冥王星のリング   作:EMM@苗床星人

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◆9 涙に応える

 

 試合当日、工場街のドームを照らす発光粘菌の大コロニーが目覚め光り始める『朝焼け』の光を前に、ハンクは汗に体を濡らしダンベルを上げる。

 その赤い瞳は闘志に燃えて、肩のショゴ助も同じ赤に輝いている。

 

「準備はいいかよ、相棒」

 

『てけり・り!』

 

 夜鷹の雛のような声が、どことなく『まかせておけ』と鳴いたような気がした。

 よし、と呟くとハンクは改めてシャワーを浴びに行った。

 

 

 

 テレビに映る試合当日の朝、ユゴス・リング上空は既に熱気の渦に包まれていた。

 リング建物の上空には空気中に散布された発光粘菌胞子によって彩られた旗のように揺らめく二つのスクリーンに睨み合うハンク・グリフィンとダグ=ゾスの姿が表示されている。

 バイオトンネルの陸路は入場待ちの観客で溢れ、彼らのために開かれたであろう出店が一つの街を形成する勢いで乱立している。

 3、2、1、キューと指のサインで指示してから羽を震わせて飛ぶヴェル=クン、その後を追うゼラチン質の高次元立体生物はダオロス=スポーツのカメラマンだ。

 

『ハロー! 全宇宙の冥王星ボクシングファン達ぃ⭐︎

ダオロス=スポーツのカメラさんを借りて今日はユゴス・リングの熱狂を伝えちゃうよぉ!』

 

 ヴェルがそういうと、カメラマンのキューブ状器官が開いて中から貝ひものようなサブカメラアイが展開し地上の様子を映す。

 

『会場の発光粘菌の輝度はすでに110%ぉ! ここからさらに上がっていくとすれば前代未聞のテレパシー密度が期待されます、さすが元地球チャンピオンハンク・グリフィン!

相手の深淵共和のダグ=ゾス選手も先日のクタル=イゴンの屈辱を晴らそうと意気込んでいるそうです、これは試合が待ちきれないヨォっ!! にひひっ』

 

 上擦った声で待ちきれない思いを吐露するヴェルは、会場そばの公共電送機が瞬いたのを見ると有無を言わさずそちらへ急降下した。

 記者も後を追い、その姿を確認するとメインカメラへと映像を絞る。

 電送機からゾロゾロと現れたのは黒服に身を包んだガタイの良い深き者の集団と、その中心にいるダグ=ゾスだった。

 

『これはこれはダグ=ゾス選手! こんな時間から入場とは気合い入っておられますねぇ! カメラに向けて何か一言ございますか?』

 

『こら、カメラこんなところまで来るんじゃない……!』

 

「んわっ……ぉ?」

 

 護衛の黒服がヴェルとカメラを制止しようとするが、その奥からダグが手を突き出し逆に黒服を制止した。

 ダグは拳をギチリと固めながら、唸るような声で言った。

 

「これは我々の威信をかけた戦いである、地球のチャンピオンであろうと戦いねじ伏せる。そして我々は……いいや我は、この手に掴むのだ!

ヘレナ=エイクリー……覚悟せよハンク・グリフィン! その女は我のものだ!」

 

「……へ?」

 

 ダグの発言に、思わぬ方向性のスピーチにヴェルは思わず声を漏らしてしまうのだった。

 ダグの護衛をしていた黒服達も、固まってダグの方を見遣る。

 

『とっ、とんでもない事実が発覚ダァぁぁ!! ダグ選手、まさかのヘレナを手に入れる宣言!!

トラッシュトークのアレは滅茶苦茶不器用な告白だったああぁぁぁぁ!!?』

 

『若、マジっすか!?』

 

『寄りによって人間型バイオスーツのミ=ゴっこ一人手配しやすのに!』

 

 ヴェルを超える勢いで詰め寄る護衛達にダグは鬱陶しそうに手を払う。

 

「えぇいなんだ貴様ら今更! 我は止まらんぞ、見てろよクタルの兄貴……!」

 

 

 

 一方、ハイドラの医務室でベッドに横たわるクタルと、その横にて等身大に縮んだヨグ=ゾスは生暖かい視線をモニターに映るダグに向けていた。

 

「あのバカ何言ってるんでしょうね大神官……?」

 

「不器用な息子なのじゃ、腕は確かじゃから多めに見てやれ」

 

 

 

 ユゴス・リング内の控え室にて朝のそんな映像がモニターに映し出されていると、わなわなと手に持ったホロコンソールを震わすヘレナは、真っ赤になった顔を上げて絶叫する。

 

「な……なっ、何ですかいまのはぁ!?」

 

「HAHAHA言うだけ言わせてやれ、俺たちだって勝手言って試合組んでもらったんだから、なぁアルバート」

 

「はぁ、そうだな……ノイズの野郎ブチ切れてんなこりゃ……」

 

 予想外の事態に頭を抱えるアルバートだが、そんな3人の足元にコロコロと緑色の球体が転がってくる。

 源ショゴス社員のマツ=チャンだ。

 

「社長! 依頼の品完成しました!」

 

「でかした、ダグ相手ならこいつは良い精神攻撃になるかもしれん!」

 

 マツが内部からにゅるっと取り出した箱を受け取ったアルバートは、それをヘレナに渡す。

 

「ヘレナ、お前はこいつを着てリングサイドに行け。試合中でも良い、ハンクを間近で観測して例の機能を使えるように仕上げるんだ」

 

「へ? そ、そうですねわかりました?」

 

 渡されたものが何なのかわからないヘレナは困惑の薄紫色に髪を染めながら、理にかなっている説明についつい承諾してしまう。

 しかし冷静になって考えてみると、ヘレナの髪は青く染まった。

 

『結局、どれだけトレーニングを重ねて擬似的なスパーリングをしてもあの機能はまだ発動していない

ぶっつけ本番でデータを取る事態を想定していた師匠はさすがとしか言えません……

もし、私のシステムが不発に終わってハンクさんが負けでもしたら……』

 

 ヘレナの菌糸網に、最悪の想像が駆け巡る。

 ノイズコンツェルンに取り潰されるトライスクラップ、ダグの奴隷となり鎖に繋がれる自分の姿……

 

そして、地球から連れ去る直前に見た

燃え尽きた元チャンピオンの、灰のような余生を送るハンクの後ろ姿……

 

「……っ!!」

 

 深紫になった髪で、唇を噛むヘレナ。

 

『自分のことはもうどうでもいい、でもそれだけは、それだけは絶対にさせちゃいけないっ』

 

 うっすらと悔し涙を流すヘレナの肩を、ハンクは優しくポンと叩く。

 

「肩の力を抜けよ、ヘレナ……お前が力んでどうすんだ、お前はリラックスして最高のサポートをしてくれるんだろ?

信じてるぜ? パートナーのお前の腕をよ!」

 

「ハンクさん……」

 

 ピンポンパンポン、と控え室に時間を知らせるチャイムとテレパシーが聞こえる。

 

『時間となりました、出場選手はリングに上がってください』

 

「よっしゃあ! ちょっくら行ってくらぁ!」

 

「ハンクさんっ! ショゴ助!」

 

 ハンクと共に立ち上がったヘレナは、強い決意を顔に浮かべてハンクに言った。

 

「一緒に、頑張りましょう!」

 

「……勿論だ!」

 

『てけり・り!』

 

 

 

 熱狂の渦の中心点、それは台風の目などではない、テレパシーと肉声が爆音で傾れ込む洪水の底だ。

 5年ぶりのその舞台に立とうとする自分に万感の思いで両手を広げるハンクは、舞台の照明と熱狂の全てを受け止めるようにその両の拳を振り上げた!

 

 

「待たせたなお前らあああぁぁぁぁ!!」

 

 

『「Soul Punch! Hunk‘s Fire!!」』

 

『「Soul Punch! Hunk‘s Fire!!」』

 

『「Soul Punch! Hunk‘s Fire!!」』

 

 

「あ、あ、アルバート師匠、これはやりすぎですってええぇぇ!!」

 

 アウタースーツを着替えてきたヘレナは、別の意味で絶叫しながらリングサイドについてきた。

 先に渡された箱の中身は、ラウンドガールのための際どすぎる衣装だったのだ。

 

「恥ずかしがり屋のヘレナちゃんを恥ずかしがらせすぎない程度に可能な限り露出を上げた逸品です!

大丈夫重ね着! 重ね着だから!」

 

「露出って言ってんじゃねぇか、良い仕事してるぜ名デザイナー」

 

さらに後ろから滔々と語り出すマツは、人間型バイオスーツの外側に着るアウタースーツーーつまりは人間の衣装のデザイナーである。

 デフォルトのあのレオタード衣装を設計したのも何を隠そう彼である。

 彼はまるで宇宙全体の物語を描く源夢の神の言い訳のような主張を唱えるが、それに突っ込みつつもアルバートは称賛の言葉を送った。

 

「しかしまぁ、ラウンドガール(もしくはラウンドスタッフ)として間近に構えるのは冥王星のボクシングじゃあ常套手段だ。

バイオスーツや生体改造パーツの遠隔チェックはこの程度の距離じゃあ微々たる差だが、その差が致命的な結果を産むこともある

ヘレナはラウンドガールとしてあの場に侍ってた方が都合が良い」

 

 そういうアルバートにヘレナからの今にも泣き出しそうなテレパシーが流れてくる。

 

『でも師匠ぅぅ、ちょっとこれは恥ずかし過ぎてぐちゃぐちゃになっちゃゃいますぅぅ』

 

『泣き言言うな、技術者の意地見せてやれ!!』

 

 ブフッ、と、何かが噴き出す音が聞こえる……

 ヘレナがその音に壊れた機械のように向き直ると、反対側のリングの入り口向こうで顔を真っ赤にしたダグが鼻血を抑えてよろめいていた。

 鼻に護衛の黒服がもってきたこよりを鼻に詰めながらダグは震える手でヘレナたちへテレパシーを放つ。

 

「良い覚悟だっ……! 絶対、手に入れてやるっ!」

 

『いやぁぁぁっ……!』

 

 深紫色の髪になって頭を抱えるヘレナであった。

 

 

 

 ユゴス・リングの天蓋に舞う発光粘菌胞子が、観客のテレパシー熱狂を映すように万色の光を放ち始める中、中央のリングに二つの影が浮かび上がる。

 実況席から、ヴェル=クンの軽快な声がテレパシー波として全宇宙に広がる。

 

『さぁさぁさぁやって参りました冥王星ボクシング!の復活戦!

ホロモニターの前のみんなは今日も過酷な労働お疲れ様だよぉ!

実況はワタクシ、工場街の天才ヴェル=クンちゃんと……』 

 

『知恵の古き書庫より、宇宙の外苑を越えて馳せ参じた古きもの、エル=トスが、この熱狂の渦を君らに捧げん。

今日の試合は、地球の魂と深淵の神格が交錯する、予測不能なる変数の頂点なり。』

 

隣のエル=トスが、星辰の深淵を思わせる荘厳なテレパシーで続きを継ぐ。

ヴェルが興奮を抑えきれない様子で、エルの星型器官を指差しつつ続ける。

 

『エルちゃん、今日も祈りのポーズでご機嫌だねぇ!

いあ、おーじん!にゃる、しゅたん、にゃる、がしゃんな!』

 

『混沌と調和の神々に祈りを。試合開始のゴングが、宇宙の新たな物語を描かんことを。

いあいあ、あざとほーと!』

 

『『いあ、いあああぁぁぁ!!』』

 

『では今日のリングを狂気と混沌に染める戦士たちの紹介だぁ!

黒コーナーからは初参戦にして既に伝説、そのオーソドックススタイルは地球から来たボクシング界の一つの回答!魂の拳、ハァァァンク・グリフィイイイィィィィィン!!』

 

 声援と共に「Soul Punch! Hunk‘s Fire!!」の声援が音声とテレパシーの両方から響いてくる。

 

『白コーナーから来るは、深淵の御使い、生体改造工学による水圧ジェットの使い手、巨体から繰り出される初見殺しのトリッキーな戦法はクタル譲りの魔術の冴え!ダァァグゥゥゥ=ゾォォォスウウゥゥゥ!!』

 

「Dagon’s Wrath! Dag’s Dominion!!」と、同様にダグを応援する声援が反響する。

 

 リング上空から三つの口吻を持つ昆虫のようなレフェリーが降りてきて、クスクスと笑うような音を立てながらルールを確認する。

 

『それではルールを確認します、脳幹破壊は原則禁止、拳と触手のみで語るべし……あ、体液の噴出は身体機能なのでOK

それでは両者、秩序と混沌の神々に祈りを』

 

『いあ、いあ、くとぅるふ、ふたぐん……』

 

『……』

 

 ダグが祈る間、ハンクはヘレナに向き直って拳を掲げる。

 その所作は、『神よりもお前を信じる』と、テレパシーですらない言葉でヘレナに言っているようでもあった。

 それに気付いたヘレナは真剣な表情になって青い髪で頷くと、手元にコンソールを展開する。

 

「すぅ……はぁっ……っよし」

 

 深呼吸を一息つき、ヘレナは羞恥を受け入れ、流し、ハンクのコンディションに極限まで集中する。

 ミ=ゴ屈指の技術者であるノイズの子株として製造、育てられてきたヘレナの解析能力は目視によりほぼノータイムでのハンクのモニタリングを可能とする。

 

『怯えるのはここまでだ、私は私で、最適のコンディションを発揮しなければ……ハンクさんに勝ち目は、ない!』

 

ッカーーーーーーーーン!!

 

『さぁあゴングが鳴りましたぁ!! 両者センターでフェイスオフ!!

まずは両者探り合いを開始する!! おぉっとハンクから早速左ジャブを3発連発ぅ!

ダグはそれを難なく受け止めるぅ!!』

 

 ドパン、ぱん! と、良い音は入っているが、衝撃は全て両腕に吸収されているのがダグの余裕の表情からも見て取れる状況に、ハンクは軽く舌打ちする。

 

『セミオープンスタンスか……デケェ図体によくあったスタイルだ、デケェ組織のお坊ちゃんなだけあってしっかりセオリー弁えてやがる……!』

 

 ハンクは軽やかにサイドステップを踏みいつでもピボットを踏めるように構えながら心の中で呟く……そこでダグの軽い笑みにゾクリと予感を感じて咄嗟に後ろに重心をずらす。

 

「しぃアッ!!」

 

 バシュア! とダグが掛け声と共に振りかぶった左拳の肘から高圧の水流が噴き出して拳を加速させる!

 しかしこの動きは、もう予想されていた!

 ハンクはバックステップで殺人的加速の拳を避けると、カウンターとして右ストレートをダグのボディに叩き込む!

 

「ごっふぉ……!」

 

 ガードを崩されたダグは肘をハンクに向けて水圧を噴出する、それはジャブと同程度の威力を持ち遠距離攻撃に転用もできる。 

 それをハンクはショルダーロールで肩の上を滑らせて無効化する、そのままはんくはダグに密着しダグの水圧蓄積を妨害、クリンチの体制だ。

 けたたましくゴングが鳴り、現在のラウンドの終了を告げる。

 

 観客席がさらなる熱狂に沸き、発光粘菌の胞子がオレンジ色に輝いた。

 

『こ、これはぁ凄いっ!! 地球人のフットワークが神話生物の……深き者の深海圧力をを翻弄しているっっ!!』

 

『現在はハンクのポイントリードである、有効打数とコントロールの多さは流石オーソドックス・スタイルでチャンプに上り詰めた英雄であるな

5年のブランクも感じさせないトレーニングの狂気は前情報で掴んでおったが、これほどとは恐れ入る……まさに、魂の拳であるな』

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 ヘレナはリングサイドでひたすらコンソールのキーを叩き続ける、その指の速度は人間型バイオスーツの出せる限界にまで達しておりそれに加えてテレパシーを用いたコーディングをさらに追加、幾つものプログラム表示が並列でヘレナの周囲を旋回する。

 

『サンプリング率は96%……やっぱり足りないのは魂魄のボルテージ、技術だけではここはどうしても突破できないっ

私にできるのはデータをリアルタイムで更新していつでもあれを発動できるようショゴ助を調整し続けるだけ

そのショゴ助の消耗も予想より早い……ハンクさんっ、頑張って!』

 

 ヘレナが作業と共にひたすら祈りを捧げる中、第二ラウンドのゴングが鳴った。

 

 ッカーーーーーーーーン!

 

「……!!」

 

 第二ラウンド開始と同時に、ダグが積極的に前進しハンクの眼前へと迫る。

 今度はダグの両肘から水圧が噴射され、水飛沫がリングの外に出ないようシールドが光り水を弾く。

 

『こいつっ見抜きやがった!!』

 

「しぃアッ!! っらぁっ!!」

 

 右、左とハンクのガードに水圧ジェットのアッパーが入る、ハンクは攻撃の隙に左ジャブ、右フックを交互に出して応戦するが、ダグの勢いは止まらず再び水圧ジェットの拳が牙を剥く!

 

『脆いなぁ、地球人!!』

 

 ダグのテレパシーがハンクに届くと同時に、三度目の水圧によってハンクのガードが押し返された!

 

『あーーーーっと!! ダグ選手怒涛の水圧ジェットラッシュぅ!!

流石にこれは身体能力差が露呈しちゃう!!』

 

 ヴェルの言葉を証明するかのように、即座にダグは身を引き水圧ジャブを遠距離から連発、その一発が無防備となったハンクの右肩に直撃する。

 

『てけっ!?』

 

 ヘレナは悲鳴をあげたショゴ助のスタミナがレッドアラートを出した事に、予想された事態に手を止めないままテレパシーを飛ばす。

 

『駄目っ!? 避けてハンクさん!!』

 

『っ、これは不味ぃかっ』

 

 野生動物並みの直感とヘレナのテレパシーを聞き入れガードを解いたハンクはダグが飛ばした水圧ジャブへカウンターでストレートを叩き込むが、ダグは拳を高く掲げたハイガードを用いて有効打を防ぐ。

 ヘレナのコンソールでボルテージの表記が一瞬上がり、発動の兆しが見えはしたがまだ足りない……

 

『っくははははは!!』

 

 ダグのテレパシーでの哄笑と共に水圧ジェットのラッシュは続き、ハンクは一気にロープ際まで追い詰められてゴングが鳴る。

 

 

 

『いやぁ第二ラウンドは一転してハンク劣勢、ダグが優勢に切り替わっちゃったねぇ』

 

『神話生物に対して一人で立ち向かうならば、これでも十分奇跡と言える成果を叩き出しているだろう……だが、これは冥王星ボクシングである。ボクサーと技術者の交差点であり祭壇であるからして、ハンクの何か隠し持つ奥の手が打開の鍵になれば良いのだが……』

 

 リルの言葉にヴェルは熱狂に上気した目を向けて半目になる。

 

『あんれぇエルちゃん企業区側の実況でしょ? ハンクに肩入れしすぎじゃない?』

 

『我の所属は召喚者である企業区側、ヴェルは住まう工場町側であるが、我は我で公平な立場でこの混沌の坩堝を観測し神々に捧げるのみである』

 

 そう言うエルの五つ目の一つの視点はヘレナの元へ歩くハンクにズームしていく。

 

 

 

 

 

 

 その瞳が映す画面を俯瞰しながら、黒いチャイナドレスの女はポテトスナックをパリッと噛み潰した。

 

「あぁ~もどかしいっわねっ! がんばれ二人ともぉねぇ!」

 

「珍しい、こう言うの見てて貴女が手を出さないなんてさ」

 

 ソファーに背を預けて子供のようにもがく黒いチャイナ服の女性の背後に、黄金色の神聖な光が溢れる。

 光が止んだそこには、金髪の癖っ毛にベレー帽を乗せた若草色のドレスの少女が立っていた。

 左目を眼帯で覆っているが、その右目はチャイナドレスの女性と同じく深淵の底をも見通す光を放っている。

 

「手を出す混沌は流石に選ぶわねぇ、ちょうど呼ぼうと思ってたところね?」

 

「ふふふ、一緒にカウチポテト?」

 

 少女は女の横にちょこんと座ると一緒にテレビを鑑賞し始める。

 

「調和の権化として、彼はどう映るかしらね?」

 

「うん、すごく真っ当。 普通の人間なのに、逆に怖くなっちゃうくらいの人だ」

 

「わかるわぁ、だからオージンちゃん、後で秩序のやつ止めといてもらえる?」

 

「えぇ~……まぁいっかぁ、録画分は見せてよ?」

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か、ハンク?」

 

「まだまだ行けるぜ俺ぁ、あんな水鉄砲でへばってられっかよ」

 

 アルバートの言葉にそう返したハンクは、その後ろにいるヘレナの髪の色が深い青に沈んでいる事に気づく。

 

「……不安か?」

 

「違います……怖いんです……相手は筋力強化型の神話生物です、このまま試合を続けて、さっきはショゴ助に当たったからよかったものの、ハンクさんの身に何かあったら……」

 

 ヘレナの脳裏に先ほどのダグの『脆いな』という言葉が反響し、ヘレナはブルリと体が震えた。

 

「地球人はミ=ゴと違い体を損傷したらそれがそのまま脳の停止につながる生き物だと知識では理解していました……でもっ、初めて理解しました……これは、危険すぎる賭けだって

体を交換することはできます、でも……私はこの体になって気づきました、地球人の体は魂の一部だって

だから、ハンクさんの肉体も、肩の傷だって本当は……」

 

「だからこそだ、ヘレナ」

 

 ハンクの言葉にヘレナはハッとする。

 ヘレナにはハンクの目が怒っているように見えたからだ。

 

「俺の肩を治したのはお前だヘレナ、だからお前は信じる義務がある、俺とアルタイルをよ……だがなぁ」

 

 そう言ったところでハンクの肩は、試合中の興奮の赤から、桃色に変わった。

 そして、ハンクははにかむように言った。

 

「正直いうと、嬉しいぜ。

そこまで応援してくれんのはよ、何人の声援より近いところで俺を見てくれているってぇのは……こんなん初めてなんでな」

 

 そういうハンクの感情を、いつか聞いた彼の孤独な過去から、自分と同じ気持ちであると気づいたヘレナもまた、髪を桃色に染める。

 

「ハンクさん……ううん、見守りますよ! だから、勝って……」

 

「……任せろ!」

 

 ハンクが右の拳を向けると、ヘレナはそれに自らの拳を合わせてグータッチした。

 

 

 

『地球人にしてはよくやる……だがこれ以上は茶番だ、無力な輩をあまりのさばらせるわけにもいかん』

 

「わかってるさ、親父……次で潰す」

 

 ホロモニターの向こうから話しかけるヨグ=ゾスの言葉に、パイプ椅子に座るダグは水分を補給しながら応える。 

 

『トラッシュトークから付き合ってはいるが、ノイズの姫株を手に入れることだけが目的ではないことも忘れてはならん』

 

「あぁ、この試合に勝ってヌガー=クトゥンへの挑戦権を獲得する……そして、クタルの兄貴のリベンジマッチをこの俺が果たす!

兄貴の十八番、リング上魔術の有用性を我が証明してやる……!」

 

 

 

 ッカーーーーン

 第3ラウンドのゴングが鳴ると、ダグが両拳を眼前で合わせて詠唱を開始する。

 周囲の発光粘菌の発色が変わる、オレンジから、紫、緑へと。

 空気そのものを震わせるようにダグのテレパシーの圧がかつてないほどに膨れ上がり、会場全体へと伝播する。

 実況席の壁にオレンジ色の結界霊子が発光粘菌とはまた違う発光現象としてチカチカと瞬き。その影響を防いだことを示している。

 

『おぉっとこれはぁ?』

 

『会場全体規模の魔術干渉であるな、問題がある類のものではないと判断されるため試合を続行するべきである』

 

 ざわめく観客席のなかで、アルバートだけが眉を顰める。

 霊的視力を持つアルバートはダグの足元から立ち昇る人魂のようなオーラを見つけた。

 

『いあいいあふんぐるいむるぅなふくとぅるぅふたぐん……』

 

「アレは幻覚魔術……? いや、周囲に見せる幻覚を基盤にしたなんらかの儀式だ……ヘレナ!!」

 

『ハンクさん! 相手が何か大技を仕掛けてきます、離れて!!』

 

『早速かくそっ!』

 

 アルバートが看破し、ヘレナのテレパシーを通じて知らされる。

 詠唱は長く、ハンクがダグからバックステップで離れる余裕があるように見えた。

 しかし離れるハンクの足が突然、ズニュウ、と床へ突然沈む感覚に襲われる。

 

『オイオイ……反則じゃねぇのか、それ!』

 

 試合の様子を眺めたエルの瞳の一つがチキチキキキと明滅しその膨大な知恵を収めた外部ストレージとの通信を一瞬行い、結論を出した。

 

『『ダゴンの庭』、物理的な干渉を伴う幻覚を見せる高等幻惑黒魔術、世界を騙す幻覚であるな』

 

『つまりぃ、魔術による環境ハザードってことでいいのかな? 判断はレフェリーに委ねられますぅ』

 

 リングのそばでクスクスと音を立てながらレフェリーが許可!と書かれた旗を掲げる。

 

『あぁそっか幻覚だもんねもう流石なんでもありの冥王星ボクシング! いつか違反判定でたらそれこそ猛抗議くるわ!』

 

「くっそ……なんだこれ!」

 

 ハンクは燻んだ色の沼地の幻覚の中ででなんとか地に着く足を動かしダグに向きなおる。

 しかしダメージの蓄積もありタダでさえ先ほどまでのフットワークも怪しくなってきたハンクに今の環境は圧倒的不利である事に変わりない。

 

『これでもうちょこまかと逃げられんな?』

 

 ダグは一人だけ自然に動き、水圧ジェットのボディブローでハンクのボディを狙う。

 

『このっ、水を得た魚かよ!』

 

 ガードするハンクだが、隙をついたそのブローはハンクの腹に深くめり込んだ!

 

「ごはっ……ぁ」

 

 ハンクの肺が一気に押し潰され、血の混じった咳が出る。

 ハンクのコンディションアラートに居ても立っても居られないヘレナはハンクに振り向こうとするが……

 

『………~っ、ハンクさん!!』

 

『続けろ!! ヘレナ!!』

 

 ハンクの絞るようなテレパシーで我に帰り、再び作業に戻る……しかしその目には涙が浮かび始めている。

 

『なんで……ここまでやって、何が足りないの!? このままじゃ、ハンクさんが……ハンクさんがぁっ!』

 

『諦めろ、地球のボクサー!!』

 

 ハンクのカウンターブローをバックステップで避けたダグは、両肘から再び遠距離からの水圧ジャブの嵐を浴びせる。

 

「ごっ……ばっ……ぐほっ」

 

 まともに動けないハンクは顔、左肩、ボディ、右肘……至る所に衝撃を受けてよろめくがなんとか足を踏み締める。

 

『貴様は地球人の中でも特に賞賛に値するだがそれまでだ

魔法使いでもない、魔術師ですらない! 何も知らなかった一般人にしては快挙と言ってもまだ足りぬ!』

 

『へっへ、言ってくれるじゃねぇか……』

 

 それはダグの心からの賞賛だった、それほどまでにただの人類と神話生物には大きな隔たりがある。

 歴史の因縁や、そのほかの組織を知るダグだからこそ、ハンクの姿は唯の地球人のイメージとは違って見えていた。

 

『だがよぉ、俺は諦めねぇぞ刺身野郎……降参なんざ求めても無駄だぜ?』

 

 ハンクはふらついた拳をオーソドックススタイルに固めなおし、沼の中で守りの体制を固める。

 

『俺ぁ楽しい……このボクシングっつうコミュニケーションがよぉ、辞められねぇんだ……止まらねぇんだよ』

 

『こいつ……っ!』

 

 ダグは水圧を噴射せずにハンクのガード目掛けてパンチを繰り返す。

 もはや痛みを与えて降参を求めるだけの暴力の嵐だ、それで折れてくれると期待していた……

 だが、ハンクは折れない!

 

『いい加減に……!!』

 

『てけり・り!』

 

 ショゴ助の鳴き声が響き、ハンクの右肩が赤く輝くと周辺の沼がバリンとガラスが割れるような音と共に砕け、消滅する。

 

『しまっ、神格持ちのショゴスか!?』

 

 ヘレナが目を丸くする、ショゴ助が自分の意思でハンクを手助けしたのだ。

 

『ショゴ助っ……でもっ、でも……』

 

 ヘレナは黙してコンソールを叩く……

 ハンクはそのまま踏み込むと油断によってガードが遅れたダグの正面にストレートを叩き込んだ。

 ……だが、そこまでだった。

 ハンクのスタミナは、とっくに尽きていたのだ。

 顔面に当てられた拳を掴み、ダグは怒りを露わにした形相でその拳を押し返す。

 

『もう、いいだろう……そのつもりなら、徹底的に潰してやる。

望み通りに、なぁ!!』 

 

 ショゴ助の加護が薄れ、沼地の幻影が再び再生する。

 その中でサイドステップを繰り返すダグの水圧ジャブがハンクの全身に浴びせられた。

 

「……っ!!」

 

 それはハンクの悲鳴か、ヘレナが無意識にあげた悲鳴か、ヘレナ自身わからなくなっていた。

 ヘレナはリングサイドで顔を上げる、その顔は涙に濡れていた。

 

「いや……嫌っ、駄目……勝って、勝って!!」

 

 ダグはハンクの眼前に立ち直ると、再び振りかぶって今度は最大出力で水圧を解放する!

 

『これで終いだ、地球の英雄!!!!』

 

「ハンクさああぁぁんっ!!!!」

 

 

 ズ バン!!

 

 

 鈍い音の後、静寂が満ちる、水圧ジェットと両者の熱量、そして幻覚と同時に発生した霧で覆われた両者の姿……その中で一瞬、チカリと眩い閃光が瞬いたと思うと

 万色の光が、霧を祓うように溢れ出した!

 その中では、ハンクのガードが、水圧で加速されたダグの拳をしっかりとうけとめていた。

 

『どうしたよ深き者、こっからが本当の勝負みてぇだぜ……?』

 

 ハンクの言葉に、ガードの隙間から覗く闘志に燃えて光る赤い瞳に、静まり返っていた会場の熱気は一気に怒涛の熱狂として帰ってきた!

 

「ハンクさん……」

 

 呆然としていたヘレナは、桃色に髪を染めて徐々に破顔してき……

 

「起動、起動できたぁぁぁよがっだぁぁぁ……!!」

 

 ついには子供のように大泣きし始めたのだった、それでも変わらず……それどころか先とは比べ物にならないほどの並列プログラムが展開されているのは流石としか言いようがない。

 一方、実況席のヴェルとエルは同時に机を叩いてハンクの復活と威容を実況し始めた。

 

『これは、これはこれはこれはぁっ!? なぁにが起こったんだあ!!?

ハンク・グリフィンまさかの変身んんっ!!』

 

『解析不能、未知の情報熱量を検知せり!

これは、まさか……ショゴスの、いいやその起源神であるウボ=サスラの

いいやそれだけでは現象に説明がつかない、魔法か!?

いや違う、これは全くもって……我々の旧き知恵の書庫に記されぬ新しい力と推定する!』

 

 その右肩は肩先の円と共にそこから電子回路のように伸びラインで万色に輝き、それは右腕だけでなく肩から左腕、身体中、顔に至るまでを補強するように伸びて未知のエネルギーを放出している。

 

『貴様、何をした……!?』

 

 右腕を振りかぶりながら、ハンクはマウスピースを食いしばりテレパシーで返す。

 

『涙に、応えたんだよ!!』

 

 ズ ドン! と、先とは比べ物にならない威力のジャブが唖然とするダグの顔面に突き刺さった!

 

「ぶ えぇっ?」

 

『さっきより、ジャブが重いぃっ……!!』

 

 よろめいたダグの顔面に、2発目、3発目のジャブが突き刺さる!

 ハンクから立ち上る光が周囲の魔術環境へ影響しているのか浅くなっている沼の上でかろうじてフットワークを取り戻したハンクはダグの放り回すような反撃のタイミングを先読みして右ストレートのカウンターを叩き込んだ!

 

「がっほ……!!」

 

『なんだ、なんだなんだ何だこれは!!?』

 

 涙をタオルで拭い、冷静になったヘレナはハンクを見つめてキーを叩きながら語る。

 

「『Soul Punchモード』、私はこの武装をそう名付けました

私は父ノイズの持つ研究成果の多くを遺伝子記憶で引き継いでいます、その中に地球人の魂と呼ばれる霊子集合体から情報熱量を抽出する試みがありました。

実験は失敗、死んだ魂を捕獲してエネルギーを搾取する行為は暴発を招き、想定されたエネルギーの半分も得られませんでした

ですが、抽出……いえ、搾取ではなく共振という形でエネルギーを取り出し、原種ショゴス製のバイオ義肢と同期させて最適効率でリアルタイムサポートを行えば……!!」

 

 ヘレナのキーの動きとともにハンクはフットワークがどんどん軽くなっていくのを感じ、蓄積した体の痛みも身体中に伸びたショゴ助の端末がサポートするように和らいでいく。

 

『すげぇぜヘレナ! ちぃと全身くすぐってぇが、一人だけのボクシングをこんな形にしちまうたぁ最高だ!

最高のパートナーだぜ!』

 

「私の体力的に限界は早いです、早く決着を!!」

 

 そのヘレナの一転して勇ましい声に、よろめいたダグは足を踏み鳴らし笑みを浮かべて向き直る。

 

『は、は、は、は、は!! ますます欲しいぞヘレナぁ!!』

 

 ダグは水圧ジェットのアッパーでハンクのガードを剥がしにかかるが、それを読んでいたハンクはサイドステップの上ジャブ、フック、アッパーのコンビネーションで畳み掛ける。

 

『ヘレナは誰のもんでもねえぞシーラカンス野郎!!』

 

 ハンクの全身が光り輝き、沼を無視した超人的なフットワークを発揮する!

 

『そんな光は、深淵に沈めてくれるわぁぁ!!』

 

 ダグが両腕に魔力を込めて広げると、再び沼地が会場全体に広がりリングのフィールドを貫通して幻覚が観客席にまで及ぶ。

 リングサイドのヘレナも沼に足を取られそうになるが、それでもコンソールの集中して立ち続ける。

 ハンクは光を右の拳に集中し、大きく振りかぶる……!

 

『お前はもっと、真っ当な道っつうもんをを歩いてみやがれぇ!!』

 

 バ ゴ ン !! と、沼地の幻覚全体が地割れのように崩壊して霧散する、その中から飛び出した万色の拳がダグの顔面に強かに打ち付けられると、それはそのまま地面目掛けて叩きつけられた!

 

「ぐぅ……ぁ……」

 

 幻覚のない地面を仰向けにワンバウンドしたダグの巨体は呻き声を上げながら、再び地面に着地する……

 レフェリーが飛んできてカウントを開始する!

 

『ワン! トゥー! スリィー!……』

 

 カウントが進んでいく中、ハンクはダグを見下ろしながらテレパシーを飛ばす。

 

『お前、本当はヘレナのために集中したかったんだろ?

畳みかけろなんて言われて本気を出さざるを得なくなったが、お前は実力で俺に勝ちたかった……違うか?』

 

 ハンクの言葉に、意識が飛んでいたと思われていたダグが返事を返す。

 

『……ふん、ここで負けるなら何を言っても敗者の戯言よ……哀れな悪役、それが我らの性であっても

だが……我に勝ったのなら、呪いをよこしてやろう……』

 

 ダグはリングサイドでハンクを見つめるヘレナを見つめる……美しい、何がとは言わない、ダグはそう思った。

 

 

『必ず勝て、次の相手は……いいや、その先にいるのは想いなぞ通じんぞ』

 

 ハンクは、その言葉を笑い飛ばし、マウスピースを抜いて口頭で応えた。

 

「いいぜ、そいつを想いで……魂でぶち抜いてやる!」

 

 

『ナイイィン! テエエエエン!!』

 

 カンカンカンカンカンカンカンカァン!!!!

 

 会場の客席が万雷の喝采を送る。

 会場全体が赤とオレンジの発光粘菌胞子に包まれ、胞子スクリーンに『WINNER HUNK GRIPHIN!!』と表示する。

 

『「わああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!!!!」』

 

『「Soul Punch! Hunk‘s Fire!!」』

 

『「Soul Punch! Hunk‘s Fire!!」』

 

『「Soul Punch! Hunk‘s Fire!!」』

 

『やぁりぃましたぁ!! ハンク・グリフィン、深淵共和社の猛者ダグ=ゾスを下し、冥王星にて最高の再デビューを果たしましたぁ!!

あまりにも熱すぎる逆転劇!!輝度150%を突破ぁ!!』

 

『これは新しい神話の序章となるだろう!おぉ……おぉ……!!調和と混沌の神々よとくとご覧あれ!!』

 

 ヴェルとエルの興奮冷めやらぬ実況と、虹色に輝く会場の熱気に包まれて……

 

 ハンク・グリフィンはふたたび拳を天に突き出した。

 

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