魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

89 / 130
084 バーサス~仮想世界の戦士たち

 

「おおっ!」

 

 先手を取ったのは、キリトだった。アインクラッドで唯一の使い手であった≪二刀流≫スキルで速攻を狙う。身体を捻転し一気に解放させ、右腰から斬り上げ、続く二撃目で右肩口から斬りおろす。二刀流重突進技、≪ダブル・サーキュラー≫。爆発的な加速と共に、二本の剣が襲い掛かった。

 

「ぐぅっ……!」

 

 対するコウはその二連撃を盾代わりにした片手剣で受け切り、もう片方のカタナで逆転を狙う。首元に斬撃が襲い掛かるが、読まれていたのか、僅かに首を傾げるだけで避けられた。

 

「ちっ!」

 

「お前、現実でも一発即死狙いなんだな……」

 

 思い切り漏れたコウの舌打ちに、キリトが呆れたように返した。何だかんだで剣を交えることが多く、どこを狙うのか、どんな攻撃を好むのか良く知った相手同士。キリトは一撃一撃の間を短くし、効果的かつ大量の連撃で仕留めようとするタイプだが、コウは少し違う。キリトと同じ連続攻撃型だが、がむしゃらに次々と一撃必殺か重要部位の欠損を狙いに行っている。このあたり、女妖怪首おいてけだった師匠の影響がとんでもなく強い。

 

「おらあっ!」

 

 一撃外れたくらいではめげることなく、次は逆手の片手剣で股下からの斬り上げを放ち、キリトが両手の剣で十字に受けた隙を突き、カタナを心臓にぶち込もうとする。キリトは少しばかり慌てて後方へと飛び、距離を取った。

 

「……そんな急所狙いばかりじゃ攻撃が読まれる、って教えたはずなんだけどな」

 

「最初の師匠が、あのヒトですから。読まれるなら防御ごと叩っ斬れ、と言う教えを忠実に守る良い弟子という事です」

 

 そんな軽口を叩きながら、逆手に持った片手剣とカタナを身体の前に掲げるように構える。その構えはアインクラッド時代から使い続けこなれたものであり、獰猛な肉食獣を目の前にするかのような迫力があった。

 

「そんなことより、今日は随分大人しいですね。諦めたのでしたら、今なら降伏宣言(リザイン)も受け付けますよ」

 

「……生憎、そんなつもりはないさ。こっちも、ようやく身体が暖まってきたところだ」

 

 キリトもまた、二刀を手に右半身に構える。そうして双方じりじりと間合いが狭まっていき、ある一定の距離のところで、再び爆発したように激突した。

 

 一方、アスナと戦っているチウの方は、少しばかり一方的とも見える展開になっていた。

 

「ハアアアアアッ!」

 

 猛攻。そんな一言で言い表すしかない光景が展開されていた。アスナが持つのはアインクラッドで愛用していた≪ランベントライト≫でも、ALOの愛剣でもない。超が用意した、機械部品で構成された細剣(レイピア)。今日まで使ったことも無いその剣を、アスナは使いこなし、チウの反撃を許さない程の攻撃の雨を浴びせていた。

 

「っ、こ、の……!」

 

 チウはその手に持った≪グランシャリオ≫で何とか捌いているが、何時均衡が崩れてもおかしくない。それほどにチウは追い込まれていた。

 

 この二人の対戦が、こうも一方的になるのには理由がある。元々二人のキャラ構成(ビルド)は、速度・正確性重視のアスナに対して、感覚強化優先のチウ。この二人が戦えば、当然アウトボクシングのような戦いをするアスナと、カウンターヒッターのチウという構図になる。カウンターは確かに当たれば逆転も有り得るが、アスナは速度を活かしてカウンター自体を出させないように戦える。むしろわずかにでも防御に隙が出来れば、即座に針の穴を通すように攻撃を繰り出していた。彼女の正確性(アキュラシー)は、間違いなくアインクラッドで随一だった。

 

「グロッキーなら、いつでも降参していいからね、チウちゃん!」

 

「ちゃんは、よせ、っての……!」

 

 チウは、異論の余地なく生涯最強の相手と戦い、打開策を見出せずにいた。

 

 最後に、レーカとキッド。こちらはチウの方とは正反対の戦場が展開されていた。

 

「ニヒヒ☆ いっくよー!」

 

「やば、また来るわよ! シリカ、足止めお願い!」

 

「ピナ、バブルブレス!」

 

 シリカの指示と共に、隣のガイノイドドラゴンが口からレーザーブレスを放つが、キッドは突撃の途中でコマのように回転し、難なくレーザーを避けてしまう。そうして振り向いたと同時、身体の後ろに隠れていた二丁の拳銃の銃口がリズとシリカの額に固定された。

 

「いっただきー!」

 

「下がってろ、シリカ!」

 

 銃口が火を噴くより早く、盾を持たないシリカの前に大斧を身体の前に押し出したエギルが割り込む。斧の横っ腹を盾代わりにし、盾持ちのリズと共に何とか銃撃を防ぎ切った。

 

 さらに二射、三射と続けるキッドに、今度はリーファが迫る。

 

「今度はこっちの番よ!」

 

「残念! まだこっちのターン!」

 

 振り下ろされたリーファの長刀をデザートイーグルの銃身で受け止め、≪七色の銃(イリス・トルメントゥム)≫の銃口を額に向ける。身体全体を倒して弾丸を避けたリーファだったが、バランスを崩して距離を開けた。

 

「私ばっかりにかまけていいのかにゃ~?」

 

 キッドのニヤリとした笑みを裏付けるかのように、彼女の背後からいくつもの蛇が、獲物を捕らえんと水で出来た鎌首をもたげる。レーカの拘束兼攻撃魔法、『ヒドラ・ヴォーテックス』。その無数の毒牙がリーファたち四人に襲い掛かった。

 

「こりゃ、ヤバイな!」

 

「ああ、もう! ホント厄介ね! ちょっと何とかしなさいよ、リーファ! 攻撃系魔法伸ばしてるのアンタくらいなんだから!」

 

「純粋な水魔法使い(メイジ)相手に、どうやって対処しろって言うんですかぁ?!」

 

「うひゃああああ!? ピナー!!」

 

 阿鼻叫喚。まさにそんな光景。キッドもレーカも、本当はソロで充分過ぎるくらい強い。しかし今回に限り、二人は明確にお互いの役割を分けて戦闘に臨んでいた。近距離~中距離で変幻自在の動きが出来るキッドが牽制役に。大規模な広範囲攻撃が行えるレーカが殲滅役に。お互いに牽制役と殲滅役が見事に分担することで、二対四という不利な状況を見事に跳ね除けているのだ。

 

「それじゃ、もういっちょ行くよー!」

 

「……うん。皆早めに降参してね」

 

 再びの地獄絵図。それは恐らく、四人がリザインするまで続けられるのだった。

 




前半部、終了。戦局でヤバイのは、アスナ対チウですね。キッドとレーカは割と何とかなります。

リアルに首刈りに行ってるコウ。師匠の影が強すぎたんや……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。