「……おまたせしました」
その声に振り返ると、すれ違った男の10人中10人が振り返るような美少女がいた。
彼女の名はユースティア・エーデルフェルト。
金色のショートに青色の瞳をした、水着を着た美少女である。153cmという小柄な体躯とバスト90cm越えの爆乳は、奇跡的なバランスで魅惑の身体を成しており、俺の目にはとてつもなく眩しく映った。
「かわいい。かわいいよ、ユースティア」
「……ありがとうございます」
彼女は恥ずかしそうに身をよじらせながら、胸やお尻を手で隠している。
そんな姿が愛らしく、そして俺の股間を刺激する。
(ダメだダメだ、平常心だ……)
「ユースティア、とりあえずお腹も空いたし海の家に行かないか?」
「良いですね。私もお腹ぺこぺこです」
海の家に向かう途中、俺はばれないようにユースティアの水着に視線を移す。
(こ……これは!)
彼女の身体つきは、熟す一歩手前の果実。みずみずしくもほどよく脂が乗っており、エロスと清楚さの織りなすアンビバレントな魅力を醸し出している。
ユースティアが来ている水着はシンプルイズベストな白と青のビキニ。本来であれば十分なサイズなのだろうが、彼女のたわわに実った胸やお尻を隠すにはまるで布が足りていないようだ。
現に彼女が歩くたびに胸は揺れ、たびたび指でずれたビキニを元の位置に直している。
「……ちょっと見過ぎです。変態」
「えっ? あ、あぁ、いや、見てないよ? 見てない……うん」
「ぷっ……ど、動揺しすぎです……おかしい」
ユースティアは目一杯背伸びして、俺の耳に口を近づけた。
「後でたっぷり堪能させてあげますから、今は海を楽しみましょう、ね?」
「は……はいっ!」
ユースティア・エーデルフェルトは俺の恋人である。それも、最高の。
海の家に着いて、適当な席に座る。
落ち着く間もなく、ユースティアはメニュー表を手に取り、瞳を輝かせながら眺めていた。
ユースティアはよく食べる。それはもう本当によく食べる。
朝昼夜の3食に加え、2限と3限の間には早弁をして、部活後にコンビニで山ほど食べながら帰るのは日常茶飯事だ。
「そんなに食べるのか? これから泳いだりするんだから、食べすぎると気持ち悪くなっちゃうぞ」
「大丈夫です。私の胃袋はこれくらい問題ないと言っていますから」
「……太るぞー」
「あっ……!」
メニュー表越しにジト目で睨みつけてくるユースティア。そんな彼女もまた愛らしく、頬がゆるんでしまう。
「……問題ありません。剣道部の練習で釣り合いは取れてます」
「部活引退したら一気に太るタイプだな、ユースティアは」
「うるさい。……それに、あなたと毎日のようにしてますから」
「ん? 何を?」
「……えっちなこと」
ユースティアが頬を赤く染め、耳まで真っ赤にしながら、目を逸らして言った。
そうだった。俺もユースティアと付き合い始めてから痩せたし筋肉がついた気がするのは、それのおかげだったのかもしれない。
少々気まずい雰囲気になりかけたので、注文内容を伝えて席を離れることにした。
用を足し、席に戻ろうとユースティアを探すと、彼女が知らない男と話していた、
ナンパか? と思い怪訝な顔をしながら、柱に隠れて様子を伺う。
少し離れている上に人がたくさんいるせいで聞こえにくいが、なんとなくだがナンパっぽい。
男はどこからどう見てもチャラそうな見た目をしてるし、多分きっとナンパだろう。
意を決し、柱の影から出てユースティアの後ろから近づく。
ユースティアの肩に手をポンと置き、精一杯ドスの効いた声を出した。
「……何か用ですか?」
「え? いや——」
「俺の『彼女』にぃ、何か用ですかって聞いてんですよ」
「ちょっと……」
ユースティアが焦った顔で俺を見つめる。
あれ? ほっとした顔をしてると思ったのに。
もしかして、ナンパじゃない……のか?
「何してるんですか……! この人はこのお店の店員さんですよ……!」
「えっ!? そうなの!?」
「はい。ほら、これ」
そう言って店員が持ち上げたのは、よく店員が持っているホルダーとそれに挟まれた注文票だった。
「ほら、謝ってください」
「あの……勘違いして本当にすみませんでした」
「いえいえ、よくありますから」
よくあるのかよ。大変だなこの人も。
店員がキッチンの方に消えていくのを確認すると、俺はおずおずとユースティアに向かい合う席に座った。
恥ずかしい……。
「まったくもう……」
ユースティアは大きなため息をつき、頭を抱えた。
大好きな彼女に恥をかかせてしまった。そのことに俺は深い後悔をしていた。
「まあ、いいです。私を大切に思ってくれているが故のことですし……」
「ごめんなさい」
「ふふっ、許してあげます」
ユースティアは優しい。
だから好きだ。
◯
俺とユースティアは海の家で腹ごしらえを済ませると、いよいよ海に足を踏み入れていた。
久しぶりの海にどうしてもテンションが上がる。普段落ち着いているユースティアも、どこかはしゃいでいる様子だった。
ユースティアの健康的な肢体が水に濡れ、海面に反射し、より色気を増す。
手のひらで掬った海水をばしゃっとユースティアにかけると、ひゃっ、と可愛らしい声をあげて目を細める。それのお返しで、ユースティアも手のひらで海水を掬って、俺にかける。
(楽しっ。大好きな彼女と海で水をかけあうって……めちゃくちゃ青春してる……!)
告白してよかった……、と俺は深くそう思った。
同じ剣道部。道着を脱いで、垂れる汗を拭うほてった顔。それに一目惚れした俺は、やっとの思いでユースティアに告白。玉砕覚悟で踏み出したその一歩は意外にも受け入れられて、恋人になって今に至る。
初めての彼女と初めての海水浴デート。最高だ……。
「うおっ」
「きゃっ」
大きめの波が打ち寄せた。
顔に水がかかり、手で拭う。
見失ったユースティアを探すと、彼女は肩まで海に浸かったまま、こちらを見て必死に何かを伝えようとしているようだった。
「大丈夫? ユースティア」
「はい、私は……。でも、あの……」
「? 何かあった?」
ユースティアはまるで何かを探すかのように、きょろきょろと周囲を見渡している。
「いえ、その……」
歯切れが悪い彼女は珍しい。
ユースティアは意外と自己主張をしっかりするタイプで、何か言いたいことがあるのにそれを躊躇する姿を見るのは初めてだった。
「怪我でもしたの?」
「そういうわけではなくて……すみません、私の水着が……さっきの波でどこかに持って行かれてしまいました……」
「……」
これはすごいことになった。
大きな波で彼女の水着が攫われるイベントまで経験させてくれるなんて、神様は俺のことが好きなんじゃないか?
「み、水着が?」
「はい……下は完全に。上は紐が解けてしまって……なんとか手で抑えてるのですが、片手じゃ結べなくて……」
今、ユースティアは、周囲に大量に人がいるこの場所で、下半身を曝け出しているというのである。
俺は周囲をきょろきょろと見回す。
俺たちが目立っていないこと、すなわちユースティアの水着が攫われたことがまだバレていないことを確認すると、俺はユースティアの背後に回り込んだ。
「とりあえず紐を結ぼう。そしたら俺が探しに行ってくる」
「ありがとうございます……」
ユースティアの小さな背中に目をやる。
紐は完全に解けていて、海にゆらゆらと揺れている。ユースティアが上から必死に押さえつけているせいで、胸の形が大きく歪んで後ろからでも乳肉がはみ出して見えた。
ユースティアは片手で胸を抑えていて、もう一方の片手で鼠蹊部を隠している。俺は両手の自由があり、反撃されにくい。
俺の中にむらむらと邪な感情が浮かんでくる。
「……一回揉んでから結んでもいいかな?」
「…………はぁ。……後でいくらでも揉ませてあげますから、今は早く結んでください……」
よしきた。
言質を取った俺はてきぱきと紐をぎゅっと結ぶ。
「まったく……私が動けないのをいいことにして……」
そう言うユースティアの顔は、呆れつつもどこか嬉しそうだ。
俺は流された方の水着を探しに行くことにした。
「そんなに遠くには流されてないと思ったけど……見つからないな」
波に揺られているはずの白い布地に青い紐の水着はどこを探しても見つからない。波に揉まれて沈んでしまったのだろうか。
とはいえ、見つかりませんでした、とユースティアのもとに帰るわけにもいかない。ここに来るまではパーカーを着ていたから、上半身は裸でもごまかせる。しかし、下半身が裸だったらごまかせないのだ。
「……潜るか」
俺は意を決して、息を吸い込んだ。
◯
ユースティア目線の描写
変態、スケベ、むっつり。
それが私が彼に抱いた第一印象だ。
中学生の頃から胸が大きくなり始めた私は、周囲の男の人から視線に敏感になってしまった。
ちらちらと私の胸を見ては、私が気づいたようなそぶりをすると、見ていないと言うかのように目を逸らす人、人、人。
それにうんざりしていた私が高校生になって、所属した剣道部にいた同級生の男子生徒が彼だった。
彼も、他の男の人と違わず私の胸を見てきた。その頃には、私の胸は同級生の誰よりも大きくなっていて、153cmという低めの身長とは不釣り合いな胸の大きさだった。
ただ、彼が他の男の人と違っていたのは、ちらちらと見てくるのではなく、凝視してきたこと。
私が彼に目をやっても、それに気づいてあるにもかかわらず、私の胸を見るのをやめなかった。
私は彼のことを少しだけ、デリカシーが欠如した面白い人、と思った。
彼とたまに話す中で、わかったことがあった。
それは、私の胸を凝視してくる以外では、彼は意外と真っ当だったこと。
部活に対しては真面目だし、勉強も私ほどではないにしろできる方らしい。それに、背も結構高く引き締まった身体つきだ。
意外とクラスの女子からは人気があるらしいという噂を聞いたことがあった。
私の胸ばっかり見てるムッツリなのに。
高校一年生の冬、部活終わり。
2人きりのホームで電車を待っていると、突然、彼に告白されて付き合うことになった。
そして、いくつか一緒に登校したり、買い物にいったりをして、終業式の日に私は彼を自宅に誘った。
私の得意料理を食べさせてあげる、という理由だったが、それが建前でしかないことは私が一番わかっていた。
料理を作って、一緒に食べて、後片付けをして、私の部屋でベッドに腰かけた。
次の瞬間には、唇が重なっていたと思う。
「思い返すと……私って変態みたいですね」
彼と付き合って一番驚いたのは、私が自分で思っていた以上にえっちなことが好きだった、ということだ。
最初のうちは遠慮気味だったが、ここ最近は毎日のように彼としている。それぞれの家ではもちろん、学校のトイレで口でしてあげたり、帰宅途中に我慢できなくなって近くのラブホテルでまぐわったりなんて日常茶飯事だ。
彼はどうやらおっぱいで挟んでもらうことが何よりも好きらしく、彼に付き合っているうちにどう動かせば気持ちいいのかを完璧に掴んでしまった。
「ふふっ、あの蕩けたお顔がまたかわいいんですけどね」
ふと、冷たい風が吹いてきて顔をあげる。
彼は私の水着を探しに行ったっきり帰ってきていない。
そう遠くにまでは流されていないとは思うが、そろそろ周囲に気づかれてしまうのではないかと不安になってきた。ずっと同じ場所で動かずにきょろきょろしている人は目立つ。
「――ねえ、君ここで何してるの? 一人なら一緒に遊ばねえ?」
そのとき、見知らぬ男の人が話しかけてきた。
またナンパか……と思いつつ、腕を引っ張られないようになるべく冷たく距離をとる。
「いえ、彼氏と来ていますので」
「えー? でもその彼氏くん、どこにもいなくね? 置いて行かれたんじゃねえの?」
「……しつこいですよ」
じりじりと近づいてくるナンパ男。
普段の私ならこれくらいなんてことないのだが、下半身が裸なことがどうしてもデバフになっている。
目と鼻の先にまで近づいてきたナンパ男に、手首をつかまれてしまった。
(まだ帰ってこないのですか……?)
「俺の『彼女』に何してる?」
「……っ」
馴染みのある声に振り替えると、そこには私の彼氏が立っていた。
〇
今度は間違えていない、と思う。ちゃんと隠れて話を聞いたから、あいつがナンパしてるのは確実だ。
振り返るユースティアの顔は驚きと喜びに満ちていて、目が若干潤んでいるように見えた。
意外とナンパ男は話のわかる人だったようで、俺が出てきて彼氏だと説明したらあっさりと身を引いてくれたから助かった。
「ユースティア、水着見つけてきたよ」
「……ありがとうございます」
「……俺が代わりに結んであげようか?」
流石に断られるだろうなー、なんて思っていた。なんならビンタされてもおかしくない。
しかし、予想に反して、ユースティアの反応はしおらしかった。
「……はい、お願いしても……いいですか?」
「あ……う、うん。わかった」
ユースティアに近づいて、水着の片側の紐をつまんで結ぶ。
「んっ……」
きゅっと紐をきつめに結ぶと、ユースティアがなぜか色っぽい声をあげた。
えっ、どうして?
「……はい、これでどう?」
紐を結び終わって手を離すと、二人の間に気まずい空気が流れた。
ユースティアは顔を赤くしたまま俯いているし、俺も俺で何を話せばいいのかわからない。
とりあえず海から出ようとユースティアに背をむけて陸に歩こうとする。
ふにょん。
「……あの、色々と……今日はありがとうございます。だから、これは……とりあえずのお礼です……。『本番』は……このあとで」
「え、ああ、うん……」
ユースティアが俺に背中から抱き着いている。
彼女の豊満な乳房が背中でぐにょんと潰れて、天使のような柔らかさが水着を通して俺に伝わってきていた。
今までもユースティアの胸を触らせてもらったことは何度もあるし、愚息を挟んでもらったことも何度かある。しかし、ユースティアが自分から胸を押し付けてきたことは一度もなかった。
しかも、このあとの「本番」って……そういうことだよな……。
ユースティアってここまで積極的だっただろうか。向こうから誘ってきてくれることはとても嬉しいから良いのだけれど……。
◯
あの後、ひととおり海を楽しんだ俺たちは、近くのラブホテルにやってきていた。
もともとは日帰りのつもりだったが、水着が流された関係で近くで泊まることになったのもある。
「いやー……疲れた……」
「私はまだまだ元気ですけど……あなたは限界みたいですね」
いや、それユースティアが体力ありすぎるだけだから。
流石剣道部、と俺は思う。
「しかし……めちゃくちゃナンパされたなあ」
「……同意です」
もちろんユースティアの方である。
いやらしい顔つきをした下衆野郎が山ほどユースティアに近づいてきていた。追い払うのにはかなり苦労した。
実のところユースティアは結構気も力も強いから、俺がいなくても問題はなかったと思う。
「私をナンパしてきた男の人たちは、一体私に何をして欲しかったんでしょうか」
「? 何って……」
決まっている。
ユースティアの顔、胸、お尻。それがあいつらの全てなのだ。
ユースティアに舐めてもらったり、胸で挟んでもらったり、お尻を鷲掴みにして欲望の赴くままに突いたり……。
いかん。だんだん腹が立ってきたぞ。
「でも……あなたも私の顔やおっぱい、お尻のことが大好きでしょう? 海でもたくさん見ていましたし」
「……それは、そう」
ユースティアはふふ、と笑う。
その顔は妖艶で、10代半ばの女の子がまるで魔性の女のように見えた。
彼女は俺が思っている以上に俺のことを知り尽くしている、気がする。
「まあ、私の身体と心はあなただけのものですけどね」
「うん……わかってる」
ふふ、とふたりで静かに笑いあった。
「さて、もうお風呂にも入りましたし、あとは……」
そう言いながら、ユースティアは俺の胸板を両手で押してベッドに寝かせると、そのまま俺の上に四つん這いの体勢で跨った。
「しましょうか♡ ……朝まで何発出せるか、新記録目指して頑張りましょう♡」
「……なるべくベストを尽くします」
枕元には1箱12個入りの避妊具が2箱おかれていた。そんなに出せるわけない……と思いつつ、ユースティアが相手なら出せる気がする。
俺はユースティアの首に両腕を回し、ぎゅっと抱き寄せる。そのまま唇と唇が重なった。