はーちゃん‼桃ちゃん‼   作:狼黒

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なんかね、こう、唐突に頭に出てきた


翌日、デートした

「失礼します」

 

扉をノックして入る女性

開けた先に広がっていたのは、床に散らばった衣服、下着

そしてベットには、生まれたままの姿で寝ている女性

そして、窓辺で太陽の光を浴びながら伸びをしている少女

 

「うー…あ、おはよう」

 

「おはようございます、取り敢えず服を着てください」

 

そう言って下着を差し出す女性

目の前で衣服を身に着けている女性の秘書である彼女にとっては、最早慣れた光景である

 

「あまり女遊びしていると、本命の子にフラれますよ」

 

「分かってまーす」

 

そう言いながら服を身に纏い、そのまま秘書の隣を通り過ぎる少女

寝ている女を一瞥もしない少女に、溜息を吐きながらもその後を追う

先ほども述べたが、これが初めてではない

秘書は、20回を超えた辺りから数えるのをやめた

…いつか背中から刺されるのではと思う秘書である

まぁ、そんな事をさせないために、自分のような人物がつけられているわけだが

悪癖とまではいかないがもう少し抑えてほしいと思いながら秘書は、目の前の主人…御堂朱音の後に続いた

 

 

 

少し後、朝食を済ませた少女は、リムジンに揺られながら会話していた

 

「何か情報は手に入りましたか」

 

「まーね、自白剤を入れたお酒飲ました上に私秘伝のテクニックでこうちょちょいのちょいと…」

 

「あぁもうその後は結構です、大体わかりました…で、結果は」

 

「クロだね、四宮に伝えといて」

 

了解しました、と言って連絡を取る

 

「それで、彼女はどうするんです?」

 

秘書の脳裏には、主人が部屋を出るときに一瞥もしなかった、女性の姿が目に入る

情報によれば彼女はいまだ純潔だったようだが、目の前でココアシガレットを加えながらスマホを弄っている主人によって散らされた事だろう

秘書としては、相手がどうするのかはさておき、ひとまず主人の意向を聞いておかねばならない

そんな秘書の言葉にスマホを弄る手をやめる朱音

 

「彼女?誰のことだい?」

 

心底不思議そうな顔でそう聞く自分の主人

まぁ、予想できていたことではあるが

…取り敢えず、あの女性には同情を寄せた

欠片ほどもない同情だったが

 

「いえ、何でもございません…それと今日は、夜に何件か会食をしたいという伺いが来ておりますが」

 

「ふーん…ま、取り敢えず受けといて」

 

「かしこまりました」

 

 

 

 

キャッ―‼

 

学園の一角で黄色い悲鳴が上がる

その原因たる少女…朱音は、さわやかな笑顔を浮かべ、その声の方向へ手を振る

途端にさらに黄色い悲鳴が上がり、中には気絶するものまで現れる

 

「相変わらず凄い人気ですね」

 

「ま、ひとえに人徳かな」

 

「どの口が言ってるんです?」

 

朱音にそう毒舌を吐くのは、四宮かぐや

朱音が通っている秀知院学園の副会長であり、四宮グループ総帥雁庵の長女である

 

「酷いなぁ、現に私はあの子らには何にもしてないよ?」

 

「本当かどうか怪しいものです」

 

「本当だよ、ほら、このさわやかな笑顔が嘘ついてるように見えるかい?」

 

「とても胡散臭く見えます」

 

「泣けるなぁ」

 

えーんえーんと泣く真似をする朱音

…実際のところ、黄色い悲鳴を上げている何人かには手を出しているのだが

 

「あ、そう言えば恋愛クソ雑魚ナメクジさん」

 

「だ、誰が恋愛クソ雑魚ナメクジですか!」

 

「事実だろうに、私を見習え」

 

「貴女だけは決して見習いたくないです」

 

何人もの女に偽物の愛を吹き込んでいる女のことなど見習わなくて正解である

 

生徒会長、白銀御行と頭の狂った頭脳戦を繰り広げているかぐや

半年も何も進展がない事を聞いた時など、自分の耳と脳を疑って精密検査を受けに行ったほどだ

曰くプライドが邪魔しているとのこと、そんなプライドなど捨ててしまえ

 

「まぁそれはさておき」

 

「さておかないでもらえますか」

 

「いやさぁ、今朝挨拶したらさぁ、無視されたんだけど心当たりある?」

 

かぐやの抗議を無視して、今朝のことをかぐやに話す

その相手というのは、朱音が本気で愛を注いでいる相手の一人

そしてかぐやは、その相手というのは心当たりというか、確信しかなかった

何せ、朱音がその相手にべた惚れしていなければ、四宮家、四条家は潰れていたかもしれないのだから

だが朱音は、相談相手を間違えた

 

「さぁ、何故でしょう?朝は普通でしたけど」

 

恋愛クソ雑魚ナメクジの相手に聞くこと自体が間違っていた

そして

 

「成程ぉ…うーん、どうしてだろ…」

 

朱音もまた、べた惚れしている相手となると、IQが著しく下がるのであった

人のことをクソ雑魚恋愛ナメクジとか言えた分際だろうか

 

 

 

 

「ねぇ~、機嫌直してよぉ~」

 

「…」

 

リムジンの中でそう泣きつくも、視線を明後日の方向へ向ける相手

 

「何でそんなに機嫌悪いの?私何かした?」

 

「…馬鹿、阿保、鈍感」

 

「うわ、はーちゃんに罵倒された…もう無理、リスカしよ…」

 

そんなやり取りを続けること数分、溜息をついた朱音は相手の隣に移動すると、その手を取って、下から窺うように顔を覗き込む

 

「ねぇ、愛、教えて」

 

「…っ!」

 

目をウルウルとさせながらそう聞いてくる朱音に、愛と呼ばれた少女は一瞬息が止まる

朱音の顔は十人中十人がよいと答えるほどに整っている

そんな顔に目をウルウルさせられれば、大体の人間は息が止まるというものだ

そして、これでもう何回目だろうかと、溜息を吐きながら、朱音の顔を自分から話しながら口を開く

 

「…昨日、他の女と寝たって聞いた」

 

「あ、うん、そうだね」

 

「…私は、食事をするだけだと聞いてた」

 

「いや、本当は食事会だけで済むはずだったんだよ、けど、その…相手が誘ってきたから…ね?」

 

まるで浮気がバレた旦那の言い訳のような事を並べ立てる朱音、最低である

 

「でも、朱音様から誘ってましたよね」

 

「馬鹿!余計なこと言うんじゃない!」

 

「…へぇ」

 

ただでさえ不機嫌なところに、さらなる爆弾が放り込まれた結果、リムジンの中が絶対零度になる

その爆弾を放り込んだ犯人を朱音は睨むが、どこ吹く風である

取り敢えず今は、目の前で絶対零度を放っている最愛の相手をどうにかしなければ

 

「いや、愛、聞いて、あれはね、クロに近い存在だったからね、情報が欲しかったんだよ」

 

「…だから、誘ったと」

 

「そう、だからね、決してね、愛のこと忘れて他の女にうつつを抜かしてたわけじゃないんだよ」

 

「…最低」

 

「うぐぅ」

 

致命傷を食らって思わず呻く朱音

そんな朱音の様子に呆れの溜息を吐きながらも、もう何度もこの光景を繰り返しているからか慣れてきてすらいた

 

「ごめんよぉ、はーちゃん…許してぇ…」

 

半ば泣きながらそう言う朱音に、再び溜息を吐く

 

「この後、叙〇苑連れてって、全部朱音の奢り」

 

「はい!勿論!連れて行かせていただいて驕らせていただきます!…というわけでこのまま叙〇苑に直行!」

 

「かしこまりました…会食の予定はどうされますか?」

 

「はーちゃんの希望より優先されることがこの世界中の何処かにあると思ってるの?」

 

「了解です」

 

そう言って進路を叙〇苑に向ける秘書

元々会食相手は大したことがない事もあったが、何よりこういう時に言っても聞かないのが朱音だと、経験が物語っていた

『はーちゃんからお出かけに誘われた』という理由で米国大統領との会食をキャンセルした女である

なお、いきなりのキャンセルに抗議したそうだが、『アメリカ国内にあるうちの企業と株を全部撤退させるぞ』と脅されて黙り込んだとか

 

「それと」

 

そう言うと朱音の手に自分の手を重ねるはーちゃん…早坂愛

 

「今日と明日と明後日、私とずっと一緒にいること、いいよね、ダーリン?」

 

その言葉に一瞬呆気にとられた朱音だが、すぐに表情を取り戻すと

 

「お任せください、マイハニー」

 

そう言って、愛の唇に自分の唇を重ねた

 

 

 

 

 

「ーーっ‼」

 

もう使われなくなった倉庫で、一人の女性が縛られ、床に転がされている

朝起きたらいきなり縛られて、ここに連れらてきたのだろう

まぁ、そうするように指示したのは、自分なのだが

抵抗したのか、あちこちに傷がついている

 

「それで、処遇のほどは」

 

自分のことに気づいたのだろう、駆け寄ってきた部下がそう尋ねる

最も、察しがついているようではあるが

伊達にあの主人のもとで何年も部下をやっているのである

 

「いつも通りです」

 

「了解しました、おい、立たせろ」

 

そう言うと女性を立たせ、奥へ連れていく部下

その際に女性が、怯えた目でこちらを見ているのがわかった

可哀そうにと、煙草に火をつけながら、ほんの欠片だけ思う

四宮グループが嫌いなのは分かるが、よりによって我が主人に近づくなんて

人を見る目がなかった女性の、自業自得である

やがて、奥から機械の音がする

しばらく続いたかと思うと、ぴたりと止まる

そして、奥の方から現れる先ほどの部下

 

「処分完了です」

 

「ご苦労様、ご主人様より言伝を預かっています…『バーを貸し切りにしている』と」

 

その言葉に口笛を吹く部下

 

「流石!早速一杯飲みに行かせてもらいますわ!あざす!」

 

その言葉に秘書が返事をする前に、既に姿は消えている

やれやれ、と首を振りながら秘書も倉庫から去る

外へ出れば、聞こえるのは遠くの道路を走る車の音だけ

取り敢えず連絡をするかと、電話をかける秘書

数コールした後に、電話に出る音がする

 

『ん、どうした?』

 

「彼らはバーに向かいました、一応ご報告をと」

 

電話越しに聞こえる喘ぎ声を意識の外へ追いやりつつ、ただ淡々と報告する秘書

 

『了解、じゃあ、おやすみ』

 

「ええ、良い夜を」

 

そう言って電話を切る

良い夜を、とは言ったものの、主人の夜はまだまだこれからだろうと、秘書は思う

同時に、あんな主人に愛されている早坂に、若干の同情すら覚える

今頃、主人によって抱かれている頃だろう

まぁ関係ないし、取り敢えず明日の予定を頭の中で組み立てながら、その場から去った

 

 

 

 




御堂朱音

見た目と声は良い
控えめに言って屑
男には興味ないガチレズ
抱いてきた女の数は多分三桁、いずれも遊び
だけど一番はやっぱりはーちゃんと桃ちゃん、この二人は本気で愛してる
二人の為ならどんなことだってやるし、二人が望むならいくらでも貢ぐ
過去に四宮家と四条家を潰す寸前まで追い詰めた実力者だが、はーちゃんに一目ぼれ
以来、対等な協力関係を築いている
はーちゃんに何かしたら次はないぞと脅している
夜は勿論攻め
真剣な時や行為の最中の時だけ、下の名前で呼ぶ


はーちゃんならぬ早坂愛

上記のガチレズの屑に一目ぼれされた哀れな侍女
初めは乗り気どころか恨んですらいたが、自分のために色々してくれた屑と過ごすうちに段々と絆された
今では他の女と寝たと聞いたらと嫉妬するほど
夜は受け
行為の最中に名前で呼ばれると興奮する、こんな体になったのも屑が原因


秘書

屑の秘書を務めている女性
そのうち屑が刺されるのではないかと思っている
てか刺されてしまえと思っている
そんな事態になったら、刺される前に鎮圧する


部下

主人最高!一生ついていきますぜ!
なお、全員が正規の軍人を秒殺できる腕前


屑に四宮からのお願いついでに遊びで抱かれた女性

反四宮
接近する相手を間違えた
後日会社は屑によって吸収された、可哀そうに
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