インフィニット・ストラトス~漆黒の代替品~   作:保志白金

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「D-LIVE!!」知ってる人ならわかると思いますが、悟の仕事風景です。


地下水道ー1

「授業を始める前に、再来週に実施されるクラス

対抗戦に出る代表者を決める」

 

 今度の授業の担当は山田先生ではなく、

織斑先生のようだ。そして、授業を始める前に

このクラスの代表者を決めたいそうだ。

 

 代表者というのは簡単に言えば、普通高校で

例えると学級委員長のような役職である。

決して、対抗戦限定というわけではない。

なので、生徒会の会議への参加であったり、

その他もろもろの雑務をうけおうことになる

だろう。

 

「はいっ、私は織斑君を推薦します!」

 

「私もそれに賛成です」

 

 一夏は性格が良いからな、推薦されるのも

当然か。

 

「候補者は織斑一夏。他にはいないか?」

 

 自分から立候補する物好きはいないだろうし、

俺は中学時代からクラスの中で地位は下だった

から、推薦されることはーー、

 

「神楽君を推薦します」

 

「えっ、そんな?」

 

 驚きのあまり、思わず声が出てしまった。

いままでそんなことに縁もゆかりもなかったん

だから、そんな俺に務まるわけがない

じゃないか!

 

「男子二人が候補者か。別に自薦でも構わんぞ。

他にはいないか?」

 

 む~、これを避けるには、なんとかして一夏に

やらせるしかないか。でも、決め方は投票

させたり、くじを引かせたり、結局は運任せ

なんだよな。

 

「そんなの納得がいきませんわ!わたくしも

立候補します!」

 

 あ、そういえば、オルコットさんがいた。

自分でも「できる女」って自負してるんだし、

彼女に任せれば万事解決だろう。

 

「大体、男にクラス代表を任せようとすること

自体、わたくしには考えられません!実力から

行けばわたくしが代表になるのは必然。それを

単に、珍しいからという理由だけで、こんな

劣等生達にされては困ります!」

 

 彼女はそんなに男が嫌いなのか?別に嫌いでも

なんでもいいから、クラス代表になってくれ。

 

「それに、文化としてもこんなに後進的な極東の

島国で暮らさなくてはいけないこと自体、

わたくしにとっては耐え難い苦痛なのですわ!」

 

「えっ、そうかな?日本ほど暮らしやすい国は

ないと思うけど」

 

 それにイギリスと比べてもそこまで文化が

遅れてるわけではなかったと思うし。……あれ?

そもそも論点がずれてきてないか?

 

「あんた、日本のことを散々馬鹿にしてるけど、

イギリスだって大した国じゃないだろ。イギリス

だって島国だし、世界一不味い料理で何年間

連覇してるっけ?」

 

 俺が反論してしまったせいなのか、一夏が火に

油を注ぐようにオルコットさんに挑発的な

発言をする。

 

「あ、あなた、わたくしの祖国を侮辱

しますの!?」

 

 オルコットさんもさっき日本のことを侮辱

してたような気がするんだけど。

 

「決闘ですわ!」

 

 両手のひらで机を叩き、そう宣言する

オルコットさん。俺の方もチラッと見た気が

するけど、まさか、俺も巻き込まれてる?

 

「ああ、いいぜ。四の五の言うより

わかりやすい」

 

 一夏はずいぶんと乗り気だな。そんなに

クラス代表をやりたいのか?

 

「俺はいいや、クラス代表とかする気ないから。後は二人でやってくれ」

 

 俺が興味を無さそうに適当に返事をした。

事実、興味ないからね。

 

「あら、怖じ気づきましたの?なら、

仕方ありませんね」

 

 別にそんなわけじゃないんだけど、

反論するのも面倒だからいいや。

 

「おい、お前はあんなこと言われて悔しく

ないのかよ!」

 

「いや、別にそんなわけじゃないんだけどさ…」

 

 俺の周りの人がもっと酷いというか、

こんなんで腹をたてるのがアホらしくなる

というか。

 

「一週間後の月曜に試合を行う。推薦された

以上は神楽にも参加してもらう。異論は認めん。

それでは各自それまで準備するように。以上だ。

それでは授業を始める」

 

 ……結局、俺もやらないといけないはめに

なるのか。織斑先生の指示なら仕方がない。

 

 

 

 

 

◼◼◼

 

 

 

 

 

「つまり、ここはさっきのページに書いてあった、あのことじゃないのか?」

 

「あ!じゃあ、次のことは……」

 

 とりあえず、一日の授業全てを終え、俺と

一夏は授業でよくわからなかったところを

中心に、教室に残って勉強を教え合っていた。

何だかんだ解決できていたので、要領よく

覚えることができた。

 

「織斑君と神楽君はまだ教室に残ってたん

ですね。よかったです」

 

 山田先生が教室の中へ入ってくる。どうやら、

俺達のことを探していたようだ。山田先生の方を

よく見ると、書類を片手に持っていた。

 

「えっとですねも寮の部屋割りが決まりました」

 

 そう言って、俺達に部屋番号の書かれた紙と

鍵を渡してくる。しかし、それと同時にある

疑問が浮上する。

 

「俺は新学期始まって一週間は自宅から通学する

って話を聞いたんですけど」

 

「それ、俺もです」

 

 たしか、部屋の調整が間に合わなかったから、

という話のはずなんだけど。

 

「ごめんなさい。事情が事情なので一時的な

処置として無理矢理変更したらしいのです」

 

 そんなこと言われても、

 

「あの、荷物を準備しないといけないので、

今日は帰っていいんですよね?」

 

 そうそう。荷物の準備が何もできてないん

だよな。そのことも考えると、寮で生活を

始めるのは多分、明日からになるだろう。

 

「あっ、それでしたらーー」

 

「心配はいらん。私が手配しておいたからな」

 

 山田先生の声を遮る形で織斑先生の声が

聞こえてきた。

 

「それと、神楽の荷物も彼女から預かって

きてる。量は割りと少なめのようだったが」

 

 俺のまで用意されてる?どうせ、俺の部屋には

着替える服ぐらいしかまともな荷物は

なかったし、問題はないけど。

 

「じゃあ、勉強に区切りがつきましたら、

部屋に行ってみてくださいね。夕食は6時から

7時の間に寮の一年生用食堂で取ってください。

それと、各部屋にシャワーはあります。

大浴場もありますが、織斑君と神楽君は

今のところ使えません」

 

「えっ、なんでですか?」

 

「アホかお前は。まさか同年代の女子と一緒に

風呂に入りたいのか?」

 

 ……そうだった。一夏が質問しなかったら、

危うく俺が墓穴を掘るところだった。

 

「それでは、私達は会議に出ないといけない

ので、これで。道草せずに寮へ帰って

くださいね~」

 

 校舎から寮までそんなに距離はないはず

だけど、そんなことはどうでもいいか。

 

「じゃあ、早速部屋に行ってみようぜ」

 

「ああ、そうだな。今日はここまでにしとこう」

 

 一夏の一声で、俺達はいままで広げていた

教科書類をカバンにまとめて、部屋へと向かおう

とするが、ケータイが制服のポケットの中で

小刻みに震えた。メールが来たらしい。

 

「っと、一夏だけ先に行っといてくれ」

 

「急用か何かか?」

 

「いや、別に大したことじゃない。アルバイトの

要請だ……多分」

 

「へぇ、アルバイトやってるのか。高校に入った

ばかりで」

 

「えっ?まぁ、そ、そうだな。ちょっと生活する

のに少し苦しくて」

 

 変なところで勘が良いというか……。特に気に

しなくていいから、はやく行ってくれ!

 

「じゃあ、また後でな」

 

 そう言われ、一夏が去っていくことを確認し、

ケータイを取り出した。

 

「うっ、大至急集合ってことは寮で飯を食べられないってことじゃないか」

 

 俺はメールの内容を確認して、ガックリと

肩を落とした。

 

 

 

 

 

◼◼◼

 

 

 

 

 

「これから私達はここ最近頻発した連続銀行

強盗犯を捕まえにいくのよ。いいわね!」

 

 俺が集合場所につくと、仕事内容が彼女ーー

清水初音から説明を受けた。彼女は一応その

……俺の同僚みたいなものである。

 

「うちの会社はいつから警察の真似事をする

ようになったんだ?」

 

「仕方ないじゃない。銀行から直接依頼が

あったんだから。まぁ、警察が二度も犯人を

取り逃がせば、信用をなくすわよ。それで私達

『ASE』に泣きついてきたってわけ」

 

「はあ」

 

 そんな理由で、わざわざ俺が危険を

おかさないといけないってか?

 

「でも、いくら捕まえるって言ったって、自慢

じゃないが、俺相当弱いぞ。うちの会社もーー」

 

「そんなことわかってるわ。つべこべ言って

ないで現場に行くわよ。時間もないし」

 

「…………ん?現場?」

 

 俺はどんな手段で強盗犯を捕まえるのか、

見当が全くつかなかったが、初音が下を

見下ろして、マンホールの蓋をおもむろに

開け始めたので、少なくとも嫌な予感しか

しなかった。

 

 

 

 

 

◼◼◼

 

 

 

 

 

「私達の見解では、あれだけ厳重な警察の検問の

突破は不可能。ただし、この地下下水道を使えば

話は別よ」

 

 俺の嫌な予感は見事に当たり、俺達は

マンホールの中へと入っていった。そして、

奥深くに進みながら、初音は言葉を続けた。

 

「今の下水道は地上の道路同様、複雑で迷路の

ようになっている。それを上手く使えば誰にも

見つからずに逃走することも可能」

 

 初音は白い布がかかっている何かの前で足を

止めた。それは中型バイク位の大きさの

何かである。

 

「つまり、うちの会社はこう推測したの。犯人は

ここに潜り込んで、逃走ルートとして使った。

ある乗り物を使ってね」

 

そう言って、白い布を取り払った。

 

「で、あんたの出番ってわけよ。どんな乗り物

でも完璧に乗りこなす、

スーパーマルチドライバー、神楽悟君!」

 

 そこには、いままで極貧生活を送ってきた

貧乏人の俺にとって、縁がないものがあった。

ーージェットスキー。

 

「どう?このメカニックの天才、清水初音様が

徹夜でチューンアップした特別製よ。それに、

この下水道のマップも私のパソコンに入力済み。

機体にも無線が内臓されてるから、ナビは私に

任せておきなさい!」

 

「そんなこと言われたって、こんな乗り物運転

したことないぞ」

 

「えっ!?」

 

 俺の言葉に初音はひどく狼狽する。なんで、

そんなに驚くんだよ。俺にだって運転したことの

ないものだってあるんだ。そもそも、俺が

こんなブルジョアジーなスポーツをするはずが

ないだろう。

 

「そ、そんな……。私の徹夜が無駄になるって

いうの?だいたい、あんたから運転技術を

取れば、能なしのただのダメ人間じゃない!」

 

 うわ……酷い言われよう。俺ってそんな風に

思われてたのか。すると突然、初音が持っていた

パソコンからピーピー音が鳴り出した。

何かしらの通信が入ってきたようだ。

 

『本部より清水初音へ。たった今、銀行が例の

強盗に襲われた』

 

何ぃ!?本当だったの!?

 

『犯人の車はすでに銀行を出て、南東方面に

逃走中だ。神楽悟を直ちに現場に向かわせろ!

諸君の健闘を祈る』

 

言葉を少なく簡潔に、なおかつ、一方的に

言われた後に、すぐに通信は切れた。

 

「どーすんのよ!このままじゃ、犯人逃しちゃう

じゃない!せっかく憧れの『ASE』に仮採用に

なったっていうのに……これじゃあ、

採用取り消しよ!」

 

 うちの会社、そんなに立派なもんかなぁ。

国際的なただの便利屋だろう?それに、

こんなもんどうやって動かすんだか。

 

 俺はジェットスキーに手をかけて、

エンジンをかけた。ーーなるほど、構造は

原チャリとほぼ同じか。問題があるとしたら、

ここが汚水の中だということだけだ。

 

「お前、うちの会社、クビになりたくないん

だっけ?とりあえず、やるだけやって

みるから!」

 

 よし!よろしくなジェットスキー。今、

お前に生命(いのち)を吹き込んでやる!




『ASE』・・・Almighty Support Enterpriseの略で、「軍人からベビーシッターまで常に一流を派遣する」をキャッチコピーとし、世界中から様々な分野のスペシャリストを集めた国際的人材派遣会社である。依頼料金は高額だが、任務遂行は正確かつ迅速。エージェント個人の意思で依頼を拒否することもできるとされている。

wikiより引用しました。
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