モモンガさん、転生する   作:一人旅系亜種

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ボウロロープ&バルブロ

 暴虐の王ランポッサから王都を解放する。それが徴兵の名目だった。

 ランポッサ三世は怪しき魔術師の手により心が壊れ、いまや貴族の血を啜る化物と化してしまった。尊き血族が統治する地を力で奪い取り、そこにいる全生命を力の限り殺し尽くそうとしている。今こそ立ち上がれ気高きリ・エスティーゼ国民よ! 卑劣なる魔法詠唱者モモン・エモットを許すな! 己が手で邪悪なる化身と、力に魅入られ堕ちた王を撃ち滅ぼせ!!

 

「……俺を殺したやつには、金貨5万枚を支払う。急げ、乗り遅れるな、か。あいつら、これを狙って見逃してたとは言え、なりふり構わない手を打ってきたな」

「それだけあとがないんだろ。この数ヶ月の間、モモンが粛清した貴族は山ほどいる。知人が次から次へと死んでいく様を見れば、次は自分達なのかと戦々恐々としてもおかしくはないな」

 

 ふぅんと言いながら、俺はザナックの私室でリ・ボウロロールで出されたお触れをクルクルと回してみる。腐敗貴族の内、こうなることを狙って粛清していなかった連中は、昨今の情勢から進退きわまったとようやく察したようだ。

 俺を殺せたら勝ちと考えていたのかもしれないが、生憎俺の首はまだ繋がっているし、心臓も動いている。かなりの刺客(ラブコール)を頂いているが、色よいお返事をしていない。このままでは自分達は王に殺されてしまう。ならば、その前に王都に攻め入り逆賊モモン諸共狂気の王を始末してくれるわ! というのが今回の軍団結成の理由だった。

 

「それでモモンはどうするんだ? 7万人となれば、内戦の規模としては最大だ。ボウロロープ侯とリットン伯に加えて、複数の有力貴族が持つ兵力を全て動員しているぐらいのな。なのに、俺の部屋でのんびりしていて大丈夫なのかよ」

「その辺は問題ありませんよ、殿下。仮に7万に王都が包囲されたところで、三つ。三つ魔法を唱えるだけで、それらは無力化できます」

「そうか。三つあれば十分なのか……50万人分の兵力からすれば、7万人とは相手ですらないか。もはや戦じゃないな、それは」

 

 はい、戦じゃありません。ぶっちゃけ集結されている兵力についても、事前にある程度は調査済みだ。何人かはミスリルやオリハルコン級の兵力が混ざっているが、英雄は一人もいない。むろん逸脱者や超越者も。

 

(とは言え、そろそろ百年の揺り返しの時期だ。もしかしたら、力を隠しているプレイヤーが混ざっていたりする可能性も無きにしもあらず。この世界の情勢や貨幣価値の調査が済んでいなくて、金貨5万枚を貰いつつ現地有力者とコネが作れるとなったら、乗るユグドラシルプレイヤーは絶対にいる)

 

 セバスもそうだが、この世界で100レベルにとって敵と言えるのは真なる竜王か、ユグドラシル関係者ぐらい。その状況で子供一人殺せばコネ作成! となれば、向こうに協力するやつが出てもおかしくはないと俺は考えている。

 対100レベル用の初見確殺コンボなども考えてはいるが、それが必要にならなければ良いなーと俺は期待していた。

 

「時間だな。それでは陛下の所に行って参ります。殿下も勉強の続きを再開してください」

「おう。またな」

 

 ザナックの部屋をあとにして、俺はランポッサとの打ち合わせに向かう。打ち合わせ内容は大別して二つ。一つは7万人の相手をどこでするのか、そしてもう一つは──

 

「バルブロ殿下とボウロロープ侯。両名との話し合いの場ですが、向こうが了承してくれました」

「そうか……バルブロを説得できるかどうかは私の手腕にかかっているのだな」

 

 ランポッサが王冠を撫でて寂しそうに呟く。その様子を見て、やはり貧乏くじだよな……と俺も心の中で呟いてしまう。

 今回集められた王都解放軍7万人だが、これらを搔き集めたからと言って、すぐに向こうも進軍できるわけではない。簡単な訓練をして、各部隊を率いる貴族で連携し、糧食などを用意してからようやく王都に向けて行進が可能となる。

 それまでの間に、ランポッサはボウロロープとバルブロを問い質したいそうだ。向こうは真なる王バルブロこそが玉座に座るに相応しいと宣言している。これはお触れにも書いてあった。今玉座に座るのは、尊き血を啜る化物ランポッサ。それを抹殺し、本当の王であるバルブロのために王都を奪還する……とかなんとか。

 つまりこのままいくと、こちらが勝ったあとバルブロは処刑するほか無くなってしまう。もちろん首魁であるボウロロープ侯も。

 俺としてはボウロロープ侯に死んでほしくなく、ランポッサとしてはバルブロに死んでほしくない。なのでこの二人だけはなんとか説得して、こちらの陣営に引きずり込もうという魂胆だ。

 

(バルブロは、今ならまだ死罪は免れる。王位継承権は無くなるし、一生幽閉生活にはなるが)

 

 それをあの王子様が受け入れるかどうかは不明だが、親としてランポッサはしてあげたいそうだ。俺としても、ボウロロープはまともな貴族かつかなりの影響を持っているので、無力化できるなら事前に無力化しておきたい。

 という訳で、王と共に俺は、リ・ボウロロールとリ・エスティーゼの間にある都市に向かう。護衛は俺だけ。向こうは二人だけで行くので、こちらもランポッサと俺だけと指定されている。それを頭から信じるつもりなんて毛頭ないので、パンドラには後詰をしてもらい、いざと言う時には救援にこられるよう準備はさせておく。

 

「ここです、陛下」

「ここか……バルブロに会うのも久方ぶりだな」

「数ヶ月は会っていませんでしたからね……行きましょうか、陛下」

 

 俺とランポッサが来たのは、ここの都市長の邸宅だ。あらかじめ話は通してあったので、屋敷のメイドにバルブロとボウロロープが待つ部屋へと案内される。

 

「お久しぶりですな、陛下。相も変わらず、息災そうで何よりです」

「そちらこそ……と言いたいが、随分とやつれたなボウロロープ。我の強い貴族を纏めるのは、相当堪えておるようだな」

「お戯れを。あの程度の連中を躾できなくては、ボウロロープ家の名に傷が付きます」

 

 強がってはいるが、数か月前に玉座の間で見た時よりも、ボウロロープは明らかに憔悴していた。頬は痩せこけ、見るからに体重が落ちていた。自分達が絶対なる存在と信じる連中を、どうにかこうにか纏める。それは相当の負担を生んでしまってもおかしくはない。

 連中がどれだけあれな頭をしているのかは、隣にいるバルブロを見ればわかる。俺を見て顔を真っ赤にしているバルブロを、だ。

 

「よくもぬけぬけと顔を見せられたな、モモン・エモット! 平民の分際でありながら父を誑かし惑わせ、俺の配下になる筈だった貴族を粛清した大罪人が!」

「殿下、私は平民ではありませんよ。あなた様の義父であられる、ボウロロープ侯と同じ貴族です。殿下と言えども、呼び捨てにされてはなりません。それにモモン・エモットではなく、モモン・シャーナ・ライル・エモット公爵です」

「何が公爵だ! そんなもの父上が勝手に呼んでいるだけだ! 玉座に正しき王である俺が座った暁には、お前の爵位など即刻剥奪してやる!」

「殿下。落ち着いてください。ここはエモットを糾弾する場ではありません。陛下が我らに真意を問い質し、我らが陛下に真意を問い質す。その目的で集まったのですから、どうか気を鎮めてください」

「……そうだな。この場で怒りを発散させる理由もないか。命拾いしたな、エモット。俺たちが勝った後、お前は拷問の末に殺してやる。それまで、精々その首が繋がっている事に感謝しておくんだな」

 

 バルブロの言葉に顔を顰めて、ボウロロープが横目で睨みつけている。今そういう話をしているんではないだろう、馬鹿王子が……そんな言葉が聞こえてきそうだ。大変だね、ボウロロープさん。こんなのとか、こんなのに同意する馬鹿をたくさん飼ってるんでしょ? ほんとに大変そう。

 

「……バルブロとモモンの心温まる話も終わったようだな。本当は世間話や近況について問いたいが、そんなことをしている時間も無さそうなので、本題から入ろうか……ボウロロープよ、このお触れはなんだ?」

 

 ランポッサが取り出したのは、暴虐の王ランポッサをぶち殺せ! と書かれた紙だ。それを見て、それですかとボウロロープが頭を撫でる。

 

「陛下に言い訳をさせてもらうのであれば、それを書かせたのはリットン伯です」

「あやつか。不和と裏切りを撒き散らしておきながら、それでもなお懲りずにこのような文面を書き起こすとは……あの恥知らずめ」

「リットン伯には、これぐらいしか得意分野が無い故、御容赦のほどをお願いいたします、陛下」

 

 リットン伯なぁ……ボウロロープが言うように、六大貴族の中でも一番才覚も能力も劣っているのがあいつだ。とにかく自分が劣っていない事を証明しないといけないのか、どんな手札でも使う狡賢さがある。貴族らしさを持ちつつも、貴族のプライドを捨てて手札を選べる。わりと面倒なタイプではある。

 

「ボウロロープ。これがリットンの制作物と言うのであれば、お主はこれについてどう考えているのだ? 本気で私のことを、モモンにより誑かされた狂王と思うておるのか?」

「それは──」

「当たり前だ! かつての父上は、貴族を処刑するなど野蛮な真似をしなかった! それも民などという、我らに奉仕して当たり前の消耗品のために裁いていると聞く! 何たる軟弱な思考か! 父よ……王家としての誇りはどこに捨ててきたのだ!!」

 

 ボウロロープが何かを言おうとしたら、それをバルブロが遮ってしまう。いや、お前空気読めよ。お前の義父が何か喋ろうとしてただろ? ほら、ボウロロープもこいつはぁ……みたいに顔を押さえてしまっている。

 

「バルブロ……お前は本気で、民のことを消耗品だと考えておるのか?」

「無論だ。民など、所詮は幾らでも使い捨てて替えが利く。周囲の貴族はみなそうしていた。王家とて、そうしてきた歴史があると書物にはあった。常に上に立ち、愚かな民衆を導いてやる。それが王の務めであり、貴族の務めだ」

「愚かではない、バルブロ。民衆は決して愚かという訳ではない。たしかに我らがヴァイセルフ家の中にも、民草を踏みつけ潰し、彼らが築き上げた財を強制徴収した悪鬼もおる。それは事実だ。だがな、過去がそうであったから……かつてはそうであったから、今もそうして良い道理などない。私が口にする食物。私が着る仕立ての良い服。我が王城を築き上げた石材や木材。そのどれもに民が関わっておる。良いか、バルブロよ。民草無くして、我ら王族も、そこのボウロロープのような貴族も、今の生活を保てないのだ。彼らは我らがいなくとも生きていける……食材を創る術を知っておるからな。だが、私やバルブロ、お前はどうだ? どうすれば作物を育てられるのかを知っておるか? 知らぬであろう」

「それは……知らんが、だから何だと言うのだ?」

「簡単な話だ。民は我ら王侯貴族がいなくとも生きていけるのだ。それに対して、我らは民に見捨てられたが最後、喰うにも困り、着るものも自らの手で用意出来なくなる。私たちは人の上に立つ、それは事実だ。しかし踏みつけるために君臨するのではない。全体を纏め上げ、皆を明日に導き、その見返りとして特権を許されている……のう、バルブロ。お主は生まれついて特権を持っていたが故に、あまりにも簡単なことを見落としておる。民と王侯貴族。これは簡単な上下関係ではない」

「父は何を言っているのだ! 身分とは純粋な力だ! 俺やボウロロープ侯、そして父上。生まれつき特別な存在こそが、特別な存在としてちんけな平民の上に立つ。なぜなら、俺たちはそうあれと定められて生まれてきたからだ! それなのに、いうに事欠いて簡単ではないだと?」

「殿下……陛下の御言葉の意味が分かりませんか?」

「なんだ、エモット。貴様には父上の言葉が分かるとでも言いたいのか?」

「多少は、ですが。そもそもの話、生まれついての特別性……を語るのであれば、人間種に生まれた時点で特別ではありません。殿下は多少は鍛えているようですが、それが特別かと言われると……殿下はオーガと戦った事はありますか?」

「そんなものあるわけがないだろう」

 

 だろうね。別に王族だからと言って、レベル上限が高い訳じゃない。ラナーにしろザナックにしろランポッサにしろ、そして目の前のバルブロにしろ、全員20レベルも上限はない。バルブロも到達可能な強さは精々13と非常に低い。そんな実力でモンスター退治に出かけても、返り討ちにあって死ぬのが関の山だ。

 

「ないですよね。そもそも多少鍛えたところで、オーガ相手となれば簡単には人間では勝てません。かなり鍛えないと意味がない。けれども、オーガは鍛えているかと言われたら違います。何も鍛えていないし、自然体のまま。それでも下手に鍛えた人間よりも強い。言い方はあれですが、人間なんてオーガ以下の脆弱な弱小種族です。ゴブリン辺りと何も変わらないような……そんな弱い種族の産まれで、自分は特別? そんな訳がないでしょう。特別を誇りたいのであれば、ドラゴンにでも生まれ変わればいい。人間に生まれて、亜人との戦いや異形との戦いに何の役にも立たない地位を誇るなんて馬鹿の真似事です」

 

 人間社会での地位。それが他種族との生存競争の何の役に立つのだろうか。最近は法国内でも地位が大切だと思うやつが出てきているらしいが、地位にしろ金にしろそれが使えるのは狭い人間国家の中だけだ。少しでも人間の生存圏から出て役に立つのは、言っては悪いが武力の強さだけだ。

 

「馬鹿……だと!?」

「馬鹿が嫌なら、戯けか阿呆の方が良いか? 特別な生まれ、自分は偉い……その特別さとやらが何になる。御山の大将を気取りたいなら、もう少し武の強さを究めろ。社交界のマナーを覚えるよりもな。人の上に立つなら、下の人間を守れるように強くなれ。平民が食料などのライフラインを整えてくれるなら、お前達王侯貴族がすべきだったことは武力を最低限でも良いから整備することだ。それなのにしょうもない権力争いで、人材や資源を食い潰しやがって……」

 

 バルブロは顔を真っ赤にしているが、俺の言いたい事は変わらない。そもそも俺が国への介入を始めた理由は、このままにしておくと俺のワンオペ業務が始まりそうだったから。それを防ぐためにも、ランポッサやザナックに協力して国の軍事力……多数の人間以外が暮らすこの世界で、生きていくための本当の力を備えさせることは必須事項だった。

 けれど、こんなことは本来であればそこまでする必要もない筈なのだ。法国のように自前の軍事力を持っていてくれたら、俺が介入する必要なんてなかった。この一年間積極的に働いてきたが、実のところ俺は殆ど休んでいない。一日の飯と睡眠時間以外、疲労無効特性に任せて仕事し続けている。

 

(お前を担ぎ上げる馬鹿貴族がもっとまじめに仕事していたら、俺がここまで奔走しなくても良かったんだぞ! ほんとふざけるなよ……前世よりもブラックな気分だ)

 

 これに加えて、平民を踏み潰すのが正しいんだよと言わんばかりのあれこれをたくさん見てきた。精神作用無効があるから憤怒には至っていないが、前世のエリート連中を思い出して不愉快な想いをしてきている。それらの感情がゆえに、目の前の特別と言いながらも、何一つ技能を持たないバルブロに対して舌打ちしたい想いが湧き出てくる。

 

「モモン……思うところはあるのかもしれないが、落ち着くのだ……バルブロ。私は今モモンを諫めたが、お前に対しても言いたい事は山ほどあるぞ……だがそれは、私の力が足りぬばかりに、お前への教育をしっかりとしてやれなかったことも原因だ。ゆえにこの場では、これ以上の言葉を重ねはせん……ボウロロープよ。徴兵はお主がお触れを出したのではない。それは理解した。お主は……徴兵による内乱は本意ではない。そう考えてもよいのか?」

「お触れの内容には同意は致しません。ですが、徴兵した兵の矛先を、王都から外す事はあり得ませんな」

「つまり、戦を止める気はない。そう考えても良いのか?」

「そうなります。今更私が止めようとしたところで、他の諸侯が止まりはすまい……陛下。この場は戦争を止めようと開いてくださったとは思いますが、残念ながらその問いかけに返事は出来ません。我ら反国王軍、王都解放戦線は、一か月後に王都に向けて進軍を開始いたします」

「……そうか。バルブロよ。お主にも問うておきたい。反国王軍が掲げる新王とやらの座を捨て、こちらに戻ってくる気はないか? 今であれば、まだお主は無理に神輿として担がれた第一王子として処理できる。が、進軍が始まった後では無理だ。その時には、反国王軍のリーダーとして、ボウロロープや侯諸共、お主を罰さなければならん……」

 

 ランポッサが立ち上がり、バルブロの傍に近づいて手を取る。

 

「こちらに帰ってくるのだ。お主はまだやり直せる。今からでも遅くはない。今一度、王とはどうあるべきなのかを学び直し、モモンが言うように武の道を歩み、数多の亜人相手でも引くことがない武王になれるよう努力し邁進するのだ。それが良き王に繋がる道で──」

「触るな!」

 

 バルブロがランポッサの手を振りほどく。その眼には増悪が籠っていた。

 

「父よ、そこのエモットの言葉に良いように踊らされおって……良き王だと? すでに俺は良き王として完成している。武の道とやらもな。民とやらを貴族や家族の俺の誇りよりも大切にし、王家として正しさを踏みにじった父の下に帰ってこいだと? ふざけるな! 俺の父は隣にいる! 俺を王として認めたボウロロープ侯がな」

 

 俺は目でボウロロープに問うてみた。良いんですか? 今なら引き返せますよ?

 

「……私はボウロロープ家当主。引けぬこともある……本当に残念だがな」

「そうですか。それは……残念ですね」

 

 そこからもバルブロをどうにか説得しようとランポッサは言葉を重ねるが、第一王子様は一向に頷こうとはしない。そんなやり取りをしている中、ボウロロープの目が壁に掛けられた時計に動く。なんだ、時間を気にしているのか?

 俺も時計を見て、こんなに時間が経っていたのかと驚く。いやぁ、ここまで話が長引く……待て。こんなに時間が経っているのに、今のところ()()()()()()()()()()()()()()()()()

 強烈な違和感を覚えた。違和感……なんだ? 何かがおかしい。どうして部屋の外を誰も通っていない? 中に入ってこないなら理解は出来る。だが誰一人として? ここは都市長の邸宅兼仕事場だぞ? そんな場所で人が……!!! アコニティの気配羅針を起動させる。すると違和感の正体は分かった。屋敷から人がいなくなっているのだ。屋敷どころではない。

 

(<魔法修正位階上昇効果範囲拡大化・生命探知>)

 

 この都市の住民反応そのものが消失していってる。命の反応があるのはここだけ。これはまさか……!

 

「陛下……残念ですが、話はここまでのようですね。時間が来たゆえ、我らは撤退させて頂きます……ここから陛下達が生き延びられることを祈っております」

「なに? ボウロロープ、お前はなにを言って──!!」

 

 バルブロもは? みたいな顔をしている。何も聞かされてない顔をしたバルブロを連れて、ボウロロープの姿が突如として消える。同時に、俺が普段から巡らせている情報魔法に複数の反応。

 

敵感知に反応あり。攻撃反応が上空に一つ。<魔法探知>にも反応あり! 攻撃の正体は……あ、やっべ! 超位魔法の反応が出てる。転移は……次元封鎖反応あり! ならば!

 

(<魔法修正五重位階上昇最強化・骸骨壁>。これでも足りないだろうから<魔法修正最強化・要塞創造>!)

 

 俺が魔法を唱えて、ランポッサ諸共骸骨のドームで周囲を覆う。それだけでなく、ワールドアイテム『真なる無』を形状変化させて、巨大な盾に変更。ついでに攻撃に対するカウンターとして、<要塞創造>で塔を形成。その直後に……轟音。<透視>を発動させた俺の目の前で、屋敷と要塞と周囲一帯が、空から飛来した剣により粉砕された。

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