インフィニット・ストラトス~漆黒の代替品~   作:保志白金

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最初は原作沿いなので、つまらないと思います。
それでもよろしければ、読んでください。


入学

 「インフィニット・ストラトス」ーー略して

IS(アイエス)」と呼ばれるものが、

「一人の天才」によって開発された。

 

 元は宇宙空間での活動を想定して作られた

マルチフォーム・スーツだったが、今の時代の

それは全く違う。それは端的に言えば、兵器。

それも飛行能力を持ったパワードスーツで、

世界の軍事バランスをも崩した、最新鋭の

兵器である。

 

 その兵器には唯一にして最大の欠陥があった。

それは女性にしか扱えないということ。この

欠陥があることによって、今の世の中は

女尊男卑が当たり前となってしまった。

 

 しかし、「もう一人の天才」によって、

その欠陥を取り払われた、「IS」の「代替品」の

試作機が作られた。

 

 

 

 

 

◼◼◼

 

 

 

 

 

「それでは、ショートホームルームを

始めま~す」

 

 教室の黒板の前に立ち、満面の笑みで話を

進める女性ーー山田真耶先生。さっきの

自己紹介が正しければ、このクラスの副担任

だそうだ。身長は平均より低めで、女子生徒と

さほど変わらない。

 

「それではみなさん、一年間よろしく

お願いします」

 

 そう言って、山田先生はペコリとお辞儀を

するが、この場にいる誰からも声が聞こえて

こない。反応が全くと言っていいほど無かった。

それはほかの何かに注目しているかのように。

 

 大方の理由はついている。それは男子生徒が

俺を含めて二人だけだからだろう。

 

 ここはただの高校ではない。IS学園。当然、

女子にしか扱えないものである以上は必然的に

学ぶ場所も女子だけになる。……今まで

だったら。しかし、こうしてISを使える男が

突然一人現れたわけだ。

 

「織斑一夏君、……織斑一夏君っ」

 

「はっはい!」

 

 大きな声の返事が聞こえて、考え事をしていた

俺はビックリした。……なぜだか、先生も

おどおどしているけど。

 

「あの、ご、ごめんなさい。怒ってる?

怒らないでね。自己紹介が織斑君の番だから、

その、お願いね?」

 

 先生が泣きそうな顔をして、男子に頭を下げて

いる。俺も気が付かなかったが、自己紹介が

始まっていたらしい。…………ん?今、『お』

ってことは俺の出番がすぐ来るじゃないか。

どんなことを話せばいいんだ?

 

「え~と、織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

「…………」

 

 これで自己紹介は終了かな?よし、俺も

これでいこう。……と思っていた俺とは裏腹に、

女子達は「もっと色々喋ってよ」と言わん

ばかりの無言のプレッシャーを放っている。

 

「………………以上です」

 

 沈黙がしばらく続いた後、結局、これで

自己紹介を終えるという選択肢を彼は選んだの

だった。それには一部の女子が肩透かしを

食らって、ずっこけていた。

 

\パァン!/

 

 突然、清々しいほどの快音が教室に

鳴り響いた。彼がいつの間にか教室に入っていた

先生であろう女性に、頭を叩かれたからである。

 

「いっーー!?って千冬姉?」

 

 彼が何を言ったのかは聞こえなかったが、

もう一度快音が鳴った。

 

「ここでは、織斑先生と呼べ。それに、貴様は

マトモな自己紹介すらできんのか?」

 

 彼は二度にわたる頭部への打撃によって悶絶

している。

 

「あ、織斑先生。会議は終わられたんですか?」

 

「ん、ああ。クラスへの挨拶を押し付けて

すまなかったな、山田先生」

 

 そんなことはお構いなしに先生同士が話し

始める。そして、その女性が自己紹介を始めた。

 

「諸君、私が織斑千冬だ。君達を一年で使い物になるIS操縦者に育てるのが仕事だ。だから、私の言うことは聞け。いいな」

 

 ……この理不尽っぷりは「あの人」そっくり

だなぁ。

 

 しかし、その発言に対して、教室全体からは

黄色い声援が飛び交った。というよりも、

俺にとってはとてつもない騒音にしか

聞こえなかった。

 

 ……それより、苗字が織斑ってことは彼と

姉弟関係なんだろう。年齢的にも多分。

 

「毎年、よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだな。まぁいい。次、自己紹介を続けろ」

 

「え~と、次は神楽君ですね」

 

 って、もう俺の番か。

 

「はい。名前は神楽悟っていいます。趣味はバイクレースを観戦することで、牛丼が好物です。訳あってこの学園に入学することになりましたが、みなさん、これからよろしく!」

 

 織斑先生からの一撃が飛んでくることもなく、

無難に自己紹介をこなした。

 

 後続の人達も一通り自己紹介を終えた頃に

丁度チャイムが鳴った。

 

「丁度いいな。これでショートホームルームを終わりにする。これからは基礎知識を半月で頭の中に叩き込んでもらい、その後実習となる。わかったな。私の言葉に反抗してもいいが、言うことは絶対に守れ」

 

 ここは学校じゃなくて、どこかの軍隊だと

錯覚しそうな言動だ。冗談抜きで恐い。まぁ、

普通に生活していけば当面はなんとか

なりそうだな。

 

 

 

 

 

◼◼◼

 

 

 

 

 

「あー、キツい」

 

 授業を真面目に聞いたのが、久しぶりだった

からだろうか。そもそも、「あの会社」は俺の

ことを当時中学生と絶対に思っていなかった

だろう。あのアルバイトの量は。

 

「なぁ」

 

「えっ?」

 

 背伸びをしている俺に前から声がかけられた。

それはさっき、織斑一夏と名乗った男子

からだった。

 

「俺のことは気軽に一夏って呼んでくれ。

だからさ、キミのことは悟って呼んで

いいかな?」

 

「ああ、俺は別にいいけど」

 

「そうか。じゃあ、これからよろしくな。悟!」

 

「お、おう。アハハ……」

 

 なかなかフレンドリーな性格をしてるな、

一夏は。これで心細くなる心配はなさそうだ。

 

「いや~、ISを動かせる男が俺一人じゃなくて

よかったぜ」

 

 それとこの際だし、あのことを言っといた方が

良いかもな。

 

「え~と、俺はISを操縦できるわけではーー」

 

「ちょっといいか?」

 

今度は後ろの方から声がかかった。

 

「え?…………箒?」

 

 どうやら、一夏の知り合いのようだ。彼女は

たしか、篠ノ之箒さんだったっけ?苗字も

名前も珍しかったから覚えている。

 

「神楽、すまないが、一夏を借りていくぞ」

 

「えっ?ちょっ」

 

 ちょっと待ってくれ、という俺の声は届かず、

彼女は一夏を何処かに連れていってしまった。

……切り出せるチャンスはまだきっとあるから

大丈夫だよな。うん、大丈夫。

 

 

 

 

 

◼◼◼

 

 

 

 

 

 休み時間も終わり、2時間目の授業が

始まった。これはさっきの内容よりも複雑で、

ついていくのがやっとのことだった。そして、

俺の前にいる一夏は教科書とにらめっこを

しながら、唸っていた。

 

「織斑君、何かわからないところがありますか?

なんでも訊いてください!なにせ私は先生ですから」

 

山田先生も一夏の様子がおかしいことに

気付いて、えへんと胸を張りながら訊いてくる。

 

「えっと、ほとんど全部です」

 

 すると、一夏からは素直な返答が返ってきた。

 

「え?ぜ、全部です……か?」

 

 それを聞き、困り果てたような顔をする先生。

 

(あれ?そういえば……)

 

 俺が周りの他の女子生徒を見ると、たしかに、

全員が全員、全て理解しているような顔をしていた。

 

 その後、なぜ俺達だけがつまずいているのかが

わかった。入学前に必ず読まなくてはいけない

参考書があったのだが、俺達はその参考書を

読んでいなかったのだ。

 

 一夏は「古い電話帳と間違えて捨てた」と

言っていたが、俺はそんな分厚い本すら

見た覚えが無い。

 

 結局、再発行してもらって、それを

一週間以内に覚えろと俺達は無理難題を

突きつけられるのだった。……ってか絶対に

あの人が参考書捨てただろ。

 

 

 

 

 

◼◼◼

 

 

 

 

 

「悟、お前はどうするんだ?あの無理難題」

 

「ん~、どうするもこうするもないだろ。大変かもしれないけど、やってみるしかないさ」

 

「それもそうだけどよ~」

 

 前回の休み時間以上に、一夏の顔からは

疲労の色が見える。さっきの時間も織斑先生の

出席簿を頭に食らってたもんな。

 

「ちょっと、よろしくて?」

 

 また、後ろから声をかけられる。今日だけで

何度後ろを振り向いただろう?

 

 そこには蒼い瞳を持っていて、自然な金の

髪色を持つ白人の女子が立っていた。

その髪にはロールがかかっている。

 

 彼女はセシリア・オルコットさんだったな。

自己紹介の時、このクラスの誰よりも偉そうな

物言いだったので、かなり印象に残っている。

イギリスの代表候補生で入試主席だと、

自分で言ってたはず。

 

「訊いてます?反応くらい示してください」

 

「ええと、俺と一夏の二人に対して話してるの

かな?」

 

「ええ。それ以外にどう考えられますの?」

 

 う~ん、たしかにそれもそうか。

 

「あ~ごめん。それで俺達になんの用?」

 

「まあ!なんですの、その態度は。わたくしに

話しかけられただけでも光栄だというのに!」

 

 あれ、どこかに怒られる要素があったかな?

 

「そうだ、オルコットさんに訊きたかった

ことがあったんだ。ひとついいか?」

 

 いままで黙っていた一夏が口を開いた。

 

「構いませんわ。下々のものの要求に応える

のも貴族の務めですから」

 

「代表候補生ってなんだ?」

 

 自己紹介の時にもあったようなずっこけた音が

聞こえてくる。音源は聞き耳を立てていた

女子達だ。でも、そうなるのもうなずける。

いくらわからないといっても、聞いてその名の

通りなんだから、大方の予測はつくはず。

 

「あなたはそれを本気でおっしゃってますの!?」

 

 すごい剣幕で迫っている彼女に、一夏は

やや後ろに下がる。そして、答えた。

 

「えっ、知らないんだけど……。悟は

知ってるのか?」

 

「俺も詳しくは知らないけど、国に選ばれた

優れた人材ってことだ、きっと」

 

「そういうことですの。要するに、わたくしは

エリートなのですわ!」

 

 俺が当たらずとも遠からずなことを言うと、

彼女は胸を張って俺達に人差し指を向けた。

 

「ISのことでわからないことがあれば、泣いて頼まれたら教えて上げてもよくってよ。何せわたくし、入試で唯一教官を倒したエリート中のエリートなのですから」

 

 へぇ、ここの入試には実習も含まれてたんだ。

 

「それなら、俺も教官を倒したけど」

 

 あら、唯一じゃなかった。一夏のその告白に

彼女の形相は一気に豹変した。

 

「わ、わたくしだけ、と聞きましたが?」

 

「女子では唯一ってオチじゃないか?」

 

 一夏……そこは直球で言わずに、お茶を濁して

言ってくれ。このままだと、俺にまでーー

 

「なら、そちらのあなたはどうなんですの?」

 

 俺の方に身を乗り出すような形で、ズイッと

顔を近付ける。

 

「い、いや、俺は倒せなかった気がするなぁ!」

 

 ……飛び火してしまった。ヤバイ、この返答は

マズった。

 

「本当のことをおっしゃいなさい!」

 

 そこから更に、顔を接近させた。それもさっき

より険しい剣幕で。

 

「う、嘘じゃない、嘘じゃないから。とりあえず落ち着こう。な?オルコットさん」

 

「こんなことを知って、落ち着いていられーー」

 

 俺達にとって、最高のタイミングで

チャイムが鳴った。

 

「またあとで来ますわ!絶対に逃げ出さないこと!よくって!」

 

(あ~、頼む。次の授業時間内に忘れ去ってくれ)

 

 俺は切実にそんなことを願うのだった。




オリ主の素性はまだ明かされてませんが、数話後にわかると思います。
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