創作学園へようこそ!   作:波間こうど

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創作意欲という熱

 

 人間ならば大なり小なり誰もが持ち合わせている欲求がある。

 三大欲求なんかがそれに当てはまるのだろう。いわゆる食欲、睡眠欲、性欲のことである。

 食欲が人よりも薄いけど性欲は強いとか、いつでも寝ちゃうくらい睡眠欲が強いけど食欲と性欲はすっからかんだとか、人によりけりだが、人には必ず備わっている欲求だ。

 個人的な考えにはなるが、それに加わる形で、一つ。誰もが持っている、そしてその中でも極端に大小がはっきりしている欲求があると思っている。

 

 描きたい、創りたい、生み出したいという何事にも勝る情熱。

 

 身を焦がすように、脳を焼くように、体の内側から滾るそれは、個人の見解でいいのならば、炎の形をしているというように思う。

 ご飯を食べることなんかよりも、眠ることなんかよりも、遊ぶことよりも、恋愛よりも、性行為よりも、何事よりも優勢される、優先される、何事にも勝る。体の奥底から湧き出してくるかのような、そんな情熱。

 

 体の内側で暴れ回るような、滾り、狂う、熱。

 マグマを呑み、天を沸騰させる、昼夜という概念も、時間という概念も、何もかも捕食して、巨大化し続けて、そんなどうしようもない、内側で滾り続けている、熱。

 

 創作意欲。創作欲という風に言ってもいい。

 

 それは、誰もが多かれ少なかれ持っているものであり。

 そして、それが俺にとっての全てだ。

 創作。

 創作活動。

 作ること、生み出すこと。

 手段は問わない。ただ、作って、描いて、生み出して、この世界を描くこと、書くこと、歌うこと、弾くこと、削ること、演じること……手段なんて、表現方法なんて大した違いじゃない。

 

 この世にない、未だ存在しないものを生み出したい。その欲望。そこさえ共通しているのであるならば、創作という一点において、その情熱。それらの価値は等しいと言ってしまっていい。誰かにとっての表現の欲求と、誰かにとっての表現の欲求は、表現方法が違ったとしても、同じ価値を持っている。

 

 俺にとって、それは絵画だ。絵を描くこと。それが全てなんだ。

 自分の描ける最大値を、自分が描き出せる全ての力で、筆を動かして、指を動かして、描きたい。

 今まで、何千もの、下手をすれば何万もの作品を描いてきた。

 今まで、何千もの、何万というものについて描いてきた。

 それでもまだ足りない。なお足りない。ずっと、足りない。満ち足りることなんてないのかもしれない。それくらい、欲しいものがある。

 飢えて、乾いて、猛って、仕方がない。

 描いて、描いて、描いて、描いて、描いて。

 

 なお、足りない。こんなものじゃない、こんなものが描きたいわけじゃない。まだ足りない、満たされない、俺が描きたいものはこんな生温い物じゃない。俺が描きたいものはこの程度じゃなくて、俺が描きたいものはもっともっとレベルが高いものなのだ。

 

 つまらないものは描きたくない。

 上手くないものは描きたくない。

 素晴らしくないものは描きたくない。

 人の心を揺さぶれるもの以外は描きたくない。

 ずっと、絵だけを描いてきた。

 本当にずっと、絵のことだけを考えてきた。

 勉強はできる方じゃなかった。運動もてんでダメだった。人の感情やその機微についてもからっきしだ。

 

 褒められたことがあるといえば絵だけ。

 

 人生をかけて、絵を描いてきた。ずっとずっとずっと、他の何を差し置いても絵を描き続けてきた。ご飯を食べる時間も、眠る時間も、全部、全部費やしてでも絵を描いてきた。

 だから、俺にはこれしかなくて。

 だから、俺は未だに自分の内側にある熱に浮かされているのかもしれない。

 満たされない、乾く心が。

 俺の心を乗っ取って。

 絵を描いていた。

 

 ずっと、ひたすら。

 

 絵を描いていたんだ。

 

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