魔法先生ネギま!~闇の剣と星の剣   作:路地裏の作者

98 / 130
修行編、終了!



第九章 魔法の世界
093 魔法の世界へ


 

「ハァ――――ハァ――――……」

 

「くそったれが……」

 

「お、終わった…………?」

 

「ふひぃ~~~~」

 

 8月初旬、コウ、チウ、レーカ、キッドの四人は、アインクラッド第50層、クオーターポイントのボスを撃破した。

 

『…………見事だ、君たち』

 

 浚った時と同様、空中に真紅のローブマントを纏った聖騎士ヒースクリフが降臨する。途端に周囲からボスが使っていた大槌やら瓦礫やらが殺到した。

 

『――何をするのかね』

 

「るせえぇぇぇぇ! ここ二ヶ月、ほとんど寝る間も惜しんで50層駆け上がったんだよ! 元凶が目の前に現れたら、どんな温厚な奴でもこうなんだろうが!!」

 

「お前が! 死ぬまで! 投げるのをやめない!」

 

「…………ふふ、ふふふふふ」

 

「わーい、皆が新しい扉を開いてるにゃー♪」

 

 極度の過密スケジュールで、全員壊れかけていた。

 

『まあ、余りにも過酷だったようだから、私も今なら少しは恨み言も聞いてやってもいいが……それよりもまずは確認したいことがあったのだ。君たち、もう最初に私が渡した『贈り物』は使いこなせるようになったかね?』

 

 その言葉に全員がいったん瓦礫を投げるのをやめ、一度ステータス画面を開く。それぞれがスキル欄を開き、感慨深げに眺めた。

 

「何とか使えるようにはなったさ……『贈り物』っていうのが、まさか最後の≪ユニークスキル≫だとは思わなかったがな」

 

 コウの言葉にチウは鼻を鳴らし、レーカは少しだけ誇らしげに微笑み、キッドは不敵に笑う。四人の内、今まではコウとチウだけがユニークスキルを手に入れていた。だが、ヒースクリフ曰く、魔法世界は魔法や戦闘の才能が一定以上でないと確実に身の危険が迫る過酷な環境。だからこそ、ヒースクリフはサーバーに残された二つのユニークスキルを、レーカとキッドに渡したのだ。

 

 SAO最後期において、ユニークスキル≪神聖剣≫はヒースクリフ、≪二刀流≫はキリトが保有していた。≪狂乱剣≫はコウ、≪七星剣≫はチウが保持している。

 そして、後にPoHが奪い取ったユニークスキルは、PoHの≪暗黒剣≫、ザザの≪無限槍≫、シュピーゲルの≪抜刀術≫と、最後にジョニー・ブラックが持っていると思われる≪手裏剣術≫の四つだ。

 

 ここまでで確認されていたのは八種類のユニークスキル。しかしそもそもヒースクリフが作成したユニークスキルは全部で『十種』あり、最後に二つだけ残っていた。レーカとキッド、二人の適正を考えた上で渡されたユニークスキルは、今では二人のかけがえのない武器となった。

 

 その事実を確認するように、ふとヒースクリフが視線を上げた。

 

『――まあ、この光景を見る限り、何とか使えるようにはなったようだな』

 

 ヒースクリフが向けた視線の先、そこにはフロアボスの周囲を守っていた筈の堅牢な壁は無く、ただただ巨大すぎる大穴が口を開けていた。

 

「渡されたユニークスキルが、相性良過ぎんだよ。レーカが戦乙女(ヴァルキュリア)から戦神(オーディン)にレベルアップしてんじゃねえか」

 

「いや~、この容赦の無さは魔王様じゃないかにゃ?」

 

「……チウもキッドもひどいよ!!」

 

 きゃいきゃいと言い合う三人に苦笑した後、コウは自分のスキル欄を眺める。そこには二か月前には存在しなかった新たなスキル名。

 

「――――で? 俺にキリトさんの持っていた≪二刀流≫を継承させたのは、何か意味があるのか?」

 

 そこに刻まれたのは、かつてSAOで師である≪黒の剣士≫キリトが保有していた≪二刀流≫。どういうわけか、このアインクラッドと言う名の地獄修行空間に閉じ込められた初日に渡されたのだ。

 

『いや、なに……他の全員がレベルアップを図っているのに、君だけ何もないのでは不公平だろうと思ってね。強化という意味合いだよ』

 

「言い方が悪かったな。どんな意図(・・・・・)があるんだ?」

 

 再度の問い掛け。しかし今度はそれには答えず、ただ薄く笑うのみで返答へと変えていた。答える気の無さそうなヒースクリフの様子に、横合いでそれを見ていたチウが、はぁ、と溜息を漏らした。

 

「コウ。その狸オヤジに問い詰めたって無駄だろ……だが、こっちは答えてもらうぜ? 初日にアインクラッド内からネット接続させてまで、アスナさんから私への『贈り物』を受け取らせたのはなぜだ?」

 

 チウが開いているスキル欄。そこに記されているのはヒースクリフの作り出したスキルではない。アスナがかつてALOで邂逅し、哀しい別れを経た一人の最強剣士の剣技。

 

『何も無ければ、私から君になにか『贈り物』を渡す予定だったのだがな……アスナ君が渡したがっていたソレは、一人の剣士の『魂』そのものだ。無下にすることなど出来んだろう』

 

「…………へっ」

 

 もう一度スキル欄を眺める。アスナにとって、何者にも譲れなかったであろう剣技。それを、旅から帰るまでという期間限定とはいえ託された意味。それを読み取れないほど、チウも愚かではない。

 

 すなわち、絶対に全員無事で帰ってこいという、アスナからの最大限の激励。その想いと共に託された、最強の剣士≪絶剣≫ユウキの(オリジナル)(ソード)(スキル)――≪マザーズ・ロザリオ≫。

 

「まあ、狸オヤジが渡すモンよりは百倍マシか。この二ヶ月で大分慣れたしな。それじゃ、そろそろ出るか」

 

「……そうだね」

 

「ん~~、いきますか!」

 

「ああ、行こう!」

 

 全員が立ち上がり歩き出す。フロアボスを倒したところに出現した転移ゲートへと、全員が突き進む。

 

「帰ってきたら、後腐れ無くこのアインクラッドもきっちり攻略し尽くしてやらぁ。精々首洗って待ってるんだな」

 

「いいな、それ!」

 

「ニヒヒヒヒ☆」

 

「……協力するよ!」

 

 そうして口々に言い募り、次々とゲートの中へと姿を消し……最後にヒースクリフだけがその場に残った。誰もいない空間で、ヒースクリフが不意に口元を歪ませる。

 

『……これで私の≪神聖剣≫以外、すべてのユニークスキルが魔法世界に集うことになる。ネギ・スプリングフィールドも、その仲間たちも、向こうに後日渡ると聞いている……『彼女』もまたそれに同行している以上、事態は急速に動き出すだろう』

 

 思い出す。幼き日の『騎士の誓い』。そのために進んで進んで、とても騎士とは呼べない悪に身を染めた自分自身。

 

『『神』よ、覚えておけ――そして侮るなかれ。人間の底力というものを、な…………』

 

 それから二日後、コウ達四人は菊岡・天ヶ崎両名と合流し、イスタンブールへと渡る。そこに存在するゲートから、彼らは帝国側を経由して魔法世界へと渡っていった。

 

 …………そのわずか数日後、ネギ先生一行が転移ゲートを襲う同時多発テロに巻き込まれ、全ての歯車は急速に、嵐のように回り始めるのだった。

 




祝・ユニークスキル全員習得!これで全員タカミチ一歩手前位に……!

コウが貰った二刀流は、狂乱剣より使い勝手抜群です。今まで暴走の危険しかないような代物でしたし。チウはなんとマザーズ・ロザリオ継承!

そしてレーカ。ユニークスキルもかなりマズイ代物なので、どんどん歩く大規模破壊兵器化が進んでます。戦闘方法のモチーフに、某管理局の白い魔王を持ってきたせいでもありますがw

キッドのは、そこまで危険でもありません。どっちかというと、シュピーゲルへの対抗手段的意味合いになるかと。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。