」

 

 その意見に菊岡は、微妙に横を向く。なんだ一体。

 

「……現段階で、これが『魔法』の積極的な流布を目的としたものなのかは、まだ判断できない。『魔法詠唱の禁止』というレギュレーションを、最初に主催者自ら公言したらしいからね」

 

「……その時点で隠す気ねえだろ」

 

「そうそう」

 

「ほんまやな」

 

「「うお!」」

 

 会話の途中で現れたのは天ヶ崎さん。どこから湧いたんだ、この人。

 

「菊岡はん、正直こんな大会認めるのは、元関西としても見逃せないんやけど。行動起こすにしても、最低限人払いかけたり、状況次第で口封じも有り得る世界やで? 一般人に宣伝までするのは、認められんわ」

 

「僕としても、この大会は認めたくない。ただ、これだけで済むとは思えないんだ」

 

 ……?どういう意味だ?

 

「例えばこの大会の主催者が魔法を大々的に広めようとしているとして、こんな大会に何の意味がある? 映像をネットに流すんだとしても、今の時代すぐ画像の加工だ、トリックだって言われる時代だよ。それだけじゃ何の意味もない」

 

「……他に何か狙いがあるいうことやな」

 

「成程な……」

 

「でもよ、その狙いってなんだ?」

 

 チウのその疑問に、菊岡は肩を竦める。まだそこまでの調査は済んでいないってことか。

 

「で? 今回俺達への仕事ってなんだ」

 

「ああ。二人でこの大会に参加してみてくれないかな。二人が気を引いている間に、天ヶ崎さんに内偵調査を頼むから」

 

「ウチはええで。こんなアホな大会、開いたヤツの面引っ叩いてやりたいからな」

 

「つまり囮役かよ……」

 

 超さんに顔が割れている俺達を囮役にするのは、上手い手だ。大会に探りを入れてきている俺達を警戒するだろうし、牽制にはなるだろう。

 

「それともう一つ理由があってね……長谷川君の担任の子供先生が、何人か友人を連れて大会に参加してるんだよ」

 

「「「……………………」」」

 

 これには俺やチウだけでなく、天ヶ崎さんも絶句。普段から身長より高い杖を持ち歩くわ、何か問題起きたらすぐ魔法に頼るわ……ネギ先生の普段の授業態度を確認して、頭痛を堪えていたからな。

 

「なんかはり切ってて、『全力』で挑んで絶対優勝するぞー、って勢いらしいよ……」

 

「オイ、まさかとは思うが……」

 

「あー、うん。上手いこと大会本選までに接触して、派手な魔法を使わないように進言しておいてくれないかな」

 

「……むしろ、ネギ先生を『闇討ち』しちゃ駄目か? 大会終了まで気絶させておくのが、一番安全だ」

 

「……無理じゃないかな。流石に『英雄の息子』に危害加えたら、関東が黙ってないだろうし」

 

「ウチ、裏方で良かったわ。頑張り、二人とも」

 

 そう言って同情的な視線を向けていた天ヶ崎さんは、内偵調査の準備に移るべく、さっさといなくなってしまった。もしかしなくても、見捨てたな。

 

「レギュレーション上は刃物でなければ武器ありだから、二人ともこれを」

 

 そう言って差し出されたのは三本の木刀。それぞれ溜息を吐きつつ受け取る。

 

「……特別手当は、頼むぞ」

 

「ぜひともバイト代に色を……」

 

「分かってるよ。今回は休日出勤扱いで、特別報酬もつけよう」

 

 給料の交渉も終わり、大会参加者が犇めく中へと踏み込む。視線を巡らせると、目的の一団は少し先にいた。

 

 ネギ先生、小太郎君、神楽坂さん、桜咲さん、長瀬さんに龍宮さん。恐らく彼らが参加選手で、周囲にいる近衛さんや綾瀬さんは応援組だろう。近づきつつ声を掛けた。

 

「ネギ先生」

 

「え? あ、水原さん! 水原さんも参加されるんですか?」

 

 返事に元気があるのは子供らしくて結構だが、機先を制してまずは用件を言う。

 

「早速だが、ネギ君。君はこの大会中、『魔法禁止』な」 

 

「え゛?! なんでですか?」

 

「いや、当たり前だろ、ネギ先生。こんな表の大会で大々的に使ったりすれば、一発でオコジョ刑だぞ」

 

「う゛」

 

 そこら辺考えていなかったのか?思考が直線的なあたり、変なところで子供らしい。

 

「まあ、そう言うわけだ。この大会はどうも――――」

 

「…………ます」

 

「ん?」

 

「申し訳ありませんが、お断りします!」

 

 そう言ってネギ先生はダッと逃げるように人ごみに紛れてしまった。小太郎君がその後を呼び止めながら言う。

 

「にーちゃん達、冷めること言うなや。せっかくネギと格闘で戦えるんやで!」

 

「いや、そういう問題じゃ……」

 

「ちょー、待てや、ネギー!!」

 

 小太郎君も、ネギ先生を追って姿を消す。周囲にいるメンバーも居心地がわるそうだ。その中で、ネギ先生たちの後ろ姿を冷静に見つめている綾瀬さんに声を掛けた。

 

「綾瀬さん、ネギ君に何かあったのか? いつもの冷静さを欠いている気がするんだけど」

 

「えっと……先程大会主催者の超さんが開会のあいさつをした際に、過去にこの大会でネギ先生のお父様が優勝している、と明かされまして……」

 

「親父さんと同じ大会で優勝したいから、魔法禁止されるの嫌がったのか。しかも超の誘導でかよ」

 

 こうなると、超さんの狙いはネギ先生と取ることも出来る。もちろんそれすら陽動の可能性もある。

 

 彼女の狙いはどこにあるのか?不安を抱えながらも俺達は順当に勝ち進み、いよいよ翌日、大会本選に進むことと相成った。

 




何で原作では誰も『魔法使うな』と言わないんでしょう。一言注意してもいいのに……

次回更新ですが、来週お盆ということでお休みする可能性が出てきました。もし更新されなければ再来週には更新すると思います。
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